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APT対策とは? 10分でわかりやすく解説

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近年、サイバー攻撃の手口が高度化・巧妙化しており、その中でもAPT(Advanced Persistent Threat)と呼ばれる攻撃が企業や組織にとって大きな脅威となっています。この記事では、APTの定義や攻撃の特徴、代表的な手口、そして効果的な対策方法について、初学者でもイメージしやすいように整理して解説します。

APTとは何か?攻撃の特徴を理解しよう

APTの定義と攻撃の目的

APTとは、特定の組織や個人を狙った、高度で持続的なサイバー攻撃のことを指します。一般的な無差別型攻撃とは異なり、特定の企業・団体・政府機関などを明確なターゲットとして、長期間にわたって水面下で活動を継続する点が特徴です。

攻撃者は、標的とする組織のネットワークに長く潜伏し続け、機密情報の窃取やシステムの破壊、業務妨害などを行います。APT攻撃の主な特徴は次の通りです。

  • 特定の組織や個人を狙った標的型攻撃である
  • 数カ月〜数年単位で続く、長期間にわたる持続的な攻撃である
  • 複数の手口を組み合わせた、高度かつ巧妙な技術を用いる
  • 情報窃取・システム破壊・業務妨害などを主な目的とする

このようにAPTは、「一度侵入して終わり」の攻撃ではなく、標的環境に定着して情報や権限をじわじわと奪っていく長期戦であることを理解しておく必要があります。

APT攻撃の主な手口と攻撃の流れ

APT攻撃では、さまざまな手口が組み合わされますが、典型的な攻撃の流れは次のように整理できます。

  1. 標的の調査と情報収集
  2. 侵入経路の確保(標的型メールやゼロデイ脆弱性の悪用など)
  3. ネットワークへの潜伏と権限の奪取・侵入範囲の拡大
  4. 目的の達成(情報窃取やシステム破壊など)
  5. 痕跡の隠蔽と撤退、あるいは継続的な潜伏

攻撃者はまず、公開情報やSNS、過去の漏えい情報などから標的とする組織や関係者の情報を入念に収集します。そのうえで、メール・Webサイト・VPN・リモートアクセスなど、侵入しやすい経路を探り、突破口を確保します。

一度侵入に成功すると、攻撃者はネットワーク内で目立たないように活動しながら、管理者権限の奪取や他のサーバーへの横展開を行います。最終的には、ファイルサーバーや業務システム、メールなどから機密情報を収集し、暗号化や圧縮を行ったうえで外部に送信します。目的を達成した後は、ログの改ざんや痕跡の削除などを行い、攻撃に気づくのが難しいのが特徴です。

標的型メール攻撃とは?

APT攻撃で頻繁に用いられる手口の一つが、標的型メール攻撃です。これは、標的とする組織や個人に向けて、周到に準備されたメールを送りつける攻撃手法です。メールには、次のような特徴があります。

  • 標的の業務に関連する内容を装った件名や本文(会議資料、請求書、採用情報など)
  • 取引先や上司・同僚など、信頼できる差出人を装ったメールアドレス
  • マルウェアに感染したファイルや、悪意のあるWebサイトへ誘導するリンクの添付

受信者が本文を信じてファイルを開いたり、リンクをクリックしたりすると、気づかないうちにマルウェアが実行され、攻撃者にネットワークへの侵入口を与えてしまいます。特に、業務システムや実在のイベント情報を巧妙に装ったメールは見分けが難しく、従業員教育の重要性が高まっています。

ゼロデイ脆弱性を悪用した攻撃手法

APT攻撃では、ソフトウェアやOS、ミドルウェアなどに存在する未知の脆弱性であるゼロデイ脆弱性を悪用することがあります。ゼロデイ脆弱性は、開発者も把握していない脆弱性であるため、脆弱性情報が公開されていない段階ではパッチも提供されておらず、従来型のセキュリティ対策だけでは防ぎきれません。

ゼロデイ脆弱性を悪用した攻撃では、ブラウザやプラグイン、VPN装置、メールサーバーなど、インターネットにさらされているシステムが狙われることがよくあります。そのため、公開サーバーやリモート接続環境の設計・運用には特に注意が必要です。

この種の攻撃に備えるためには、OSやソフトウェアの最新パッチを適用することに加え、脆弱性診断や仮想パッチ、振る舞い検知型のセキュリティ対策などを併用し、未知の脆弱性を悪用した攻撃を早期に検知・遮断できるようにしておくことが重要です。

APT攻撃は、企業や組織にとって大きなビジネスリスクとなっています。攻撃の手口や特徴を理解し、適切な対策を講じることが、情報資産を守るために不可欠です。技術的なセキュリティ対策の強化とともに、従業員への教育や啓発活動を通して、サイバー攻撃に対する組織全体の意識を高めていくことが求められます。

APT対策の基本戦略と具体的な対策方法

APT攻撃から組織を守るためには、単発の対策ではなく、組織全体で継続的に取り組む包括的なセキュリティ対策が必要です。ここでは、APT対策の基本戦略と、実務で取り入れやすい具体的な対策方法について解説します。

多層防御とは?

APT対策の基本戦略の一つが、多層防御(Defense in Depth)の考え方です。これは、単一の防御策ではなく、複数のセキュリティ対策を組み合わせることで、攻撃者の侵入を阻止するというアプローチです。具体的には、次のような対策が含まれます。

  • ファイアウォールやIPS/IDSによるネットワーク防御
  • アンチウイルスソフトやEDRによるエンドポイント防御
  • 暗号化やアクセス制御によるデータ保護
  • WAFやメールセキュリティ製品によるアプリケーション層の防御
  • 従業員への教育や啓発活動によるヒューマンエラー対策

これらの対策を多層的に組み合わせることで、攻撃者が一つの防御策を突破しても、他の防御策によって侵入を検知・遮断しやすくなります。特にAPTのような長期的な攻撃に対しては、「侵入される前提」で、侵入後の検知・封じ込めも視野に入れた多層防御が重要です。

ネットワークセグメンテーションによるリスク最小化

ネットワークセグメンテーションは、ネットワークを役割ごとに論理的に分割し、各セグメント間の通信を制御する手法です。これにより、攻撃者がネットワークに侵入しても、侵入範囲を限定することができます。重要なシステムや機密データは、独立したセグメントに配置し、アクセス制御を厳格に設定することが推奨されます。

例えば、オフィスのPCとサーバー群、開発環境と本番環境、社内ネットワークとゲスト用Wi-Fiなどを分離し、不要な通信を遮断することで、攻撃者による横移動(ラテラルムーブメント)を困難にできます。

また、近年注目されているゼロトラストアーキテクチャの導入も検討に値します。これは、ネットワーク内外を問わず「すべての通信は信頼しない」ことを前提とし、通信ごとに認証・認可・暗号化を行うことで、信頼できるユーザーやデバイスのみにアクセスを許可する考え方です。

エンドポイントセキュリティ対策の重要性

APT攻撃では、エンドポイント(PC、ノートPC、スマートフォンなど)が侵入口となるケースが非常に多く、エンドポイントセキュリティ対策は最前線の防御として重要な位置を占めます。具体的には、次のような対策が推奨されます。

  • 最新のアンチウイルスソフトやEDR(Endpoint Detection and Response)の導入・運用
  • OSやソフトウェアの脆弱性を修正するセキュリティパッチの速やかな適用
  • 不要なサービスやアプリケーションの無効化・アンインストール
  • 外部デバイス(USBメモリなど)の利用ルールの明確化と制御
  • 従業員への教育や啓発活動によるセキュリティ意識の向上

また、エンドポイントのログ取得・監視を強化し、マルウェア感染や権限昇格、怪しいプロセスの起動など、異常な挙動を早期に検知した場合は、速やかに隔離・調査を行うことが重要です。

インシデント対応計画の策定とログ管理

APT攻撃を完全に防ぐことは現実的には難しく、「攻撃を受けた場合にどう対応するか」をあらかじめ決めておくことも、重要なリスク対策です。そのためには、インシデント対応計画(インシデントレスポンス計画)を事前に策定しておく必要があります。計画には、次のような内容を含めることが推奨されます。

  • インシデント発生時の連絡体制と役割分担(CSIRT等の体制含む)
  • システムの停止や隔離などの初動対応手順
  • ログの取得・保全やフォレンジック調査の方法
  • 関係機関(監督官庁、取引先、顧客など)への報告や情報共有の手順

また、ログ管理も重要な対策の一つです。システムやネットワークのログを一元的に管理し、異常な挙動を検知するためのルールを設定することで、攻撃の早期発見につなげることができます。特にAPT攻撃では、長期間にわたる不審なアクセスや権限変更、データ持ち出しなどの痕跡を、ログからさかのぼって把握できるかどうかが、原因究明と再発防止の鍵となります。

APT対策は、IT部門だけで完結するものではなく、組織全体で取り組むべき課題です。経営層のリーダーシップのもと、セキュリティポリシーの策定や予算の確保、人材の育成などを進めていくことが求められます。また、セキュリティ対策は一度で完了するものではなく、継続的な改善サイクルが不可欠です。

APT攻撃の早期発見と被害の最小化

APT攻撃による被害を最小限に抑えるためには、攻撃を「受けない」だけでなく、「できるだけ早く気づき、被害を広げない」ことが重要です。ここでは、APT攻撃の兆候を捉え、迅速に対応するためのポイントを解説します。

不審なアクティビティを検知する方法

APT攻撃を早期に発見するためには、ネットワークやエンドポイントの不審なアクティビティを常に監視することが重要です。具体的には、次のような兆候に注意を払う必要があります。

  • 通常とは異なる時間帯や場所からのアクセス(深夜・海外IPからの管理者ログインなど)
  • 業務に見合わない大量のデータ転送やダウンロード
  • 許可されていないアプリケーションやツールのインストール・実行
  • システムやネットワーク設定の無断変更
  • ログの異常(急に記録が減る、特定期間だけログが欠損している など)

これらの兆候を見逃さないためには、ログの定期的なチェックや、監視ルールを設定したセキュリティ監視ツールの導入が効果的です。平常時の利用状況を把握し、「いつもと違う」動きを検知できる体制づくりがポイントになります。

SIEM・UEBAを活用した異常検知

SIEM(Security Information and Event Management)やUEBA(User and Entity Behavior Analytics)は、ログやイベントを分析し、異常な挙動を自動的に検知するためのツールです。複数のシステムやアプリケーションのログを一元管理し、相関分析することで、単一のログでは見えにくい脅威を捉えることができます。

SIEMは、ファイアウォール、サーバー、エンドポイント、クラウドサービスなどから収集したログを統合し、定義済みのルールやシグネチャを用いて不審なイベントを検知します。一方、UEBAは、機械学習を用いてユーザーや端末の通常時の行動パターンをモデル化し、それと大きく異なる挙動を検知することで、内部不正やアカウント乗っ取りなど、ルールベースでは検出しづらい脅威も捉えることができます。

脅威インテリジェンスの活用とIOCの収集

脅威インテリジェンスは、サイバー攻撃に関する情報を収集・分析し、自組織のセキュリティ対策に役立てるためのアプローチです。APT攻撃の動向や、特定の攻撃グループが用いる手口・マルウェア・インフラなどの情報を入手することで、自組織への攻撃リスクを評価し、事前に対策を講じやすくなります。

また、IOC(Indicators of Compromise)は、攻撃の痕跡を示す技術的な情報であり、マルウェアのハッシュ値や不審なIPアドレス、ドメイン名、URL、レジストリキーなどが含まれます。IOCを収集し、セキュリティ監視に活用することで、自組織に対する攻撃の有無をチェックすることができます。

外部の脅威インテリジェンスサービスや情報共有コミュニティからIOCを取り込み、自組織のログや通信と突き合わせることで、すでに進行中の攻撃を早期に発見できる可能性が高まります。

インシデントレスポンスの重要性と体制構築

APT攻撃を検知した際には、迅速かつ適切なインシデントレスポンスが求められます。攻撃の影響範囲を特定し、被害を最小限に抑えるとともに、原因分析と再発防止策の検討を行う必要があります。そのためには、次のようなインシデントレスポンス体制の構築が重要です。

  • インシデントレスポンスチーム(CSIRT等)の編成と役割分担
  • インシデント発生時の連絡体制と意思決定プロセスの明確化
  • システムの停止・ネットワークからの隔離など、初動対応手順の整備
  • 証拠保全やフォレンジック調査の方法・外部ベンダーとの連携方法の確立
  • 事後の振り返り(レポート作成・教訓の共有・対策の反映)の仕組みづくり

また、机上検討だけで終わらせず、定期的なインシデントレスポンス訓練を実施し、手順の検証や改善を行うことが推奨されます。実際に手を動かしてみることで、連絡が滞りやすいポイントや手順の曖昧さが見えてきます。

APT攻撃の早期発見と被害の最小化は、組織のセキュリティ対策における重要なテーマです。不審なアクティビティの監視、SIEM・UEBAの活用、脅威インテリジェンスの収集など、多角的なアプローチを組み合わせることで、APT攻撃のリスクを着実に低減できます。

従業員教育とセキュリティ意識向上の取り組み

APT攻撃から組織を守るためには、技術的な対策だけでなく、従業員のセキュリティ意識向上が不可欠です。サイバー攻撃の多くは、従業員のヒューマンエラーや心理的な隙を突いて行われるため、従業員一人ひとりがセキュリティの重要性を理解し、適切な行動をとることが求められます。

フィッシング対策トレーニングの実施

フィッシング攻撃は、APT攻撃の主要な侵入経路の一つであり、従業員を狙ったメールやメッセージを通じて行われることが多くあります。フィッシング対策トレーニングでは、次のような内容を取り上げることが推奨されます。

  • フィッシングメールの特徴と見分け方
  • 不審なメールへの対処方法(開封しない・添付ファイルを開かない・URLをクリックしないなど)
  • 正規のメールと偽装メールの判別ポイント(差出人アドレス・文面・URLなど)
  • フィッシング攻撃による実際の被害事例とビジネスへの影響

トレーニングは座学だけでなく、実際のフィッシングメールを模したシミュレーション訓練を取り入れることで、従業員の理解度や危険認識を高めることができます。

標的型攻撃メール訓練の重要性

標的型攻撃メールは、特定の組織や個人を狙ったメールであり、業務に関連する内容を装って送られてくることが多くあります。このようなメールは、一般的なフィッシングメールよりも精巧で、通常の注意喚起だけでは見抜くことが難しい場合もあります。そのため、標的型攻撃メール訓練が重要です。訓練では、次のような点を意識します。

  • 標的型攻撃メールの特徴(業務に関連する件名・実在の担当者を装った差出人など)
  • 不審なメールの報告手順とエスカレーション先(情報システム部門・CSIRTなど)
  • 標的型攻撃による被害事例と自組織における想定影響

標的型攻撃メール訓練は、年に一度の実施にとどまらず、手口の変化に合わせて内容を更新しながら、定期的かつ継続的に実施することが重要です。

セキュリティポリシーの策定と周知徹底

セキュリティポリシーは、組織のセキュリティ対策の基本方針を定めたものであり、従業員が日常業務で遵守すべき行動規範を示します。セキュリティポリシーの策定にあたっては、経営層の関与と承認が不可欠であり、従業員への周知徹底が重要です。具体的には、次のような内容を含めることが推奨されます。

  • パスワード管理の方法(定期的な変更・複雑なパスワードの使用・使い回し禁止など)
  • 機密情報の取り扱い方法(暗号化・アクセス制御・持ち出しルールなど)
  • 私的なデバイスやクラウドサービスの業務利用に関する規定(BYOD・シャドーIT対策など)
  • 在宅勤務やリモートアクセスに関するセキュリティ規定(VPN利用・Wi-Fi設定・端末の保管方法など)

セキュリティポリシーは作成して終わりではなく、従業員が理解し実践できてこそ意味があります。定期的な見直しと教育・周知を通じて、現場の業務実態と齟齬が生じていないかを確認することが重要です。

セキュリティ意識向上キャンペーンの実施

セキュリティ意識向上キャンペーンは、従業員のセキュリティに対する関心を高め、自発的な行動を促すための取り組みです。具体的には、次のような活動が考えられます。

  • セキュリティ啓発ポスターの掲示や、社内ポータル・メールによる注意喚起
  • セキュリティ関連のニュースや最新動向の共有(社内ニュースレター・勉強会など)
  • セキュリティ意識調査の実施と、結果に基づく課題の特定・改善
  • セキュリティ標語の募集や表彰制度の導入など、参加型の施策

セキュリティ意識向上キャンペーンは、一過性のイベントではなく、継続的な取り組みとして実施することが重要です。また、経営層自らがセキュリティの重要性を発信し、率先して取り組む姿勢を示すことで、従業員の意識を高めやすくなります。

APT攻撃から組織を守るためには、技術的な対策と並行して、従業員教育とセキュリティ意識向上に取り組むことが不可欠です。フィッシング対策トレーニングや標的型攻撃メール訓練、セキュリティポリシーの策定と周知徹底、セキュリティ意識向上キャンペーンなど、多角的なアプローチを通じて、従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高めていくことが求められます。

まとめ

APT対策とは、特定の組織を狙った高度で持続的なサイバー攻撃であるAPTから組織を守るための包括的な取り組みです。まずは、APT攻撃の特徴や攻撃の流れ、標的型メールやゼロデイ脆弱性の悪用といった代表的な手口を理解することが出発点となります。

そのうえで、多層防御やネットワークセグメンテーション、エンドポイントセキュリティ対策などの技術的対策を組み合わせて、「侵入させない」「侵入されても広げない」環境づくりを進めることが重要です。さらに、SIEM・UEBAを活用した異常検知や脅威インテリジェンスの収集、インシデントレスポンス体制の整備により、「早期発見」と「被害の最小化」を図ります。

加えて、従業員教育やセキュリティ意識向上のための継続的な取り組みを通じて、組織全体にセキュリティ文化を根付かせていくことが、APT対策のもう一つの柱です。技術・プロセス・人の三つの側面をバランスよく強化し続けることが、複雑化するサイバー脅威に対抗するための鍵となるでしょう。

APT対策に関するFAQ

Q.APT攻撃と一般的なマルウェア攻撃は何が違うのですか?

APT攻撃は、特定の組織を長期的に狙う標的型攻撃であり、目的達成まで潜伏を続ける点が一般的な単発のマルウェア攻撃と大きく異なります。攻撃者は情報収集から侵入・横展開・情報窃取まで計画的に行い、痕跡を隠しながら活動するのが特徴です。

Q.APT攻撃のターゲットになりやすいのはどのような組織ですか?

政府機関や防衛関連企業、重要インフラ事業者、先端技術を保有する企業などがターゲットになりやすいとされていますが、そこに関連するサプライチェーン企業や中小企業が狙われるケースも増えています。「自社は狙われない」と考えず、業種や取引関係を踏まえたリスク評価が重要です。

Q.APT対策としてまず取り組むべきことは何ですか?

すぐに始められる取り組みとしては、OS・ソフトウェアのパッチ適用、権限管理の見直し、バックアップ体制の整備、従業員へのフィッシング対策教育などが挙げられます。同時に、自社の重要資産を洗い出し、どこを優先的に守るべきかを整理することも大切です。

Q.ゼロデイ脆弱性を完全に防ぐことはできますか?

ゼロデイ脆弱性を「完全に防ぐ」ことは困難ですが、多層防御や振る舞い検知、ネットワークセグメンテーション、最小権限の徹底などにより、悪用された場合の影響範囲を小さくし、早期検知・封じ込めを行うことは可能です。

Q.APT対策にEDRやSIEMは必須ですか?

必須ではありませんが、APTのような高度な攻撃を早期に検知・分析するうえでEDRやSIEMは非常に有効なツールです。まずはログ取得やルール設計などの運用体制を整えた上で、必要に応じて段階的に導入する方法が現実的です。

Q.APT対策にどの程度のコストがかかるのでしょうか?

組織の規模や求めるレベルによって大きく異なりますが、製品導入のコストだけでなく、人材育成や運用工数も含めて考える必要があります。全てを一度に導入するのではなく、リスクの高い領域から優先的に投資することで、段階的に対策レベルを高めることが可能です。

Q.インシデントレスポンス計画はどのように見直せばよいですか?

実際のインシデントや演習で得られた教訓をもとに、「連絡が滞った箇所」「判断が遅れた場面」「手順が曖昧だった部分」を洗い出し、計画書に反映していきます。年に一度の形式的な更新ではなく、演習とセットで改善することが重要です。

Q.従業員教育はどのくらいの頻度で実施すべきですか?

最低でも年1回の全社的な教育に加え、フィッシング訓練や啓発キャンペーンなどを通じて、四半期ごとに何らかの形でセキュリティメッセージに触れる機会を設けることが望ましいと考えられます。新入社員や中途入社者には、入社時教育も重要です。

Q.クラウドサービス利用時のAPT対策で注意すべき点は何ですか?

クラウド事業者のセキュリティに任せきりにせず、アクセス権限の設計や多要素認証の導入、ログ取得・監視設定など、利用者側の責任範囲を明確にしておくことが重要です。シャドーITや無断利用を防ぐためのルール整備もあわせて行う必要があります。

Q.APT対策の優先順位はどのように決めればよいですか?

まずは自社の重要資産とビジネスプロセスを洗い出し、「漏えいすると困る情報」「止まると困るシステム」を特定します。そのうえで、脆弱性やアクセス経路、過去のインシデントなどを踏まえてリスク評価を行い、影響の大きい部分から優先的に対策を進めると効果的です。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム