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リージョンとは? わかりやすく10分で解説

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目次

リージョンとは

クラウドサービスの「リージョン」をわかりやすく整理

リージョンとは、クラウド事業者がサービスを提供するために用意している地理的に分離された提供拠点(地域)のことです。多くの場合、同一リージョン内に複数のデータセンター設備が含まれ、利用者は用途(遅延、法規制、BCP、提供サービス、コストなど)に応じてリージョンを選択します。

リージョンを分けている狙いは、災害・大規模障害の影響を局所化しやすくすることにあります。とはいえ「他リージョンに影響が及ばない」と断言できるわけではなく、クラウド側の広域障害や依存サービスの障害、運用・設定ミスなどにより、複数リージョンが同時に影響を受ける可能性もあります。

リージョンの役割

リージョンの役割は大きく3つです。

  • 可用性・事業継続:災害や大規模障害に備え、システムを分散配置しやすくする
  • 性能(遅延)の最適化:利用者に近いリージョンを選ぶことで、通信遅延を抑えやすくなる
  • 要件への適合:法規制・データ所在・社内ルールなどの要件に合わせた配置がしやすい

クラウドの「リージョン」と「ゾーン」

ゾーンとは

ゾーン(Availability Zone / Zone)は、一般に1つのリージョンの中を、物理的・運用的に分離した区画を指します。多くのクラウドでは、リージョン内に複数ゾーンが用意されており、ゾーンを分けることで、単一設備(電源・空調・ネットワークなど)の故障で全体が止まるリスクを下げやすくなります。

ただし、ゾーンは「完全に独立していて絶対に影響し合わない」わけではありません。設計上は分離されていても、共通の依存サービスや制御系の障害、人的ミスなどで複数ゾーンが同時に影響を受ける可能性は残ります。

リージョンとゾーンの違い

  • リージョン:地理的に離れた提供拠点(地域)
  • ゾーン:リージョン内の分離区画(複数データセンター相当の分離単位)

ざっくり言うと、「災害級の分離」を狙うのがリージョン「設備故障の分離」を狙うのがゾーンです。

ゾーンを使った冗長化の考え方

よくある基本は「同一リージョン内で複数ゾーンに分散配置」です。遅延を抑えつつ、単一ゾーン障害への耐性を上げやすい構成です。さらに高い耐災害性が必要なら「マルチリージョン」を検討します。

リージョン選択が重要になる場面

リージョン選択の主要な観点

  • 遅延:利用者や拠点に近いほど有利になりやすい
  • 提供サービス:リージョンにより使えるサービス/機能が異なる場合がある
  • コスト:同一サービスでもリージョンごとに料金が違う場合がある
  • 法規制・データ所在:データをどこに置くべきか要件がある
  • BCP:災害リスクや復旧方針(RTO/RPO)との整合

通信速度(遅延)との関係

利用者に近いリージョンを選ぶと、一般に遅延を抑えやすくなります。ただし、遅延は距離だけで決まらず、回線品質・混雑・経路・アプリ側の設計にも左右されます。「近い=必ず速い」と決め打ちせず、測定して判断するのが安全です。

コストとの関係

リージョンごとの料金差はよくあります。ただし、安さだけで選ぶと、遅延や可用性要件を満たせないことがあります。総合的に(性能・可用性・運用・データ転送料なども含めて)比較することが重要です。

リージョンとデータ管理

データの保管場所(データ所在)

クラウドでは、データがどのリージョンに保存されるかは重要です。法規制、契約、社内ポリシーにより「国内リージョンに保存」などの要件があるケースもあります。「どのサービスが、どの範囲にデータを置くのか」を事前に確認しておくのが基本です。

「自動で複数リージョンに複製される」は要注意

クラウドの多くのサービスは、同一リージョン内で冗長化(複数設備への分散)されていることはありますが、デフォルトで複数リージョンに自動複製されるとは限りません。マルチリージョン複製はオプション設定や別サービスの組み合わせが必要なことが一般的です。

リージョン間のデータ転送

リージョンをまたぐ通信は、同一リージョン内より遅延が増えやすく、コスト(データ転送料)が発生することもあります。マルチリージョン設計では、整合性・遅延・コストのトレードオフを意識した設計が必要です。

リージョンと可用性・冗長性

「ほぼ100%可用性」は言いすぎ

マルチリージョン構成は可用性を高める有力な手段ですが、「ほぼ100%」と断言できるものではありません。広域障害、共通依存(認証・DNS・外部API・運用手順)、設定ミスなどで同時に影響を受ける可能性は残ります。

よくある設計パターン

  • マルチAZ(同一リージョン内で複数ゾーン):遅延を抑えつつ、単一ゾーン障害に備える
  • マルチリージョン:災害・広域障害に備える(ただし設計と運用は難易度が上がる)

災害対策(BCP)の考え方

災害対策は「リージョンを分ければOK」ではなく、復旧目標(RTO/RPO)を決め、バックアップ、手順、切り替え訓練まで含めて設計することが重要です。

リージョンを活用した発展的な運用

マルチリージョン構成の難しさ

マルチリージョンは強力ですが、次の課題が出やすくなります。

  • データ整合性:同期方式によっては矛盾や競合が起きる
  • 運用難易度:切替手順・監視・障害対応が複雑になる
  • コスト:二重投資、データ転送、複製コストが増える

「どの障害に備えるのか」を明確にし、要件に見合う範囲で採用するのが現実的です。

リージョンを使った負荷分散

地域ごとにユーザーがいる場合、リージョンを分けて配置すると、遅延を抑えながら負荷分散しやすくなります。一方で、グローバル分散は設計の選択肢が増える分、監視・切替・データ設計まで含めた全体最適が必要です。

【参考】負荷分散装置(ロードバランサー)とは? わかりやすく10分で解説

よくある質問(FAQ)

リージョンとは何ですか?

リージョンは、クラウド事業者がサービスを提供する地理的に分離された拠点(地域)です。遅延、法規制、BCPなどの要件に合わせて選びます。

ゾーンとは何ですか?

ゾーンは、一般にリージョン内を分離した運用区画(複数データセンター相当の分離単位)です。単一設備故障の影響を減らす目的で用意されます。

リージョンとゾーンの違いは何ですか?

リージョンは「地理的に離れた拠点」、ゾーンは「同一リージョン内の分離区画」です。災害級の分離はリージョン、設備故障の分離はゾーンが主目的です。

複数ゾーンに分ければ災害対策になりますか?

単一ゾーン障害には強くなりますが、大規模災害や広域障害まで想定するなら、マルチリージョンやバックアップ設計も含めて検討が必要です。

利用者に近いリージョンを選べば必ず速くなりますか?

近いほど遅延を抑えやすい傾向はありますが、回線品質や経路、混雑、アプリ設計にも左右されます。測定して判断するのが確実です。

リージョンで料金は変わりますか?

変わる場合があります。ただし安さだけで選ぶと、遅延や可用性、提供サービスの要件を満たせないことがあるため総合比較が重要です。

クラウドのデータは自動で複数リージョンに複製されますか?

必ずしもそうではありません。同一リージョン内で冗長化されることは多い一方、マルチリージョン複製は設定や追加構成が必要なことが一般的です。

マルチリージョンにすると可用性は100%になりますか?

なりません。可用性は高められますが、共通依存(認証・DNS・外部API)、設定ミス、広域障害などで同時影響が起こる可能性は残ります。

リージョンを選ぶときに法規制は関係しますか?

関係します。データ所在や越境移転の制約がある場合、保存場所や処理場所の要件に合うリージョン選択が必要です。

リージョン設計で失敗しがちなポイントは?

「分散すれば安心」と思い込み、データ整合性、切替手順、監視、訓練、リージョン間コスト(転送)を見落とすことです。復旧目標(RTO/RPO)から逆算して設計します。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム