紙の申請書をタブレット端末に移行。書かない窓口システム『ゆびナビ』とは| NetAttest20周年特別企画
行政のDXは10年前、20年前と比べ大きく進化しています。2016年には官民データの活用を推進するための政策方針を示した「官民データ活用推進基本法」、2019年には行政のデジタル化に関する各種施策を行うための「デジタル手続法」など、着々と行政のDXが進んでいます。ただ、お年寄りやハンディキャップを持つ人など、すべての住民が快適に使えるデジタルサービスはまだまだ発展途上であることも事実です。
そんな中、「“書かない”」 窓口システムとして住民票などの各種証明書を発行できる『ゆびナビ』がいま注目を集めています。すでに会津若松市様との共同実証実験が行われており、現在は他自治体でも導入・運用されています。
今回は『ゆびナビ』の導入・保守支援を行う株式会社シンク パブリックソリューション事業部の篠崎氏、宮森氏にお話を伺い、『ゆびナビ』とはどういったシステムなのかをご紹介いたします。
紙の申請書に記入する必要はなし。住民、職員双方にメリットある 「書かない」 窓口システム 『ゆびナビ』とは
会津大学発のICTベンチャーとして立ち上がり、現在はソフトウェア開発やITインフラ構築、また自治体向け行政システムの導入・運用などの事業を展開する株式会社シンク。同社と会津若松市様との新たな取組みとして始まり、自治体向けの「“書かない”」 窓口システムとして誕生したのが『ゆびナビ』です(開発:株式会社BSNアイネット )。
『ゆびナビ』は自治体職員がタブレット端末を利用して、住民票などの各種証明書の発行手続きを利用者である住民に寄り添って行うためのシステムです。
職員がタブレット端末を持ってフロア内の住民に聞き取りを行い、申請内容を入力。住民は紙の申請書を記入する必要がなくなり、タブレット端末上に署名を行うことで申請を完了させることができます。
『ゆびナビ』の画面イメージ
(参照元:BSNアイネット ゆびナビ紹介ページ)
「書かない」 窓口システムができたことによって、住民の方々の申請書作成の時間が省略できたほか、会話を行いながら申請を進めていくことで、従来以上に住民の方々に対して職員が親切な対応を提供できるようになりました。
『ゆびナビ』の導入効果について、シンクの篠崎氏はこう語ります。
“住民の方が住民票をほしいといった場合、従来は紙の申請書に記入して、それを職員が確認するという流れがありました。しかし『ゆびナビ』を導入した今は、職員は住民の方に、画面の流れに沿ってヒアリングし、住民の方と同じ画面を見ながらタップして項目を選んでいきます。住民の方は最後に電子ペンで署名するだけで、住民票を受け取れるようになりました。
紙の申請書もそこまで複雑ではないものの、やはり住民の方にとっては煩わしさを感じることもあります。実際に『ゆびナビ』を利用いただいた住民の方々からは、「紙だと申請書を書くのが面倒だった」「手続きが早くなった」という声が寄せられています。また職員が寄り添って会話をしながら進めていくため、住民の方々の窓口対応に関する心理的障壁を下げることができていると感じています。
また、デジタル化によって職員の業務負荷も軽減されており、住民の方にも職員の方にも双方にとって良い窓口システムになっています。”
「全国の窓口業務の統一化に繋げていきたい」
住民も働く職員もみんなが笑顔になるサービスを目指して
『ゆびナビ』は「タブレットを用いて、住民が申請書を書かずに済む仕組みができないか」という会津若松市様の新たな試みから、同市の情報システムの導入・保守を担当する株式会社シンク、開発担当である株式会社BSNアイネット、そして、会津若松市様の3者で実証実験としてスタート。
会津若松市様としても「自分たちで自ら起案したサービス」ということで、非常に想いを強く持たれています。住民視点を第一にしながらも、窓口業務に精通した職員目線で開発されており、スタート画面のデザイン設計には実際に窓口で働く職員の方も携わられたそうです。
『ゆびナビ』サービスの流れ
(参照元:BSNアイネット ゆびナビ紹介ページ)
『ゆびナビ』はさまざまな住基ベンダーに対応可能となっており、現在は会津若松市様以外にも、住民向けの窓口業務の改善や、窓口業務の共通化を行いたいという複数の自治体への導入が進んでいます。
また、実際に『ゆびナビ』を導入済みの他自治体からは、職員、住民の方の双方にとって利便性が上がったと高い評価を頂いています。今後は、より多くの自治体に導入されていくことで、窓口サービス業務の統一化に繋がるサービスとなっております。
あらためて『ゆびナビ』が生まれた背景、そして他自治体へ展開されていくことに関して、シンクの宮森氏はこう語ります。
“従来、窓口業務を担当する職員の方が住民の方に感謝されるという機会はそう多くはありませんでした。むしろクレームが多いポジションでもあったわけです。しかし、『ゆびナビ』導入後は「便利になった」と住民の方からポジティブな声がけをされることが多くなっているそうで、そうやって笑顔が増えている状況というのは、とても嬉しいことだなと感じています。
実際に私自身も『ゆびナビ』を使ったことがありますが、ヒアリングとタッチだけで証明書が発行されるというのは、非常に便利だなと体感しました。
そうした利便性の向上が多くの自治体様で成し遂げられればいいなと思いますし、多くの自治体様に導入いただき、利用者数が増えることでフィードバックも増え、さらにサービスが良くなっていくというのは、とても意義のあることだと感じます。
『ゆびナビ』はどんな住民記録システムとも連携が可能で、フロントのUIを『ゆびナビ』にすることが可能です。今後も全国の自治体様に導入されていき、窓口業務の共通化に寄与していければ幸いです。”
ゆびナビの実際の利用シーンイメージ
個人情報を取り扱う環境だからこそ、安心・安全で快適なネットワーク環境を構築するために
住民、そして職員双方の利便性を高める『ゆびナビ』ですが、当然ながら個人情報を取り扱う以上、通信要件の検討時には「タブレット端末での無線LAN通信は安全なのか」ということが課題として提起されたそうです。
そこで同社では、高度な無線LAN通信の暗号化と堅牢な無線LAN接続時の認証の仕組み、盗難防止(MDM)の仕組みがあれば、有線LANと同等な安全性が確保できると判断し、会津若松市様への提供が実現。その無線LAN接続時における認証の仕組みとして採用されたのが、ソリトンシステムズが提供するネットワーク認証に必要な機能をオールインワンで備えた『NetAttest EPS』でした。
『NetAttest EPS』を採用した理由について、シンクの宮森氏はこう語ります。
“個人情報を扱うネットワークを無線化するということで、やはり見えない状態だからこそ、どんな悪さをする人物が侵入してくるかわかりません。そのため電子証明書を使った認証というのが条件のひとつとしてありました。
『NetAttest EPS』は多くの自治体様にも導入実績があり、手堅く、使いやすさも追求されているソリューション。また、タブレット端末を扱うため、物理的に紛失してしまうリスクもあるわけですが、紛失時や端末入れ替え時には証明書の失効をすぐに行えたりするといったことが、『NetAttest EPS』の採用理由です。
窓口業務を無線化したというのは、自治体様の中でも先進的な取り組みですが、より無線化が進んでいくであろう未来に対して、『NetAttest EPS』の今後の進化にも非常に期待しています。”
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「紙の申請書をタブレット端末に移行。 書かない窓口システム『ゆびナビ』とは」(PDF)
謝辞
株式会社シンク様、インタビューにご協力いただき誠にありがとうございました。
『ゆびナビ』というユニークかつ重要なシステムは、シンク様はじめ関係者の皆様が住民の方々の利便性を考えた末の成果といえるでしょう。公的サービスである以上、「常に安全な状態で稼働していて当たり前」であることが求められます。私たちもセキュリティ面でそのお手伝いができることを、とてもうれしく感じております。
おかげさまで20周年を迎えたNetAttestシリーズですが、今後も時代の変化、インターネット環境の変化に合わせたソリューションを目指していきます。
取材日:2022年11月29日
株式会社ソリトンシステムズ
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