RAID 10は、可用性(止まりにくさ)と性能(処理の速さ)を両立しやすいRAID構成として知られています。ミラーリングでディスク故障に備えつつ、ストライピングで並列アクセスを行うため、I/Oが多いシステムでも安定した性能を狙えます。本記事では、RAID 10の仕組み・メリット/デメリット・導入時の設計ポイント・運用上の注意点までを整理し、「自社の要件にRAID 10が合うか」を判断できるように解説します。
RAID 10(RAID1+0、またはRAID 1+0)は、RAID 1(ミラーリング)とRAID 0(ストライピング)を組み合わせた構成です。複数台のディスクをまとめて1つの論理ボリュームとして扱いながら、冗長性と読み書き性能を同時に確保しやすい点が特徴です。データベース、仮想化基盤、業務ファイルサーバーなど、I/O負荷が高く、停止や性能低下が業務影響につながる用途で採用されることがあります。
RAID(Redundant Array of Independent Disks)は、複数のディスクを束ねて冗長化や性能向上を図る仕組みです。RAID 0、1、5、6など複数のレベルがあり、「性能」「容量効率」「耐障害性」のどれを重視するかで選択肢が変わります。
なお、RAIDはバックアップの代替ではありません。RAIDは主に「ディスク故障に対する継続運用」を目的とした技術であり、誤削除、ランサムウェア、アプリケーション障害、運用ミスなどには別途対策が必要です。
RAID 10は、まずディスクを2台1組のミラーペアとして構成し(RAID 1)、その複数ペアに対してストライピング(RAID 0)を行う方式です。一般に最低4台のディスクが必要で、以降は2台単位で増設する構成が基本になります。
耐障害性は「どのディスクが壊れたか」に左右されます。RAID 10では、同じミラーペアの両方が同時に故障するとデータに影響が出ます。一方で、異なるペアであれば複数台が故障しても動作を継続できる場合があります(構成と故障パターン次第です)。
ミラーリング(RAID 1)は、同じデータを2台のディスクに同時に書き込みます。片方が故障しても、もう片方から読み出せるため、ディスク障害に対して強くなります。
ストライピング(RAID 0)は、データを複数ディスクへ分割して書き込み、並列アクセスで性能を引き上げる方式です。ただし冗長性がないため、単体で使うとディスク故障時の影響が大きくなります。
RAID 10はこの2つを組み合わせ、「ペア単位で冗長化しつつ、ペア間で並列化する」ことで、耐障害性と性能を同時に狙います。
ただし、RAID 10が常に「最適」ではありません。容量効率が低く、ディスク本数が増えるほどコストも上がりやすいため、性能・可用性・コストのバランスで判断することが重要です。
RAID 10のメリットは、単に「速い」「安全」というより、業務影響の出やすい局面(高負荷時、障害時)で破綻しにくい点にあります。ここでは、現場での評価軸になりやすいポイントを整理します。
RAID 10はストライピングにより並列アクセスできるため、特にランダムI/Oが多い用途(DB、仮想化、トランザクション処理など)で性能メリットが出やすい構成です。読み込みはミラーのどちらから読むかを制御できる実装もあり、読み取り性能の向上が期待できるケースもあります。
ミラーリングによって、ディスク1台の故障では停止せずに動き続けられる可能性が高くなります。特に業務システムでは「止まらない」こと自体が価値であり、RAID 10はこの要件に合致しやすい方式です。
RAID 10のリビルド(再同期)は、基本的に「ミラーの健全側から新ディスクへコピー」する動きになります。パリティ計算を伴う方式と比べて、復旧手順が理解しやすく、障害対応の見通しが立てやすい点はメリットです。ただし、リビルド中はI/O負荷が上がり、性能が落ちるため、運用上の計画は必要です。
RAID 10の使用可能容量は約50%で、容量効率だけを見ると不利です。ただし、性能要件や可用性要件を満たすためにディスク本数を増やす設計では、結果として「必要性能を満たせる最短構成」になり、トータルの設計がシンプルになることもあります。容量効率は弱点ですが、要件次第では合理的な選択になり得ます。
RAID 10は万能ではありません。導入前に「どこが弱いか」を把握しておくと、後戻りの少ない選定ができます。
同容量ディスクで構成する場合、使える容量は総容量の半分です。大容量を安価に確保したい用途では、RAID 5/6や、そもそも別アーキテクチャ(分散ストレージなど)が検討対象になります。
RAID 10は「複数台壊れても大丈夫」と言われることがありますが、正確にはどのペアで壊れたかが重要です。同一ミラーペアの両ディスクが故障すると、その時点で影響が出ます。障害の確率設計(同時故障、同ロット、同環境要因)も踏まえ、監視と交換体制を整える必要があります。
同じ使用可能容量を得るには、ディスク本数が増えます。加えて、RAIDコントローラ、キャッシュ、バッテリ/フラッシュ保護、保守契約なども含めると、総コストは無視できません。
RAID 10を導入する際は、「作ること」よりも「要件に合う形で作ること」が重要です。ここでは、構築作業に入る前に確認すべき設計ポイントも含めて解説します。
ディスクは、可能なら同容量・同性能で揃えます。混在させると、遅いディスクに引っ張られたり、容量が小さい側に合わせて使える容量が減ったりします。
RAIDコントローラ選定では、RAID 10対応は前提として、次の観点が実務上重要です。
「性能」だけでなく、障害時に誰が、どの手順で復旧できるかまで含めて選ぶと失敗が減ります。
ホットスペアは、復旧までの時間を短縮しやすい反面、「自動でリビルドが始まり、業務時間帯に性能が落ちる」リスクもあります。業務影響が大きい場合は、自動開始条件(手動トリガー可否、優先度制御)まで含めて運用設計すると安全です。
RAID 10の性能は、単に「RAID 10にした」だけで決まりません。負荷特性に合わせた設計が重要です。
結局のところ、要件(目標IOPS、遅延、RTO/RPO、予算)に照らし、ベンチマークや実測で確認するのが確実です。
RAID 10は「組んだ瞬間が完成」ではなく、障害が起きたときに設計の良し悪しが表れます。運用で押さえるべきポイントを整理します。
RAIDはディスク故障対策であり、誤削除やランサムウェア、アプリケーション破損、人為ミスには無力です。バックアップは、世代管理やオフライン/別媒体保管なども含め、別系統で設計します。RTO(復旧時間)とRPO(許容データ損失)を基準に頻度と方式を決めると、判断がぶれにくくなります。
RAID 10では、ディスク1台故障の時点では動作継続できることがあります。しかし、故障ディスクを放置すると、同一ペア側の残り1台が故障した瞬間に影響が出ます。「故障を検知したら、交換までの手順が回る体制」を作っておくことが重要です。
RAIDコントローラやディスクのファームウェア更新は、安定性や既知不具合への対策として重要です。一方で、更新で想定外の挙動が出ることもあるため、保守窓での実施、事前検証、ロールバック方針の用意など、運用手順を固めておくと安全です。
RAID運用では「壊れてから」より「壊れそうを拾う」ほうが有利です。RAID管理ツールのアラート、ログ、S.M.A.R.T.情報、媒体エラーの増加などを監視し、異常の兆候が出た時点で交換判断できるようにします。通知が担当者に確実に届く経路(メール、監視基盤連携など)も含めて設計しましょう。
RAID 10は、RAID 1(ミラーリング)とRAID 0(ストライピング)を組み合わせ、可用性と性能を両立しやすいRAID構成です。最低4台のディスクから構成でき、I/O負荷が高い用途で強みが出やすい一方、容量効率は約50%でコストが上がりやすいという弱点もあります。導入時は、コントローラ選定、監視と交換体制、バックアップ設計まで含めて検討し、要件に合うかを判断することが重要です。
RAID 10はミラー+ストライプで性能と冗長性を両立しやすく、RAID 1は冗長性重視、RAID 5は容量効率も重視する方式です。
一般的に最低4台が必要で、以後は2台単位で増やす構成が基本です。
故障の組み合わせ次第です。同一ミラーペアの両方が故障すると影響が出ます。
同じデータを2台に書くミラーリングを行うため、実質的に容量を半分使って冗長性を確保します。
不要にはなりません。誤削除やランサムウェアなどには別途バックアップが必要です。
DBや仮想化、ファイルサーバーなど、I/Oが多く停止や性能低下の影響が大きい用途に向きます。
必須ではありませんが、交換までの時間を短縮しやすく可用性向上に役立ちます。
I/O負荷が増えて性能低下が起きやすいため、優先度設定や実施タイミングを運用で管理します。
キャッシュ保護、監視通知、ホットスワップ対応、ファーム更新方針など運用面まで含めて判断します。
アレイ状態、媒体エラー、ログ、S.M.A.R.T.、リビルド状況などを監視し、予兆段階で対応します。