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NDISとは? わかりやすく10分で解説

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目次

ネットワークへの攻撃は、マルウェア感染や不正アクセスだけでなく、正規アカウントの悪用や内部不正など、形を変えながら増え続けています。こうした状況で「通信そのもの」を監視し、異常の兆しを早期に見つける仕組みがNIDS(Network Intrusion Detection System)です。本記事では、NIDSの基本概念から、監視の方法、構成、連携、導入時の注意点、今後の方向性までを整理し、読み終えたときに「自組織に必要なNIDSの置き方と運用」を判断できる状態を目指します。

NIDSとは

NIDS(Network Intrusion Detection System)は、ネットワーク上を流れるトラフィックを監視し、攻撃の兆候や不正な通信を検出する仕組みです。エンドポイント(PCやサーバー)ではなく「ネットワーク」を観測対象とするため、組織全体の通信状況を俯瞰しやすい点が特徴です。

NIDSの目的は、侵入や攻撃の兆候を早期に検知し、調査・封じ込めにつなげることにあります。たとえば、外部の指令サーバー(C2)への通信、脆弱性を突くスキャンや不正ログイン試行、感染端末からの横展開など、ネットワーク上に残る“痕跡”を手がかりに、被害が拡大する前に気付ける可能性が高まります。

ネットワーク上の脅威

ネットワーク上の脅威は、外部からの侵入だけに限りません。代表例を挙げると、次のようなものがあります。

  • 脆弱性スキャンやポートスキャン、探索的なアクセス
  • 不正ログインの試行(ブルートフォース、パスワードスプレーなど)
  • マルウェア感染後のC2通信や不審なDNS問い合わせ
  • 内部端末からの横展開(SMB/リモート管理系の不自然な利用など)
  • 情報持ち出しの兆候(大量送信、未知ドメインへの継続通信など)

NIDSは、これらの兆候を「通信のパターン」として捉え、アラートとして可視化します。重要なのは、検出=即遮断ではなく、まずは検知と調査の起点として機能する点です。

ネットワークトラフィックの監視

ネットワークトラフィックの監視は、セキュリティ対策の基本です。ログや端末情報だけでは見えにくい「実際に何が流れているか」を確認できるため、攻撃の早期発見や原因調査の精度向上につながります。

トラフィックの分析方法

NIDSの分析手法は大きく分けて、次の2系統が中心です。

  • シグネチャベース:既知の攻撃パターンやルール(シグネチャ)に一致する通信を検出します。精度が出やすい一方、未知の攻撃には弱くなります。
  • 振る舞い・異常検知:通常とは異なる通信量、宛先、頻度、時間帯などの“違和感”を検出します。未知の兆候に気付きやすい一方、誤検知(False Positive)が増えやすく、運用設計が重要です。

実運用では、どちらか一方ではなく、既知の攻撃はルールで堅く拾い、未知の兆候は異常検知で拾うという併用が一般的です。

不正な通信の検出

NIDSが不正通信を検出する際は、通信のヘッダー情報(送信元/宛先IP、ポート、プロトコル)や、場合によってはペイロード(中身)の特徴も参照します。ただし、近年はTLSなど暗号化通信が主流のため、「中身が見えない」前提で検知する設計が重要になります。

暗号化環境でも役立つ観測点としては、次のようなものがあります。

  • 不自然な宛先(未評価のドメイン、地理的に不自然な国/地域など)
  • DNSの異常(ランダム文字列のようなドメイン、問い合わせ頻度の急増など)
  • 通信量・頻度の異常(短時間に大量送信、一定周期のビーコン通信など)
  • 通常使わないポートやプロトコルの利用

「暗号化=監視不能」ではなく、メタデータとパターンで兆候を拾うという発想が鍵になります。

NIDSの主な機能

NIDSは「侵入を検出する装置」という単純な理解に留まりがちですが、実際には運用に必要な機能が複合的に組み合わさっています。ここでは、実務で重要になりやすい機能を整理します。

悪意のあるトラフィックの検出

代表的なのは、既知の攻撃やマルウェア通信の検出です。具体的には、脆弱性悪用の典型パターン、攻撃ツールに特徴的な通信、C2通信の既知指標などをルールとして持ち、該当するトラフィックをアラート化します。

ポイントは、アラートを出すだけで終わらせず、調査に必要な情報(いつ/どこから/どこへ/何が起きたか)を、あとから追える形で残すことです。

通常とは異なる活動の識別

未知の攻撃や内部不正では、「既知のルール」だけでは取り逃す可能性があります。そこで、平常時の通信に対して“違い”を見つける機能が役立ちます。

たとえば「特定端末だけ夜間に外部へ大量送信する」「普段行かない宛先へ短周期で接続する」「社内で横断的に多数の宛先へ接続する」などは、業務の正当な変化である場合もありますが、確認すべき兆候として早めに把握する価値があります。

ネットワークの安全性を高めるツール

セキュリティ対策は単体製品で完結しません。NIDSは“検知の目”として機能し、他の統制と組み合わせることで効果が高まります。

ファイアウォールとの連携

ファイアウォールは通信を制御(許可/遮断)します。一方NIDSは基本的に検知が主役です。このため、運用としては次の使い分けが現実的です。

  • NIDSで兆候を検知し、調査のうえルール追加やブロック判断につなげる
  • 明確に悪性と判断できるものは、ファイアウォールやプロキシで遮断ルール化する

「検知→確認→遮断」の流れを作ることで、誤検知による業務影響を抑えつつ、対応速度を上げられます。

アンチウイルスとEDRとの相互作用

アンチウイルスやEDRは端末側の挙動に強みがあります。NIDSが「この端末から不審な外向き通信がある」と気付いたとき、EDRでプロセスや実行履歴を追えると、原因特定が一気に進みます。

  • NIDS:ネットワーク上の兆候を発見する
  • EDR:端末内の原因(プロセス、実行ファイル、権限変更など)を特定する

相互に補完することで、検知の精度と封じ込めの速度が上がります。

SIEMやSOARとの連携

アラートが増えるほど、現場は“さばけなくなる”問題に直面します。SIEMでログを集約し相関分析できると、「単発のアラート」では見えない攻撃の流れを捉えやすくなります。さらにSOARで手順を定型化できれば、調査や初動対応のばらつきを減らせます。

NIDSの実際のアーキテクチャ

NIDSを成立させるうえで重要なのは、「どこでトラフィックを観測するか」です。設置場所を誤ると、見たい通信が取れず、アラートの価値が下がります。

典型的なNIDSの構造

典型的には、次の要素で構成されます。

  • センサー:ミラーポート、TAP、仮想スイッチなどからトラフィックを取得して解析します。
  • 管理サーバー:センサーからのイベントやメタデータを集約し、ルール管理や相関分析を行います。
  • 管理コンソール:運用者が監視、チューニング、調査を行うためのUIです。

規模が大きいほど、センサーを分散配置して、管理側で統合する構成が現実的になります。

トラフィックの監視と分析のプロセス

一般的な流れは次のとおりです。

  1. センサーがネットワーク上のトラフィックを取得する(ミラー/TAPなど)
  2. ルール(シグネチャ)や異常検知で解析し、該当イベントを抽出する
  3. 重要度に応じてアラート化し、管理サーバーへ送る
  4. 管理者が、宛先/頻度/関連ログを確認し、封じ込めや追加調査を判断する

導入時に意識したいのは、アラートの“数”よりも“調査に足る情報が残るか”です。調査に必要な粒度を確保できないと、検知しても対応につながりません。

ネットワークの脅威からの保護

NIDSは「気付くための仕組み」です。効果を出すには、検知後にどう動くか(運用)まで含めて設計する必要があります。

潜在的な脅威の検出

外部攻撃だけでなく、内部の端末やアカウントが侵害された場合も、ネットワーク上に兆候が出ます。たとえば、社内から外部への不審な通信や、通常と異なる社内横断アクセスなどです。NIDSは、こうした兆候を早期に拾い、「侵害の可能性がある範囲」を絞るのに役立ちます。

重大インシデントの回避と初動の重要性

被害が大きくなる典型は、「侵入に気付けない」「気付いても初動が遅れる」ことです。NIDSは、初動を早めるきっかけになりますが、次のような運用ルールがないと効果が薄れます。

  • アラートの優先順位付け(高・中・低)
  • 一次切り分けの手順(宛先確認、端末特定、関連ログ確認)
  • 封じ込めの判断基準(遮断、隔離、アカウント停止など)
  • 誤検知の扱い(例外登録、ルール調整、再発防止)

「検知して終わり」ではなく、検知を起点にした対応フローを整えることが、実効性を左右します。

NIDSの展望

クラウドやSaaS、ゼロトラストの普及により、ネットワーク境界は変化しています。こうした環境でも、NIDSの考え方は有効ですが、“どこを観測点にするか”がより重要になります。

機械学習との統合

機械学習を用いた異常検知は、未知の攻撃兆候を拾いやすい一方で、運用における注意点もあります。たとえば「業務の変化」を異常と誤認しやすく、アラート過多になりがちです。

そのため、機械学習の活用は、万能な置き換えではなく、チューニングと運用設計を前提に、既存のルール検知を補助するものとして捉えるのが現実的です。

サイバーセキュリティの未来とNIDSの役割

暗号化の普及、リモートワーク、IoTの増加により、トラフィック監視は難しくなっています。一方で、通信のメタデータや相関分析の価値は高まり、NIDSは「ネットワーク上の兆候」を捉える重要な位置づけを保ち続けるでしょう。

今後は、NIDS単体の性能だけでなく、EDR・SIEM・ID管理などと連携し、組織全体で“兆候を見つけて対処する”仕組みを作れるかが焦点になります。

まとめ

NIDS(Network Intrusion Detection System)は、ネットワーク上のトラフィックを監視し、攻撃の兆候や不正通信を検出するための仕組みです。シグネチャベースと異常検知を併用し、既知・未知の両面から兆候を拾える点が強みになります。

一方で、暗号化通信の増加や環境の複雑化により、「何をどこで観測し、検知後にどう動くか」がより重要になっています。NIDSをファイアウォール、EDR、SIEMなどと組み合わせ、検知から初動対応までの運用フローを整備することで、重大インシデントの早期発見と被害抑止につなげられます。

Q.NIDSとは何ですか

ネットワーク上の通信を監視し、攻撃の兆候や不正通信を検出する仕組みです。

Q.NIDSとIPSの違いは何ですか

NIDSは主に検知、IPSは検知に加えて通信の遮断など防御動作を行います。

Q.NIDSとEDRはどちらが必要ですか

役割が異なるため併用が有効です。NIDSは通信の兆候、EDRは端末内の原因特定に強みがあります。

Q.暗号化通信が増えるとNIDSは使えなくなりますか

使えなくなりません。宛先や頻度、DNSなどメタデータとパターンで兆候を検出できます。

Q.NIDSはどこに設置するのが基本ですか

監視したい通信が通過するポイントに設置します。TAPやミラーポートでトラフィックを取得するのが一般的です。

Q.誤検知が多い場合はどうすればよいですか

例外登録やルール調整、優先度設計で運用負荷を下げ、重要なアラートに集中できる形へチューニングします。

Q.NIDSは内部不正の検出にも役立ちますか

役立ちます。通常と異なる通信量や宛先、横展開の兆候などを検知できる場合があります。

Q.NIDS導入で最初に決めるべきことは何ですか

観測対象の範囲、アラートの優先順位、検知後の初動フローを先に決めることが重要です。

Q.機械学習型の検知はシグネチャを置き換えますか

置き換えではなく補完が現実的です。既知の攻撃はルール、未知の兆候は異常検知で補う形が効果的です。

Q.NIDSの効果を高める連携先は何ですか

ファイアウォール、EDR、SIEMなどと連携し、検知から調査・封じ込めまでの流れを作ると効果が高まります。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム