IT用語集

テレワークとは? 押さえておきたい基礎知識・導入メリットなど

水色の背景に六角形が2つあるイラスト 水色の背景に六角形が2つあるイラスト
アイキャッチ
目次

テレワークは、場所に縛られない柔軟な働き方として一気に普及しました。一方で「とりあえず在宅可」にしただけでは、業務が回らなかったり、労務やセキュリティでつまずいたりします。本記事では、テレワークの基本から種類、メリット・デメリット、導入手順、運用で効くポイント、補助金・助成金の考え方までを整理し、読者が自社に合う設計を判断できるように解説します。

テレワークとは

この章では、テレワークの定義と、混同されやすい言葉との違いを整理します。

テレワークとは、tele(離れたところ)とwork(働く)を合わせた造語であり、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)を活用して、場所や時間にとらわれずに働く形態を指します。従来はオフィスに出社して働くことが一般的でしたが、インターネットやクラウド、業務アプリの普及により、オフィス以外の場所でも業務を進められるようになりました。

テレワークを適切に設計・運用できれば、業務効率化や生産性向上に加え、育児・介護などで出社が難しい人でも働き続けられる環境づくりにつながります。反対に、制度・業務・セキュリティのどれかが欠けると、現場負荷の増大や情報漏えいリスクの拡大といった問題が顕在化しやすくなります。

テレワークとリモートワークに違いはあるのか

「リモートワーク」はオフィス以外の場所で働くことを指す一般的な言い方で、明確な定義がないケースが多い言葉です。一方「テレワーク」は、ICTの活用を前提とした働き方として説明されることが多く、公的機関や大企業の文脈で用いられやすい傾向があります。

実務上はほぼ同義で扱われることが多いものの、社内規程・制度設計では「テレワーク」を用いた方が、ICT活用、勤務管理、情報セキュリティなどの要件を整理しやすい場合があります。社内文書で用語が揺れると、対象範囲やルール解釈がぶれやすいため、まず呼称と定義を統一しておくと運用が安定します。

テレワークの種類・形態

この章では、テレワークを「どこで働くか」「どれくらいの頻度で行うか」で整理し、自社に合う形を判断しやすくします。

テレワークは「どこで働くか」「どれくらいの頻度で行うか」によって、いくつかの形に分けて考えると整理しやすくなります。

場所による分類

在宅勤務

自宅で業務を行う形態です。通勤時間を削減でき、時間の有効活用や負担軽減が期待できます。育児・介護などで出社が難しい人が継続して働ける点もメリットです。一方で、自宅のネットワーク環境・作業環境の整備、情報漏えい対策が重要になります。

また、生活空間と業務空間が近いため、オン・オフの切り替えが難しくなりやすい点も見落とせません。制度設計では、勤務時間の定義、休憩、時間外申請、連絡の取り方などを具体的に定めることが重要です。

サテライトオフィス・コワーキングスペースでの勤務

サテライトオフィスは企業が別途用意するオフィススペース、コワーキングスペースは外部に公開されたワークスペースを指します。自宅では集中しづらい場合や、通勤負担を下げつつ対面コミュニケーションも取りたい場合に有効です。公衆Wi-Fi利用時の対策や、覗き見(ショルダーハック)対策も必要です。

加えて、周囲の利用者から画面が見える環境では、機密情報の取り扱いルールを厳格にする必要があります。画面の覗き見防止フィルターや、会話内容が漏れない場所でのWeb会議など、現場で守れる具体策に落とし込みます。

モバイルワーク

移動中(電車・新幹線・飛行機など)や、移動の合間のカフェ等で働く形態です。出先から必要なデータにアクセスできることで業務効率化が期待できますが、紛失・盗難、覗き見、公衆Wi-Fiなどのリスクが相対的に高くなります。

モバイルワークを許容する場合は、端末暗号化や画面ロックといった端末の基本対策に加え、業務上扱うデータの分類と持ち出し可否をセットで設計します。例えば「閲覧のみ可」「編集は社内ネットワーク経由のみ可」など、業務とデータの性質に応じた条件付けが現実的です。

ワーケーション

work(働く)とvacation(休暇)を組み合わせた言葉で、リゾート地などで仕事と休暇を組み合わせる形態です。制度として導入する場合は、勤務時間・費用負担・情報セキュリティ・労務管理を明確にしておく必要があります。

特に、勤務と休暇が混ざりやすい点は、労働時間の管理や事故発生時の対応に影響します。導入するなら、対象者、対象業務、申請手続き、勤務実態の記録方法までを具体化し、曖昧さを残さないことが重要です。

頻度による分類

フルリモート(常時テレワーク)

原則出社せず、テレワーク中心で業務を遂行します。採用可能地域が広がる一方、オンボーディング、チームビルディング、評価制度、セキュリティ設計をより丁寧に整備する必要があります。

対面機会が少ない分、情報共有の手段や手順が整っていないと、属人化や認識齟齬が起こりやすくなります。誰が何を決め、どこに記録し、どう共有するかを、ツールとルールの両面で固めます。

ハイブリッドワーク(随時テレワーク)

オフィス勤務とテレワークを組み合わせる形態です。対面でのコミュニケーションと、集中しやすい環境を両立しやすい反面、端末持ち運びの機会が増えるため、端末・データ保護の対策がより重要になります。

また、出社日と在宅日が混在すると、会議運営や意思決定の場が偏りやすくなります。出社者だけで話が進む状態を避けるため、会議の前提をオンライン中心に寄せるなど、運用の癖を整える必要があります。

テレワークが普及した背景

この章では、なぜテレワークが広がり、いまも継続・再設計されるのかを整理します。

テレワークは「働き方改革」の流れの中で注目されてきましたが、社会的に急速に普及したきっかけとして、新型コロナウイルス感染症への対応が挙げられます。感染拡大防止や事業継続の観点から、短期間で導入が進んだ企業も多くありました。

一方で、感染症対応が落ち着いた後も、BCP(事業継続)や人材確保、オフィスコストの見直しなどを背景に、テレワークを一定程度継続・再設計する企業が見られます。導入フェーズでは「できるようにする」ことが優先されがちですが、継続フェーズでは「成果が出るように整える」ことがテーマになります。

テレワークのメリット

この章では、企業側・従業員側のメリットを整理し、導入目的との紐付けを明確にします。

企業のメリット

  • 事業継続性(BCP)の向上:災害・感染症・交通障害などでも業務停止リスクを下げられます。
  • 多様な人材の雇用・活用:育児・介護など事情を抱える人材や、遠隔地の人材を活用しやすくなります。
  • コスト削減:オフィス賃料、光熱費、設備費などを見直す余地が生まれます。
  • デジタル化の促進:業務のオンライン化・標準化が進み、プロセス改善につながります。

メリットを現実の成果に変えるには、対象業務の選定と、運用ルールの整備が欠かせません。例えばBCP目的なら「どの業務が停止すると致命的か」を先に洗い出し、その業務をテレワークでも回せる状態にすることが重要です。

従業員のメリット

  • QOL(生活の質)の向上:通勤時間の削減により、家族・学習・休息などへ時間を充てやすくなります。
  • 業務の効率化:集中しやすい環境を整えられれば、生産性が上がる場合があります。
  • 学習・副業などへの時間確保:空いた時間を自己投資に回しやすくなります(社内規程の範囲で)。

一方で、職種や業務内容によっては、テレワークが必ずしも生産性向上につながらない場合もあります。メリットを前提にせず、業務特性と運用設計で実現するものとして捉えることが重要です。

テレワークのデメリット

この章では、起きやすい課題を企業側・従業員側に分けて整理し、対策設計の出発点を作ります。

企業のデメリット

  • 勤怠・労務管理の難しさ:働いている様子を直接確認できず、過重労働の把握が遅れるリスクもあります。
  • 情報セキュリティのリスク:社外ネットワーク利用、端末持ち出し、クラウド利用の増加に伴い、対策の範囲が広がります。

特に「誰がどの端末から、どの情報にアクセスできるか」の把握が曖昧なままだと、権限の過剰付与や共有設定ミスが起きやすくなります。導入に合わせて、アカウント管理やデータ分類、ログの見方までを一段具体化する必要があります。

従業員のデメリット

  • コミュニケーションの難しさ:対面に比べて情報量が落ち、すれ違いが起こりやすい場合があります。
  • 集中できない/働きすぎてしまう:環境次第で生産性が下がったり、オン・オフの切り替えが難しくなったりします。

個人の努力に寄せすぎると、負担や不公平感が蓄積します。会社として「働き方の前提」を整えることが重要です。たとえば、連絡可能な時間帯、会議の基本ルール、在宅勤務時の評価の観点などを明文化しておくと、ストレス要因が減りやすくなります。

テレワーク導入の前に整理すべきこと

この章では、導入の成否に直結する前提整理として、目的・対象業務・責任分界を明確にします。

目的を言語化し、評価指標を決める

テレワークは目的によって設計が変わります。例えばBCPが目的なら「非常時でも止めない業務」を中心に設計し、人材確保が目的なら「採用可能地域や働き方の選択肢」を重視し、コスト見直しが目的なら「出社前提の業務や固定席」を再設計する必要があります。

目的を明確にしたうえで、評価指標も決めます。生産性、離職率、採用の応募数、オフィス関連コスト、セキュリティインシデント件数、問い合わせ件数など、目的に沿った指標を設定すると改善が回りやすくなります。

テレワークに向く業務と向かない業務を切り分ける

すべての業務が同じ条件でテレワークに移せるわけではありません。判断の軸は「情報や作業がオンラインで完結できるか」「対面での即応が必須か」「扱う情報の機密性が高いか」などです。

向かない業務がある場合でも、すぐに諦めるのではなく、業務プロセスの分解が有効です。例えば、対面が必要な工程だけを出社に寄せ、それ以外は在宅で進めるなど、工程単位で設計すると現実的な落とし所が見つかりやすくなります。

責任分界とサポート体制を明確にする

テレワークでは、ネットワーク不調、端末トラブル、ツールの使い方など、問い合わせが増えがちです。誰が何をサポートし、どこまでが会社負担かを明確にします。端末の貸与条件、通信費の扱い、在宅環境の整備範囲、機密情報の取り扱いなども、曖昧なままにしないことが重要です。

テレワーク導入のポイント

この章では、テレワークを継続可能にするために、セキュリティ、ツール、労務・評価、健康面の運用ポイントを具体化します。

セキュリティの強化

テレワークでは、社外ネットワークから社内資産へアクセスする機会が増えます。従来の境界型対策だけでは不足しやすいため、次の観点で対策を設計します。

認証強化とアクセス制御

VPNやクラウドサービス利用時の不正アクセスを防ぐために、多要素認証や条件付きアクセスを検討します。重要なのは「ログインできるか」だけでなく、「どの端末状態で、どの条件なら許可するか」を決めることです。例えば、会社管理端末のみ許可、OS更新が一定条件を満たす端末のみ許可など、リスクを条件に落とし込みます。

端末対策

端末の紛失・盗難に備え、ディスク暗号化、リモートワイプ、EDR、資産管理などを組み合わせて、侵害時の影響を最小化します。特にハイブリッド環境では持ち運びが増えるため、画面ロックの徹底や盗難対策の運用が実務上のポイントになります。

データを端末に残さない設計

持ち運び端末に機密データを極力残さないために、画面転送方式や、クラウド上での共同編集、権限管理を活用します。併せて、ファイル共有のルール、共有範囲の既定値、外部共有の申請手続きなどを整備すると、設定ミスのリスクを下げられます。

公衆Wi-Fi対策

公衆Wi-Fiは、なりすましアクセスポイントなどのリスクがあります。社内規程で利用可否を定め、利用を許可する場合はVPN利用、端末設定、DNSや通信の保護などを組み合わせます。加えて、機密情報を扱う作業は原則禁止とするなど、業務の条件付けも現実的な対策になります。

コミュニケーションと情報共有の設計

テレワークでは、メールだけでは情報共有が追いつかないケースが多いです。ビジネスチャット、Web会議、オンラインホワイトボード、タスク管理などを組み合わせ、情報の置き場と意思決定のプロセスを明確にします。

特に重要なのは「会話が流れて消える」状態を避けることです。決定事項、議事録、手順書、FAQなどを残す場所を決め、検索できるようにしておくと、問い合わせや認識齟齬が減りやすくなります。

勤怠管理・人事評価の見直し

テレワークは成果主義に寄りやすい一方、成果だけを追うと業務プロセスの課題が見えにくくなる場合があります。勤怠管理に加え、目標設定、進捗共有、評価面談の運用を整えることが重要です。

評価設計では、成果物だけでなく、共有、報連相、チームへの貢献などの行動要件を明示すると、コミュニケーション不足の副作用を抑えやすくなります。

隠れ残業と健康面への配慮

テレワークでは、業務時間が曖昧になり隠れ残業が起こりやすくなります。上長の声かけ、通知ルール、時間外作業の申請フロー、システム面での利用時間制御など、複数の対策を組み合わせて防止します。

また、長時間の座り作業や運動不足は健康面のリスクになります。就業規則や運用だけでなく、休憩の取り方や勤務環境のガイドラインを整備しておくと、継続しやすい運用につながります。

テレワーク導入の流れ

この章では、導入を段階的に進めるための具体的な手順を示します。

1. 目的を明確にする

「BCPのため」「人材確保のため」「オフィスコストの見直し」など、目的により設計が変わります。目的を先に固定し、評価指標も設定します。

2. 導入範囲と体制を検討する

いきなり全社展開するのではなく、対象業務・対象部門を絞って段階導入するのが現実的です。ヘルプデスク体制、端末配布・管理、教育計画も合わせて整備します。

3. 課題の洗い出しと対策

業務プロセス、社内規程、セキュリティ要件を洗い出し、対策の優先順位を付けます。データ分類、持ち出し可否、共有範囲の既定値、ログ取得の範囲などは、後から効いてくる論点のため、導入前に方針を決めておくと運用が安定します。

4. ルールを策定する

勤務時間、連絡手段、会議体、機密情報の取り扱い、端末の利用ルール、インシデント時の連絡手順などを規程化し、例外運用を最小化します。現場が迷うポイントは、文章だけでなく具体例として示すと、守られやすくなります。

5. 環境整備

ネットワーク、認証、端末、コミュニケーション基盤、勤怠管理などを整備します。ここではツール導入だけで終わらせず、誰がどこで設定し、どう運用するかまでを決めることが重要です。

6. テスト導入

小規模に運用し、通信品質、業務影響、セキュリティ運用負荷、問い合わせ傾向を確認します。試行段階で見つかる課題は、本番展開の前に潰しておくのが効果的です。

7. 評価・改善

定期的に状況を測定し、ルール・運用・ツールを改善します。運用が回り始めた後に見つかる課題も多いため、継続的な改善が前提になります。

テレワーク導入に利用できる補助金・助成金

この章では、制度を探すときの考え方と、確認すべきポイントを整理します。

テレワーク導入にはネットワーク整備、端末準備、セキュリティ対策、勤怠管理などのコストがかかります。費用面が課題になる場合は、国や自治体の補助金や助成金の活用を検討しましょう。

代表例

  • IT導入補助金:中小企業などを対象に、一定の要件を満たすITツール導入を支援する制度
  • 助成金のテレワーク関連コース:就業環境整備の取り組みとして、一定の要件で助成が行われる場合がある

制度を検討するときの注意点

補助金や助成金は、年度ごとに公募内容や要件が更新されることがあります。募集期間、対象経費、上限額、申請手続き、事前着手の可否などが変わることもあるため、必ず最新情報で確認してください。

また、制度が使えるかどうかは「導入するツール」だけでなく、「運用ルールや体制」「就業規則の整備」「実績報告の作り方」といった実務の要件にも左右されます。検討段階で、社内の担当部署や外部支援先と情報を揃えておくと、後戻りが減ります。

まとめ

テレワークはICTを活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方です。メリットが大きい一方で、勤怠・評価・コミュニケーション・情報セキュリティなど、設計すべき点も増えます。

導入の成否は、目的の明確化、段階導入、ルール整備、セキュリティ設計、継続的な改善にかかっています。本記事の内容を参考に、自社に合ったテレワークの導入・運用を検討してみてください。

FAQ

テレワークとリモートワークは何が違いますか

実務上はほぼ同義で扱われることが多いです。テレワークはICT活用を前提に説明されることが多く、社内規程や制度設計では要件整理に向いています。

テレワーク導入でまず決めるべきことは何ですか

目的と対象範囲です。BCPや人材確保などの目的を明確にし、どの部門や業務から始めるかを決めると、対策の優先順位と評価指標が定まりやすくなります。

テレワークに向く業務と向かない業務はありますか

あります。オンラインで完結できる作業は向きやすく、対面の即応が必須な作業は向きにくい傾向です。業務を工程に分解し、出社が必要な部分だけを切り出す設計が現実的です。

テレワークで最も注意すべきセキュリティリスクは何ですか

社外からの不正アクセス、端末の紛失や盗難、クラウドの共有設定や権限設定の不備などです。認証強化、端末対策、権限管理、ログ確認の運用を組み合わせることが重要です。

公衆Wi-Fiは使ってもよいですか

リスクがあるため社内規程で利用可否を定めるのが前提です。許可する場合はVPN利用や端末設定の強化に加え、機密情報を扱う作業を制限するなど運用条件を決めます。

VPNがあればテレワークのセキュリティは十分ですか

十分とは言い切れません。VPN自体が狙われることもあるため、認証強化、端末の状態確認、権限の最小化、ログ確認などを組み合わせて運用する必要があります。

端末にデータを残さない運用は可能ですか

可能です。画面転送方式の利用やクラウド上での共同編集を活用し、端末内に機密データを極力保存しない設計を検討します。共有範囲や権限の運用も合わせて整えます。

テレワークでコミュニケーション不足を防ぐにはどうすればよいですか

チャットや会議だけでなく、決定事項を残す場所と手順を整備することが有効です。定例の共有や進捗の見える化を行い、情報が属人化しない運用にします。

隠れ残業を防ぐにはどうすればよいですか

時間外作業の申請フロー、通知ルール、上長の声かけ、勤怠の可視化などを組み合わせます。働きやすさだけでなく働きすぎない設計を前提にします。

テレワーク導入で補助金や助成金は使えますか

制度によって対象や要件や期間が異なります。補助金や助成金は年度で更新されることもあるため、募集期間や対象経費などを必ず最新情報で確認してください。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム