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ECとは? わかりやすく10分で解説

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目次

はじめに

ECとは?

EC(Electronic Commerce)、いわゆるネット販売は、インターネット上で行われる商品やサービスの売買を指します。 物理的な店舗に依存せず販売できるため、商圏を広げやすく、運用の自動化もしやすい一方で、システム運用やセキュリティ、配送品質など「オンラインならではの課題」も伴います。

ECは、自社サイト(自社EC)、モール型EC、ソーシャルメディア、モバイルアプリなど、さまざまなチャネルで展開されます。これらは単に商品を掲載して売るだけでなく、レビュー、問い合わせ、配送通知、購入後フォローといった接点を通じて、顧客体験の質を高め、継続購入につなげる役割も担います。

一方で、ECは乗り越えるべき課題も抱えています。たとえば、決済や在庫・配送の連携などの技術課題、個人情報・決済情報の保護、画面越しの説明だけで納得してもらうための情報設計(写真、サイズ感、比較、FAQ)などです。ECの強みを活かすには、販売の仕組みだけでなく、運用と改善の仕組みまで含めて設計することが重要になります。

ECの歴史

ECは、1990年代にインターネットの普及とともに商用利用が広がり、個人や企業がオンラインで商品やサービスを購入できる仕組みとして発展してきました。 初期は情報提供の色合いが強かったものの、決済・物流の整備、セキュアな通信(暗号化)の普及、カート機能や会員機能の一般化によって、現在のような「誰でも日常的に使う購買手段」へと成長しました。

その後、ビジネスモデルは多様化し、モール型EC、サブスクリプション、デジタルコンテンツ販売、マーケットプレイスなどが広がりました。現在では衣料品から食品、家具、家電、法人向けの消耗品まで、幅広い商取引がオンラインで行われています。

近年はスマートフォンの普及によってモバイルECが主流となり、加えてレコメンド、需要予測、不正検知などでデータ活用やAIの導入が進んでいます。ECの競争軸は「商品を置く」から「体験を磨く」へと移りつつあり、サイト速度、分かりやすい説明、問い合わせ対応、配送品質などが評価に直結しやすくなっています。

ネット販売の特性

ネット販売は、24時間365日、地理的な制約や時間制約を超えて商品やサービスを販売できます。 消費者はいつでも比較検討でき、購入も自分の都合で完結できます。

また、実店舗では伝えきれない情報(素材、寸法、使い方、注意点、レビュー、比較表、在庫状況、配送目安など)を多層的に提示できます。情報が不足すると購入をためらう原因になるため、商品ページの情報設計はネット販売の成否を大きく左右します。

さらに、閲覧履歴や購入履歴などのデータをもとに、関連商品の提案や購入後フォローなど、パーソナライズされたコミュニケーションが可能です。ただし、やり過ぎると押し付けに見える場合もあるため、頻度や内容、配信同意の扱いを含め、丁寧な設計が求められます。

ECの主な形態

ECは、取引の主体によりいくつかの形態に分けられます。

B2Cは、企業が消費者に商品やサービスを販売する形態です。一般的なオンラインストアがこれにあたります。

B2Bは、企業間での商品やサービスの取引です。部品・原材料の調達、法人向け通販、業務用サービスのオンライン契約などが含まれます。

C2Cは、個人同士の売買です。フリマアプリやオークションなどが代表例で、プラットフォームが取引の場や決済・補償などを提供するケースもあります。

このほか、D2C(メーカーが自社で直販し顧客体験を設計する)、越境EC(国境を越えて販売する)など、販売チャネルや顧客接点の設計思想で分類される場合もあります。

ECのメリットとデメリット

ECは現代のビジネスでは標準的な選択肢になりつつあり、多くの企業がオンライン戦略を開始または強化しています。一方で、成果につなげるには、メリットだけでなくデメリットも理解し、運用で吸収する必要があります。

ECのメリット

ECの代表的なメリットは、商圏の拡大です。地理的な制約に縛られず、遠方の顧客にも商品やサービスを届けられます。越境ECを視野に入れると、国内だけでは届かなかった需要にアクセスできる可能性もあります。

次に、購入のしやすさが挙げられます。顧客は好きな時間に好きな場所から購入でき、比較検討もしやすいため、利便性が高まります。カゴ落ち対策や再入荷通知、配送目安の表示など、購入の不安を減らす工夫が効果を発揮しやすいのもECの特徴です。

さらに、運用の効率化も重要です。受注から出荷指示、在庫連携、メール通知などを仕組み化できれば、人的コストを抑えながら継続運用しやすくなります。ただし「自動化できるところ」と「人が担うべきところ(問い合わせ、例外対応)」を分けて設計することが前提になります。

ECのデメリット

ECのデメリットとしてまず挙がるのが、対面での体験が得られにくい点です。サイズ感や質感、使い心地などは画面だけでは伝わりにくく、購入のハードルになる場合があります。写真・動画・比較表・レビュー・返品条件の明確化などで不安を減らす工夫が必要です。

次に、技術的な課題があります。サイトの安定稼働、決済の確実性、注文処理の整合性、ピーク時の負荷対策など、運用の品質が売上と信用に直結します。障害発生時の連絡手段、復旧手順、二次被害(誤受注・二重請求)を防ぐ手当ても欠かせません。

さらに、データセキュリティと不正対策の負担もあります。顧客情報や決済に関わる情報を扱う以上、漏えい対策はもちろん、不正ログイン、アカウント乗っ取り、カード不正利用、なりすましなどへの備えが必要です。単に「強いパスワードを推奨する」だけでなく、多要素認証やアクセス制御、監視、運用ルールまで含めて考えることが重要です。

デジタル化

ECはデジタル化の一部であり、技術の進化への適応が求められます。たとえば、決済手段の多様化、購買データの分析、レコメンドの最適化、カスタマーサポートの効率化などです。ただし、新技術の導入は「導入すること」自体が目的になりがちです。顧客の不安を減らすのか、購入を後押しするのか、運用負荷を下げるのかといった目的に沿って選定するのが現実的です。

また、ユーザー体験の向上はECの継続成長に直結します。読み込み速度、導線の分かりやすさ、スマホ最適化、検索性、比較しやすさ、配送目安の明確さなど、細部の積み上げが成果に現れます。

カスタマーサービス

ECにおけるカスタマーサービスは、商品そのものと同じくらい重要になり得ます。問い合わせへの応答速度、説明の丁寧さ、トラブル時の誠実な対応は、レビューや再購入に直結します。

具体的には、返品・交換ルールの分かりやすい提示、配送状況の通知、よくある質問(FAQ)の整備、問い合わせ窓口の案内(営業時間・対応範囲)、不良品対応の基準などが挙げられます。対応品質を一定に保つために、テンプレートだけでなく判断基準(どこまで対応するか)を明文化しておくことも効果的です。

ECと法規制

ECの拡大に伴い、関連する法規制やガイドラインの重要性も増しています。消費者保護、表示・広告、データ保護、契約、知的財産、税務など、複数の観点で確認が必要になります。ここでは、一般的に押さえやすい論点を整理します。

ECを取り巻く法規制

ECに関連する法規制は広範で、事業形態や取扱商材によって重要度が変わります。たとえば、消費者向けの販売では、取引条件の表示や返品条件の明確化などが強く求められる場合があります。広告表示についても、誇張表現や誤認を招く表示が問題になりやすく、価格や性能、効果などは根拠を踏まえて表現する必要があります。

また、商品説明・画像・文章などのコンテンツには著作権が関係します。第三者の素材を利用する場合は、利用許諾やライセンス条件の確認が欠かせません。

データセキュリティとプライバシー保護

ECで最も重要な論点の一つが、個人情報などの取り扱いです。顧客の個人情報を不正アクセスや漏えいから守ることは、ECの信頼性を左右します。個人情報保護に関する法令や、海外向け取引では地域の規制(例:EU向けならGDPRの論点が出る可能性)も意識する必要があります。

実務では、プライバシーポリシーの整備だけでなく、アクセス制御、ログ管理、権限管理、委託先管理、従業員教育、インシデント対応手順など「運用で守る仕組み」が重要になります。

電子署名・電子契約

ECでは、申し込みや同意、利用規約への同意など、オンライン上で契約関係が成立する場面が多くあります。そのため、契約の成立要件(同意の取り方、確認画面、通知の方法など)を整理し、トラブルになりにくい導線を作ることが重要です。

また、商材によってはクーリングオフや解約条件などの説明が求められる場合があります。購入・契約の前に、消費者が条件を理解できる形で情報を提示することが、コンプライアンスだけでなくクレーム抑止にもつながります。

コンプライアンス

コンプライアンスは、適用される法規制や社内ルールを遵守し、適切に事業運営することを意味します。ECでは「表示」「データ保護」「不正対策」「委託先管理」など、やるべきことが分散しやすいため、担当部門の切り分けとチェック体制が重要になります。

コンプライアンスを怠ると、法的ペナルティに加え、信用失墜やブランド毀損につながりかねません。必要に応じて法務・専門家と連携し、社内の運用として継続的に点検できる形を作ることが現実的です。

ECとマーケティング

ECでは、商品やサービスを「見つけてもらう」「比較してもらう」「納得して買ってもらう」「次も選んでもらう」までが一連の流れになります。そのため、集客だけでなく、購入導線や購入後コミュニケーションも含めてマーケティングと捉えるほうが成果につながりやすくなります。

デジタルマーケティング

デジタルマーケティングは、インターネット、モバイル、ソーシャルメディア、検索エンジンなどを通じて、顧客接点を作り、購入や会員登録などの行動につなげる取り組みです。広告だけでなく、コンテンツ(記事、動画、比較ページ)、口コミ、レビュー施策なども含まれます。

目的は「露出を増やす」ことに限りません。商品理解を深める情報を提供し、購買不安を減らし、購入後の満足度を高めることまで含めて設計すると、結果的にLTV(継続購入・紹介)にも効いてきます。

プロモーション戦略

SNSやウェブサイトを用いたプロモーションは、ECにおいて重要な入口になります。SNSは拡散性とコミュニケーション性が高く、ウェブサイトは正式情報と購入導線の中心です。

SNSでは、商品情報の発信だけでなく、使い方の提案、FAQの先回り、ユーザーの投稿の紹介などを通じて信頼を積み上げられます。一方ウェブサイト側では、商品ページの情報密度、比較のしやすさ、配送・返品条件の明確さなどがCVR(購入率)に直結します。プロモーションは「集客」と「受け皿」の両方が揃って初めて成果になりやすい点を押さえましょう。

SEO対策とアクセス解析

SEOは、検索エンジンからの流入を増やすための取り組みです。ECでは「商品名」だけでなく、「用途」「悩み」「比較」「選び方」「トラブル対処」などの検索意図に合わせたページ設計が重要になります。

また、アクセス解析ツールを活用すると、どのページが入口になり、どこで離脱し、何が購入の後押しになっているかを把握できます。数字を見て改善し、再び検証するサイクルを回すことで、広告費だけに頼らない安定運用につながります。

メールマーケティング

メールマーケティングは、購入者・会員と継続的に接点を持つ手段です。ニュースレター、再入荷通知、使い方フォロー、関連商品の提案など、目的に応じて内容を分けることで押し付け感を減らせます。

重要なのは、配信頻度と内容のバランスです。購買や閲覧行動に合わせた情報提供ができると、顧客の負担を増やさずに価値を届けやすくなります。

ECとサプライチェーン管理

ECでは、注文受付から梱包・出荷、配送、場合によっては返品まで、購入体験の多くが「物流と運用」によって決まります。サイトがどれだけ良くても、欠品や遅延、誤配送が続くと評価は落ちやすくなります。ECの成果を安定させるには、サプライチェーン管理が不可欠です。

サプライチェーン管理とは?

サプライチェーン管理は、製品またはサービスが生産され、最終的に顧客に届けられるまでの全過程を計画・制御・実行する考え方です。物流や在庫管理、生産計画、需要予測、顧客サービスまで含むため、EC運用では「どこで詰まりやすいか」を可視化しやすい形に整えることが重要になります。

ECにおいては、在庫の正確性、出荷のスピード、配送品質、返品の処理スピードが、顧客満足度に直結します。言い換えると、サプライチェーン管理は「裏側の業務」ではなく「体験の一部」です。

送料戦略と在庫管理

送料は、購入の意思決定に影響しやすい要素です。送料無料の条件、地域差、配送手段、最短配送など、顧客にとっての分かりやすさと、事業者にとっての採算のバランスが求められます。高すぎれば離脱につながり、安すぎれば利益を圧迫します。

在庫管理は、機会損失(売り切れ)と過剰在庫(保管コスト・劣化・値引き)を同時に扱う難しい領域です。ECでは在庫の更新遅れがトラブルになりやすいため、在庫の反映タイミングや欠品時の表示、入荷見込みの出し方なども含めて設計する必要があります。

フルフィルメントとは?

フルフィルメントは、注文受付から出荷、配送、場合によっては返品対応までを含む一連の業務です。自社で行う場合は品質をコントロールしやすい一方、業務が増えるほど運用負荷も高まります。外部委託(フルフィルメントサービス)を利用する場合は、費用だけでなく、出荷スピード、誤出荷率、返品処理、問い合わせ連携など、品質指標の取り決めが重要になります。

結局のところ、フルフィルメントは「物流の効率化」だけでなく、「顧客体験の安定化」のための仕組みです。

インベントリーコントロール

在庫最適化のためには、需要予測の精度向上が重要です。季節性、販促の影響、チャネル別の売れ方などを踏まえ、欠品と過剰在庫のどちらを優先して避けるか(方針)も含めて調整します。

また、リアルタイムに近い在庫情報の共有は、受注と在庫の矛盾(売れるはずのない在庫が売れてしまうなど)を減らすうえで効果的です。さらに、リードタイム(調達・製造・入荷までの時間)を短縮できれば、在庫を最小限に抑えつつ欠品リスクを下げやすくなります。

ECの今後

ECの未来は、技術の進歩と顧客行動の変化に大きく影響されます。AIの活用、モバイル決済、グローバル化は重要な要素ですが、同時に「信頼」「体験」「運用の安定」がより厳しく見られるようにもなっています。

AIとECの組合せ

AIの進歩はECにさまざまな変化をもたらしています。 商品推薦、検索結果の最適化、不正検知、問い合わせ対応の補助など、すでに活用領域は広がっています。

ただし、AIの導入で成果を出すには、データの品質(商品データの整備、欠損の少なさ、タグ付け)、運用の設計(誰が改善し続けるか)、顧客への説明可能性(なぜその提案が出たのか)などが重要になります。AIは魔法ではなく、運用の延長線上で効果を発揮するものとして捉えるほうが安全です。

モバイル決済

モバイル決済の普及により、ECの取引はより手軽になりました。購入者にとっては入力の手間が減り、売り手にとっては購入完了率の改善が期待できます。

一方で、決済手段が増えるほど、返金処理、チャージバック、本人確認、不正対策などの運用も複雑になります。導入時は「増やせば売れる」と決め打ちせず、顧客層と購買単価、問い合わせ負荷などを踏まえて段階的に最適化するのが現実的です。

グローバル化

ECのグローバル化は、市場拡大の可能性を高めます。 インターネットを通じて海外の顧客にも販売できる一方で、言語対応、通貨・決済、配送、返品、関税、各国の法規制など、考慮点も増えます。

また、地域や文化によって「信頼のつくり方」が異なる場合もあります。たとえば、レビューの扱い、配送目安の示し方、サポート窓口の提示など、購入前の不安をどう減らすかは国や地域によって最適解が変わり得ます。越境ECでは、販促より先に「運用で破綻しない設計」を固めることが成果につながりやすいでしょう。

Q.ECとは何ですか?

EC(Electronic Commerce)は、インターネット上で商品やサービスを売買する仕組み全般を指します。自社EC、モール型EC、アプリ、SNS経由の購入なども含まれます。

Q.ネット販売とECは同じ意味ですか?

一般的には近い意味で使われますが、ECは売買そのもの(電子商取引)を指し、ネット販売は販売活動の側面を強調する言い方として使われることがあります。

Q.ECの形態には何がありますか?

代表的な形態はB2C(企業→消費者)、B2B(企業→企業)、C2C(個人→個人)です。販売チャネルの設計思想としてD2Cや越境ECなどで語られる場合もあります。

Q.ECのメリットは何ですか?

商圏を広げやすいこと、24時間購入できる利便性、受注や通知などの運用を仕組み化しやすいことが代表的なメリットです。

Q.ECのデメリットは何ですか?

対面での体験が得にくいこと、システムや決済の運用負担、データ保護や不正対策の必要性などが挙げられます。運用設計で吸収する工夫が重要です。

Q.ECでカスタマーサービスが重要なのはなぜですか?

ECでは購入後の体験(配送、問い合わせ、返品対応)がレビューや再購入に直結しやすいためです。ルールの明確化と対応品質の安定が信頼につながります。

Q.ECのセキュリティで気を付けることは?

個人情報の保護だけでなく、不正ログインやアカウント乗っ取り、カード不正利用などへの対策が重要です。技術対策と運用ルールをセットで整える必要があります。

Q.ECの法規制は何を確認すべきですか?

取引条件の表示、広告表現、個人情報の取り扱い、知的財産、契約の成立要件などが論点になりやすいです。商材や地域で要件が変わるため、必要に応じて専門家と確認します。

Q.フルフィルメントとは何ですか?

受注後の保管、梱包、出荷、配送、返品対応までを含む一連の業務です。顧客体験を安定させるための重要な仕組みで、自社運用か外部委託かを検討します。

Q.ECの今後の注目点は何ですか?

AI活用、モバイル決済、越境対応などが進む一方で、サイト品質、運用の安定、信頼の積み上げがより重要になります。技術導入は目的に沿って選定することが大切です。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム