インタビュー

Cloudflare One × Soliton OneGateが実現する、戦略的なゼロトラスト環境

アイキャッチ
目次

デジタル端末やクラウドサービスの活用が当たり前となった現代のビジネス環境では、保護するべきデータが自宅や外部ネットワークにあるという状況は珍しくなくなりました。そのため、セキュリティの重要性が一段と高まっています。セキュリティに脆弱性があることは、情報漏えいや業務停止といった深刻なリスクに直結しかねないからです。一方で、対策を複雑化しすぎると、システムの操作性やパフォーマンスが損なわれ、業務効率の低下を招く恐れもあります。

こうした課題の解決に取り組んでいるのが、米国発のセキュリティ企業Cloudflareです。現在同社は、日本市場におけるゼロトラスト環境の構築を加速するため、ソリトンシステムズ(以下、ソリトン)とのパートナーシップを強化しています。

本記事では、Cloudflare Japan(以下、Cloudflare)のPrincipal Solutions Architectである國分直晃氏に話を伺い、Cloudflareの技術的な強みと、ソリトンとの連携がもたらす価値を紐解いていきます。


どこにいても一貫した「セキュリティ」と「高速」を実現するCloudflare One

セキュリティ企業Cloudflareが提供するゼロトラスト・プラットフォーム「Cloudflare One」は、ゼロトラスト戦略に基づいて設計されたセキュリティとネットワーキングを提供します。インターネットトラフィックをフィルタリングするセキュアウェブゲートウェイ「Cloudflare Gateway」、ゼロトラストネットワークアクセスを実現する「Cloudflare Access」、お客様のトラフィックのルーティングを管理する「Cloudflare MagicWAN」、ファイアウォール機能を提供する「Magic Firewall」、メールセキュリティである「Email Security」などの機能を統合しなどの機能を統合し、企業内はもちろん、自宅や外部ネットワークからも、安全かつ柔軟なアクセスを実現します。

「Cloudflare One」は、IaaS(Infrastructure as a Service)やSaaS(Software as a Service)を含む、多様なクラウドサービスを活用できます。既存の環境を維持しながらセキュリティを強化できるため、業務を止めることなく安全にクラウドへ移行することが可能です。既存IDaaSやEDR(Endpoint Detection and Response)、SIEM (Security Information and Event Management)を活かしながら、一貫したクラウド運用を実現できる点も魅力です。

Cloudflareの國分氏は、構成の柔軟性に加え、もう一つの大きな強みとして「速さ」を挙げます。ネットワークのシンプルさと、グローバルに展開する低レイテンシーのネットワークにより、ユーザー体験の質が大きく向上すると語ります。

“「Cloudflare One」は、端末やネットワークを問わず、あらゆるサービスやサーバーへのアクセスを可能にする「Any-to-Any」の仕組みを実現しています。さらに、すべての機能を単一ベンダーで提供するSASE(Secure Access Service Edge)プロダクトでもあります。

現在、Cloudflareでは世界335都市にデータセンターを展開しており、日本国内では東京・大阪・福岡・那覇に拠点があります。これにより、世界中のトラフィックをカバーし、快適なネットワーク環境を提供しています。

一部のSASEベンダーは、SLA(Service Level Agreement)で「99.999%」の稼働率を掲げていますが、それでも通信に遅延が発生する場合があります。一方、Cloudflareはグローバルに分散されたデータセンターを活用し、稼働率100%のSLAを保証しています。”

ネットワーク環境がクラウド化していく中ですべきこと

「Cloudflare One」は、製薬や金融などをはじめとした幅広い業種、さらに、大手企業からスタートアップといった様々な規模の企業での導入が進んでいます。その背景には、プロダクトの信頼性に加え、各社の業務スタイルやIT環境との高い親和性があるといえるでしょう。

國分氏は、導入が広がる背景として、企業ネットワークの急速なクラウド化という大きな環境変化を挙げます。

“COVID-19以降、リモートワークの普及に伴い、VPNの利用が増えたように感じる方もいるかもしれませんが、実際には世界的に脱VPNの流れが加速しています。

その一因は、多くの企業でVPNがオンプレミス型で導入されている点にあります。パフォーマンスを向上させるためには設備の増強が必要であり、さらにOSベースで動作しているため、パッチ適用は各社の情報システム担当者に委ねられます。

この構造では、ビジネス環境の急激な変化に柔軟に対応しづらく、パッチ適用の遅れから脆弱性が残るリスクが高まります。実際、こうした隙を突いたランサムウェアも増加傾向にあり、迅速な対策が求められています。”

こうしたトレンドは、今後のIT戦略を左右する重要な視点として、経営層や情報システム部門が把握しておくべきポイントです。

脱VPNの流れが進み、クラウド活用が一般化する中で、ゼロトラストを前提としたセキュリティ体制の構築が不可欠になっています。國分氏は、Cloudflareのグローバルなネットワーク基盤こそが、こうしたゼロトラストを支える実践的な鍵になると語ります。

“Cloudflareが世界335都市にデータセンターを展開していることは、すでに述べたとおりです。これらの拠点は、ネットワークの高速化に加え、セキュリティ強化にも大きく貢献しています。実際、Cloudflareのデータセンターでは、世界中で毎日2,270億件もの脅威をブロックしています。さらに、各地で日々多様な攻撃に対応する中で、防御力は継続的にアップデートされ、より高い耐性を備えるよう進化し続けています。”

Cloudflare Oneの強みを高めるSoliton OneGate連携

「Cloudflare One」は、クラウド上で多彩なセキュリティ機能を統合的に提供しており、必要な機能を選ぶだけで簡単に導入できます。シングルコンソールによる直感的な操作や、機能の追加・削除も容易で、自社に最適なセキュリティ・ネットワーク環境を柔軟に構築できます。

さらに、無料で始められ、必要に応じて有料プランへスムーズに移行できる点も、「Cloudflare One」が多くの企業に選ばれる理由のひとつです。

“「Cloudflare One」は、ユーザー数が50名未満であれば無料で利用できます。小規模なスタートアップなどの導入事例も多く、そこから寄せられるユーザーフィードバックをもとに新機能の開発が行われることも少なくありません。有料プランのユーザーは、こうした新機能をいち早く活用できます。アプリケーションの開発スピードが非常に速いことも、「Cloudflare One」の大きな特長です。”

「Cloudflare One」の強みをさらに高めるのが、ソリトンが提供する多要素認証クラウドサービス「Soliton OneGate(以下、OneGate)」とのSAML連携です。企業にとって「認証セキュリティの強化」と「業務上の利便性向上」の両立は、依然として重要なテーマです。

「OneGate」は、デジタル証明書による多要素認証(MFA)でセキュリティを確保しながら、シングルサインオン(SSO)によるスムーズなアクセスを実現できます。


Cloudflare One × Soliton OneGate 連携イメージ










さらに「Cloudflare One」では、「OneGate」と統合することで、ネットワークアクセス時にも認証を求め、ゼロトラストアーキテクチャに基づいたアクセス制御を実現できます。これにより、クラウドサービスへのログインや「OneGate」経由のアクセスも「Cloudflare One」上で一元的に可視化・管理でき、運用負担を大幅に軽減できます。

このようなIdP統合は、「Cloudflare One」と「OneGate」どちらのユーザーにとっても、現在の環境を活かしながら段階的に導入できるため、無理なくゼロトラストセキュリティへの移行を始めることができます。また、「Cloudflare One」で複数のIdPを集約することで、他社とのコラボレーションや事業拡大時にも簡単にセキュアなアクセス提供を実現できます。

まとめ

「Cloudflare One」は、グローバルなネットワーク基盤を活用し、ゼロトラストに基づくクラウド環境の構築を推進しています。世界各地に展開されたデータセンターを活かして、高速かつ安定した通信環境を提供しながら、統合型セキュリティ機能により、安全で柔軟なクラウド活用を支えています。

一方、ソリトンの「OneGate」は、多要素認証の中でも優位性が高いデジタル証明書を最大限活用したID認証サービスとして、オンプレミスやクラウドを問わず、柔軟かつ安全な認証管理を実現します。
両社の協業は、企業のセキュリティ強化だけでなく、従業員の利便性や生産性の向上にも貢献します。

國分氏は今後の展望について、次のように語ります。

“「Cloudflare One」は、欧州の第三者機関からSASEプロダクトとして高い評価を得ており、多くの一般ユーザーからも支持されています。
 ソリトンさんは、日本のメーカーとして、日本企業にとって親しみやすい形でソリューションを提供し、手厚いカスタマーサポートにも定評があります。私たちCloudflareも、ユーザーフレンドリーであることを大切にしてきました。今後もソリトンさんと共に、安心かつ快適なクラウド環境の実現を目指していきます。” 



Cloudflare Japan様、インタビューにご協力いただき誠にありがとうございました。

この記事のPDFはこちらからダウンロードいただけます

Cloudflare One × Soliton OneGateが実現する、戦略的なゼロトラスト環境(PDF)

取材日:2025年3月4日
株式会社ソリトンシステムズ

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム