UnsplashのChristian Wiedigerが撮影した写真
Telegramは、個人利用だけでなく、チーム連絡や顧客対応、情報発信にも使われるメッセージングアプリです。ただし、日本企業の業務利用という文脈では、「正式に選定・導入された社内ツール」というよりも、海外取引先との連絡や特定プロジェクトをきっかけに、現場主導で使われ始めるケースが多く見られます。
そのため、Telegramを業務で扱う際は、利便性や機能だけでなく、「なぜシャドーITとして問題化しやすいのか」「どこで統制が効きにくくなるのか」を理解したうえで位置づけを整理することが欠かせません。この記事では、Telegramの特徴とビジネス活用の考え方を、シャドーITの観点を含めて整理します。
Telegramは、スマートフォンやPCなど複数デバイスで同期して使えるクラウド型のメッセージングアプリです。テキストやファイルの送受信、グループ、チャンネル、ボットといった機能を備えており、用途に応じてコミュニケーションの形を選べます。
重要な前提として、Telegramは「すべての通信がデフォルトでエンドツーエンド暗号化(E2EE)」という設計ではありません。E2EEが適用されるのは主にシークレットチャットであり、通常のクラウドチャットは、クライアントとサーバー間で暗号化されたうえでTelegramのクラウドに保存されます。この違いを理解しないまま使われると、想定外の情報共有につながる可能性があります。
Telegramには、次のような機能があります。
これらの機能は、個人利用や小規模なやり取りでは便利ですが、業務で使う場合は「誰が管理し、どこまで許可するか」を決めないまま広がりやすい点に注意が必要です。
日本企業におけるTelegramの利用は、社内標準ツールとして広く定着している状況とは言えません。実務では、海外パートナーとの連絡や、特定領域のコミュニティ参加をきっかけに、一部の担当者が使い始めるケースが多く見られます。
このような導入経路では、IT部門や管理部門が把握しないまま利用が広がりやすく、結果としてシャドーITの状態になりやすい点が課題になります。
| 観点 | 業務上の注意点 |
|---|---|
| 導入経路 | 現場判断で使われ始め、正式な承認プロセスを経ないことがある |
| アカウント管理 | 電話番号前提のため、退職・異動時の回収が属人的になりやすい |
| 利用状況の把握 | 誰がどのグループやチャンネルに参加しているか把握しにくい |
| 暗号化の誤解 | 「暗号化されているから安全」という理解が先行しやすい |
Telegramは、企業向けSaaSのように、管理者がユーザーや権限を一元管理する設計ではありません。電話番号を基軸としたアカウント体系のため、退職者や異動者のアカウント回収は、個別対応になりやすくなります。
誰でも比較的簡単にグループやチャンネルを作成できるため、管理者不在の場が増えやすくなります。結果として、情報がどこに蓄積されているのか分からなくなり、棚卸しが難しくなります。
E2EEや自動削除といった機能は、本来は用途を限定して使うべきものです。しかし、「暗号化されているから問題ない」という理解で使われると、ガバナンスの観点ではむしろリスクが高まる場面もあります。
Telegramは万能な業務ツールではありません。業務で使う場合は、「何をTelegramで扱い、何を扱わないか」を明確にし、必要に応じて利用しない判断を含めて整理することが重要です。
これらを決めないまま利用すると、利便性が高い分だけ統制が効かなくなるリスクがあります。
Telegramは、個人利用や限定的な用途では便利なメッセージングアプリです。一方で、日本企業の業務利用という文脈では、正式導入されないまま使われやすく、シャドーITとして問題化しやすい特性を持っています。機能や暗号化の有無だけで判断するのではなく、管理・統制・運用のしやすさまで含めて位置づけを整理することが重要です。
日本企業の社内標準ツールとして広く採用されている状況ではありません。海外取引先との連絡や特定プロジェクトをきっかけに、現場主導で使われ始めるケースが多く見られます。
IT部門の承認や管理ルールがないまま利用されている場合は、シャドーITに該当します。ツール自体の善悪ではなく、管理・統制が及んでいるかどうかが判断基準になります。
暗号化の有無と、業務利用としての安全性は別の話です。エンドツーエンド暗号化が適用される範囲や、ログ保全・管理者統制が可能かどうかも含めて判断する必要があります。
いいえ。E2EEが適用されるのは主にシークレットチャットです。通常のクラウドチャットは別方式で暗号化され、Telegramのクラウドに保存されます。
アカウント回収の難しさ、利用状況の把握不足、グループ乱立、ログ保全や監査対応の難しさなどが問題になりやすい点です。
電話番号を前提としたアカウント設計のため、一般的な企業向けSaaSのような一元的な回収は難しく、個別対応になりやすい傾向があります。
作成自体は容易ですが、管理責任者を決めないまま増えやすく、どこで何が共有されているか把握しづらくなる点に注意が必要です。
情報漏えいリスクを下げる効果はありますが、業務記録が残らないという別のリスクもあります。用途とコンプライアンス要件を踏まえて使い分ける必要があります。
通知や受付などに利用できますが、トークン管理や権限設計、連携先サービスの安全性を決めないまま導入すると、統制が難しくなります。
正式に使うなら管理・運用ルールを整備する、難しい場合は業務利用を認めない、あるいは用途を限定するといった判断を含めて整理するのが現実的です。