UnsplashのMarkus Spiskeが撮影した写真
PCの動作が遅くなったり、不具合が頻発したりする場合、「いったんOSを入れ直したい」と考える方は多いでしょう。クリーンインストールは、環境を初期状態に戻す一方で、バックアップや再設定が必要になる作業でもあります。この記事では、クリーンインストールの概要から準備、手順、実施後の設定、つまずきやすいポイントまで、全体の流れが追える形で整理します。
クリーンインストールとは、既存のOSや設定を引き継がず、ストレージ上のOS領域を初期化したうえで、OSを新規にインストールする方法です。いわゆる「上書き更新(アップグレード)」と違い、過去の設定・不要ファイル・不整合を持ち越しません。
このため、原因が追いにくい不調の解消や、環境の立て直しに向いています。一方で、アプリの再インストールや各種ログイン、周辺機器の再設定などが必要になり、作業の手間は増えます。
次のような状況では、クリーンインストールが有力な選択肢になります。
原因の切り分けに時間をかけるよりも、早期に安定した状態へ戻したい場合に、選択肢として検討されやすい手段です。
クリーンインストールの主なメリットは次の通りです。
一方で、デメリット(注意点)もあります。
効果が見込める一方で、作業負荷は小さくないという前提で計画すると、手戻りを減らせます。
どちらが適切か迷う場合は、違いを押さえておくと判断しやすくなります。
| クリーンインストール | アップグレード(上書き更新) | |
|---|---|---|
| データと設定 | 基本的に引き継がない(初期化前提) | 引き継ぐ |
| 所要時間 | 長め(再設定が必要) | 短め |
| 不調の解消 | 根本的な解消につながりやすい | 直らない場合もある |
| 手戻り | バックアップが不十分だと影響が大きい | 比較的少ない |
不調が継続し、原因が深い可能性がある場合はクリーンインストール、時間を優先し設定を維持したい場合はアップグレードが向きます。
作業を始める前に、最低限そろえておきたい準備です。
「データ」「ログイン情報」「復旧キー」の3点を確実に押さえておくと、実施中のリスクが下がります。
バックアップは「何を」「どこへ」「復元できるか」をセットで考えると、作業後の手戻りを減らせます。
可能であれば、重要データは保存先を分けて二重化しておくと安心です。
一般的には、OSの公式ツールや公式手順に従って、USBインストールメディアを作成します。
USBは作成時に初期化されることがあるため、必要なデータが入っていないメディアを使うのが安全です。
実施の流れは次の通りです(OSにより画面文言は多少変わります)。
インストール先の選択は最重要ポイントです。誤って別ドライブを初期化しないよう、対象ディスクと容量を必ず確認してください。
インストール後は、まず基本設定を整えます。
ここで更新を先に済ませておくと、後工程(ドライバ導入やアプリ導入)での不整合が起きにくくなります。
クリーンインストール直後は、OS標準のドライバで動作していることがあります。ネットワークや画面表示などの挙動に違和感がある場合は、次を確認します。
ソフトウェアは、まずセキュリティ、次に業務必須、最後に補助的なもの、という順で入れると、途中で問題が出た際に切り分けしやすくなります。
復元は、焦らず段階的に進めるのが安全です。
アプリのデータ(メールソフトのデータファイル等)は、単純コピーでは戻らないことがあります。アプリごとの手順がある場合は、その手順を優先してください。
最後に、普段の使い方に照らして確認します。
問題があれば、ドライバ・更新・アプリ導入の順番を振り返ると原因を追いやすくなります。
よくあるつまずきは次の通りです。
「USBを作り直す」「別のUSBポートを使う」「別のUSBメモリで作る」といった見直しだけで解決するケースもあります。
クリーンインストール後、特定のアプリや周辺機器が動かない場合は、次を順に確認します。
古い周辺機器や業務アプリは、OS更新を機に非対応になることがあります。事前にサポート状況を確認できると安心です。
復元に関するトラブルは、原因がある程度パターン化します。
「ファイルはあるのに、アプリ側で見えない」場合は、手順の相違が原因になっていることが多いポイントです。
クリーンインストール直後に重いと感じる場合、まずは「更新が裏で進行している」「ドライバが未整備」「常駐を入れすぎている」可能性を確認します。
なお、SSDの場合、従来型のデフラグを前提にする必要はありません。OSの「ドライブの最適化」機能で、必要なメンテナンスが実行できているかを確認する程度で足ります。
クリーンインストールは、OSを初期状態に戻して環境を立て直す方法です。不調の解消につながりやすい反面、バックアップや再設定が必要になります。成功のポイントは、事前準備(データ・ログイン情報・復旧キー)と、作業後の段階的な復元・動作確認です。手順を落ち着いて進めれば、安定したPC環境へ戻しやすくなります。
既存のOSや設定を引き継がず、ストレージ上のOS領域を初期化したうえで、OSを新規にインストールする方法です。
アップグレードはデータや設定を引き継いだまま更新します。クリーンインストールは引き継がず、環境を一度初期状態に戻して入れ直します。
はい。基本的に消える前提です。必要なデータは事前にバックアップし、復元手順まで想定しておくと安全です。
重要データのバックアップ、各種ログイン情報、アプリのライセンス情報、暗号化を使っている場合の復旧キー(BitLockerなど)は、最低限押さえておきたいポイントです。
起動メニューでUSBを選べているか、USBポートを変えたら改善するか、メディアを作り直すと直るかを順に確認します。USB側の不良も原因になり得ます。
無線LANドライバが未導入の可能性があります。PCメーカーのサポートページから機種に合うドライバを入れるか、有線LANで一度ネット接続して更新を進めると復旧しやすくなります。
アプリによって扱いが異なります。再インストールや再サインインで復旧できるものもあれば、再認証が必要なものもあります。事前にライセンス形態を確認しておくと安心です。
アプリデータは単純コピーでは戻らない場合があります。メールソフトや業務アプリなどは、アプリごとの復元手順に従う必要があります。
更新が裏で動いている、ドライバが未整備、常駐アプリが多いなどが原因になりがちです。更新の完了・再起動・ドライバ整備から確認すると改善しやすいです。
OSのインストール自体は比較的短く終わることもありますが、更新・ドライバ・アプリ導入・データ復元まで含めると時間がかかります。作業は時間に余裕があるタイミングで行うのが安全です。