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テレワークのVPN方式とは? | 特徴と注意点を解説

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目次

VPN方式とは?仕組み・メリット・デメリット・BYOD時の注意点を解説

VPN方式は、社外の端末から社内ネットワークや社内システムへ接続して業務を行う、テレワークで広く使われる方式の一つです。会社支給端末を前提に、既存の社内システムやファイルサーバーを継続利用したい場合には候補になりやすい一方、BYODを広く認めたい場合や、端末へのデータ保存をできるだけ避けたい場合は、ほかの方式も含めて比較する必要があります。

VPNが主に担うのは、通信経路の保護です。接続を許可する端末、認証方式、アクセス範囲、端末に残るデータの扱い、ログ確認まで自動的に整うわけではありません。VPN方式を選ぶかどうかは、接続経路だけでなく、端末管理と利用者統制まで含めて設計できるかで判断します。

方式全体の違いを先に確認したい場合は、テレワーク方式の比較を参照してください。自社に合う方式の選定まで含めて検討する場合は、テレワーク方式の選び方もあわせて確認すると整理しやすくなります。

向いているケース会社支給端末を前提に、既存の社内システムやファイルサーバーを継続利用したい場合です。
慎重に評価したいケースBYODを広く認めたい場合、端末にデータを残したくない場合、高い統制を少人数で維持しなければならない場合です。
前提になる対策端末管理、認証強化、アクセス制御、ログ管理、紛失時対応まで含めた設計です。
誤解しやすい点VPNを導入しただけで安全性が完結するわけではありません。主に保護されるのは通信経路であり、端末と利用者の統制は別に設計します。

VPN方式とは

VPN方式は、社外から社内ネットワークや社内システムへ接続する際に、インターネットのような信頼できないネットワーク上で、一般に暗号化した通信経路を確立して利用する方式です。テレワークでは、自宅や外出先の端末からVPN接続を行い、その経路を通じて社内ファイルサーバー、業務システム、認証基盤、社内Webアプリなどを利用します。

ただし、VPN接続だけで端末利用や認証の安全性まで確保されるわけではありません。接続を許可する端末の条件、利用者認証、接続先の範囲、端末に残るデータの保護、接続ログの確認は別に設計します。VPNは通信経路を保護する仕組みであり、端末管理や利用者統制まで代替するものではありません。

VPN方式の構成イメージ

基本構成

VPN方式では、手元のテレワーク端末からVPN装置またはVPNサービスへ接続し、利用者認証を行ったうえで社内ネットワークへ入ります。その先で、社内サーバーや社内アプリへアクセスします。利用者の立場から見ると、社外にいながら社内ネットワークへ接続して業務を行う構成です。

  1. 手元端末からVPN装置またはVPNサービスへ接続する
  2. 利用者認証を行う
  3. 社内ネットワークへ接続する
  4. 社内サーバーや社内アプリへアクセスする

この方式は、既存の社内資産を利用しやすい点が特徴です。業務システムを全面的にクラウド移行しなくても、社外から利用できる範囲を順に広げる形で導入しやすいため、テレワーク導入初期の候補になりやすくなります。

クラウド型VPNの見方

VPN方式には、オフィス内にVPN機器を設置する構成だけでなく、クラウド型VPNサービスを利用する構成もあります。拡張性や運用負荷の面で有利になる場合はありますが、クラウド型に切り替えただけで端末保存リスクや認証管理の課題が消えるわけではありません。

クラウド型VPNを選ぶ場合でも、接続元制御、認証方式、ログ取得、社内側の帯域設計、障害時の切り分け、サービス停止時の代替手段は検討対象に入ります。

VPN方式のメリット

オフィスに近い業務環境を作りやすい

VPN方式の利点は、オフィスに近い業務環境を作りやすい点です。社内ファイルサーバー、業務アプリ、社内Web、既存認証基盤などに接続できるため、オンプレミス中心の業務資産が多く残っている企業では候補になりやすくなります。

ただし、再現できるのは主として社内接続の経路です。手元端末の設定やアプリ環境まで自動的にそろうわけではありません。支給端末でOS、アプリ、セキュリティ設定を標準化できているかどうかで、使い勝手と管理負荷は変わります。

既存資産を活用しやすい

VPN方式は、新しい基盤を全面的に作り直さなくても、既存システムの延長で導入しやすい方式です。必要な部門から段階的に開始しやすい点は実務上の利点です。

一方で、既存資産を活用できるということは、既存の課題も引き継ぎやすいということです。権限管理の不備、整理されていないファイル共有、弱い認証、属人的な端末更新運用がある場合は、それらの問題も社外利用の範囲に広がります。

一部の業務では手元側で作業を継続しやすい

ファイルやアプリを手元端末側で扱う運用では、通信が一時的に不安定になっても、一部の作業を継続できることがあります。社内ネットワークへ接続して必要なファイルを取得し、手元端末側で処理する業務では、この特徴が利点になる場合があります。

この特徴は、リモートデスクトップ方式VDI方式との違いとして整理しやすい点です。反対に、手元側にデータが残りやすくなるため、端末保護の条件は厳しくなります。

VPN方式のデメリット

端末側にデータが残りやすい

VPN方式で見落としやすい論点が、端末側にデータが残りやすいことです。手元端末でファイルを扱う以上、ダウンロード、一時保存、キャッシュ、ローカルコピーが発生しやすくなります。支給端末であれば暗号化やMDMによる制御を組み込みやすい一方、紛失や盗難の可能性は残ります。

そのため、VPN方式では通信経路の安全性と端末上のデータ管理を分けて評価します。通信経路が保護されていても、端末管理が不十分であれば情報漏えいの経路は残ります。

端末管理と利用者管理の負担が大きい

VPN方式では、接続を許可する端末と利用者を把握したうえで、OS更新、マルウェア対策、ディスク暗号化、認証強化、ログ管理まで継続して運用します。接続元が増えるほど、社内境界の外にある端末をどう統制するかが課題になります。

社員を信頼していることと、端末や接続を適切に統制できていることは別です。端末紛失、家庭内ルーターの設定不備、フィッシング、私物利用との混在は、個人の注意だけでは防ぎ切れません。制度面と技術面の両方で条件をそろえる必要があります。

VPN機器や社内回線がボトルネックになりやすい

同時接続数が増えると、VPN機器、社内回線、社内システム側の性能が問題になりやすくなります。特に、利用者が急増した場合や、始業時、月末処理など接続が集中する時間帯には、遅延や不安定さが表面化しやすくなります。

この点は、VPN製品単体の性能だけでなく、社内全体の通信設計として確認します。接続人数、同時接続数、利用アプリ、転送データ量、認証基盤、ログ保存先まで含めて容量を見積もる必要があります。

ほかの方式との違い

VPN方式は、社内ネットワークへ入り、手元端末側で作業する考え方に近い方式です。そのため、既存環境を利用しやすい反面、端末保存リスクと端末管理負荷が大きくなります。方式選定では、この違いを曖昧にしないほうが比較しやすくなります。

VPN方式手元端末側で作業しやすく、既存の社内システムを広く使いやすい方式です。ファイル操作を伴う運用では端末にデータが残りやすくなります。
リモートデスクトップ方式接続先の社内PC側で処理するため、端末にデータを残しにくい構成を取りやすい方式です。操作性は通信品質の影響を受けやすくなります。
VDI方式仮想デスクトップ側で処理する方式です。端末保存を抑えやすく、高い統制を取りやすい一方、基盤側の整備と通信品質への配慮が欠かせません。
セキュアブラウザ方式Web業務中心で利用範囲を絞れる場合に選びやすい方式です。端末に残るデータを抑えやすい構成を取りやすい一方、利用できる業務範囲は限定されます。

向いている業務・慎重に評価したい業務

向いている業務

VPN方式が向いているのは、社内システムやファイルサーバーを広く利用する必要があり、一定の端末管理が可能な業務です。例えば、経理、人事、総務、営業支援、社内申請、文書作成など、既存の社内IT資産を多く利用する業務では候補になりやすくなります。

また、手元端末側で一部作業を継続したい場面がある業務では、通信が一時的に不安定でも作業を続けやすい場合があります。

慎重に評価したい業務

端末へデータを残したくない業務、外部委託先や私物端末へ広く開放したい業務、高い統制を少人数で維持しなければならない業務では、VPN方式だけで決めないほうが整理しやすくなります。

特に、機密性の高い情報を扱う場合や、BYODを広く認めたい場合は、リモートデスクトップ方式、VDI方式、セキュアブラウザ方式のほうが条件に合うことがあります。VPN方式だけで広く対応しようとすると、端末管理やアクセス制御の負担が大きくなりやすいためです。

セキュリティ上の留意点

端末暗号化を前提にする

VPN方式では、端末にデータが残る可能性があるため、ディスク暗号化は前提に置きたい対策です。特に、ノートPCを持ち出す運用では、紛失・盗難時に保存データを読まれないようにする必要があります。

暗号化だけでなく、画面ロック、強固な認証、端末の棚卸し、紛失時の連絡手順も合わせて整備します。

MDMやリモートワイプを組み合わせる

支給端末を用いる場合は、MDMや管理ツールによって、リモートワイプ、ポリシー適用、更新管理、アプリ制御を組み合わせやすくなります。紛失・盗難時に端末内データを削除できるか、端末が一定期間オンラインにならない場合にどう扱うかも決めておきます。

ただし、リモートワイプは万能ではありません。端末がネットワークに接続されない場合や、削除前にデータへアクセスされた場合を想定し、暗号化やアクセス権限管理と組み合わせます。

多要素認証を前提にする

IDとパスワードだけでVPN接続を許可する設計は避けるべきです。パスワード漏えいや使い回しが起きた場合、不正アクセスの起点になりやすいためです。

管理者、VPN、メール、クラウド管理画面など、重要な接続先には多要素認証を適用します。認証方式を設計する際は、利用者の負担、端末紛失時の復旧、外部委託先の扱いも合わせて確認します。

ログ取得とインシデント対応を整える

VPN方式では、誰が、いつ、どこから接続したのかを追跡できる状態にしておく必要があります。接続成功だけでなく、失敗試行、認証方式、接続元IP、接続時間、アクセス先、異常な時間帯の接続も確認対象になります。

ログを取得していても、確認する担当者、確認頻度、アラート条件、インシデント時の連絡先が決まっていなければ、対応は遅れます。接続ログの監視、異常検知、アカウント停止、証拠保全、利用者への確認、関係部門への連絡までを一連の手順として整備します。

BYOD利用時の留意点

VPN方式をBYODで利用すること自体は可能ですが、運用上の難易度は上がります。私物端末に業務データが残りやすいことに加え、OS更新、暗号化、利用アプリ、マルウェア対策を企業側がどこまで担保できるかが曖昧になりやすいためです。

また、インシデント発生時に私物端末へどこまで介入できるのか、誰がどこまで責任を負うのかを事前に定めていないと、対応が停滞しやすくなります。BYODでVPN方式を採用する場合は、許可端末の条件、保存禁止ルール、業務データ削除の方法、認証方式、利用場所、サポート範囲を明文化します。

BYODを広く認める場合は、VPN方式だけでなく、端末にデータを残しにくいリモートデスクトップ方式、VDI方式、セキュアブラウザ方式も比較対象に入れます。

VPN方式を選ぶ前に確認したいポイント

会社支給端末かBYODか

VPN方式では、どの端末から接続させるかが前提条件になります。会社支給端末で暗号化や更新管理まで実施できるのか、私物端末の利用をどこまで認めるのかによって、設計上の難しさは大きく変わります。

社内システムへどこまで接続させるか

VPN方式は社内ネットワークへ広く接続できる構成を取りやすいため、どのシステムまでアクセスを許可するのかを事前に切り分けます。全社一律で広く開放するのか、業務ごとに接続範囲を絞るのかによって、運用負荷もリスクも変わります。

通信品質と同時接続数をどこまで見込むか

VPN方式は、社内回線やVPN装置の性能に影響を受けやすい方式です。通常時だけでなく、始業時や月末処理など接続が集中する時間帯まで想定しておかないと、導入後に遅延や不安定さが表面化しやすくなります。

結論

VPN方式は、既存の社内システムを活用しやすく、業務再現性も高いため、導入初期の候補になりやすい方式です。その一方で、手元端末にデータが残りやすく、端末管理、認証強化、ログ管理、紛失時対応まで含めて設計しないと弱点が残ります。

会社支給端末を前提に、既存の社内資産を継続利用したい場合には有力な選択肢になります。反対に、BYODを広く認めたい場合や、端末保存を抑えたい場合は、VPN方式だけで決めず、ほかの方式も含めて比較したほうが適切に判断できます。

FAQ

Q.VPN方式とは何ですか?

A.インターネット上の信頼できないネットワークを介しても、一般に暗号化した通信経路を確立し、社外から社内ネットワークや社内システムへ接続する方式です。

Q.VPN方式の主なメリットは何ですか?

A.既存の社内資産を活用しやすく、オフィスに近い業務環境を作りやすい点です。社内システムやファイルサーバーを継続利用したい場合には候補になりやすくなります。

Q.VPN方式の主なデメリットは何ですか?

A.ファイル操作を伴う運用では端末側にデータが残りやすく、端末管理と情報保護の負担が大きくなりやすい点です。

Q.VPNがあれば安全ですか?

A.VPNだけでは十分ではありません。通信経路の保護に加えて、端末管理、認証強化、アクセス制御、ログ確認を組み合わせて設計します。

Q.クラウド型VPNであれば問題は減りますか?

A.拡張性や運用負荷の面で有利になる場合はありますが、端末保存リスクや認証管理、ログ設計といった課題は残ります。

Q.VPN方式はBYODに向いていますか?

A.慎重に評価すべき方式です。私物端末に業務データが残りやすく、企業側が管理できる範囲も曖昧になりやすいためです。

Q.VPN方式とリモートデスクトップ方式はどう違いますか?

A.VPN方式は手元端末側で作業しやすく、端末保存が発生しやすい方式です。リモートデスクトップ方式は接続先で処理するため、端末にデータを残しにくい構成を取りやすくなります。

Q.どのような企業に向いていますか?

A.会社支給端末を前提に、既存の社内システムやファイルサーバーを継続利用したい企業、段階的にテレワークを導入したい企業では候補になりやすくなります。

Q.最低限、どのような対策を考えるべきですか?

A.多要素認証、端末暗号化、OS更新、マルウェア対策、アクセス制御、ログ取得、紛失時対応を基本対策として検討します。

Q.VPN方式が合わない場合は何を検討すべきですか?

A.端末保存を抑えたい場合は、リモートデスクトップ方式、VDI方式、セキュアブラウザ方式を比較すると違いを整理しやすくなります。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム