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COBOLとは? 10分でわかりやすく解説

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UnsplashDavid Pupăzăが撮影した写真

COBOLは、金融・公共などの基幹システムを長年支えてきた、歴史あるプログラミング言語です。ところが近年は、技術者の高齢化やシステムの複雑化、周辺基盤の老朽化などが重なり、保守や運用の難しさが目立つようになりました。この記事では、COBOLの基本を押さえつつ、いま現場で何が課題になりやすいのか、そしてSIer視点で「学ぶことにどんな意味があるのか」を整理します。

COBOLとは何か

COBOLの名称と意味

COBOLは Common Business-Oriented Language の略称で、直訳すると「共通の業務向け言語」という意味合いになります。帳票出力、集計、請求、入出金、在庫など、業務処理で必要となる要素を扱いやすいように設計されました。

COBOLが生まれた背景

COBOLは1950年代末、業務アプリケーションの開発をより効率化し、異なる機種でも同じ考え方で開発できるようにする目的で策定が進みました。当時は機械語やアセンブリ言語による開発が中心で、読み書きの難しさが大きな壁でした。そこで、英語に近い記述で処理の意図を表現できるようにし、保守・引き継ぎをしやすくする思想が取り込まれたのがCOBOLの大きな特徴です。

COBOLの基本的な特徴

  1. 英語に近い記述で、処理の意図を追いやすい
  2. 業務データの桁・形式を明示でき、帳票や集計に強い
  3. 大量データを安定して処理するバッチ処理と相性がよい
  4. 長期運用を前提にした保守性の考え方が根付いている

こうした特性から、COBOLは「止められない業務」を支える基幹領域で採用され続けてきました。

COBOLが主に使われてきた分野

分野具体例
金融勘定系、決済、保険契約管理、請求・入金処理
公共住民情報、税・年金関連、各種申請・照会
流通販売管理、在庫管理、出荷、請求・入金
製造生産管理、原価計算、調達、実績集計

これらの領域では、日次・月次の締め処理や大量データの集計など、バッチ処理の比重が高いことも多く、COBOLの強みが活きやすい傾向があります。

COBOLプログラムの構造

4つの区分で整理される全体像

COBOLプログラムは、役割が明確な区分で構成されます。代表的には次の4つです。

  1. IDENTIFICATION DIVISION(プログラムの識別情報)
  2. ENVIRONMENT DIVISION(入出力や実行環境の定義)
  3. DATA DIVISION(扱うデータ構造の定義)
  4. PROCEDURE DIVISION(処理手順の記述)

この構造により、どこに何が書かれているかが比較的見通しやすく、長期保守の場面でも解析の起点を作りやすいのが特徴です。

業務データを厳密に定義する文化

COBOLでは、処理を書く前に「どんなデータを、どの桁で、どう表現するか」を明確に定義します。業務データの形式をコードに落とし込みやすい反面、データ仕様の変更が波及しやすいという側面もあります。現場では、データ定義が業務仕様の写しになっているケースが多く、改修時はデータ定義から読み解くのが近道になることがあります。

制御構造を読みやすく保つコツ

IFやPERFORM、CALLなどで処理を組み立てますが、改修が積み重なると分岐が増え、読みづらくなりがちです。COBOLに限りませんが、段階的に構造化し、処理単位を小さく保つことが、保守性の差につながります。

COBOLの現状と課題

新規開発が減っても重要度が下がらない理由

COBOLは新規開発で採用される機会が減っています。一方で、稼働中の基幹システムにはCOBOL資産が大量に残っており、業務継続の観点から安定運用が最優先になります。つまり、言語の流行とは別に、既存資産を理解できること自体が価値になりやすい状況です。

保守と運用で起きやすい課題

  1. 人材の偏り:特定の担当者に知識が集中し、引き継ぎが難しくなる
  2. 仕様がコードに埋まる:業務ルールがプログラム内に散在し、設計資料と乖離する
  3. 周辺基盤の制約:古いOSやミドルウェア、運用手順に縛られ、変更が難しくなる
  4. 影響範囲の見積もり難:小さな改修でも想定外の波及が起こり、テスト工数が膨らむ

結果として、改修のたびにコストが上がり、対応スピードも落ちやすくなります。

移行とモダナイゼーションの現実

COBOLからモダン言語へ置き換える動きはありますが、全面刷新は難易度が高いのが実情です。成功の鍵は「一気に置き換えるかどうか」よりも、業務を止めずに段階的に切り分けられるかにあります。典型的には、次のような選択肢が検討されます。

  • 周辺機能から段階的に再構築し、コアは当面維持する
  • 外部I/Fを整備して、COBOL資産をサービス化・部品化する
  • データ基盤やバッチ運用を整理し、移行の前提条件を整える

どの方式でも、「何が業務の本体なのか」「どこに暗黙知があるのか」を把握できないと、移行後に業務事故が起きやすくなります。

COBOLを学ぶメリットと学び方

COBOLスキルの需要と市場価値

COBOLは“新規で書く”よりも、“既存を読める”ことが価値になりやすい言語です。SIerの現場では、COBOL資産を理解しながら、業務継続と改善を両立させる人材が求められます。COBOLの読み解きができると、保守だけでなく、モダナイゼーションや統合案件でも橋渡し役になれます。

学習リソースの選び方

  • 入門書は、文法だけでなく「データ定義」「ファイル処理」「バッチ処理の考え方」まで触れるものが向いています
  • 可能なら、実際の業務コードに近いサンプルで読む練習を積むと理解が早くなります
  • 環境が用意できるなら、コンパイルから実行までを一度通して経験すると、運用の勘所がつかめます

実務で役立つ学び方

  1. まずはDATA DIVISIONを読んで、業務データの構造を把握する
  2. 入出力の流れを追い、どのファイルやテーブルが更新されるかを整理する
  3. PROCEDURE DIVISIONは「処理単位」に区切って理解する
  4. 改修が多い箇所は、分岐条件と例外処理を重点的に確認する

COBOLは“書く練習”も大切ですが、現場では“読めること”が価値に直結しやすい点が重要です。

COBOLを活かしたキャリアの広がり

  • レガシー保守・運用の中核メンバーとして安定稼働を支える
  • 基幹刷新や段階移行の計画立案で、業務要件を翻訳する
  • テスト設計や影響分析で、品質確保の要として動く
  • 既存資産の棚卸し・標準化で、属人化の解消を進める

COBOLに触れた経験は、単なる言語スキルというより、基幹業務の仕組みを理解する力として評価されることがあります。

まとめ

COBOLは、長年にわたり社会や企業の中枢を支えてきた実績ある言語です。近年は人材不足やシステム複雑化により保守・運用の難易度が上がっていますが、だからこそ「読める」「整理できる」人材の価値は下がりません。SIer視点では、COBOLを学ぶことは保守要員になるだけでなく、基幹刷新や統合の場面で業務とITをつなぐ力を身につけることにもつながります。


Q. COBOLはなぜ今でも現場で使われているのですか?

止められない基幹業務を支えるシステムに大量の資産が残っており、安定運用が最優先されるためです。

Q. COBOLは新規開発で使うべき言語ですか?

一般には新規採用は減っていますが、要件や運用条件によっては選択肢になり得ます。

Q. COBOL保守が難しくなる一番の理由は何ですか?

人材の偏りと、業務仕様がコードに埋まって属人化しやすい点が大きな要因です。

Q. COBOLからの移行は全面刷新が基本ですか?

全面刷新は難易度が高く、周辺から段階的に切り分ける方式が現実的なことが多いです。

Q. 移行プロジェクトで失敗が起きやすいポイントは?

業務ルールの暗黙知を見落とし、移行後の処理差分が業務事故につながることです。

Q. COBOLを学ぶなら最初に何を押さえるべきですか?

DATA DIVISIONの読み方と、入出力の流れを追う方法を先に身につけるのが近道です。

Q. COBOLが「大量データ処理に強い」と言われるのはなぜですか?

連続したデータを順に処理する設計と相性がよく、バッチ処理で安定した実績があるためです。

Q. SIerにとってCOBOL経験の価値はどこにありますか?

既存資産を読み解き、業務要件とITの橋渡しができることが価値になります。

Q. COBOLシステムの改修でテスト工数が膨らみやすいのはなぜですか?

影響範囲が見えにくく、関連処理の波及を考慮した回帰テストが必要になりやすいためです。

Q. COBOLの将来性はどう考えるべきですか?

新規採用は限定的でも、既存資産の運用と段階移行が続く限り、理解できる人材は当面必要です。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム