トレンド解説

BYOVD攻撃とは? 10分でわかりやすく解説

アイキャッチ
目次

UnsplashAccurayが撮影した写真      

リモートワークの普及や個人所有デバイスの業務利用の増加に伴い、企業や組織のセキュリティ対策の盲点を突くBYOVD攻撃が注目されています。この記事では、BYOVD攻撃の概要や仕組み、被害事例、対策方法などについて、10分ほどでわかりやすく解説します。BYOVD攻撃の脅威を正しく理解し、適切な対策を講じることで、大切な情報資産を守ることができるでしょう。

BYOVD攻撃とは何か

BYOVD攻撃とは、企業や組織のセキュリティ対策をバイパスするために、攻撃者が自身の端末を悪用する攻撃手法のことを指します。この攻撃は、近年のリモートワークの普及や個人所有デバイスの業務利用(BYOD)の増加に伴い、注目を集めています。

BYOVD攻撃の定義と概要

BYOVD攻撃は、Bring Your Own Vulnerable Device(自身の脆弱なデバイスを持ち込む)の略称で、攻撃者が意図的に脆弱性を持つ端末を企業や組織のネットワークに接続することで、セキュリティ対策を回避し、内部ネットワークへの侵入を試みる攻撃手法です。

この攻撃は、以下のような特徴を持ちます。

  1. 攻撃者が自身の端末を用いるため、企業や組織のセキュリティ対策が及びにくい
  2. 脆弱性を持つ端末を意図的に利用することで、セキュリティ製品による検知を回避できる
  3. 内部ネットワークに直接アクセスできるため、機密情報の窃取や内部システムへの攻撃が可能になる

BYOVD攻撃が注目される背景

BYOVD攻撃が注目を集めている背景には、以下のような要因があります。

  1. リモートワークの普及により、企業や組織のネットワーク外から内部システムにアクセスする機会が増加している
  2. 個人所有デバイスの業務利用(BYOD)が増加しており、統一されたセキュリティ対策が難しくなっている
  3. 従来のセキュリティ製品では、自身の端末を用いた攻撃を検知・防御することが難しい

これらの要因により、BYOVD攻撃は企業や組織にとって重大な脅威となっています。

BYOVD攻撃の仕組みと特徴

BYOVD攻撃は、以下のような仕組みで行われます。

  1. 攻撃者が意図的に脆弱性を持つ端末を用意する
  2. 攻撃者が標的となる企業や組織のネットワークに、脆弱性を持つ端末を接続する
  3. 脆弱性を利用して、セキュリティ対策をバイパスし、内部ネットワークへアクセスする
  4. 内部ネットワークに侵入後、機密情報の窃取や内部システムへの攻撃を行う

BYOVD攻撃の特徴は、攻撃者が自身の端末を用いるため、企業や組織のセキュリティ対策が及びにくい点です。また、脆弱性を持つ端末を意図的に利用することで、セキュリティ製品による検知を回避できるのも大きな特徴です。

BYOVD攻撃による被害の実態

BYOVD攻撃による被害は、以下のような事例が報告されています。

被害内容詳細
機密情報の窃取攻撃者が内部ネットワークに侵入し、顧客情報や機密文書などの重要な情報を窃取する
内部システムへの攻撃攻撃者が内部ネットワークに侵入し、サーバーやデータベースなどの内部システムを攻撃する
ランサムウェアによる被害攻撃者がランサムウェアを用いて、内部システムのデータを暗号化し、身代金を要求する

BYOVD攻撃による被害は、企業や組織に大きな損害を与える可能性があります。そのため、BYOVD攻撃への対策は喫緊の課題となっています。

BYOVD攻撃への対策としては、以下のような取り組みが推奨されます。

  • 個人所有デバイスの業務利用(BYOD)に関するセキュリティポリシーの整備
  • ネットワークアクセス制御(NAC)の導入による、未知の端末の接続制限
  • エンドポイントセキュリティ対策の強化による、端末の脆弱性の検知と修復
  • ゼロトラストセキュリティモデルの導入による、信頼できる端末のみにアクセスを許可する仕組みの構築

BYOVD攻撃は、企業や組織のセキュリティ対策の盲点を突く巧妙な攻撃手法です。リモートワークの普及や個人所有デバイスの業務利用が進む中、BYOVD攻撃への対策は欠かせません。自社のセキュリティ対策を見直し、BYOVD攻撃に備えることが重要です。

BYOVD攻撃への対策

デバイス管理の重要性

BYOVD攻撃に対抗するためには、組織内で使用されるすべてのデバイスを適切に管理することが不可欠です。個人所有デバイスの業務利用(BYOD)を認める場合は、セキュリティポリシーを整備し、デバイスのセキュリティ状態を確認した上で、ネットワークへのアクセスを許可するべきでしょう。また、組織が支給するデバイスについても、定期的な脆弱性診断やセキュリティアップデートの適用など、適切な管理が求められます。

セキュリティポリシーの見直し

BYOVD攻撃に備えるには、組織のセキュリティポリシーを見直し、強化することが重要です。特に、以下のような点に注意が必要です。

  • 個人所有デバイスの業務利用(BYOD)に関する規定の整備
  • ネットワークへのアクセス制御の強化
  • エンドポイントセキュリティ対策の徹底
  • インシデント対応手順の整備

セキュリティポリシーは、組織の実情に合わせて定期的に見直し、改善していくことが大切です。

従業員教育の徹底

BYOVD攻撃を防ぐためには、従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高めることが欠かせません。組織は、以下のような教育を徹底することが推奨されます。

  1. BYOVD攻撃の脅威と対策についての理解を深める
  2. 個人所有デバイスのセキュリティ管理の重要性を認識する
  3. 業務で使用するデバイスのセキュリティ設定を適切に行う
  4. 不審な動作やアクセスを検知した場合の報告手順を理解する

従業員教育は、単発的なものではなく、継続的に行うことが重要です。定期的な教育や訓練を通じて、従業員のセキュリティ意識を維持・向上させましょう。

技術的対策の導入

BYOVD攻撃への対策として、以下のような技術的対策の導入が推奨されます。

対策概要
ネットワークアクセス制御(NAC)未知のデバイスや、セキュリティポリシーに準拠していないデバイスのネットワーク接続を制限する
エンドポイントセキュリティ対策全てのデバイスに対して、マルウェア対策ソフトの導入、脆弱性の検知と修復、セキュリティアップデートの適用などを行う
ゼロトラストセキュリティモデル信頼できるデバイスのみにアクセスを許可する、新しいセキュリティの考え方を取り入れる
多要素認証(MFA)ユーザーアカウントへのアクセスに、複数の認証要素を組み合わせることで、不正アクセスのリスクを低減する

これらの技術的対策は、組織のセキュリティ体制を強化し、BYOVD攻撃のリスクを軽減するのに役立ちます。ただし、技術的対策は万能ではありません。組織のセキュリティポリシーや従業員教育と組み合わせることで、より効果的なBYOVD攻撃対策が可能になります。

BYOVD攻撃は、リモートワークの普及や個人所有デバイスの業務利用が進む中で、新たな脅威となっています。組織は、デバイス管理の重要性を認識し、セキュリティポリシーの見直し、従業員教育の徹底、技術的対策の導入など、多角的な対策を講じることが求められます。自社のセキュリティ体制を見直し、BYOVD攻撃に備えることが、今後ますます重要になるでしょう。

BYOVD攻撃に関する誤解

BYOVD攻撃は新しい脅威ではない

BYOVD攻撃は、近年注目を集めている攻撃手法ですが、実は新しい脅威ではありません。以前からBYOD(Bring Your Own Device)の概念はあり、それに伴うセキュリティリスクも認識されていました。しかし、リモートワークの普及や個人所有デバイスの業務利用の増加により、改めてBYOVD攻撃の脅威が注目されています。

自社は狙われないという誤解

「うちの会社は狙われない」「自社に価値のある情報はない」と考えるのは危険です。BYOVD攻撃は、特定の企業や組織を狙ったものではなく、脆弱なデバイスを探してあらゆるネットワークに侵入を試みます。企業規模や業種に関係なく、全ての組織がBYOVD攻撃のリスクにさらされていると認識することが重要です。

対策は難しいという誤解

BYOVD攻撃への対策は、特別な技術や高度な専門知識が必要だと考えがちですが、必ずしもそうではありません。デバイス管理の徹底、セキュリティポリシーの整備、従業員教育など、基本的なセキュリティ対策の延長線上で行えることが多いのです。難しく考えず、できることから着実に対策を進めていくことが大切です。

パッチ管理だけでは不十分

ソフトウェアの脆弱性を修正するセキュリティパッチの適用は、BYOVD攻撃対策の重要な要素ですが、それだけでは不十分です。パッチ管理に加えて、デバイスのセキュリティ設定の確認、ネットワークアクセス制御の強化、エンドポイントセキュリティ対策の徹底など、多層的なアプローチが求められます。パッチ管理は対策の出発点に過ぎないのです。

BYOVD攻撃に関する誤解を払拭し、正しい理解に基づいて対策を講じることが重要です。自社のセキュリティ体制を見直し、BYOVD攻撃のリスクを過小評価せずに、適切な対策を実施していくことが求められます。

まとめ:BYOVD攻撃への備え

BYOVD攻撃の脅威を正しく理解する

BYOVD攻撃は、リモートワークの普及や個人所有デバイスの業務利用が進む中で、新たな脅威となっています。攻撃者が意図的に脆弱性を持つデバイスを利用して、セキュリティ対策をバイパスし、内部ネットワークへの侵入を試みるのがBYOVD攻撃の特徴です。企業や組織は、この脅威を正しく理解し、適切な対策を講じることが求められます。

包括的なセキュリティ対策の重要性

BYOVD攻撃への対策は、単一の手法だけでは不十分です。デバイス管理の徹底、セキュリティポリシーの見直し、従業員教育の強化、技術的対策の導入など、包括的なアプローチが必要不可欠です。これらの対策を組み合わせることで、BYOVD攻撃のリスクを効果的に軽減できます。自社のセキュリティ体制を多角的に見直し、強化していくことが重要でしょう。

セキュリティは継続的な取り組みが肝要

BYOVD攻撃への対策は、一度で完了するものではありません。攻撃手法は常に進化し、新たな脅威が登場します。そのため、セキュリティ対策は継続的に行っていく必要があります。定期的なセキュリティポリシーの見直し、従業員教育の実施、技術的対策の更新など、継続的な取り組みが欠かせません。セキュリティを持続的に維持・向上させる体制を整えることが、BYOVD攻撃への備えには不可欠です。

専門家の知見を活用する

BYOVD攻撃への対策は、高度な専門知識を要する場合があります。自社の IT 部門だけでは、十分な対策を講じることが難しいこともあるでしょう。そのような場合は、セキュリティベンダーやコンサルタントなど、外部の専門家の知見を活用することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けながら、自社に適した対策を検討・実施していくことが、BYOVD攻撃への備えには有効です。

BYOVD攻撃は、企業や組織にとって無視できない脅威となっています。この脅威に備えるには、正しい理解に基づいた包括的な対策が不可欠です。セキュリティは継続的な取り組みであることを認識し、必要に応じて専門家の知見も活用しながら、自社のセキュリティ体制を強化していくことが求められます。BYOVD攻撃に対する備えを万全にすることが、今後のビジネスを守る上で重要な鍵となるでしょう。

BYOVD攻撃は、リモートワークの普及や個人所有デバイスの業務利用が進む中で、企業や組織のセキュリティを脅かす新たな脅威として注目されています。攻撃者が意図的に脆弱性を持つデバイスを用いることで、セキュリティ対策をバイパスし、内部ネットワークへの侵入を試みるのがBYOVD攻撃の特徴です。包括的な対策として、デバイス管理の徹底、セキュリティポリシーの見直し、従業員教育の強化、技術的対策の導入などが求められます。セキュリティは継続的な取り組みが重要であり、専門家の知見を活用しながら、自社のセキュリティ体制を強化していくことが、BYOVD攻撃への備えには欠かせません。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム