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コネクテッドカーとは? わかりやすく10分で解説

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車は「走る機械」から「つながる端末」へと変わりつつあります。スマートフォンやクラウドと同じように、車も通信を前提に機能が増え、サービスと結びつく時代になりました。本記事ではコネクテッドカーをテーマに、仕組みと代表的な機能、得られるメリット、見落としがちなリスクと対策、今後の展望までを整理します。読み終えたときに、「便利さ」と「注意点」を両方踏まえて、自分に必要な機能や選び方を判断できる状態を目指します。

はじめに

近年、自動車業界において「コネクテッドカー」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。この言葉が示すのは、単なる移動手段としての車ではなく、情報通信技術を活用してさまざまなサービスや機能を提供する新しい形の車です。本記事では、このコネクテッドカーについて、その基本的な概念からメリット、懸念点、そして未来の展望までをわかりやすく解説していきます。

コネクテッドカーとは?

コネクテッドカーとは、文字通り「接続された車」を意味します。ただし、この「接続」は単に車内でインターネットが使える、という話にとどまりません。車両が通信機能を持ち、外部のシステム(クラウド、スマートフォン、道路インフラなど)と継続的に情報をやり取りしながら、運転支援や利便性向上の機能を提供できる車を指します。

具体的には、走行状況や車両状態、周辺環境に関するデータを取得し、サービスとして還元します。たとえば渋滞情報の反映や、事故・故障の検知、保守の通知、緊急時の自動通報などが代表例です。重要なのは、コネクテッドカーが「車単体」ではなく、通信とサービスの仕組みを含めたエコシステムとして成り立っている点です。

コネクテッドカーを支える通信の考え方

コネクテッドカーは、車内外の複数の通信経路を使い分けて機能します。たとえば、車両が携帯通信網(LTE/5Gなど)でクラウドに接続し、地図更新や交通情報の取得、遠隔操作の受付などを行います。車内ではBluetoothやWi-Fiでスマートフォンと連携し、アプリ経由で通知や操作を提供するケースもあります。

また、車と車、車と道路側設備が近距離で情報をやり取りする考え方もあり、これらは一般にV2X(Vehicle-to-Everything)と呼ばれます。ただし、実装状況や対応範囲は地域・メーカー・車種で異なるため、「コネクテッド=すべての車が同じことをできる」とは限りません。

コネクテッドカーの歴史

コネクテッドカーの概念は近年のものと思われがちですが、原型は以前から存在していました。初期は、事故発生時に位置情報を送信し、緊急サービスへ通報するような「緊急対応」が中心です。

その後、車載機器の高性能化と携帯通信の普及により、ナビゲーションの高度化、車両状態の可視化、外部サービス連携(音声アシスタント、コンテンツ配信など)が進みました。近年はソフトウェア更新(アップデート)やデータ活用が重視され、購入後も機能が拡張される設計が一般化しつつあります。

主な機能と特徴

現代のコネクテッドカーは、多数の機能を組み合わせて価値を提供します。代表的な機能は次のとおりです。

  • リアルタイムの交通情報の取得
    渋滞や事故情報を反映し、状況に応じてルート提案や到着予測を更新します。
  • 遠隔操作・車両状態の確認
    スマートフォン等から、施錠・解錠、エアコン操作、車両の位置確認、走行履歴の確認などを行える場合があります。
  • 緊急時の自動通報・サポート
    衝突などを検知した際に、自動的に通報やサポート窓口へ接続する機能があります。
  • 車内エンターテインメント
    音楽・ポッドキャストなどの配信、音声操作、アプリ連携などにより移動時間の体験を拡張します。
  • 保守・点検の支援
    故障の兆候や消耗品の状態を検知し、点検の提案や予約につなげる仕組みが用意されることがあります。

これらは「便利な機能の集合」に見えますが、裏側ではデータ取得・通信・分析・配信の仕組みが連動しており、運用が前提のサービスとして設計されています。

コネクテッドカーのメリット

コネクテッドカーの価値は、単発の便利機能ではなく、「走行中と所有期間を通じて、体験が継続的に改善される」点にあります。ここでは主要なメリットを整理します。

安全性の向上

安全面でのメリットは大きく、主に「危険の早期把握」と「事故後の初動支援」に分けられます。たとえば、前方の事故情報や路面状況、渋滞末尾などを早い段階で把握できれば、減速や迂回といった回避行動につなげやすくなります。

また、事故時の自動通報は、運転者が通報できない状況でも連絡が可能になる点が重要です。ただし、通報の仕組みは地域やサービス契約の有無で差があるため、実際にどのように動作するかは事前に確認が必要です。

効率的な運転サポート

交通状況に応じたルート最適化、到着時刻の精度向上、混雑回避、周辺施設(駐車場・充電スポットなど)の情報提供により、移動のストレスを減らす効果が期待できます。特に都市部では「駐車場が空いていない」「渋滞に巻き込まれる」といった時間ロスが顕著なため、メリットを体感しやすい領域です。

所有体験の改善(メンテナンスとアップデート)

コネクテッド化が進むと、車は購入時の状態で固定されず、ソフトウェア更新で改善される対象になります。地図・機能・不具合修正が更新で提供される場合、長期所有でも陳腐化を抑えられます。また、車両状態の把握や点検の提案ができれば、トラブルの予防や計画的な整備につながります。

一方で、更新の可否や頻度、サポート期間はメーカーや契約に依存するため、「何年くらいどこまで更新されるのか」を確認しておくことが現実的です。

懸念点と対策

コネクテッドカーは通信機能を持つ以上、利便性と同時に新しいリスクも抱えます。ここでは「起こり得ること」と「現実的な対策」をセットで整理します。

ハッキングのリスク

コネクテッドカーは外部と通信するため、攻撃対象になり得ます。懸念されるのは、車両情報の不正取得、アカウント乗っ取り、サービスの悪用、そして最悪の場合は車両機能への不正な干渉です。ただし、実際の制御系は多重の安全設計や分離設計が前提になっていることが多く、「すぐに乗っ取られる」と短絡的に捉えるのは危険です。

重要なのは、メーカー側の対策(暗号化、認証、脆弱性修正、監視)だけでなく、利用者側の基本対策も含めてリスクを下げることです。たとえば、サービス用アカウントの強固なパスワード設定、複数要素認証の利用(提供されている場合)、不要な連携の停止、ソフトウェア更新の適用などが現実的な対策になります。

プライバシーの保護

コネクテッドカーは位置情報、走行履歴、車両状態など、サービス提供に必要なデータを収集します。これ自体は利便性と表裏一体ですが、どのデータが、どの目的で、どこへ送信され、どれくらい保持されるのかが不透明だと不安につながります。

対策としては、利用規約やプライバシーポリシーでデータの扱いが説明されているかを確認し、設定画面で収集・共有の範囲を調整できるかを把握することが重要です。企業利用(社用車)では、運用ルール(誰がどのデータにアクセスできるか、目的外利用をしないか)を明確にしないと、内部でのトラブルにつながる可能性もあります。

通信障害・サービス停止の影響

コネクテッド機能は通信やクラウドサービスに依存します。通信障害やメンテナンス、サービス終了が起こると、一部機能が使えなくなる可能性があります。ナビや基本走行そのものは継続できても、遠隔操作や情報更新、通知機能などは影響を受けます。

このため、導入時には「通信が切れたときに何ができなくなるのか」「オフライン時の代替手段があるか」「サポート期間やサービス継続の前提は何か」を整理しておくと、Pureな期待と現実のギャップを減らせます。

実際の利用シーン

コネクテッドカーの価値は、日常的な小さな不便を減らす点に表れます。代表的な利用シーンを、目的別に整理します。

旅行・長距離ドライブ

長距離移動では、交通情報や天候情報を反映したルート調整が有効です。渋滞回避だけでなく、事故や通行止めなどの「想定外」に対応しやすくなります。また、目的地周辺の施設情報を取り込み、移動中に計画を微調整できる点も利便性につながります。

通勤・買い物など日常利用

日常利用では、駐車場の空き状況、混雑度、到着見込みの更新などが実感しやすい領域です。遠隔操作(施錠確認、空調設定など)があると、「戻って確認する」手間を減らせます。

トラブル対応・見守り

バッテリー上がりや警告灯の通知など、車両状態の変化を早めに把握できれば、立ち往生のリスクを下げられます。また、家族間での利用では、位置確認や到着通知などが「見守り」に使われるケースもあります。ただし、見守り用途はプライバシーと衝突しやすいため、利用目的と合意を前提に設計することが重要です。

今後の展望

コネクテッドカーは、通信とデータを基盤として進化していく領域です。今後の方向性は大きく二つに分けて考えると理解しやすくなります。

自動運転・高度運転支援との連携

自動運転や高度運転支援が進むほど、外部情報を含めた判断材料が増えます。車両単体のセンサー情報だけでなく、道路側の情報や周辺交通の状況を活用することで、より安全で滑らかな運転支援につながる可能性があります。

都市インフラとの統合と最適化

信号制御、渋滞緩和、エネルギー利用の最適化など、都市側の仕組みと連動する動きが進めば、個々の車の便利さにとどまらず、社会全体の効率向上に寄与する余地が広がります。ただし、実現には標準化やデータ連携の枠組み、プライバシー配慮などの前提が必要です。

まとめ

コネクテッドカーは、車を通信とサービスの仕組みの中に組み込み、運転体験と所有体験を継続的に改善していく考え方です。リアルタイム情報による運転支援や、緊急時対応、遠隔操作などの利便性がある一方で、セキュリティやプライバシー、通信依存といった課題も伴います。

大切なのは「便利そうだから」だけで判断するのではなく、どの機能が自分の利用シーンに効くのか、どのリスクをどの対策で抑えるのかを整理したうえで選ぶことです。コネクテッドカーは、使い方と前提を押さえれば、日々の移動をより安全で快適なものにする選択肢になります。

よくある質問(FAQ)

Q.コネクテッドカーとは何ですか?

通信機能を備え、車両と外部サービスがデータをやり取りして機能を提供する車です。

Q.コネクテッドカーはインターネット接続がないと使えませんか?

走行自体は可能ですが、交通情報更新や遠隔操作など一部の機能は通信がないと使えません。

Q.コネクテッド機能は追加料金が必要ですか?

車種やサービスにより異なり、無料期間後に有料契約が必要になる場合があります。

Q.コネクテッドカーでできる代表的なことは何ですか?

交通情報の反映、遠隔操作、緊急通報、車両状態の確認、ソフトウェア更新などです。

Q.コネクテッドカーは安全性を高めますか?

危険情報の早期把握や事故時の通報支援があり、安全性向上に寄与する可能性があります。

Q.ハッキングされるリスクはどれくらいありますか?

リスクはゼロではありませんが、更新適用やアカウント保護などの基本対策で低減できます。

Q.どんなデータが収集されますか?

位置情報や走行状況、車両状態など、サービス提供に必要なデータが中心です。

Q.プライバシーが心配な場合、何を確認すべきですか?

データの利用目的、保持期間、共有範囲、設定での制御可否を確認することが重要です。

Q.通信障害が起きたら何が困りますか?

遠隔操作や情報更新などが使えなくなる可能性があり、依存度の高い機能ほど影響が出ます。

Q.コネクテッドカーを選ぶときのポイントは何ですか?

必要な機能、契約条件、更新サポート、ログ・データの扱い、セキュリティ対策の前提を確認します。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム