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データセンターとは? わかりやすく10分で解説

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目次

はじめに

データセンターとは?

データセンターは、ITインフラストラクチャの中心とも言える施設で、サーバーやネットワーク機器を設置・運用するための特殊な建物です。 高度にセキュリティ対策が施された環境の中、データの管理、保存、通信などを一手に行います。

データセンターには、専用のネットワーク機器やサーバーが常設され、ハードウェアの設置からデータ通信、保守・管理を含む一連の業務を支援します。データセンターの特徴としては、 信頼性の高さ 安全性が挙げられます。

データセンターは、企業の現場から離れた場所で運用され、そのロケーションは多様です。ただし、地震や台風など自然災害の少ない場所、またはインフラが整っていてアクセスしやすい場所が選ばれることが一般的です。

データセンターの設備

データセンターには、重要なデータを安全かつ確実に扱うための高度な設備と施設が整備されています。その中心となるのが、サーバーラックネットワーク機器、そしてそれらを安定して稼働させるための電源設備冷却装置です。

サーバーラックやネットワーク機器は、業務データの収集・保存・分析に必要不可欠なもので、その動作を止めてしまうと企業活動に深刻な影響を及ぼします。そのため、停電対策として非常用電源や電源の冗長化、さらには冷却装置で熱を逃がすことで機器の高温化を防ぎます。

また、セキュリティ対策として、建物の出入り口にはIDカードや生体認証システムが導入され、不正アクセスや物理的な侵入を防ぎます。さらに、火災対策として特殊な消火システムを備え、物理的な破壊からデータを守る重要な役割を果たします。

データセンターの種類

データセンターには主に二つの形態があります。それがハウジングホスティングです。ハウジングは、自身のサーバーやネットワーク機器をデータセンターに設置・運用する形態を示します。自由度が高いのが特徴で、自分で機器を選定し、設定や運用を自由に決めることができます。

一方のホスティングは、データセンターが保有する機器を利用する形態です。手間やコストを減らせるというメリットがあり、主に中小企業や個人の利用者にとってより適した形態となっています。

それぞれの形態はユーザーのニーズやリソースによって選ばれ、いずれもデータの安全性や運用の効率化を追求しています。

データセンターの運用

データセンターの運用と管理はその品質や信頼性を左右する重要な要素です。特に安全性信頼性が求められますが、それらを支えるのが適切な運用と管理の取り組みです。

24時間365日の監視体制、不具合が発生した際の迅速な対応、定期的な保守・点検、システムの最新化やセキュリティ対策の強化など、運用と管理には様々な要素が関わっています。

また、災害時の対策も非常に重要で、地震や火災、洪水などからデータを守るための施設が求められます。これらの適切な運用と管理によって、データセンターは信頼性を獲得し、企業のITインフラストラクチャを支え続けます。

データセンターとクラウドの違い

クラウドとデータセンター。どちらも一見似たような機能を持つものの、幾つかの違いが見受けられます。それぞれの特性に基づいて最適な選択をすることが重要です。

クラウドとは?

クラウドは、インターネットを通じてデータストレージやソフトウェア、サーバー、ネットワークなどのITリソースを提供するテクノロジーの一種です。物理的な場所や具体的なハードウェアに拘らず、必要なリソースをオンデマンド、すなわち必要に応じて利用することが可能です。

クラウドは大きく分けて3つのモデルがあります。パブリッククラウド、プライベートクラウド、ハイブリッドクラウドといった形態があり、それぞれがさまざまなニーズに対応できるように設計されています。

パブリッククラウドは、一般にオープンな形で提供され、クラウドサービスプロバイダーの所有と管理下にあります。プライベートクラウドは、特定の組織のために専用に構築されたクラウド環境で、専用のネットワークリソースを使用します。ハイブリッドクラウドは、パブリックとプライベートの両方のクラウドを組み合わせ、それぞれの利点を活かした形態を意味します。

データセンターとクラウドの基本的な違い

データセンターは物理的な「場所」を提供し、クラウドは「仮想的な環境」を提供するという基本的な違いがあります。データセンターは一定の場所に設置されたサーバーやネットワーク機器で構成され、その場所でデータのストレージと処理を行います。

一方、クラウドはインターネットを通じて仮想的なリソースを提供するため、物理的な場所やハードウェアの制約から解放されます。これにより、クラウドは自由なスケーリングや迅速なデプロイ、柔軟なリソース管理などを可能にします。

この違いは、独自のITインフラの設定と管理に対する組織のニーズや戦略によって、データセンターかクラウドかを選ぶ決定要因となります。

データセンターとクラウドの利用形態の違い

データセンターではユーザーが物理的なハードウェアを所有、運用するのに対して、クラウドではユーザーが仮想的なリソースをレンタルする形で利用します。

データセンターの利用では、サーバーやネットワークの選定、構築、運用を自由に制御できる一方で、それらの設備や保守に必要なコストがかかります。クラウドの利用では、必要なリソースを必要な時だけ利用し、使用した分だけを支払うことが可能で、初期投資を抑えることができます。

この違いは、組織のITリソースの管理や予算割り振りに直結し、どちらを選ぶかに大きな影響を与えます。

データセンターとクラウドの運用・管理の違い

データセンターでは、設備の選定から帯域の管理、セキュリティ対策までユーザーが全てを管理します。これにより高度なカスタマイズが可能で、自社のビジネスニーズに完全に対応した環境を構築できます。

しかし、そうした自由度と引き換えに、データセンターを運用・管理するためのスキルや人的リソースが必要となります。これに対してクラウドはその多くの運用面をクラウドサービスプロバイダーが担当します。

これによりユーザーは、ITインフラのメンテナンスやトラブルシューティングなどから解放され、ビジネスや開発に専念することができます。しかし、一方でクラウドは提供者が決めた範囲内での利用となり、特定の要素をカスタマイズすることは限定的かつ制約が強まることを理解しておくべきです。

データセンターを利用するメリット

データセンターの利用には多くのメリットが存在します。その中でも特に重要な強みは、セキュリティ対策の強化サーバー環境の信頼性と安定性リソースの効率的な管理、そしてコスト削減とオペレーションの効率化といったポイントに集約されます。

セキュリティ対策の強化

データセンターを使用することで、高度なセキュリティ対策を強化することが可能となります。これは、物理的なビルセキュリティ対策サイバー攻撃からのセキュリティ対策の両方を指します。例えば、災害への対策や故障対応、24時間365日の監視などが行われ、データの安全性を高めます。 また、一部のデータセンターでは、暗号化技術を用いたデータ保護や、ファイアウォールの設定、侵入検知システム(IDS)などエンドツーエンドのセキュリティーサービスが提供されています。これらにより、通信網を通じた情報の漏洩リスクから企業を守ります。

サーバー環境の信頼性と安定性

データセンターは、通信環境の安定性と共に、電力供給や冷暖房、防災など、サーバーの運用に必要な要素すべてについて安定性と信頼性を確保しています。データセンターは大容量電源を確保し、冗長性まで持たせることで、停電等の際でもシステムは持続します。また、冷却装置はサーバーの性能を最大限に引き出し、長時間の稼動を可能にします。 同様に、防火対策として特殊な設備が整っており、火災が発生してもデータの損失を防ぎます。これらにより、企業はサーバー環境の稼働率を最大化でき、ビジネスへの影響を最小限にすることができます。

リソースの効率的な管理

データセンターを利用することで、企業はITリソースの管理を効率化できます。自社でサーバールームを持つ場合、スペースや電力・冷暖房等のリソースを常時確保しなければならず、それらはビジネスに直結するコストとなります。 一方、データセンターでは、専門的な設備やスタッフが運用・管理を行い、そのコストを分散することが可能です。また、必要に応じて利用規模を拡大することができるため、無駄なリソースを抑えることが可能です。

コスト削減とオペレーションの効率化

データセンターの利用は、企業に大きなコスト削減とオペレーションの効率化をもたらします。自社で全てのITインフラを管理することは、人的リソースや費用を大きく捻出しなければなりません。 しかし、データセンターの利用により、企業は自社のコアビジネスに集中することが可能となるだけでなく、ITリソースの適正な配分により、オペレーションの効率化を図ることもできます。このように、データセンターは企業が成長し、ビジネスを拡大する手段と言えるでしょう。

データセンターの料金体系

データセンターは、ビジネスのITインフラを安全かつ効率的に運用するための重要な要素であり、その利用には様々な費用が発生します。マネージメント、セキュリティ、ハードウェアの維持や更新等、料金体系は多岐にわたるため、自社のビジネスニーズに合わせて適切なプランを選ぶことが重要です。ここでは、データセンターの料金体系の主要な要素である初期料金、使用料金、電力料金、ネットワーク使用料金について詳しく説明します。

初期料金

初期料金は一遍的な料金で、データセンターへの設置やセットアップ費用をカバーします。サーバーやネットワーク機器の設定、電源やケーブルの接続などの基本的な作業が含まれ、初期費用の一部を形成します。この料金はプロバイダーにより異なり、契約内容や必要な作業量によって変動します。

なお、高度なカスタマイズや特殊な設定が必要な場合は、初期料金が増大する可能性があります。事前にプロバイダーによく確認し、コストが予算を超過しないようにすることが望ましいです。

使用料金

使用料金は、データセンター内の設備(ラック空間等)の使用に対する料金です。これは、通常、月額や年額で計算され、使用したスペースの大きさによって変動します。

業界標準ラックを使用した場合や独自のスペースが必要な場合など、具体的なコストはプロバイダーとの契約内容によります。また、増設や移転などの変更が発生した場合は、その都度、利用料金が変わることも考えられます。

電力料金

電力料金は、データセンターでのサーバーの運用に必要な電力をカバーするための料金です。これは通常、使用した電力量(kW)に基づき、計算されます。データセンターの運用には大量の電力が必要となりますが、これは冷却システムや冗長化システム等、運用の安全性に直結する重要なポイントです。

サーバーの消費電力や冗長化の水準を適切に管理し、電力利用の最適化を計ることで、運用コストを抑制することが可能となります。

ネットワーク使用料金

ネットワーク使用料金は、データセンターのネットワークリソースを使用するための料金です。1Gbps、10Gbpsなど、希望する回線スピードや帯域により、料金は異なります。

ネットワーク使用料金は、ビジネスのニーズにより大きく変動します。必要十分なネットワーク性能を得るためには、ビジネスの利用状況に合わせて最適なプランを選択することが重要です。

データセンターを選ぶ時のポイント

データセンターの選択は、適切なパートナーを見つけることが成功の鍵となります。それぞれのデータセンターには自身の特徴と利点があるため、自社のビジネス要件と一致するものを見つけることが重要です。以下にデータセンターを選ぶ際に注目すべきポイントを詳しく解説します。

立地条件と交通の便

データセンターの立地条件は非常に重要です。自然災害や都市部の大規模停電のリスクを軽減するため、安全性が確保された地域にあることが望ましいです。また、企業の主要な業務地域から近接していることも有利です。

さらに、スタッフが必要な際に容易にデータセンターにアクセスできるかも重要な要因です。交通の便を確認し、簡単に訪れることができる場所を選びましょう。

高電力に対応したラックの提供

データセンターで選ぶべき次の要素は、高電力に対応したラックの提供です。現代のIT機器は高齢化に伴い、電力要件が増加しています。そのため、高電力を供給できるラックがデータセンターに備わっているか確認が必要です。

また、今後の電力使用量の増加を見越して余裕を持った電力設備を選ぶのも賢明です。これにより、急な需要の増加や技術の進化に対応することが可能となります。

高速・低遅延なネットワークの提供

業務における効率とパフォーマンスを確保するために、データセンターは高速で低遅延なネットワークを提供する必要があります。特にクラウドサービスやビックデータの解析など、大量のデータを処理する必要がある場合には、ネットワークの速度と信頼性は極めて重要です。

データセンターのネットワーク設備を評価するうえで、ISPとの接続性、帯域幅、冗長性などをチェックすることをおすすめします。

キッティングルームや事務室スペースの有無

最後に、データセンターにはキッティングルームや事務室スペースが必要かもしれません。これらの設備があると、現場作業の効率が大幅に向上します。

キッティングルームは、機器の組み立てや設定、テスト作業を行うスペースです。事務室スペースは、必要な文書作業や会議を行う場所となります。これらのスペースがあるかどうかを事前に確認しておきましょう。

データセンターの今後

今後、データセンターはさらなる発展と進化を遂げることでしょう。新たな技術の導入や環境に優しい運用など、その可能性は無限です。

ここでは、その中でも特筆すべき4つのトピックスを取り上げます。

それぞれのトピックスを深堀りすることで、データセンターの未来と可能性を探りましょう。

エコデータセンターの普及

データセンターは大量の電力を必要とするため、環境負荷を押さえることが求められます。エコデータセンターはその答えで、エネルギー効率の良い設計や再生可能エネルギーの活用で環境負荷を軽減します。

さらに、データセンターの熱を活用して周辺の施設を暖房するなど、エネルギーの循環利用も注目されています。

このような取り組みにより、データセンターは社会との共存を図りながら、持続可能で環境に優しい存在に変わっていきます。

データセンターと5G時代

5G時代の到来は、データセンターにも大きな影響を与えます。5Gは超高速・大容量・低遅延の通信を実現することで、データセンターはより高度な処理能力を求められます。

また、5Gの普及により、IoTデバイスの数は飛躍的に増えるでしょう。それに伴い、データセンターが扱うデータ量も増加し、更なるスケールアップが求められます。

このような変化に対応すべく、データセンターは拡張性と柔軟性を備えた設計が求められます。

データセンターとクラウドの統合

データセンターとクラウドが一体となる未来も視野に入っています。物理的な場所を提供するデータセンターと、仮想的な利用環境を提供するクラウドが一つになることで、最適化されたITインフラの実現が期待できます。

ユーザーは、自社のニーズにより適した形でサーバーやストレージを使用できるようになるでしょう。

この統合は、クラウドの利便性とデータセンターの安全性を両立するための重要なステップと言えます。

データセンターと人工知能(AI)

人工知能(AI)の進化もデータセンターの運用に革命をもたらすでしょう。AIはデータセンターの運用を自動化し、最適化する役割を果たします。

具体的には、エネルギー消費の最適化、故障予測と対策、セキュリティの強化など、AIの活用領域は広いです。

データセンターとAIが協働する未来は、ITインフラの新たな可能性を切り開くことになるでしょう。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム