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CI/CDとは? わかりやすく10分で解説

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近年、ソフトウェア開発の現場では「CI/CD」という言葉を頻繁に耳にします。とはいえ、用語としては知っていても「CIとCDの違い」「どこまで自動化すればよいのか」「導入すると何が変わるのか」を言語化できる人は案外多くありません。この記事では、CI/CDの基本から、現場でつまずきやすいポイント、運用で効いてくるベストプラクティスまでを整理し、読了後に“自分たちの開発にどう当てはめるか”を判断できる状態を目指します。

CI/CDとは

CI/CDは「Continuous Integration(継続的統合)」と「Continuous Delivery / Continuous Deployment(継続的デリバリー/継続的デプロイ)」の総称です。ソフトウェアの変更を、ビルド→テスト→リリース準備→(必要に応じて)本番反映まで、できる限り自動化し、短いサイクルで回すための考え方・仕組みを指します。

ポイントは「ツール名」ではなく、変更を小さく保ち、早く検証し、早く戻せる状態を作ることです。CI/CDはそのための手段であり、導入の目的は一般に以下の2つに集約されます。

  • 開発の迅速化:人手の作業(ビルド、手動デプロイ、手動テスト)を減らし、リードタイムを短縮する
  • 品質の確保:自動テストや静的解析、レビューの仕組みで、問題を早い段階で検出する

なお「CD」は文脈によって意味が揺れやすい用語です。混乱を避けるため、この記事では次のように区別します。

  • Continuous Delivery(継続的デリバリー):本番に出せる状態まで自動化する(最終的な本番反映は人が承認するケースが多い)
  • Continuous Deployment(継続的デプロイ):本番反映まで自動化する(テストを通れば自動で本番に出る)

CI/CDの歴史と進化

CI/CDの発想自体は昔からありますが、実務として定着した背景には、クラウド・仮想化・コンテナなどのインフラ面の進化と、バージョン管理(Git)を前提にしたチーム開発の一般化があります。以前は開発と運用が分業され、リリース作業が属人化しやすく、手順も環境も「人の記憶」に依存しがちでした。

CI/CDが普及したことで、変更が入るたびに自動で検証され、同じ手順で繰り返しデプロイできるようになり、リリースが「特別なイベント」から「日常業務」へと変わっていきました。DevOpsの流れも相まって、開発と運用の境界が薄まり、速度と安定性を両立するための標準的な実践として採用が進んでいます。

継続的統合(CI)とは

継続的統合(CI)は、開発者の変更をできるだけ短い間隔で共有のリポジトリに統合し、統合のたびに自動でビルド・テストを走らせる運用です。目的は、統合の失敗を早期に見つけ、修正コストを小さくすることにあります。

CIを「毎日ビルドすること」と誤解すると、導入効果が薄くなります。実務では、小さな変更をこまめに統合し、失敗したらすぐ直すというリズムが核になります。

CIの主な目的と利点

CIの価値は、テストを自動化すること自体というより、問題を“統合時点”で見つける点にあります。典型的なメリットは次の通りです。

  • バグの早期発見:手元では動いていた変更が、統合環境で破綻していないかを早く検出できる
  • 修正コストの低減:問題が小さいうちに直せるため、後工程での手戻りが減る
  • 開発の安心感:自動チェックがあることで、変更の影響範囲を把握しやすくなる
  • 属人化の抑制:ビルドやテスト手順がコード化・自動化され、再現性が上がる

逆に言うと、CIが機能していないチームでは「統合のたびに壊れる」「直すのが面倒で放置される」状態が起きやすく、リリースの頻度を上げるほど事故が増える、という悪循環に入りがちです。

CIで自動化したいチェックの典型

CIのチェック内容はプロダクトによって異なりますが、最低限「品質の地雷」を踏みにくくするために、次のようなレイヤーを段階的に積むのが現実的です。

  • 静的解析:リンター、フォーマッター、依存関係チェック、型チェックなど
  • ユニットテスト:最小単位での振る舞い確認(速く、数を積みやすい)
  • 結合テスト:DBや外部サービスとの接続を含むテスト(本数は絞り、信頼性を重視)
  • ビルド成果物の作成:コンテナイメージやパッケージなど、再利用できる成果物を生成

「テストを増やせば安心」とは限りません。遅い・不安定(フレーク)なテストが増えると、CIが“信頼できないアラーム”になり、結局誰も見なくなるためです。まずは速くて安定したテストから作り、徐々に範囲を広げる方が失敗しにくいです。

CIの実装方法とツール

CIはツールで成立します。代表例として、JenkinsTravis CICircleCIなどが知られています。これらを用いることで、リポジトリへのプッシュやプルリクエスト作成をトリガーに、ビルドとテストを自動実行できます。

ツール選定では「何ができるか」だけでなく、次の観点が運用面で効いてきます。

  • 実行時間と並列性:テストが遅いと開発体験が落ちる(待ち時間が増える)
  • 失敗の見つけやすさ:ログ・通知・再実行が扱いやすいか
  • 権限と監査:誰が設定変更できるか、変更履歴を追えるか
  • 環境の再現性:同じ手順がどこでも再現できるか(IaCやコンテナと相性が良いか)

継続的デリバリー/デプロイ(CD)とは

CDは、CIで作られた成果物(ビルド物・イメージ)を、検証環境や本番環境へ安全に届けるための仕組みです。ここで重要なのは、「本番に出す」ことだけではなく、いつでも本番に出せる状態を保つという発想です。

CIが「統合の品質」を担保する役割だとすれば、CDは「リリースの品質」を担保します。つまり、手順の標準化、環境差分の排除、ロールバック可能性の確保などが中心テーマになります。

CDの主な目的と利点

CDの目的は、リリースを速くすることに加え、リリースの不確実性を下げることにあります。代表的な利点は次の通りです。

  • リリース作業の省力化:手順が自動化され、担当者の負荷や属人性が下がる
  • 迅速なフィードバック:変更が早くユーザーに届き、価値検証が回りやすい
  • リリースリスクの低減:変更が小さくなることで、障害時の影響範囲も小さくなる
  • 復旧の容易さ:デプロイ手順・構成がコード化されていると、戻しやすい

ただし、いきなり「自動で本番デプロイ」まで行く必要はありません。規制・監査・重要度の高いシステムでは、デリバリー(本番に出せる状態まで)を自動化し、最終承認は人が行う形の方が現実的なことも多いです。

CDの実装方法とツール

CDでは、ビルド成果物の管理、環境ごとの設定、承認フロー、デプロイ戦略(段階リリース等)を扱います。代表例として、JenkinsGitLab CI/CDSpinnakerなどが挙げられます。

導入時は「CDで何を自動化するか」を言語化することが先です。例えば次のように切り分けると、要件が整理しやすくなります。

  • 環境反映:開発/ステージング/本番にどう反映するか
  • 設定管理:環境差分(接続先、キー、スケール設定など)をどう扱うか
  • 承認と監査:誰がいつ承認し、ログをどう残すか
  • ロールバック:問題が起きたときにどこまで戻すか(手順と責任)

CI/CDのベストプラクティス

CI/CDは「入れれば終わり」ではなく、運用の設計次第で効果が大きく変わります。ここでは、効果が出やすい実践を、現場目線でまとめます。

効果的なCI/CDパイプラインの構築

パイプラインは一般に、次のような段階で組み立てると破綻しにくくなります(すべてを最初から完璧にやろうとしないのがコツです)。

  • 高速チェック(数分で終える):フォーマット、静的解析、ユニットテスト
  • 統合チェック:結合テスト、依存サービスを含むテスト
  • 成果物の固定:同じ成果物を環境に流す(環境ごとにビルドし直さない)
  • デプロイと検証:ステージング反映、スモークテスト、監視確認

このとき意識したいのが、自動化の徹底フィードバックの迅速化です。手動作業はミスと待ち時間の温床になります。逆に、自動化しすぎてパイプラインが遅くなるのも本末転倒です。重要なのは「速さ」と「信頼性」のバランスで、まずは開発者が日常的に回せる速度を確保します。

また、リリース頻度を上げるには、変更を小さくする工夫が必要です。代表的には次のような手当てが効きます。

  • ブランチの長期化を避ける:統合が遅れるほど衝突と不具合が増える
  • 機能フラグ:コードは入れても、公開は制御できるようにする
  • 段階的リリース:一部ユーザーから出し、問題がないことを確認して広げる

“品質”を落とさず速度を上げる考え方

CI/CDで速度を上げると「品質が下がるのでは?」と心配されがちですが、実際には逆です。小さな変更を頻繁に出すほど、問題の切り分けが簡単になり、復旧もしやすくなるためです。ただし、その前提として次が整っている必要があります。

  • テストが信頼できる(落ちるときは本当に落ちる、フレークが少ない)
  • 観測できる(ログ、メトリクス、トレースなどで異常が追える)
  • 戻せる(ロールバック手順が確立している)

特に「観測できる」は見落とされがちです。デプロイは成功しても、ユーザーにとっては失敗していることがあります。リリース後に“何が起きたか”が分からない状態だと、結局リリースが怖くなり、CI/CDが形骸化します。

DevSecOpsとしてのCI/CD

近年は、CI/CDにセキュリティを組み込む(DevSecOps)考え方が一般的です。具体的には、次のようなチェックを段階的に足していきます。

  • 依存関係の脆弱性チェック:ライブラリの既知脆弱性を検出する
  • 静的セキュリティ検査:危険な実装パターンを検知する
  • 秘密情報の混入検知:APIキーやパスワードをリポジトリに入れない
  • コンテナ/イメージ検査:ベースイメージやパッケージのリスクを確認する

ここでも大切なのは、いきなり重い検査を全部回すのではなく、開発体験を壊さない順序で段階的に組み込むことです。まずは「重大な事故につながるもの(秘密情報の混入など)」から入れると効果が出やすいです。

CI/CDの課題と解決策

CI/CDは効果が大きい一方で、導入時に典型的なつまずきがあります。ここでは「あるある」を先回りして整理します。

一般的な障壁とその克服方法

文化的な障壁は大きな壁です。従来のプロセスに慣れているほど、変更への抵抗が起きやすくなります。ここで重要なのは、CI/CDを「正しさ」ではなく課題解決の手段として共有することです。例えば「リリース作業が属人化している」「手戻りが多い」「品質確認が遅い」といった痛みと結びつけると、合意が取りやすくなります。

技術的な課題としては、ツール選定・設定の複雑さ、インフラ整備、テスト不足などが挙げられます。対策としては次が現実的です。

  • スコープを絞って開始:最初は「CIでビルドとユニットテスト」など、確実に回せる範囲から
  • パイプラインをコード化:手順書ではなく、設定ファイルとして管理する(レビュー可能にする)
  • 失敗を“すぐ直す”運用:CIが赤い状態を放置しない(放置すると信用が落ちる)
  • 外部知見の活用:ベンダーや経験者のレビューを入れ、最短ルートで落とし穴を避ける

成功事例と学び

CI/CDの成功は、派手なツール導入よりも、目標の明確さ改善の継続で決まります。例えば「リリース頻度を週1回にする」「デプロイ作業を30分→5分にする」「本番障害の復旧時間を短縮する」など、測れる指標を置くと、取り組みが定着しやすいです。

また、失敗を避けるよりも、小さく試し、学び、改善する姿勢が重要です。CI/CDは一度作って終わりではなく、プロダクトとチームの成長に合わせて育てるものだと捉えると、無理のない運用になります。

CI/CDの展望

CI/CDは、クラウドやコンテナ技術の普及に伴って、さらに“当たり前”になりつつあります。ここでは、今後の方向性を整理します。

クラウド、コンテナ、マイクロサービスとの関連性

クラウド環境では、インフラの準備やスケールがソフトウェア的に扱えるため、CI/CDと相性が良くなります。例えば、検証環境の短時間立ち上げ、環境破棄の自動化などが実現しやすくなります。

また、コンテナは、環境差分を小さくし、「ローカルでは動くが本番では動かない」といった問題を減らす助けになります。マイクロサービスはサービス単位での独立リリースが前提になりやすいため、CI/CDがないと運用が回りにくく、結果としてCI/CDの重要性が高まります。

次世代のCI/CDツールと技術

今後は、パイプラインの高速化や可観測性の向上、セキュリティの自動化がより重視される流れが続きます。たとえば、Kubernetesを中心とした運用では、デプロイ戦略(ローリング更新、カナリア、ブルーグリーンなど)とCI/CDが密接に結びつきます。

また、AIを活用したテスト最適化、変更影響の推定、アラートのノイズ低減など、運用負荷を下げる方向での進化も期待されています。ただし、どれだけ自動化が進んでも、最終的には「小さく変更し、早く検証し、戻せる」という基本原則が土台になります。

まとめ

CI/CDは、ソフトウェア開発を速くするための“魔法のボタン”ではなく、変更を小さく保ち、早く検証し、安心してリリースできる状態を作るための仕組みです。CIは統合時点で問題を見つけるための自動チェックを整え、CDは本番に出すまでの手順を標準化し、戻せる運用を支えます。

導入では、最初から完璧を狙わず、回せる範囲から始めて改善していくことが重要です。自分たちのプロダクトの重要度、規制や監査の要件、チームの成熟度に合わせて、デリバリー(承認付き)とデプロイ(自動本番反映)を使い分けながら、無理なく継続できる形に育てていきましょう。

Q.CIとCDは何が違うのですか?

CIは統合のたびにビルド・テストして問題を早期発見する仕組み、CDはリリース準備やデプロイを自動化して届ける仕組みです。

Q.CDの「Delivery」と「Deployment」はどう違いますか?

Deliveryは本番に出せる状態まで自動化し最終反映は承認で行い、Deploymentはテスト通過後に本番反映まで自動で行います。

Q.CI/CDを導入すると、まず何が改善しますか?

ビルドやテスト、デプロイ作業の手間が減り、統合時の不具合を早期に検出できるため、リードタイムと手戻りが減ります。

Q.CI/CDは小規模チームでも必要ですか?

必要です。小規模ほど属人化しやすいため、最低限の自動ビルドとテストを整えるだけでも効果があります。

Q.自動化はどこまでやるべきですか?

まずはビルドと基本テストを自動化し、次に成果物固定・ステージング反映・監視確認など、運用で痛い部分から段階的に広げます。

Q.CIが頻繁に失敗するのですが、どうすればよいですか?

失敗の放置をやめ、フレークなテストを減らし、実行時間を短縮し、赤になったら即直す運用に切り替えるのが効果的です。

Q.本番自動デプロイは必須ですか?

必須ではありません。監査や重要度によっては、承認付きの継続的デリバリーが現実的で安全です。

Q.CI/CDにセキュリティを組み込むには?

依存関係チェック、秘密情報の混入検知、静的セキュリティ検査、イメージ検査などを段階的にパイプラインへ追加します。

Q.ロールバックはどう設計すべきですか?

戻す単位と手順を明確にし、同じ成果物を再デプロイできる状態を作り、監視で異常を検知したら即戻せる運用にします。

Q.CI/CDとコンテナやKubernetesはなぜ相性が良いのですか?

環境差分を減らし再現性が高まり、段階リリースや自動復旧などの運用機能とパイプラインが連携しやすいからです。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム