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自治体に求められるマイナンバー対応のネットワークセキュリティ対策とは

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2023年11月28日 www.soliton.co.jp より移設


2016年にマイナンバー(個人番号)の利用が始まり、自治体や企業では、より強い情報セキュリティ対策が求められるようになりました。マイナンバーが漏えいすると、個人の特定や不正利用などに直結し、被害が大きくなりやすい情報です。

本記事では、マイナンバー制度の基礎、自治体に求められる管理体制の考え方、そして現場で押さえるべき代表的なネットワーク/運用対策を整理します。

マイナンバーの基礎知識

マイナンバー制度は、日本に住民票を有するすべての人が「12桁の個人番号」を持ち、行政手続き等で用いる仕組みです。複数の行政機関に散在しがちな情報を同一人物として正確に突合しやすくし、行政手続きの効率化や利便性向上などを目的としています。

マイナンバー制度の目的

制度の目的は一般に、次の3点として整理されます。

  • 公平・公正な社会の実現
  • 国民の利便性の向上
  • 行政の効率化

なぜセキュリティ対策が重要なのか

マイナンバーは「本人を特定するための番号」であり、漏えい時の影響が大きくなりやすい情報です。取り扱い範囲(どこで、誰が、どの端末で、どのシステムに、どの経路でアクセスできるか)が広がるほど、漏えい・改ざん・不正利用のリスクも増えます。したがって、制度活用の前提として、技術面・運用面の両方で守りを固める必要があります。

自治体に求められる「管理体制」の考え方

自治体の情報セキュリティは、個人情報を含む行政情報を扱う性質上、外部脅威だけでなく内部不正・誤操作も含めて多面的に備えることが前提になります。加えて近年は、クラウド活用の進展とともに「利便性(業務継続・生産性)」と「統制(強固な防御・監査)」を両立させる設計が重要になっています。

自治体向けのセキュリティ強化の考え方としては、従来から「ネットワークを用途ごとに分離する」発想(いわゆる三層分離)を基礎に、運用課題やクラウド利用制限などの反省を踏まえ、モデルの見直し・改善も議論されています。

マイナンバー対応のネットワーク/セキュリティ対策

ここでは、自治体で押さえたい代表的な対策を5つに分けて整理します。実際の設計は組織規模・業務要件・委託範囲・クラウド利用方針によって最適解が変わるため、「考え方」と「要点」を中心に確認してください。

1. ネットワーク分離(用途ごとの分割)

マイナンバーを扱う領域は、業務の性質上、インターネット接続環境と同一にしない設計が基本になります。用途(例:個人番号利用事務、庁内業務、インターネット利用)ごとに分離し、必要最小限の通信だけを許可することで、侵入後の横展開(別セグメントへの拡大)も抑えやすくなります。

2. アクセス制御(権限の最小化)

マイナンバー情報にアクセスできる人・端末・システムを必要最小限に限定します。具体的には、業務上必要な担当者のみアクセス可能にする、参照と更新の権限を分ける、作業端末を限定する、といった統制が基本です。

3. 利用者の識別と認証(なりすまし対策)

「IDとパスワードだけ」に依存しない認証強化(多要素認証など)を前提に、なりすましを抑止します。とくに、権限が強いアカウント(管理者・特権ID)ほど追加要素を必須化し、運用ルールも厳格にすることが重要です。

4. 不正アクセス・マルウェア対策(侵入を前提に備える)

外部からの侵入をゼロにするのは現実的に難しいため、「侵入されうる」前提で、端末防御・脆弱性対策・監視を組み合わせます。たとえば、OS/アプリの更新、端末保護(EDR等)、メール/Webの対策、持ち込み媒体の運用などを、単発ではなく一連の運用として回します。

5. 情報漏えい防止(持ち出し・証跡・監査)

マイナンバー情報の持ち出し抑止(媒体制御・印刷制御・送信制御など)に加え、アクセスログを取得し、追跡できる状態(証跡)を維持することが重要です。インシデントが起きたときに「何が起きたか」を特定できるかどうかが、被害抑制と説明責任の両面で差になります。

補足:BCP/業務継続の観点も忘れない

マイナンバー領域は「止められない業務」を含むことが多いため、セキュリティと同時に、障害・災害時の業務継続(代替手段、復旧手順、連絡体制、訓練)も設計に組み込みます。近年は自治体の情報システム強靱性向上を支援する取り組みも行われており、可用性・継続性の観点からも設計の重要性が増しています。

まとめ

マイナンバー制度は利便性と行政効率を高める一方で、取り扱い情報の性質上、漏えい時の影響が大きくなりやすい領域です。ネットワーク分離、アクセス制御、強い認証、侵入を前提とした多層防御、そして証跡・監査の整備を組み合わせ、制度活用の前提となる安全な運用基盤を整えましょう。


FAQ(よくある質問)

Q1. マイナンバー(個人番号)はいつから使われていますか?

A. マイナンバーの「利用」は2016年に始まりました(手続きでの利用開始)。

Q2. 自治体でマイナンバー対策が特に重要な理由は?

A. 行政サービスに直結し、個人を特定できる情報を扱うため、漏えい・改ざん・不正利用が社会的影響に直結しやすいからです。

Q3. 「三層分離」とは何を分ける考え方ですか?

A. 業務用途ごとにネットワークを分離し、必要最小限の通信だけを許可する設計思想です(例:インターネット利用、LGWAN接続系、内部業務など)。

Q4. ネットワーク分離だけで十分ですか?

A. 十分ではありません。侵入・誤操作・内部不正なども想定し、アクセス制御、認証強化、端末防御、監視、ログ管理などを組み合わせる必要があります。

Q5. アクセス制御でまずやるべきことは?

A. 「誰が・何に・どこまで」アクセスできるかを業務要件に基づいて最小化し、参照/更新や特権権限を分離することが基本です。

Q6. 多要素認証はどこから優先して導入すべきですか?

A. 影響範囲が大きいアカウント(管理者・特権ID、リモートアクセス、マイナンバー領域へのアクセス)から優先するのが現実的です。

Q7. ログは何のために必要ですか?

A. 事故発生時に原因・範囲・経路を特定し、被害抑制と再発防止、説明責任(監査・報告)に耐えるためです。

Q8. マルウェア対策は「ウイルス対策ソフト」だけで足りますか?

A. 足りません。OS/アプリ更新、端末保護(EDR等)、メール/Web対策、運用ルール、監視と初動対応を含めて多層で備える必要があります。

Q9. クラウド活用が進むと、自治体のセキュリティ設計はどう変わりますか?

A. 利便性と統制の両立がより重要になり、従来モデルの課題(利用制限や業務効率低下など)を踏まえた改善も議論されています。

Q10. マイナンバー対策で「最後に差が出る」ポイントは?

A. ルール整備だけで終わらせず、教育・訓練、権限棚卸し、ログの定期点検、手順の更新など、運用を回し続ける点です。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム