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CADとは? わかりやすく10分で解説

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CAとは

今日の工業社会において、物を製造または建設するための図面はその実現に欠かせない工程です。これらの図面は設計図とも呼ばれ、製品の型や建物の形状、機械部品の寸法などを詳細に描き出します。そのためのツールとして用いられるのがCAD(Computer-Aided Design)、つまりコンピュータ製図です。

CADの定義

CADとは、コンピュータを使用して設計図を作成または編集する技術やそのソフトウェアのことを指す言葉です。具体的には、コンピュータ上で2次元や3次元の図面を作成し、それを印刷したり、別のソフトウェアに取り込んだりします。

CADの歴史

CADは、1960年代から実用化され始めました。当時は大型のコンピュータが主流で、専門的な知識を必要としました。しかし、パーソナルコンピュータの普及と共に、誰でも使えるようになったCADソフトウェアが登場するようになりました。

初期のCADは2次元でしたが、90年代になると、よりリアルな3次元の画像を作成できる3D CADが普及し始めました。さらに近年では、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)といった新たな技術を組み合わせて設計図を作成でき、効率化と見やすさの向上が実現しています

さらに、クラウド技術の発展により、いつでもどこでもCADを利用できるようになり、複数の人が同時に設計に関与することが可能になりました。これにより、プロジェクトの進捗を管理しやすくなり、作業効率が向上しました。

CADの主な種類

CADは多岐にわたる分野で用いられ、その目的により選ぶべきCADソフトウェアも異なります。ここでは、CADの主な種類、すなわち2次元(2D)CAD3次元(3D)CADについて説明します。

2次元(2D)CAD

2次元(2D)CADは、平面上で図形を描画ツールとして利用するCADの一種です。これは、線や図形を使って平面図を作成するときに使用されます。建築、土木、機械設計などの分野で長らく使われ、CADの歴史の中でも初期から存在している形式です。

2D CADの特徴として、直観的で誰でも簡単に使い始めることができる点があります。また、各部品やレイアウトの視覚化に適しており、凡庸性が高いとされています。しかし、立体的なイメージを作成するのが難しく、また、変更があった場合にそれを反映させるプロセスに手間がかかる場合があります。

3次元(3D)CAD

一方、3次元(3D)CADは、立体的な形状を直感的に表現する能力を持つCADの一種です。これは三次元空間内で物体を設計し、その形状や構造を視覚化することが可能です。

3D CADは、物体の立体的な形状やサイズ、配置などをリアルに表現することが可能で、具体的な製品設計や建築設計などに有用なツールとして広く使われています。また、実物を製作する前に仮想空間上で試作を行い、修正や検証を繰り返すことも可能です。

しかし、使いこなすには専門知識が必要となり、学習コストは2D CADに比べて高いです。それでも、その強力な表現能力と効率的な設計作業を実現する恩恵から、現代では3D CADが多くの業界で主流となっています。

CADを利用するための要件

コンピュータ製図を始めるには、必要な条件がいくつかあります。これらの条件が整っていれば、あなたもすぐにCADの世界を楽しむことができます。

ハードウェア要件

CADソフトウェアを利用するためには、まず、適切なハードウェアの確保が必要です。具体的には、CADソフトウェアを動かすための十分なパフォーマンスを持つコンピュータは必須です。

多くのCADソフトウェアでは、高速なCPU、大量のメモリ、大容量のストレージ、そして十分な処理能力を持つグラフィックカードが必要です。これらの要件は、3DのCADソフトウェアを利用する場合に特に重要です。3DのCADでは、複雑な図形や、大量の設計データを扱うことになりますから、高いパフォーマンスが求められます。

ソフトウェア要件

次に、CADを利用するためのソフトウェアの環境を整える必要があります。CADソフトウェアは、WindowsやmacOS、Linuxなどのオペレーティングシステム上で動作します。そのため、動かすソフトウェアに合わせて、コンピュータのOSを選びます。

一般的に、CADソフトウェアの多くはWindowsを主な対象としています。しかし最近では、MacやLinuxでも利用できるCADソフトウェアも増えてきています。

必要な知識とスキル

ハードウェアとソフトウェアの環境が整ったあとは、CADを使いこなすための知識とスキルを磨きます。

CADソフトウェアは、専門的なツールですから、基本的には、図面の読み書きができる技能や、機械設計、建築設計などの基本的な知識があると良いでしょう。

また、CADソフトウェアは複雑なソフトウェアですから、基本的なコンピュータの操作スキルも必要です。マウス操作やキーボードショートカットの使い方、ファイルマネージメントなど、一般的なPCスキルが身についていると、スムーズにCADソフトウェアを使うことができるでしょう。

CADの主な活用例

さまざまな業界で用いられているCADですが、その活用方法はその業界や目的により様々です。本章では、その中でも特に代表的なCADの利用例についてご紹介します。

製品設計

CADは製品設計のフィールドでも広く活用されており、新製品の開発から詳細な部品設計まで幅広い用途で活躍しています。CADを使うことで、形状の複雑な部品でも自由自在に設計することが可能になり、試作の手間やコストを大幅に削減します。また、ソフトウェア内で試作品を3Dで実装することにより、製品の形や機能を詳細に確認することが可能になります。

建築・土木設計

建築や土木の世界でもCADが活用されています。建物のレイアウトや構造、設備を設計する際に、CADを使用することで効率的に作業を進めることができます。建築図面を作成する際にも、CADは不可欠であり、建物の外観や内装、設備の配置等を精密に描くことが可能です。

電気回路設計

電気回路設計もまたCADの活用分野です。紙に手書きで設計図を描いていた時代と比べ、CADを使うことで設計作業の質と効率が飛躍的に向上しました。一度作成した設計図は、簡単に修正や複製ができ、エラーの発見や修正も容易です。

CG・映像制作

最後に、CGや映像制作はCADが欠かせない領域だと言えます。アニメーション映画やゲーム、宣伝用ビデオなど、様々な映像コンテンツがCADを用いて制作されています。リアルな3Dキャラクターや風景を、CADソフトを使って細部にわたって設計し、それらを組み合わせて一つの映像作品を作り上げます。

CADのメリットとデメリット

CADには、様々なメリットが存在します。一方で、これらのメリットと同時にいくつかのデメリットも存在します。これらを理解することで、CADを更に効果的に活用することが可能となるでしょう。

メリット

まず最初に、CADのメリットについて説明していきます。

第一に、CADを用いることにより、手描きに比べ複雑なデザインや図面を精度よく、そして迅速に引くことが可能となります。これは、手作業による誤差を排除し、時間と手間を大幅に削減できるためと言えます。

また、過去のデータや図面を簡単に再利用することができる点も大きなメリットとなります。これにより、効率的な作業が可能となるだけでなく、失われるべきではない情報を失うことなく残すことが可能となります。

さらに、CADでは3Dデザインが可能となっています。これにより、実際の製品を手に取る前に予想図を見ることが可能となり、改訂や改良を行いやすい環境を提供します。

デメリット

次に、CADのデメリットについて説明します。

一つ目のデメリットとして挙げられるのは、CADソフトウェアがしっかりとした計算機能やエラーチェック機能を持っているため、ユーザーが自身で細部までチェックをする習慣が無くなる可能性があります。これにより、ユーザー自身の能力が低下する恐れがあります。

また、CADは初期投資が大きく、高価なソフトウェアやハードウェアが必要となる場合が多いです。そのため、導入コストが高くなるというデメリットがあります。

さらには、カスタマイズが難しく、既存のライブラリにないパーツやシンボルを自力で作成する必要があるという点もデメリットと言えるでしょう。

CADの活用法

CADを使用する上で成功するためには、ただ技術を使うだけでなく、その利用法を理解し、最大限にCADの機能を活かす戦略が求められます。一部では以下のような効果的な活用法が挙げられます。

データ管理の工夫

設計プロセスは非常に複雑で、数多くの異なるデータ、図面、情報が生成されます。効果的なCADの使用において、データ管理の工夫は欠かせません。 特に、同じデータを何度も再利用する際、適切な管理がなされていないと時間と労力を浪費してしまうことになりかねません。

例えば、CADデータを整理することで、必要なデータを容易に検索し、アクセスし、使用することができます。名前づけの標準化、データのカテゴリ化、データストレージの整理などが効果的です。

クラウドと連携する

設計データの容量は大きく、多数のデータを管理するには高度なストレージと整理能力が必要です。クラウドとCADの連携は、このような問題を解決する最善の方法の一つです。

クラウドストレージを利用すれば、設計データをどこからでも安全にアクセスでき、また、大容量のデータも安全に保存することが可能です。さらに、リアルタイムでデータの共有や更新が可能なため、効率的なチームワークを実現できます。

徹底したシンボル・パーツ管理

CADにおける時間の大半は図面の作成に費やされますが、その時間を大幅に短縮できるのがシンボルとパーツの管理です。 CADシステムでは、特定の形状や部品をパーツ図面図書として保存し、何度も使用できるようにします。

一度作成したパーツを再利用できれば、同じ形状や部品を何度も描く必要がなく、図面の作成時間を大幅に短縮できます。さらに、図面の一貫性と精度も向上します。

これからのCAD

CAD(Computer-Aided Design)の世界は、新しい技術トレンドに大きく影響を受けています。特に近年では、AI(人工知能)の発展やVR/AR(バーチャルリアリティ/拡張現実)の進化、クラウド化の加速など、新たなトレンドがCADの進化を後押ししています。

CADのネクストトレンド

一つ目のトレンドは、AIとの融合です。AI(人工知能)を活用したCADソフトは、グラフィックの自動生成や最適な設計案の提示など、これまでの手作業に頼っていた作業を自動化しています。この結果、作業の効率化や誤りの削減が可能となり、高品質な設計が期待できます。

二つ目のトレンドとして挙げられるのが、VR/AR技術の活用です。製品や建築物の設計を立体的に視覚化したり、想定した使用環境でのシミュレーションを行うことで、設計段階での問題の発見や改善を促進します。また、VR/AR技術を用いたプレゼンテーションは、設計の理解を深めるだけでなく、クライアントや利用者の満足度向上にも貢献します。

三つ目のトレンドは、クラウドへの移行です。クラウド上での作業は、場所やデバイスを問わないアクセスの自由さをもたらします。また、データの共有やバックアップが容易となり、協同作業の効率化やデータロスのリスク軽減につながります。

CADの未来展望

CADの未来は極めて明るいと言われています。前述の新しいトレンドを受けて、より直感的で効率的な設計作業が可能となるでしょう。今後は、AIが設計の最適化をさらに進化させ、VR/ARが設計体験をダイナミックに演出し、クラウドが世界的な協調作業を実現します。

また、コンピュータが人間中心の設計を支援するツールとなることが期待されています。例えば、AIが何を設計すべきか、なぜその設計がベストかを理解し、ユーザーに最適な結果を提供します。また、VR/ARはリアルタイムで設計変更を視覚化し、より具体的なフィードバックを提供します。

最先端の技術と設計の現場が一層密接に結びつく未来が待っています。CADを通じて、人間の持つ創造力や想像力を存分に発揮し、より優れた製品やサービスを生み出すことに期待が寄せられています。

CADを学ぶために

コンピュータ製図、通称CADは、三次元モデリングや設計図作成の主要なツールとなり、エンジニアやデザイナー達にとって欠かすことができないスキルとなっています。新たにCADを学び始める方々が必要とする教材やリソース、そして、科学や技術を学ぶための心構えについて説明します。

自習用の教材

まずCADを学ぶ上でご自身に適した教材を見つけることから始めてみましょう。購入すればすぐにでも手に入る書籍や教科書も一つの選択肢です。一方で、無料で利用できるオンラインリソースも非常に豊富に存在しています。

特にオンラインリソースは、講義形式のYouTubeビデオや、LMS型のプログラムなど、様々な形式で提供されています。また、CADソフトウェアの公式ウェブサイトにはユーザーガイドやチュートリアル、フォーラムなどもあり、基本操作から高度なテクニックまで学ぶことが可能です。

興味と好奇心

個々の教材やリソースを活用するためには、科学技術に対する興味や好奇心が必要になります。CADはその本質上、科学的かつ技術的なスキルであり、新たな知識を吸収し続ける姿勢が求められます。

聞き慣れない専門用語に挫折せず、図面のリアリティを追求したり、より効率的な設計方法を見つけ出したりするためには、まず事象や現象に対する理解が必要です。そしてその理解を深めるためには、科学や技術に対する興味と好奇心が何より大切です。

事実、CADを通して設計図を作成する過程は、科学の原則や技術的な知識に直面するための絶好の場です。好奇心を持つことで、CADに関する学習は更に楽しくなるでしょう。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム