社内システムや社外向けサービスを運用していると、さまざまな場面でサーバーが利用されます。サーバーは24時間365日稼働し続けることが期待される一方、運用を続けるなかでサーバーダウンが発生し、利用できなくなることもあります。サーバーダウンは、業務停止や機会損失、信用低下につながりやすく、影響範囲も広くなりがちです。
この記事では、サーバーダウンの原因を整理したうえで、止めないための設計・運用(予防)と、起きたときに影響を抑えるための備え(復旧)を、実務の観点から解説します。
この章では、サーバーダウンの代表的な原因を「外部要因」「負荷」「機器」「ソフトウェア」「運用」の観点で整理します。原因が異なれば有効な対策も異なるため、まずはパターンを押さえることが重要です。

サーバーダウンの原因としては、おもに次に挙げる5つが考えられます。
特に気をつけるべき原因として、外部からのサイバー攻撃が挙げられます。サービスを外部に公開している場合には、DDoSなどのサービス妨害攻撃への備えも必要です。社内システムにおけるサーバーでも、不正アクセスなどを通じてサーバーダウンが引き起こされる可能性があります。
近年、企業が保有する情報を狙ったサイバー攻撃は後を絶ちません。被害に遭うと多大な損失につながる恐れがあるため、サーバーには十分なセキュリティ対策が必要です。
サイバー攻撃というと情報窃取を想像しがちですが、実務では「サービスを止める」こと自体が狙いになることもあります。DDoSのような妨害に加えて、侵入後に暗号化や破壊を行い復旧を難しくするケースもあり、結果として長時間停止につながります。したがって、セキュリティ対策は「侵入を防ぐ」だけでなく、「止められにくい状態をつくる」視点が欠かせません。
サーバーにアクセスが集中すると、サーバー性能を超えるトラフィックが流れ込み、処理しきれずにサーバーダウンが発生することがあります。特に公開しているサーバーでは注意が必要です。
先に触れたDDoS攻撃は、故意にアクセス集中を発生させてサーバーダウンを狙う攻撃です。サイバー攻撃でなくとも、例えばECサイトで特売セールを開催したことで予想以上にアクセスが集中し、サーバーダウンが発生する、といったケースも考えられます。
「アクセス集中=CPUが足りない」と単純化されがちですが、実際にはボトルネックはさまざまです。アプリケーションのスレッド上限、DB接続数、ストレージI/O、外部API呼び出し、DNSや証明書更新の処理、ロードバランサーやWAF側の制限など、サーバー以外が先に詰まることもあります。負荷対策では、どこが詰まると停止に見えるのかを前提に設計する必要があります。
サーバーもコンピューターの一種であり精密機械です。一般的なパソコンと比べると信頼性を高めた設計がされていますが、常時稼働させ続ける運用である以上、故障リスクは徐々に高まっていきます。
サーバーを構成する要素として、CPU・メモリ・ストレージ・電源などが挙げられますが、これらの一部に故障が発生することでサーバーダウンにつながる可能性があります。さらに、放熱用ファンの故障や、各部品をつなぐケーブルの断線、サーバー同士を接続するLANケーブルの不具合などでも影響が出るため注意が必要です。
ストレージの劣化やメモリエラー、ファン回転数の低下、温度上昇など、故障の前に兆候が出るケースは少なくありません。監視で拾える項目を増やし、部品交換やリプレイス判断につなげられると、停止に至る前に手当てできる可能性が高まります。
サーバー上では、OSとあわせて、WebサーバーであればApacheなどのWebサーバーソフト、メールサーバーであればSendmailなどのメールサーバーソフトが稼働しています。
これらのソフトウェアが不具合を起こしたり、プロセスが停止したりするとサーバーダウンが発生します。原因としては、アクセス集中に伴う負荷の増大、設定不備、プログラムのバグなどが考えられるでしょう。
サーバー自体が停止していなくても、アプリケーションの一部機能が停止したり、特定のAPIだけがタイムアウトしたりすると、利用者側からは「サーバーダウン」に見えることがあります。可用性を考える際は、OSの稼働だけでなく、提供している機能単位での正常性(応答時間やエラー率)を監視・評価することが重要です。
サーバーダウンは人の手によっても引き起こされます。例えば、誤って電源を落としてしまう、設定変更の際に誤った内容を適用してしまう、といったことが考えられます。人的ミスも起こりやすい原因のひとつであるため、サーバーに触れる際には十分な注意が必要です。
サーバーは、ハードウェアからソフトウェアまで多くの要素が積み重なって成り立っています。どこか一部に不具合が生じると、連鎖的に影響が広がり、サービスとして正常に機能できなくなることがあります。
人的ミスは個人の注意力だけに依存すると再発します。変更管理(承認・レビュー・影響評価・作業手順の標準化)、作業権限の最小化、ロールバック手順の用意、自動化(スクリプト化や設定のコード化)など、仕組みとして事故を起こしにくくする設計が必要です。
この章では、サーバーダウンの発生確率を下げ、起きても影響を最小化するための基本方針を整理します。結論として、重要なのは「起きない前提」ではなく「起きる前提」で設計と運用を整えることです。

サーバーダウンを防ぐための対策にはさまざまな方法がありますが、まず重要なのは「サーバーダウンは発生しうる」という前提を置くことです。サーバーは長期間運用することが多く、想定外の障害がゼロになるとは限りません。発生を前提に、影響を最小化できる設計と運用を整えることが重要です。
サーバーがダウンしても、システムやサービスが継続できれば業務影響は小さくできます。そのため、サーバーを冗長化し、仮に1台で障害が発生しても、別のサーバーで処理を継続する考え方が一般的です。
予備のサーバーを用意し、負荷分散装置(ロードバランサー)などでトラフィックを分散したり、障害発生時に自動で切り替えたりする仕組みを構築します。単に台数を増やすだけではなく、「切り替えが機能するか」「復旧に要する手順は明確か」といった運用面まで含めて設計しましょう。
冗長化は構成図上で二重化していても、切り替え条件が不適切だったり、監視が誤検知したり、セッションやストレージの扱いが設計されていなかったりすると、実際には止まってしまうことがあります。フェイルオーバーの条件、ヘルスチェックの方法、状態を持つ処理(セッションやジョブ)の扱い、切り替え後に何を確認するかまで含めて「動く冗長化」をつくることが重要です。
障害をゼロにすることは難しいため、異常の兆候を早期に検知できる仕組みが欠かせません。CPU・メモリ・ディスク・ネットワーク、プロセスの稼働状況などを監視し、異常時に即座に気付ける体制を整えましょう。
CPUやメモリが正常でも、外部依存(DNS、証明書、外部API、DB)やアプリケーション内部の不具合でレスポンスが悪化することがあります。死活監視に加えて、応答時間、エラー率、重要APIの疎通、証明書期限など、サービス継続に直結する項目を監視対象に含めると検知漏れを減らせます。
アクセス集中などに耐えられるようにサーバーのスペックを見直すことも重要です。必要に応じて専用サーバー(アプライアンス)の導入や、老朽化したサーバーのリプレイスも検討しましょう。近年ではクラウド上にサーバーを構築するケースも増えているため、要件に合う場合はクラウドの利用も選択肢になります。
性能はピーク時だけが問題になるわけではありません。ログやデータが増え続ける、証明書更新やバッチ処理が重くなる、DBのインデックスが追いつかないなど、運用とともに徐々に遅くなることがあります。定期的な容量計画(キャパシティプランニング)と、ボトルネックの見直しを前提にしておくと、突発的なダウンを避けやすくなります。
有事に備えて定期的にバックアップを取得し、必要なときに確実に復旧できる状態にしておくことが重要です。バックアップは「取っている」だけでは不十分で、実際に復旧できるか(リストア検証ができているか)まで含めて運用しましょう。
バックアップ設計では「どこまで戻せれば業務が成立するか」という目標が重要です。データ損失をどこまで許容できるか、復旧にどれだけ時間をかけられるかによって、バックアップの頻度や方式、保管場所、復旧手順の作り方が変わります。目標が曖昧だと、いざというときに「戻せるが間に合わない」状態になりやすい点に注意が必要です。
公開サーバーはもちろん、社内向けシステムでもサイバー攻撃が原因で停止に追い込まれる可能性があります。DDoS対策、不正アクセス対策、脆弱性管理、権限管理、ログの監視などを組み合わせ、「侵入されないこと」だけでなく「止められないこと」まで意識して対策を設計しましょう。
セキュリティ対策は、入口で遮断する仕組み(アクセス制御や脆弱性対策)に偏ると、侵入後の被害拡大を防げないことがあります。権限の最小化、管理者作業の統制、ログの保全と監視、改ざんされにくいバックアップなどを組み合わせ、侵入されても停止に至りにくい設計にしておくと、事業継続の観点で強くなります。
この章では、サーバーダウンが発生したときに、現場が最初に何を確認し、どう切り分ければ復旧を早められるかを整理します。結論として、初動で重要なのは「影響範囲」「時系列」「どこまで生きているか」を短時間で把握することです。
障害対応では、まず「何が起きているか」を共通認識にします。具体的には、どのサービスが利用できないのか、社内からも社外からも駄目なのか、特定機能だけなのか、エラーがタイムアウトなのか、認証なのか、といった症状を整理します。ここが曖昧なまま原因調査に入ると、復旧が遅れやすくなります。
「サーバーダウン」の見え方は同じでも、原因は大きく3つに分かれます。
まずはPingや疎通、名前解決、ポートの応答、ヘルスチェック、ログの時系列など、短時間で確認できる情報を使って切り分けます。
障害は、原因が一つとは限りません。アクセス増加が先に起き、その後にリソースが枯渇し、最後にプロセスが落ちる、といった連鎖が典型です。監視アラートの発生順、リソース推移、エラーログの発生時刻などを時系列で整理すると、原因と結果を取り違えにくくなります。
大規模障害では、原因を特定して完璧に直すより先に、影響を縮小する手当て(止血)が必要になることがあります。例えば、アクセスを制限する、機能を一時的に止める、切り替え先へ逃がす、メンテナンス画面に切り替えるなど、事業影響を抑える判断を先に行う場合もあります。復旧を急ぐほど、手順と判断基準を事前に整えておくことが重要です。
企業がサーバーを運用する上では、まず「サーバーダウンは発生しうる」という前提を持っておきましょう。サーバーダウンはサイバー攻撃、アクセス集中、ハードウェア故障、ソフトウェア障害、人的ミスなど、さまざまな原因で引き起こされます。
一方で、冗長化や負荷分散、監視、性能対策、バックアップと復旧手順の整備、セキュリティ対策などを組み合わせることで、障害が起きてもサービスを継続できる可能性は高まります。また、障害時の初動では影響範囲と時系列を素早く整理し、サーバー停止・ネットワーク断・アプリ停止を切り分けることで、復旧のスピードと品質を上げやすくなります。対策が十分でない場合は、この機会に見直してみてはいかがでしょうか。
サーバーダウンはサーバー自体やサーバー上のサービスが停止して利用できない状態を指すことが多く、ネットワーク障害は通信経路の問題で到達できない状態を指します。実務上は両者が同時に見えるケースもあるため、切り分けが重要です。
影響範囲と症状を確認し、監視アラートやログの時系列を見ながら、サーバー停止なのかネットワーク断なのか、あるいはアプリケーション停止なのかを切り分けるのが第一歩です。
アクセス集中はキャンペーンなどの要因と一致することが多い一方、DDoSは大量アクセスが特定のパターンで継続する傾向があります。増え方や送信元の偏り、リクエスト内容などを分析して判断します。
単体障害の影響は小さくできますが、構成ミスや同時障害、設定不備、アプリケーション不具合などは別途対策が必要です。冗長化は止まりにくくする重要な手段ですが万能ではありません。
CPUやメモリ、ディスク、ネットワークなどのリソースに加え、プロセス稼働、応答時間、エラー率などアプリケーション観点の監視も重要です。利用者視点の疎通確認も組み合わせると検知漏れを減らせます。
業務要件によって異なります。重要なのは頻度だけでなく、実際に復旧できることを確認できているかであり、復旧手順の整備とリストア検証まで含めて運用する必要があります。
なくなるわけではありません。クラウド側の障害や設定ミス、アプリケーション側の問題は起こり得ます。ただし冗長化やスケールの選択肢を取りやすく、設計次第で止まりにくい構成にしやすい面があります。
手順書の整備、変更管理、作業権限の最小化、作業ログの記録、ロールバック手順の準備が有効です。自動化や設定のコード化で属人性を下げる方法もあります。
必須ではありませんが、複数台でサービスを運用する場合は負荷分散や切り替えに有効です。可用性、コスト、運用体制などの要件に応じて採用を検討します。
必要です。サイバー攻撃は情報窃取だけでなく、DDoSや侵入後の破壊や暗号化などでサービス停止を狙うことがあります。侵入されないだけでなく止められないための対策も含めて設計することが重要です。