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官民データ活用推進基本法とは? 10分でわかりやすく解説

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UnsplashTobias Fischerが撮影した写真

近年、デジタル化の進展に伴い、データの重要性が増しています。企業や行政機関が保有する官民データを効果的に活用することで、新たなサービスの創出や社会課題の解決が期待されています。こうした流れを背景に、官民データの利活用を推進する基本法として、官民データ活用推進基本法(平成28年法律第103号)が2016年12月14日に公布され、同日に施行されました。

官民データ活用推進基本法とは

官民データ活用推進基本法は、法律で定義される「官民データ」(国・地方公共団体・事業者などが保有するデータ等)の利活用を進めるための「基本となる枠組み」を示す法律です。制度面・技術面・運用面の環境整備を通じて、データを活用した行政サービスの高度化や新規ビジネスの創出などを後押しすることを目的とします。

官民データ活用推進基本法の目的

官民データ活用推進基本法が目指す方向性は、国全体としてデータ利活用の方針と役割分担を定め、取り組みを計画的に進めることにあります。主なねらいとして、次のような観点が挙げられます。

  1. 公共データの活用を進め、国民生活の利便性向上と行政の効率化につなげる
  2. 民間データの利活用を促進し、新たなサービスやビジネスの創出を後押しする
  3. 官民データ活用に関する施策を、総合的・計画的に推進する体制を整備する

この目的のために、政府は、法律に基づく官民データ活用推進基本計画等を通じて、政策の方向性や重点分野を整理し、関係機関が連携して取り組む前提を整えます。

官民データ活用推進基本法の概要

官民データ活用推進基本法は、罰則を中心とした規制法というより、国・地方公共団体・事業者の責務や、計画・推進体制などの枠組みを整理する色合いが強い法律です。整理すると、主に次のような柱で構成されます。

項目内容(要旨)
基本理念官民データの活用を推進し、利便性の向上や社会課題の解決につなげる
国・地方公共団体の責務官民データ活用を進める施策を検討し、必要な措置を講じる
事業者の責務事業活動において官民データを適正に活用するよう努める
推進体制国としての推進・調整の枠組み(官民データ活用推進戦略会議等)を整える

この法律は「データ活用を推進する」ことを掲げつつ、同時に、個人情報を含むデータの取り扱いについては、官民データ活用推進基本法そのものが詳細な規制を置くのではなく、個人情報保護法などの個別法による適切な保護や安全管理を前提とした制度設計となっています。

官民データ活用推進基本法の特徴

  • 公共データと民間データの双方を視野に入れている
  • 国・地方公共団体・事業者それぞれの役割を明確化し、取り組みを前に進めやすくしている
  • 国としての計画や重点分野を整理し、継続的に見直すための枠組みを置いている
  • データ利活用の推進は、技術だけでなく、制度・標準・人材・運用の整備を含むという前提に立っている

官民データ活用推進基本法の位置づけ

官民データ活用推進基本法は、データ利活用に関する基本的な方向性を示す法律として位置づけられます。個人情報の取り扱い、行政手続のオンライン化、標準化・相互運用性など、周辺分野は関連する制度・計画と組み合わさって推進されていきます。

なお、政府の計画体系は時期により整理のされ方が変わることがあります。たとえば「デジタル社会の実現に向けた重点計画」は、デジタル政策全体の重点計画として閣議決定され、官民データ利活用を含む施策が統合した形で示される形になっています。

官民データ活用推進基本法の施行による影響

官民データ活用推進基本法のポイントは、各主体がデータ利活用を進めるための取り組みを、継続して進めるための土台をつくったことにあります。ここでは、国・自治体、事業者、そして個人情報の取り扱いの観点から、知っておきたい影響を整理します。

国や地方公共団体への影響

国や地方公共団体は、データ利活用の推進主体として、制度・運用・環境整備を進める役割を担います。実務で論点になりやすいのは、次のような項目です。

  • オープンデータの推進(公開対象、更新頻度、品質の担保などの運用設計)
  • データ整備・標準化(形式の統一、コード体系、メタデータ整備など)
  • 利活用しやすい提供手段の整備(APIやポータル、利用条件の明確化など)
  • 人材育成と組織横断の推進体制づくり(担当者任せにしない)

これらが進むことで、データを活用した行政サービスの改善や課題解決に取り組みやすくすることが、法律のねらいの一つです

事業者への影響

官民データ活用推進基本法では、事業者に対し、事業活動において官民データを適正に活用するよう努めることが整理されています。ここで重要なのは、単にデータを集めればよいのではなく、活用できる状態で管理するという発想です。具体的には、次のような取り組みが実務上の論点になります。

  • データ活用を前提とした業務設計(どのデータが、誰の判断に効くのか)
  • データ品質の管理(欠損、重複、更新遅延、意味のぶれの扱い)
  • 権限・ログ・監査の設計(誰が見てよいか、いつ見たか)
  • 外部連携の設計(委託先・共同利用・提供先とのルール整備)

「活用」と、法令遵守・契約・安全管理措置といった統制はセットで考える必要があります。活用を急ぎすぎてガバナンスが後追いになると、個人情報・機密情報・契約違反といった別のトラブルが起きやすくなります。

個人情報の取り扱いへの影響

データ活用を進めるほど、個人情報保護・機密保持・サイバーセキュリティの重要性は増します。官民データ活用推進基本法そのものが個人情報保護法の詳細を置き換えるわけではありませんが、実務では次の論点があわせて検討対象になることが多くなります。

  • 個人情報かどうかの切り分け(匿名加工情報・仮名加工情報の扱いを含む)
  • 利用目的の特定と、目的外利用の防止
  • 委託・共同利用・第三者提供の整理(契約・管理の実装)
  • 安全管理措置(アクセス制御、暗号化、監査ログ、教育など)

データ活用を推進することと個人情報を守ることは、両立を前提に設計していく必要があります。活用の幅が広がるほど、取り扱いのルールも、説明責任も重くなります。

オープンデータの促進

オープンデータは、機械判読に適した形で、二次利用可能なルールのもと公開されるデータとして整理されます。実務的には、公開して終わりではなく、使われる形で整備することが重要です。たとえば、次の観点が揃うほど、オープンデータは実際に使われる資産になります。

  • 更新頻度と鮮度(古いまま放置されない)
  • 意味の説明(項目定義、単位、集計条件、欠損の意味が明確)
  • 形式の扱いやすさ(機械判読可能、メタデータがある)
  • 利用条件の明確さ(ライセンス、二次利用の範囲)

結果として、データの利活用が促進され、新たなサービスの創出や社会課題の解決につながることが政策上期待されています

官民データ活用推進基本法に基づく取り組み

官民データ活用推進基本法は、国全体としてデータ活用を前に進めるための方針と推進のしかけを置いています。ここでは、取り組みを理解する上で知っておきたいポイントを、実務の観点で整理します。

官民データ活用の計画(基本計画・重点計画等)

政府は、データ利活用に関する施策を計画として整理し、重点分野や進め方を示します。近年は、デジタル政策全体の重点計画として整理される形も見られ、官民データ利活用の施策がより大きな枠組みの中で示されます。

企業側の実務としては、計画の全文を読むよりも、次の問いで自社に落とし込むほうが判断につながりやすいはずです。

  • 自社の事業分野に関係するオープンデータ・標準化・制度動向は何か
  • 調達・入札・行政連携の要件(セキュリティやデータ取扱い)はどう変わりそうか
  • データ連携(API連携、共同利用)に必要な前提がどこまで整うか

官民データ活用の推進体制(会議体等)

この法律は、施策を継続的に前進させるための推進・調整の枠組みを整える前提に立っています。たとえば、官民データ活用推進戦略会議について、法律上の整理が置かれています。

ここで大切なのは名称や組織図そのものよりも、省庁・自治体・有識者・民間が同じテーブルで前提を揃え、標準化やルール整備を前に進めるための仕組みが設計されている点です。

地方公共団体の取り組み事例(考え方)

地方公共団体は、地域の課題に即してデータ活用を進めます。分野としては、防災・交通・観光・健康/医療などが典型ですが、同じ分野でも何を公開し、誰が使い、どう更新するかは自治体ごとに差が出ます。

企業にとっては、自治体連携の機会が増える一方で、データ提供や共同プロジェクトでは、次の点が問われやすくなります。

  • データの取り扱い(個人情報・機密情報・委託の管理)
  • サービス継続性(運用・障害対応・SLAの考え方)
  • 説明責任(住民・利用者に対する透明性)

企業におけるデータ活用の重要性

データは持っているだけでは価値になりにくく、意思決定や運用に効く形でつながって初めて資産になります。官民データ活用推進基本法の考え方としても、企業側は活用と適正管理を両輪として捉える必要があります。

データ活用によるビジネス機会の創出

企業はデータ活用により、新たなビジネス機会を創出できます。たとえば、顧客データ分析でニーズを把握し、商品・サービス改善や提案精度の向上につなげられます。IoTデータや外部データ(オープンデータ等)を組み合わせることで、単体のデータでは見えなかった兆候を捉えられる場合もあります。

  • 顧客/利用ログの分析による、離脱要因や改善点の特定
  • 需要予測・在庫最適化など、オペレーション改善
  • 外部データとの組み合わせによる、新しい価値提供(例:地域情報×移動データ 等)

データ活用による業務効率化

業務プロセスのデータを分析すると、属人化している工程、ボトルネック、二重入力のような改善点が具体的に見えてきます。AIやRPAを導入する場合も、まず業務とデータの前提が揃っていないと自動化はうまく回りません。

  • 業務の可視化(工程・入力・承認・例外処理の棚卸し)
  • データの整備(項目定義、マスター管理、更新ルール)
  • 自動化の適用判断(例外が多い業務は先に標準化)

データ活用に必要な体制整備

データ活用に関する方針の策定、データの適切な管理、データ活用人材の育成が重要です。ここでいう体制は、担当部署を置くことだけではなく、運用に落ちるルール(権限、ログ、例外時の判断)まで含みます。

  • データガバナンス(役割分担、承認フロー、監査)
  • セキュリティ(アクセス制御、暗号化、ログ管理、教育)
  • 人材(分析・運用・法務/セキュリティの橋渡し)

官民データ活用推進基本法を踏まえたデータ活用戦略

官民データ活用推進基本法の趣旨を踏まえると、企業のデータ活用戦略は社内最適だけでなく、官公庁・自治体・取引先との連携も視野に入っていきます。近年の重点計画等では、デジタル政策全体の中でデータ利活用が整理される傾向があり、企業側も制度・標準化・セキュリティ要件の変化を追いながら設計することが現実的です。

  • 外部データの活用を前提に、利用条件・品質・更新を評価する
  • 共同利用・提供の前提として、契約・ログ・権限の設計を固める
  • 個人情報・機密情報が絡む場合は、先に保護設計を置く

まとめ

官民データ活用推進基本法は、公共データと民間データの利活用を推進し、新たなサービスの創出や社会課題の解決を後押しするための基本法です。国・地方公共団体・事業者それぞれの役割を整理し、データ利活用を継続的に前に進めるための枠組みを整えました。

企業にとっては、データ活用によるビジネス機会の創出や業務効率化が期待できる一方で、個人情報・機密情報を含むデータの取り扱い、セキュリティ、説明責任といった論点がより重要になります。官民データ活用推進基本法の趣旨を踏まえつつ、自社の事業特性に合わせて活用と統制を両立する戦略を設計し、実行していくことが求められます。

Q.官民データ活用推進基本法は何を定めた法律ですか?

公共部門と民間部門のデータ利活用を進めるための基本的な方針や役割分担、推進の枠組みを整理した法律です。

Q.この法律は企業に何を義務付けていますか?

事業者に対しては、事業活動において官民データを適正に活用するよう努めることが整理されています。

Q.官民データとは具体的に何を指しますか?

法律で定義される官民データで、国・地方公共団体・事業者などが保有するデータ等を指します。

Q.オープンデータとは何ですか?

機械判読に適した形で、二次利用可能なルールのもと公開されたデータのことです。

Q.オープンデータは公開すればすぐ活用されますか?

更新頻度、項目定義、形式、利用条件が揃っていないと活用されにくく、運用設計が重要です。

Q.個人情報保護とデータ活用は両立できますか?

両立が前提であり、利用目的、権限管理、安全管理措置などを設計して進める必要があります。

Q.企業が最初に整えるべきことは何ですか?

データの定義・品質・権限・ログを含むガバナンスを整え、活用できる状態にすることが出発点です。

Q.データ活用でよくある失敗は何ですか?

活用を急いでガバナンスやセキュリティが後追いになり、漏えいや目的外利用のリスクが高まることです。

Q.官民連携プロジェクトで企業が意識すべき点は何ですか?

データの取り扱い、説明責任、運用継続性、契約条件を先に固めることが重要です。

Q.政府の計画は今どこで確認できますか?

デジタル政策の重点計画などに統合的に示される場合があり、最新の閣議決定資料を確認するのが確実です。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム