インタビュー

長時間労働を抑制して誰もが健康的に働ける企業文化の形成へ|Chronowis(クロノウィズ)× InfoTrace 360

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2019年4月から、働き方改革関連法(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)が施行され、日本全体で職場環境の改善を目指す取り組みが進んでいます。特に、残業時間の上限は原則として月45時間・年360時間と決められており、各企業にとって長時間労働の抑制は喫緊の課題となっています。

長時間労働の抑制にあたり、業務効率化ツールの導入は有効な施策の1つです。パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社(以下、パナソニック ソリューションテクノロジー)が開発、提供する長時間労働抑止システム『Chronowis(クロノウィズ)』は、設定した業務時間を超えて働く従業員に対し、ポップアップの表示や強制シャットダウンの実行などにより、長時間労働を抑制できるサービスです。また、ソリトンシステムズの『Infotrace 360』との連携で全従業員の労働時間や内容を可視化でき、心身ともに健康的に働ける職場環境の実現も可能です。

今回は、パナソニック ソリューションテクノロジーのオフィスソリューション部 部長 小川裕幸氏とオフィスソリューション部 ソリューションSE課 吉井智治氏にお話を伺い、『Chronowis』の活用で期待できる効果や働き方改革で企業に求められていること、そして『Infotrace 360』との連携について、ご紹介します。

パナソニックグループ内で開発製品を試験。実際の運用データを基に高品質なソリューションを提供するパナソニック ソリューションテクノロジー株式会社

1988年に創業したパナソニック ソリューションテクノロジーは、ITインフラ構築やソフトウェア開発を中心に事業を始め、クラウド、AIソリューション、セキュリティまで事業領域を拡大してきました。単なるシステムインテグレーターではなく、同社の持つ現場力を十分に生かし、お客様が使いやすいソリューションを企業向けに提供しています。

同社の強みについて、小川氏はこのように語ります。

“お客様に提供しているアプリやサービスは、基本的にAIエンジンも含めて内製化していますので、完成した試作機は当グループ内で実際に運用しています。運用中に感じた問題点を洗い出すことで、製品をきちんとブラッシュアップできるため、高品質なソリューションを提供できています。また、製品を使用する際の注意点やノウハウのサポートも行っています。顧客満足度調査を実施し、お困りのお客様がいらっしゃれば個別に担当営業から連絡したり、いただいた意見を製品開発や価値向上に役立てたりもしています。”

『Chronowis』によって長時間労働を抑制し、従業員の意識改革を実現

パナソニック ソリューションテクノロジーが提供するソリューションの1つに『Chronowis』があります。『Chronowis』は、事前に設定した労働時間を超えて稼働するPCに対し、ポップアップの表示や強制シャットダウンを行うことにより、従業員の長時間労働を抑止できるサービスです。安価な価格設定により導入コストが抑えられるだけでなく、細やかなカスタマイズやオフラインでも使用可能なことから大企業から中小企業、各自治体にいたるまで、累計約9万IDもの導入実績があります。



実は、この製品の開発に着手したのは、新型コロナウイルスが流行する前の2017年。働き方に対して世間の関心が低かった時期に、なぜ開発に踏み切ったのでしょうか。小川氏は、開発した経緯についてこのように語ります。

 “過去、政府から「働き方改革」について様々な提唱が始まり、グループ内でも「働き方改革」を推進するにあたり、「長時間労働問題」について検討が始まっていました。そこで、適正な労働時間に是正するためにはどうしたらいいのかという課題に対し、ある程度強制力を持った仕組みを構築できないかということで作られたのが『Chronowis』です。2018年、国会に働き方改革法案が提出された頃、当グループ内で部分的に運用を開始し、その結果、残業時間の抑制など一定の成果が上がったため、2019年から対外的に販売を開始しました。” 

なかには残業時間が月100時間を超える従業員もいましたが、『Chronowis』の導入後わずか3カ月で、月100時間を超える残業ゼロを達成。さらに『Chronowis』を導入した企業の中には、長時間労働を是正できたことで、心身の健康を取り戻した従業員も多く、働き方を見直す企業風土の形成につながったという声もあった、と吉井氏は振り返ります。

“導入企業様からは「帰りやすい雰囲気になった」、「労働時間が可視化されることで、業務効率に対する意識が高まった」などの感想をいただいていますね。また、当製品を導入いただいている自治体の職員からも「業務時間に対する意識がかなり変わった」との声を多くいただきました。ただ「データを基に実際の業務効率化を行うことが難しい」といった声をいただくこともあり、新たに『Chronowis』の活用セミナーも実施しています。この活用方法に関するセミナーは好評なので、今後はメニュー化も検討しているところです。”

データに基づいた判断で現場と経営層で異なる意識の改善を目指す

『Chronowis』の導入に限らず、働き方改革に取り組む企業の中には、経営層と現場とで意識に差が出てしまうケースも少なくありません。たとえば、36協定で定める時間外労働の上限規制の適用が2024年4月に迫る建設業を例に、吉井氏は以下のように話します。

“建設業は働き方改革関連法の施行が2024年まで猶予されていますが、その期限が迫っています。そのため『Chronowis』にお問い合わせしてくださる建設業のお客様が多いです。驚いたことに、それも経営層からではなく現場部門の方からのお問い合わせが多く、会社全体で改善に取り組むというよりは、長時間労働の削減を現場主導で進められている会社も一定数いらっしゃる印象です。”

労働環境を改善するための取り組みを行う場合、経営陣がトップダウンで施策を行うことがありますが、現場の状況を考慮しない取り組みは現場社員の根本的な労働環境の改善にはつながりません。働き方改革を推進するには、経営陣が「働きやすい環境を作る」というところにゴールを置き、環境を改善するという強い意識を持つことが大切です。

こうした経営層と現場とで異なる意識への対策として、小川氏は「データに基づいた判断」の重要性を語ります。

“現場の人たちには、こなさないといけない業務がいっぱいあるわけですよね。その状況下で労務管理も現場任せにしていたら、サービス残業や家に仕事を持ち帰る隠れ残業のようなことをしてしまうなど、結果的に身体やメンタルを悪くしてしまうかもしれません。そこを防止するのが経営だと考えています。忙しい現場社員の人たちは、様々な状況からどうしても労働時間の管理・判断がしづらいケースが多く、労働環境がなかなか改善できない。そういう場合は、実際にどんな業務に対して時間がかかってしまうのか?という所を含め「客観的なデータ」を基に経営側から強制力を持たせるとか、判断することで、現場の人たちを救ってあげることができると思います。”

『Chronowis』と『Infotrace 360』を連携させることで、誰もが健康に働ける労働環境の実現を目指す

現場の業務効率化を実現するために重要な「データに基づいた判断」。こうした取り組みを促進するため、パナソニック ソリューションテクノロジーはソリトンシステムズの『Infotrace 360』と『Chronowis』を組み合わせたソリューションの提供を進めています。

『Infotrace 360』は、PC上で利用したファイルやアプリの種類を可視化できることが特徴。また、外部デバイスの利用状況も可視化でき、テレワーク時代の情報漏えいにも備えています。

『Chronowis』と『Infotrace 360』を組み合わせて労働実態を可視化することで、経営陣の業務効率化に対する意識を上げることができる、と吉井氏は話します。

“『Infotrace 360』は、従業員の働く時間を可視化でき、かつ分析も可能となるサービスのため、上長や経営層が、従業員ごとに合った業務の割り振りを可能にします。そして、『Chronowis』を並行して活用することで、現場の従業員も自身の働き方を見直すきっかけとなるため、会社全体として働き方改革を進めていくことができます。”

小川氏も『Infotrace 360』と連携することで得られるメリットについて、以下のように語ります。

“長時間労働の防止は『Chronowis』で可能になります。ただ、業務自体が減るわけではありません。もしかすると、自宅に仕事を持ち帰って隠れ残業を行い、心身ともに健康を害してしまう従業員もいるかもしれません。『Infotrace 360』と連携すれば、各業務が実際にどれぐらいの時間がかかっているのかを把握できるため、客観的なデータに基づいた経営の判断ができるようになります。そうすると、現場の負担は軽くなりますし、ワークライフバランスの実現にもつながるのではないかと考えます。”

最後に、吉井氏は『Chronowis』が単なる残業を制限するツールではなく「働きやすい企業文化の形成を目指すツールである」と強調します。

 “『Chronowis』を導入することで、残業時間がどのように減ったかという部分にフォーカスされがちなのですが、会社全体として「長時間労働をなくしていこう」という目標があれば、意識改革や改善施策、業務効率化などのステップを踏んでいくことが必要です。ですので、このツールを導入するだけで施策が終わりというわけではなく、最終的に健康的に働ける職場づくりを実現していくための一つのツールだという認識で『Chronowis』を活用していただければと思います。もし、導入に魅力を感じているが、強制的にパソコンをシャットダウンする事は従業員の業務を邪魔するのではないか?という後ろめたさを感じるご担当者様がいれば「そんなことは決してない!」と声を大にしてお伝えしたいです。あくまで、会社の考え方を浸透させ意識を変えるためのツールですので、従業員にとって必ず良い結果をもたらすと思います。

お客様のご利用データを分析している中で、注意傾向がある従業員に対してはコミュニケ―ションを促す仕組みも構築する予定です。メンタルヘルスと労働時間との相関関係は必ずあると思いますので、より働きやすいような企業文化の形成に寄与できたらと考えています。リモートワークの普及によって、社内で行われていた気軽なコミュニケーションも減少していますので、是非ともこの新機能を活用して上司と部下のコミュニケーションを創出してほしいという思いもあります。”

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「長時間労働を抑制して誰もが健康的に働ける企業文化の形成へ」(PDF)

謝辞

ソリトンシステムズの熊澤あかり氏は『Chronowis』と『Infotrace 360』の展望について、こう語ります。

“『Infotrace 360』は、ただ労働実態を監視するのではなく「従業員が心身ともに健康な状態で働けるように助けてあげたい」というコンセプトで開発しています。今後も『Chronowis』と連携して働き方を可視化することによって、社内の労働実態を把握するきっかけを作ったり、働き方そのものの変革につなげたりしたいです。働きやすい労働環境の実現を目指す企業の働き方改革に対して、パナソニック ソリューションテクノロジー様と一緒に取り組んでいけたらと思います。”

取材日:2023年2月17日
株式会社ソリトンシステムズ



記事を書いた人

ソリトンシステムズ・セールスチーム