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マルインフォメーションとは? 10分でわかりやすく解説

水色の背景に六角形が2つあるイラスト 水色の背景に六角形が2つあるイラスト
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UnsplashPhilippe Murray-Pietschが撮影した写真

昨今、インターネット上では「事実そのもの」だけでなく、事実の切り取り方や見せ方によって、受け手の判断が大きく揺さぶられる場面が増えています。この記事では、そうした有害な情報の一つであるマルインフォメーション(malinformation)について、概念・具体例・背景・対策までを整理します。読み終えたときに、SNSやニュースで見かける情報を「何が問題なのか」「どう確認し、どう対応するか」を自分で判断できる状態を目指します。

マルインフォメーションとは?基本概念の理解

情報の問題というと「デマ(嘘)」を思い浮かべがちですが、実際には真実を材料にして人や組織を傷つけるケースもあります。それがマルインフォメーションです。嘘ではないため見抜きにくく、拡散した側も「事実を言っているだけ」と正当化しやすい点が厄介です。

マルインフォメーション・ディスインフォメーション・ミスインフォメーションの違い

3つの違いは、ざっくり言うと「情報が真実か」「発信者に害意があるか」です。

  • マルインフォメーション:情報自体は本当(または本当が混ざっている)が、文脈操作や晒し行為などで害を与える目的で使われる。
  • ディスインフォメーション:意図的に作られた虚偽(または改ざん)で、発信者は嘘だと理解した上で拡散する。
  • ミスインフォメーション:虚偽だが、発信者は正しいと信じて拡散してしまう。

ポイントは、マルインフォメーションは「嘘ではない」ため、ファクトチェックで“完全否定”しづらいことです。議論の焦点は「真偽」だけでなく、「公開してよい情報か」「解釈や提示の仕方が妥当か」に移ります。

マルインフォメーションの定義と特徴

マルインフォメーションは、一般に真正な情報を用いて害を生む(cause harm)という枠組みで語られます。たとえば本物の文書・本物の写真・本物の発言でも、出し方次第で人を追い込み、組織を混乱させ、社会的対立を煽れます。

特徴としては、次の3点が典型です。

  1. 信憑性が高く見える:事実がベースのため、受け手は警戒心を下げやすい。
  2. 文脈の操作が中心:前後の事情を落とす、切り取りで印象を変える、時系列を入れ替える、比較対象をずらす。
  3. 感情を動かす設計になりやすい:怒り・嫌悪・正義感を刺激すると拡散しやすい。

マルインフォメーションが社会に与える影響

嘘ではなくても、害は現実に起きます。代表的には以下です。

  • 評判・信用の毀損:企業や個人が長期的に回復しにくいダメージを受ける。
  • 分断の加速:事実の提示が「対立の燃料」になり、妥協点が失われやすい。
  • 意思決定の質の低下:真偽よりも感情で判断しやすくなり、議論が荒れる。
  • 安全・人権への影響:晒し・脅迫・ヘイトの誘発など、二次被害が出る。

拡散速度が速い環境では、後から丁寧に説明しても「最初に受けた印象」が残りやすく、訂正や補足が届きにくい点も課題です。

マルインフォメーションの具体例

ここでは「真実を材料に害を作る」という観点で、ありがちな型を整理します(例は一般化しています)。

何が起きるか受け手が誤解しやすい点
切り取り(発言・動画)前後を省いて、発言の意図を逆転させる「本人が言っている=文脈も正しい」と思い込む
本物の情報の晒し個人情報や内部資料を“正義”名目で拡散する公益と私刑の区別が曖昧になる
統計の見せ方の誘導分母や期間を変えて結論を印象操作する数字の見た目で納得してしまう
事実の“並べ方”無関係な事実を並べて因果関係があるように見せる「偶然の相関」を「必然の原因」と誤認する

対策は「嘘を見破る」だけでは足りません。文脈・目的・公開範囲・提示の仕方を合わせて評価する必要があります。

マルインフォメーション拡散の背景と要因

なぜ「事実」が武器になるのか

事実は反論されにくく、拡散時の心理的抵抗も小さいためです。「嘘じゃない」「引用しただけ」「みんな知るべきだ」という言い訳が成立しやすく、結果として“攻撃の材料”として使われます。

ニュースのスピードと検証コスト

ニュースやSNSは速度が価値になりがちで、文脈確認(元資料の確認、全文確認、関係者の見解確認)に時間を割けない状況が生まれます。すると「断片」が流通し、断片をつないだストーリーが事実のように扱われやすくなります。

SNSの設計(拡散を促す仕組み)

SNSは、強い感情を伴う投稿ほど反応を得やすい傾向があります。そのため、文脈を落としてでも“刺さる見せ方”が選ばれやすく、マルインフォメーションに向いた環境になりがちです。

「訂正が届かない」問題

マルインフォメーションは、完全否定が難しいため、訂正は「補足」や「背景説明」になりやすいです。しかし補足は拡散しにくく、誤解だけが残ることがあります。情報の受け手側にも、確認行動が求められます。

マルインフォメーション対策の考え方

法的規制の限界と表現の自由との兼ね合い

マルインフォメーションは「事実」を扱うため、単純な虚偽規制とは相性がよくありません。過度な規制は表現の自由や公益通報の価値を損ねる恐れがあり、線引きは慎重さが必要です。

受け手側の“確認の型”を持つ

個人ができる対策は、難しい技術ではなく確認の手順を持つことです。

  • 一次情報に当たる:元記事、全文、原文、公式発表、一次資料。
  • 文脈を補う:前後の発言、当時の状況、比較対象、時系列。
  • 公開の妥当性を見る:個人情報・晒し・私刑になっていないか。
  • “結論”ではなく“根拠”を見る:数字の分母、定義、対象範囲、例外条件。

事実に基づく情報発信と「反論の設計」

誤解が広がっているときは、感情的に言い返すよりも、次のように最小限の要点で整えるほうが効きます。

  • 何が事実で、何が誤解(または前提違い)なのか
  • 誤解が生まれたポイント(切り取り箇所、分母、時系列など)
  • 一次情報(参照先)
  • 今後の対応(調査中/再発防止/問い合わせ窓口)

「情報の正しさ」だけでなく、受け手が判断できる材料を揃えることが重要です。

企業がマルインフォメーションに備える方法

まず整えるべき前提:自社の“公式情報”の置き場

企業側の基本は、平時から正しい一次情報にアクセスしやすい状態を作ることです。

  • 公式発表の集約(ニュースリリース、FAQ、問い合わせ先)
  • 更新履歴が分かるページ運用(いつ何を直したか)
  • SNS運用ルール(発信権限、緊急時の承認フロー)

社内教育とガイドライン整備

マルインフォメーションは、社員個人の投稿が火種になることもあります。次の観点を押さえた教育・ガイドラインが現実的です。

  1. 「事実でも危険になり得る」例(晒し、切り取り、社内情報)
  2. 投稿前の確認(機密・個人情報・契約・著作権)
  3. 炎上時の初動(削除判断、謝罪の要否、法務連携)
  4. 問い合わせの受け口(現場が個別対応で消耗しない導線)

検知と初動対応:簡易プレイブック

「見つけてから考える」だと遅れます。最低限、次の型を決めておくと初動が安定します。

フェーズやること判断の軸
検知監視(社名・製品名・役員名)、通報窓口、関係部署共有拡散規模/影響範囲/事実確認の難度
評価「真偽」だけでなく文脈・晒し・権利侵害の有無を確認訂正で済むか/法務対応か/沈静化優先か
発信一次情報を提示し、誤解ポイントを短く説明過剰反応で増幅しないか
追跡追加説明、Q&A更新、社内外への説明の統一同じ誤解が再燃していないか

専門家や外部機関との連携

全てを社内で抱えるより、役割分担したほうが現実的です。

連携先主な役割
法務・弁護士権利侵害(名誉毀損、プライバシー等)の評価と手続き方針
広報/PR支援ステートメント設計、メディア対応、FAQ整備
セキュリティ専門家漏えい・侵害の可能性評価、技術的な再発防止
ファクトチェック/検証協力一次情報の整理、誤解ポイントの可視化

まとめ

マルインフォメーションは、嘘ではなく事実を材料に害を生む点が特徴の情報です。そのため対策は「真偽判定」だけでは足りず、文脈・提示方法・公開範囲・受け手の確認行動まで含めて考える必要があります。個人は一次情報と文脈を確認する“型”を持ち、企業は平時から公式情報の置き場、教育、検知と初動のプレイブックを整えることが重要です。

Q.マルインフォメーションとは何ですか?

事実(または真正情報)を材料に、文脈操作や晒しなどで人や組織に害を与える目的で使われる情報です。

Q.ディスインフォメーションとの違いは何ですか?

ディスインフォメーションは意図的な虚偽(作り話や改ざん)ですが、マルインフォメーションは情報自体が本当でも害が生まれます。

Q.ミスインフォメーションとの違いは何ですか?

ミスインフォメーションは誤情報を善意で広めてしまうケースで、マルインフォメーションは害意や攻撃性を伴う点が違います。

Q.なぜマルインフォメーションは見抜きにくいのですか?

事実が含まれるため信憑性が高く見え、受け手が「嘘ではない」と判断して警戒心を下げやすいからです。

Q.典型的な手口には何がありますか?

発言や動画の切り取り、統計の分母や期間のすり替え、無関係な事実の並置で因果関係を示唆する、個人情報の晒しなどがあります。

Q.個人ができる対策は何ですか?

一次情報の確認、前後の文脈の補完、公開の妥当性の確認、結論より根拠(分母・定義・範囲)を見ることが有効です。

Q.企業が最初に整えるべきことは何ですか?

公式情報の集約(発表・FAQ・窓口)、更新履歴が分かる運用、SNS発信の権限と承認フローの整備が出発点です。

Q.拡散を見つけたときの初動はどうすべきですか?

拡散規模と影響を評価し、真偽だけでなく文脈操作や権利侵害の有無を確認したうえで、一次情報と誤解点を短く示します。

Q.法的規制で解決できますか?

事実が含まれるため単純な虚偽規制とは相性が悪く、表現の自由との調整も必要です。法務対応は他施策と併用します。

Q.ファクトチェックだけでは不十分なのはなぜですか?

真偽が正しくても害が生まれるため、文脈・提示の仕方・公開範囲まで含めて評価し、補足説明や導線整備が必要になります。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム