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情報資産管理台帳とは? わかりやすく10分で解説

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目次

情報資産管理台帳とは

情報資産管理台帳とは、企業や組織が保有する情報資産(データや情報)を一覧化し、所在や責任分担、保護状況まで含めて継続管理するための台帳です。情報セキュリティの実務では「何を持っているか」「どこにあるか」「誰が責任を持つか」が曖昧なままだと、対策の優先順位も事故時の対応も決められません。台帳は、その土台になります。

情報資産とは

情報資産とは、企業や組織が保有・利用するデータや情報の総称です。たとえば、顧客情報、従業員情報、財務データ、契約書・申請書などの業務文書、設計資料やノウハウといった知的財産、業務プロセスに関する情報などが含まれます。

重要なのは、情報資産は「ファイル」だけではない点です。データベース、クラウドサービス上のデータ、メール、ログ、紙資料、USBメモリや端末内データなど、保存場所と形態が多様であるため、棚卸しの視点が欠かせません。

情報資産管理台帳の重要性

情報資産管理台帳が重要なのは、情報資産の保護を「気合い」ではなく「管理」へ落とし込めるからです。台帳に、情報資産の種類、所在、管理責任者、利用者(アクセス権限)、機密区分、保存期間、バックアップや暗号化の有無などを記録しておくことで、次のような効果が得られます。

  • 情報漏えい・不正アクセスなどのリスク低減(弱い部分が見える)
  • 監査やインシデント対応の迅速化(誰が何を持つかが分かる)
  • 法令・規程・契約(委託先管理など)への対応を整理できる
  • 不要データの削減や保管コストの適正化につながる

情報資産管理台帳の作成方法

台帳づくりは、情報セキュリティ管理の中心業務のひとつです。とはいえ、最初から完璧を目指すと止まりがちです。まずは「棚卸しできる粒度」と「更新できる運用」を優先し、必要に応じて項目を増やしていくのが現実的です。

台帳に記載すべき情報の種類

台帳には、少なくとも次の要素を入れておくと運用しやすくなります。

  • 資産名/概要:何のデータか(例:顧客DB、見積書フォルダ、勤怠データ)
  • 保管場所:サーバー名、クラウドサービス名、端末、紙保管場所など
  • 管理責任者:部門、担当者(“誰が判断するか”を明確に)
  • 利用者/アクセス権限:誰が見られるか、権限付与の手続き
  • 機密区分:公開/社外秘/機微情報など(自社基準でOK)
  • 取扱いルール:持ち出し可否、共有方法、印刷可否など
  • セキュリティ対策状況:暗号化、MFA、ログ、バックアップ、監査など
  • 保存期間/廃棄方法:いつまで保管し、どう廃棄するか
  • 関連する規程・法規・契約:個人情報、業界規制、委託契約条件など

ポイントは、台帳が「資料」ではなく「判断と運用のための道具」になるよう、責任者・所在・権限が必ず追える形にすることです。

リスク評価とその方法

台帳の価値を一段上げるのがリスク評価です。一般的には、次の流れで整理します。

  • 脅威:不正アクセス、マルウェア、内部不正、誤送信、紛失など
  • 脆弱性:権限管理が曖昧、ログがない、バックアップが不十分、端末暗号化なし等
  • 影響度:漏えいした場合の損害(信用、法的責任、業務停止など)
  • 発生可能性:どれくらい起きやすいか(運用実態・露出面から判断)

評価方法は複雑にしなくても構いません。たとえば「影響度(高/中/低)」×「発生可能性(高/中/低)」のマトリクスでも、優先順位付けには十分役立ちます。大事なのは、評価結果が対策計画(何から直すか)に結びつくことです。


情報資産の適切な管理とセキュリティ対策

情報資産は、保有しているだけで価値を生みますが、同時にリスクも背負います。台帳は、そのリスクを「見える化」し、対策を継続できる形に整えるためにあります。

情報資産に関わる主なリスクと対策

代表的なリスクには、不正アクセス、データ漏えい、サイバー攻撃、内部不正、誤操作・誤送信、端末紛失などがあります。対策は技術だけでなく、運用と人にまたがるため、次のように束ねて考えるとブレにくくなります。

  • ルール:セキュリティポリシー、持ち出し基準、委託先管理、例外手続き
  • :教育・訓練、権限申請の徹底、インシデント報告の文化
  • 技術:認証、暗号化、ログ、監視、バックアップ、端末管理
  • 備え:復旧手順、連絡体制、訓練(机上演習でも可)

セキュリティ対策の具体例

具体策としては、ファイアウォールやEDR/アンチウイルスの導入、MFA(多要素認証)の適用、アクセス権限の最小化、ログ取得と定期レビュー、脆弱性対応、バックアップと復旧訓練などが挙げられます。

台帳に「対策の有無」だけでなく、「いつ見直すか」「誰が確認するか」を紐づけておくと、形だけの対策で終わりにくくなります。


情報資産管理台帳の実践的な活用

台帳は作って終わりではありません。更新されない台帳は、存在しないのと同じです。運用の中心に置くためには、更新の仕組みと、業務判断への接続が必要です。

台帳の維持と更新

台帳は、組織の変化に合わせて更新していきます。新しいシステム導入、クラウド移行、部門再編、委託先変更、業務フロー変更、端末入れ替えなど、情報資産の状態は日々動きます。

実務では、次のようなタイミングを「更新トリガー」として決めておくと回りやすくなります。

  • 新システム導入・改修時(要件定義〜リリース)
  • 委託先の契約更新・追加時
  • 四半期・半期などの定期点検
  • 監査・棚卸しの実施タイミング
  • インシデントやヒヤリハット発生後の見直し

情報資産管理台帳とビジネスの連携

台帳は、セキュリティ部門だけのものではありません。リスク管理、コンプライアンス、BCP、業務効率化、コスト最適化といったビジネス判断と結びつくことで、初めて「使われる台帳」になります。

たとえば、重要資産の優先対策(投資判断)、委託先管理(契約条件の見直し)、保管データ削減(コスト削減)、クラウド移行のリスク整理(移行判断)など、意思決定の材料として活用できます。


まとめ

情報資産管理台帳は、組織の情報資産を一覧化し、責任・所在・権限・対策状況を継続管理するための重要なツールです。正確で最新の情報を維持できれば、リスク低減だけでなく、監査対応、コンプライアンス、業務効率化にも直結します。

デジタル化とクラウド活用が進むほど、情報資産は増え、分散し、変化のスピードも上がります。今後は自動検出や連携による更新支援など、運用を助ける仕組みも増えていくでしょう。だからこそ、まずは「更新され続ける台帳」を作ることが、最初の一歩になります。


FAQ

Q.情報資産管理台帳とは何ですか

組織が保有する情報資産を一覧化し、所在・責任者・権限・対策状況などを記録して継続管理するための台帳です。

Q.情報資産には具体的に何が含まれますか

顧客情報、従業員情報、財務データ、契約書、設計資料、ログ、メール、クラウド上のデータ、紙資料など、業務に関わるデータや情報全般が含まれます。

Q.台帳を作るメリットは何ですか

何をどこで誰が管理しているかが明確になり、リスク対策の優先順位付け、監査対応、インシデント時の切り分けや復旧を進めやすくなります。

Q.台帳に最低限入れるべき項目は何ですか

資産名/概要、保管場所、管理責任者、利用者・権限、機密区分、セキュリティ対策状況、保存期間(廃棄方針)を入れておくと運用しやすくなります。

Q.リスク評価はどうやって行えばよいですか

脅威と脆弱性を整理し、「影響度」と「発生可能性」を軸に評価します。高/中/低の簡易評価でも、対策の優先順位付けには十分役立ちます。

Q.台帳は誰が管理するのが一般的ですか

全体統括は情報システム部門やセキュリティ担当が担い、各資産の実管理責任は業務部門が持つ形が一般的です。重要なのは責任分界が明確なことです。

Q.更新されない台帳になりがちな理由は何ですか

更新トリガーが定義されていない、担当が不明確、更新コストが高い(項目が多すぎる)などが原因です。運用に乗る粒度から始めるのが現実的です。

Q.クラウド利用が増えると台帳は何が難しくなりますか

データの所在が分散し、サービスごとに権限体系やログの取り方が異なるため、把握と更新が難しくなります。サービス単位の管理項目設計が有効です。

Q.台帳とコンプライアンスはどう関係しますか

個人情報や業界規制、委託先管理など、法令・規程・契約に沿った取扱いが必要な資産を特定し、管理状況を説明できるようにするための基盤になります。

Q.台帳をビジネスに活かす具体例はありますか

重要資産への投資優先度判断、委託先リスクの整理、不要データ削減によるコスト最適化、クラウド移行計画のリスク整理など、意思決定の材料として活用できます。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム