トレンド解説

サイドチャネル攻撃とは? わかりやすく10分で解説

アイキャッチ
目次

サイドチャネル攻撃とは?

サイドチャネル攻撃の基本的な概念

サイドチャネル攻撃は、暗号化された情報を解読する手法の一つです。具体的には、コンピュータなどの情報処理装置が情報を暗号化あるいは解読する過程で発生する物理的な現象、如何に処理時間や消費電力、発生する熱や音などを利用して、暗号の秘密鍵を割り出す手法を指します。

サイドチャネル攻撃は暗号化の安全性を脅かす重大な脅威です。なぜなら、情報を暗号化する過程や情報を処理する装置の物理的な特性を利用することで、通常では得られない情報を得ることができるからです。

この攻撃手法は、十分な時間、リソース、知識があればどの種類の秘密鍵でも解読することが可能です。しかし、それぞれの情報処理装置やアプリケーションの種類に応じて、必要な時間やリソースは大きく異なります。

サイドチャネル攻撃の歴史

サイドチャネル攻撃の起源は古く、元々は軍事技術として開発された手法です。理論的な考察は1990年代中頃から始まり、それ以来技術者たちはこの攻撃手法を理解しようと試みてきました。

サイドチャネル攻撃の手法は時間と共に進化し、初期の頃は単純なタイミング分析や電力分析が主流でしたが、現在では更に高度な電磁波解析や熱分析、音分析など様々な手法が用いられるようになりました。

また、攻撃を行うために必要な装置や技術も進化しており、現代では専門的な知識と高度な技術を備えた攻撃者が存在します。これらの攻撃者は企業のサイバーセキュリティを大きく脅かす存在となっています。

サイドチャネル攻撃の特徴

サイドチャネル攻撃の最大の特徴はその"非破壊的"な性質です。つまり、情報処理装置自体を物理的に壊すことなく、秘密鍵を取得することが可能だという点です。これにより、装置の使用者自身が攻撃が行われていることに気づくことは難しいとされています。

また、サイドチャネル攻撃の別の特徴は、攻撃対象となる情報処理装置やアプリケーションが具体的にどのような暗号を使用しているかによって、攻撃手法を選ぶことができる点です。一部の高度な攻撃手法では、特定の情報処理装置またはアプリケーションに特化した攻撃が可能となっています。

そして、サイドチャネル攻撃の特徴として、攻撃者が物理的に近くにいる必要があるという点も挙げられます。なぜなら、サイドチャネル攻撃はコンピュータなどの情報処理装置から出力される物理的な信号を収集する必要があるためです。

サイドチャネル攻撃と他の攻撃手法との違い

サイドチャネル攻撃は、通常の暗号解析攻撃やネットワーク攻撃と大きく異なる点がいくつかあります。その中でも最も顕著な違いは、暗号そのものを解読しようとはせず、情報処理装置の使用中の物理的な「副作用」を利用して秘密鍵を推測するという点です。

一方、通常の暗号解析攻撃では、暗号化のアルゴリズムやパターンを解析し、その弱みを突くことで秘密鍵を求める手法が用いられます。しかし、サイドチャネル攻撃では、このような暗号解析を全く必要としません。

また、ネットワーク攻撃では、情報の送受信を盗聴したり、改ざんすることで秘密鍵を入手することが目的となりますが、サイドチャネル攻撃では通信そのものには関与せず、情報処理装置の物理的な痕跡だけを追います。

サイドチャネル攻撃の種類

サイドチャネル攻撃は、コンピュータの物理的特性から情報を盗み出す独特な攻撃手法です。ここではその種類と特徴を解説します。

タイミング攻撃

「タイミング攻撃」は処理時間の違いを測定して秘密鍵を推測する攻撃です。

暗号化の処理時間は、実行される演算の内容や順序によって微妙に異なります。この微妙な時間差を分析することで、暗号鍵を推測します。

この攻撃を防ぐためには、演算処理の時間差が生じないような設計が必要となります。

故障利用攻撃

次に、「故障利用攻撃」は、暗号化演算を故意に誤作動させ、結果の差異を解析する攻撃です。

故障を引き起こすことを繰り返すことで、正常な状態と異なるデータを取得し、それを解析することで秘密鍵を推測します。

この攻撃に対しては、乱数を取り入れた処理やエラーチェックなどが有効となります。

電力解析攻撃

「電力解析攻撃」は、消費する電力の違いから暗号鍵を推測する攻撃です。

コンピュータの処理によっては、特定の処理を行う際に消費する電力が異なります。これを利用し、電力の変動から秘密鍵を推測します。

この攻撃を防ぐためには、電力消費量を一定に保つ装置や処理方法が求められます。

電磁波解析攻撃

「電磁波解析攻撃」は、コンピュータや周辺機器からの電磁波を傍受し、情報を入手する攻撃です。

電子機器は動作中に電磁波を発生しますが、これに秘密鍵が反映されている場合があります。それを捉え、暗号を解析します。

電磁波の放射を抑える技術や放射した電磁波から情報を抽出することが難しい設計などが対処法となります。

キャッシュ攻撃

「キャッシュ攻撃」は、キャッシュ付きCPUのメモリアクセスの時間の違いを利用する攻撃です。

メモリアクセスの時間は、アクセス位置によって異なるので、この時間を測定し、どのデータにアクセスしているのかを推測します。それを基に暗号鍵を解析します。

キャッシュ攻撃は、専門的な知識が必要であるとともに、緻密な時間計測が必要となるため、難易度が高いとされます。

音声解析攻撃

「音声解析攻撃」は、コンピュータの演算時のノイズを分析し、処理内容を推測する攻撃です。

電子機器は作動時に微弱な音を発します。これを捉え、処理内容を解析することで暗号鍵を推測します。

この攻撃対策としては、発生する音を消すか、予測不能な音を重ねて攻撃を困難にするといったアプローチがあります。

サイドチャネル攻撃の手法と仕組み

サイドチャネル攻撃は、一見、不可視な情報へのアクセスを可能にする複雑な攻撃手法ですが、それぞれの方法と仕組みを解析することで、適切な防御策を立てることが可能となります。

このセクションでは、暗号装置への直接攻撃方法、電波の利用、さまざまな攻撃手法の施行方法、そしてサイドチャネル攻撃を成功させるための要件について詳しく説明します。

暗号装置への攻撃方法

一般的に、サイドチャネル攻撃の対象となるのは、暗号化機能を内蔵したICカードや半導体製品などです。

これらの装置の物理的な特性、例えば処理時間や消費電力、外部に放出される電磁波や音、熱などを外部から観察・測定して、内部の情報を入手する攻撃手法です。

サイドチャネル攻撃はたいていさまざまな種類の破壊的でない攻撃手法を用います。

電波の利用について

電磁波解析攻撃は、コンピュータや周辺機器から出る電磁波を受け取り、情報を捉える攻撃手法の一つです。

これは、コンピュータが作動している時、一定の電磁波を発生することを利用しています。

これらの電磁波を傍受すれば、直接的ではないかもしれませんが、稼働しているコンピュータの情報にアクセスすることができます。

サイドチャネル攻撃を成功させるための条件

サイドチャネル攻撃を成功させるためには、攻撃者が対象となる装置に一定の物理的なアクセスを持つ必要があります。

攻撃者が装置の近くにいればいるほど、正確な測定が可能になり、結果として攻撃の成功率が上がります。

そのため、物理的な保護策を強化することは、サイドチャネル攻撃を防ぐ最も効果的な対策の一つと言えるでしょう。

サイドチャネル攻撃の現状

近年、情報技術の進化につれ、様々なサイバー攻撃が生まれ、さらに進化しています。これらの中でも一つ、強力な脅威となりつつあるのがサイドチャネル攻撃です。今回は、その現状と脅威について詳しく解説します。

サイドチャネル攻撃はその名の通り、直接的なアクセスではなく、間接的な手段を用いて情報を盗む攻撃方法です。物理的な特性を観察し、測定することで、内部の秘密情報に迫るという一風変わった攻撃方法です。

以下に、具体的な被害事例から現代でのリスク、未来における挑戦、そしてどのようにサイバーセキュリティと結びついているのかを説明します。

サイドチャネル攻撃による被害事例

サイドチャネル攻撃の被害事例としては、暗号化されたデータが盗まれるというケースがあります。例えば、財団法人日本情報経済社会推進協会によれば、暗号化データに対し電力解析攻撃を行い、暗号鍵を推測する手法が確認されています。

また、脆弱性の存在するソフトウェアを用いて暗号を開ける手法も存在します。これらの結果、機密情報の漏洩や、個人情報の盗難、企業や個人への不正な攻撃といった被害が生じています。

こういった事例を見ても分かるように、サイドチャネル攻撃はとてもリスクの高い脅威となっています。

現代におけるサイドチャネル攻撃のリスクと影響

現代社会では情報の価値が増大し、その一方でサイバー攻撃によるデータ漏洩のリスクも増えています。その中で、サイドチャネル攻撃はその巧妙さから、特に重要なリスクとなっています。

例えば、ある企業の隠された独自技術やビジネス戦略、個々の個人情報などを盗み出すことで、大きな経済的損失を生じたり社会的な混乱を引き起こす可能性があります。

また、ただ情報を盗むだけでなく、その情報を利用してさらなるサイバー攻撃を引き起こすという二次的な被害も生まれています。

サイドチャネル攻撃の今後

近年の技術進歩により、サイドチャネル攻撃の方法もさらに高度化しています。未来に向けて、サイドチャネル攻撃はより厄介な脅威と化していきます。

例えば、人工知能や量子コンピュータといった新技術の台頭により、サイドチャネル攻撃の攻撃方法もより高度になり、その対策も更に困難になる見込みです。

これからも情報保護に対する取り組みや技術開発が更に重要となり、サイドチャネル攻撃への解決策が求められます。

サイドチャネル攻撃から身を守るための対策

サイドチャネル攻撃は自身のプライバシーや企業の機密情報を守る上で無視できないリスクです。「見えない敵」から自身を守るためには、対策が必要不可欠です。

ますます先進化するサイバー攻撃に対峙する現代において、適切な防衛策を講じるための具体的知識と理解が求められています。

このセクションでは、サイドチャネル攻撃についての基本的な対策から、具体的な方法、企業や組織での予防策、そして最新技術を駆使した防御策までを詳しく解説します。

基本的な理解と重要性

サイドチャネル攻撃は従来の攻撃手法とは異なり、機器やシステムの物理的な特性を利用した攻撃である点を理解することが重要です。

言い換えれば、サイドチャネル攻撃の防御は単純な暗号化技術だけでは不十分であり、機器やシステム全体の安全性が求められます。

このような視点から、防御策を考慮していくことで、効果的な対策の適用とそれによるセキュリティ強化が可能となります。

防止のための具体的な対策

具体的な対策としてまず挙げられるのは、機器を物理的に保護することです。これには、設備の盗難を防ぐための警備や、不正な改ざんから防ぐロック機能の設置が含まれます。

また、電力や電磁波、タイミング情報等、サイドチャネル攻撃に利用可能な物理的な情報を制御する試みも重要です。

例えば、同じオペレーションでも時間をバラつかせる、電力のパターンを一定に保つ等の工夫を行うことが挙げられます。

企業・組織における事前予防策

サイドチャネル攻撃への対策は、企業や組織全体での取り組みが不可欠です。

例えば、定期的なセキュリティ研修や教育を行い、最新のサイドチャネル攻撃の手口について知識を共有することは、これへの防衛策を強化する一助となります。

また、最新のセキュリティ関連の情報収集と更新、そしてそれに基づくシステムの定期的な見直しや改善も重要な予防策となります。

テクノロジーを利用した防御策

テクノロジーを活用した防御策も注目されています。 特に耐タンパー性の高い機器の使用や強固な暗号化技術の導入が挙げられます。

暗号化技術は常に進化しており、例えば量子暗号などの新技術はサイドチャネル攻撃に対して高い耐性を持つと言われています。

最新の技術を取り入れることで、潜在的な脅威から情報資産を守るための防衛壁を強固にすることが可能となります。

サイドチャネル攻撃の将来

サイドチャネル攻撃は一部の専門家たちから"暗号のアキレス腱"と呼ばれることもあり、その脅威はこれからも増すことが予想されます。しかし、この危険な攻撃に対抗する可能性を持つ技術や手段も現れつつあります。

この章では、サイドチャネル攻撃がどのように進化するのか、そしてそれに対する防衛策はどのように進化し得るのか、さらに現代の最新技術とどのように関連しているかを詳細に見ていきましょう。

攻撃の進化の可能性

サイドチャネル攻撃は常に進化の途上にあり、より洗練されていくことが予想されます。ハッカーたちは新たな攻撃手段を見つけ出すために絶えず工夫し、研究し、試み続けているからです。

現在のところ、タイミング攻撃や電力解析攻撃、音声解析攻撃などが主なサイドチャネル攻撃の形態ですが、これらは複合的に利用されることもあります。さらには、現在はまだ認識されていない新たなチャネルを利用した攻撃方法が未来には現れるかもしれません。

また、暗号系の技術の進展に伴い、それを破るための攻撃形態も進化していくでしょう。

対策技術の開発

サイドチャネル攻撃への対策として今後開発される可能性のある対策技術には、暗号化技術の進化、ハードウェアの改良、ソフトウェアの改善などがあります。

加えて、学習型のAIを用いて、サイドチャネル攻撃の検出や予防を行なうシステムも提案されています。AIにより異常な消費電力の変化や、怪しいパターンを自動的に検出することで、攻撃の発生を未然に防ぐことが可能となるでしょう。

しかし、サイドチャネル攻撃への対策はまだ発展途上であり、現状では完全な対策を打つのは難しい状況です。

AI・機械学習

AIや機械学習はサイドチャネル攻撃の防衛策として期待されている一方で、それ自体が新たな攻撃の対象となりえます。言い換えれば、機械学習モデルが訓練を重ねる過程で生成される情報が新たなサイドチャネルとなり、それ自体が攻撃の対象となりえます。

このように、AIや機械学習は二面性を持つため、対策としての活用と、攻撃対象としての防御の双方が求められます。

暗号解読や不正アクセスを防ぐためにまだまだ研究が進められていますが、その結果や進展について目を光らせておく必要があります。

ブロックチェーン技術

ブロックチェーン技術もまた、サイドチャネル攻撃の新たなターゲットとなり得ます。

ブロックチェーン技術はその設計上、改竄が非常に難しいという特性を持っていますが、その一部の情報がサイドチャネル攻撃により漏洩する可能性があります。

そのため、ブロックチェーン技術の利用においても、サイドチャネル攻撃への対策という観点から全体的なセキュリティ対策が必須となってきます。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム