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トラフィックとは? 増加による懸念点や対策について解説

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目次

企業活動の多くがITに支えられるいま、社内ネットワークは「止まると業務が止まる」重要インフラになっています。ネットワークを快適に使い続けるうえで理解しておきたい指標の一つがトラフィックです。トラフィックの意味と増え方、そして増えたときにどこで何が起きるのかを押さえておくと、遅延や不安定さの原因を切り分けやすくなり、業務に必要な環境を整えやすくなります。

この記事では、トラフィックの基本から、増加した場合の影響と主な原因、社内ネットワークで取り得る対策、監視(見える化)の考え方までを解説します。

トラフィックとは

この章では、トラフィックの意味と、ネットワークでの「量の捉え方(単位・見方)」を整理します。

トラフィックは本来、交通量や通行量を意味する言葉です。IT分野では、ネットワーク上を流れるデータの通信量を指します。一定期間に送受信・処理されるデータ量を、単位時間あたり(例:bps、Mbps、Gbps など)で捉えるのが一般的です。

通信量には「帯域」と「実効スループット」がある

ネットワークを評価するときに混同しやすいのが、回線の帯域(理論上の最大容量)と、実際にアプリケーションが得られる実効スループットです。たとえば「1Gbps回線」でも、混雑、機器性能、暗号化処理、再送、プロトコルの制約などで実効スループットは下がります。

誤解されやすい点

「回線が速い=いつでも速い」ではありません。帯域が十分でも、遅延やパケット損失が増えると体感速度は落ちます。トラフィック対策は、単純な回線増速だけでなく、遅延・損失・機器処理を含めて全体を見て判断する必要があります。

トラフィックの測り方で単位が変わる

トラフィックは、用途に応じて以下のように複数の単位で扱われます。

  • bps(bit/s):回線や装置の処理能力(帯域)を評価するときに使う
  • pps(packet/s):パケット処理がボトルネックになりやすい装置(FW、ルーターなど)で重要
  • 同時接続数:VPNやWebアプリ、NAT装置などで効いてくる

快適な利用を維持するには、トラフィックの増減が通信品質にどう影響するのかを理解しておくことが重要です。

トラフィック増加による通信への影響

この章では、トラフィックが増えたときに「何が劣化するのか」を、ネットワークの代表的な品質要素(遅延・損失・ジッター)を軸に整理します。

トラフィックが増えると、端末ごとの体感速度の低下や遅延の増加、場合によってはパケット損失が起こりやすくなります。道路が混雑して渋滞が発生するように、データが思うように運べず、通信のやり直しやタイムアウトが発生し、結果として通信が不安定になります。

遅延・ジッター・パケット損失が増えると何が起きるか

トラフィック増加で影響が出やすいのは次の3つです。

  • 遅延(Latency):画面応答が重くなる、Webが開きにくい、RDP/VDIの操作がもたつく
  • ジッター(Jitter):遅延の揺れ。音声会議の途切れ、映像のカクつきが起きやすい
  • パケット損失(Loss):再送が増え、実効スループットが下がる。TLSやVPNでは再送の影響が大きく見えやすい

判断が分かれるポイント

大量ダウンロードのような「太い通信」では帯域不足が目立ちますが、音声会議や業務SaaSのような「細い通信」でも、遅延やジッターが増えると体感品質は急落します。どの品質指標がボトルネックかを分けて考えることが大切です。

輻輳が起きると再送と待ち行列が増える

このように、通信や処理が特定の箇所に集中して混雑する状態を「輻輳(ふくそう)」と呼びます。輻輳が起きると、装置や回線の内部で待ち行列(キュー)が伸び、遅延が増えます。さらに混雑が強いと、キューがあふれてパケットが破棄され、TCPなどは再送を行うため、結果として余計にトラフィックが増える悪循環に入りやすくなります。

回線だけでなく「装置性能」と「暗号化処理」も詰まる

トラフィック増加は回線だけでなく、ルーターやスイッチ、ファイアウォール、VPN装置などのネットワーク機器、さらにはサーバー側の負荷増加にもつながります。窓口に行列ができるように、処理能力を超える要求が集中すると、応答遅延や処理待ちが増え、パフォーマンス低下を招きます。

技術的な前提条件・制約

とくにVPNやHTTPSなど暗号化通信が増えると、装置側で暗号処理(暗号化・復号、セッション管理)が必要になります。回線帯域が十分でも、VPN装置やファイアウォールのCPUが先に飽和して遅くなるケースは珍しくありません。同様に、NATテーブルやセッション数上限が先に限界になることもあります。

トラフィックが増加する原因

この章では、トラフィックが増える背景を「利用形態の変化」と「構造的に増えやすい通信」に分けて整理します。

トラフィックが増える背景には、動画などデータ容量の大きいサービスの普及に加え、ネットワークを利用する端末や機器の増加があります。スマートフォンの普及により、一人で複数の端末を使うことは珍しくありません。さらに、さまざまなモノをネットワーク(インターネット)に接続するIoTの普及により、接続機器は増え続けています。

加えて、テレワークの普及により、自宅など社外から社内ネットワークへ接続する機会が増えました。その結果、VPN装置など特定の機器にアクセスが集中し、輻輳が起きやすくなっています。

クラウドサービスの業務利用も増え、社内外からさまざまな通信が発生するようになりました。これらが重なり、トラフィックが増加しやすい環境になっています。

「どこを通る通信が増えたか」を分けて考える

原因を切り分ける際は、単に通信量が増えたかどうかではなく、どの経路(どの装置)を通る通信が増えたかを押さえるのが有効です。

  • インターネット向け:Web会議、SaaS、動画、OS/アプリ更新、クラウドバックアップ
  • 社内向け:ファイルサーバー、業務アプリ、認証基盤、VDI
  • 拠点間:支店/工場とのデータ同期、集中印刷、基幹連携
  • リモートアクセス:VPN/ゼロトラスト経由の業務アクセス

誤解されやすい点

「インターネットが遅い」と感じても、実際は社内のDNSや認証、プロキシ、VPNのどれかが詰まっていることがあります。体感症状とボトルネックは一致しないことがあるため、経路別に見える化することが重要です。

社内ネットワークにおけるトラフィック増大への対策

この章では、ボトルネックの所在に応じて、回線増強だけでなく設計・制御・運用の観点から対策を整理します。

トラフィック増加への基本的な対策は、ネットワーク機器や回線の増強です。ただし単純に「速いものに替える」だけでなく、どこがボトルネックになっているかを踏まえて対策を選ぶことが重要です。

ネットワーク機器の増強と設計の見直し

VPN装置を含むネットワーク機器には、それぞれ処理可能なトラフィック量(スループット)や同時接続数などの上限があります。機器の性能向上に加え、冗長化や負荷分散といった設計を組み合わせて、特定箇所への集中を避けることが有効です。

判断材料

  • スループット:暗号化(VPN/TLS)有効時の値か、実測に近い条件か
  • pps性能:小さいパケットが増えると帯域よりppsが先に詰まることがある
  • 同時接続数・セッション数:ピーク時の余裕があるか
  • 冗長化方式:アクティブ/スタンバイか、負荷分散できる構成か

インターネット回線の増強と多重化

テレワークやクラウド利用を快適にするには、社内ネットワークだけでなくインターネット回線の品質も重要です。高速回線の利用に加え、複数回線を併用するマルチホーミングを採用して、混雑時や障害時の影響を抑える方法も検討するとよいでしょう。

技術的な前提条件・制約

回線を多重化する場合、単に「2本にすれば2倍速い」とは限りません。経路制御(ルーティング)や、どの通信をどの回線に流すか(ポリシー)、切り替え時の影響(セッション維持)を踏まえた設計が必要です。たとえばWeb会議やVPNのようにセッションが長い通信では、切り替え時に切断が発生する可能性があります。

帯域制御と優先制御で「重要な通信を守る」

トラフィックが増える環境では、回線増強だけでなく、通信の重要度に応じて優先度を付ける設計も有効です。たとえばWeb会議や業務SaaSなど遅延に弱い通信を優先し、バックアップや更新のような「急がない通信」を抑えることで、体感品質の悪化を防ぎやすくなります。

誤解されやすい点

帯域制御は「制限して不便にする」ためではなく、業務に必要な通信を守るための手段です。何を優先し、何を抑えるかを利用部門と合意しておくと、運用トラブルを減らせます。

トラフィック監視の重要性

この章では、トラフィック対策の前提となる「見える化」と、監視で押さえるべき観点を整理します。

対策を効果的に進めるには、トラフィックを「見える化」して把握することが欠かせません。ネットワークの状態を継続的に監視し、どの場所で、どのタイミングで、どれくらいトラフィックが増えているのかを把握できるようにしましょう。

見える化ができれば、問題発生時の切り分けが早くなり、復旧までの時間を短縮できます。業務においてネットワークの重要性が高いほど、「常に接続できる状態」を維持するための監視と対応が重要になります。

監視で見るべき指標を決める

トラフィック監視は「グラフを眺める」だけでは不十分です。ボトルネックの種類に合わせて、見るべき指標を決めておくと切り分けが速くなります。

  • 回線使用率:ピーク時に常時高止まりしていないか
  • 遅延・損失:時間帯や経路で悪化していないか
  • 装置リソース:CPU/メモリ、セッション数、ドロップの有無
  • アプリケーション別内訳:業務通信と非業務通信の比率、急増の原因

可視化の粒度は「どこまで切り分けたいか」で決める

トラフィック監視ソリューションの中には、アプリケーション別の通信量や通信の内訳まで可視化できるものもあります。こうした仕組みを活用しながら、トラフィックの状況を継続的に把握し、増大への対応につなげましょう。

判断材料

「回線増強が必要か」「装置を替えるべきか」「特定アプリが増えたのか」を判断するには、最低でもどの区間でいつ何が増えたかを説明できる状態が必要です。可視化の粒度は、運用体制(誰が見るか、どこまで原因究明するか)とセットで決めるのが現実的です。

トラフィックに関するFAQ

トラフィックとは何を指しますか

トラフィックは、IT分野ではネットワーク上を流れるデータの通信量を指し、一定時間あたりの通信量として捉えるのが一般的です。

トラフィックが増えると何が起こりますか

端末ごとの体感速度低下や遅延の増加、場合によってはパケット損失が起こりやすくなり、通信が不安定になります。

輻輳とは何ですか

輻輳とは、通信や処理が特定の箇所に集中して混雑し、回線の混雑やパフォーマンス低下を引き起こす状態を指します。

トラフィック増加の主な原因は何ですか

動画など大容量サービスの普及、スマートフォンやIoT機器の増加、テレワークやクラウド利用の拡大により通信が増えることが主な原因です。

トラフィック増加は回線だけの問題ですか

回線だけでなく、ルーターやスイッチ、ファイアウォール、VPN装置などの機器やサーバー側の処理負荷にも影響します。

社内ネットワークで取り得る基本的な対策は何ですか

ボトルネックを把握したうえで、機器の増強や設計の見直し、冗長化や負荷分散などを組み合わせて対策することが基本です。

インターネット回線の対策として有効な方法は何ですか

高速回線の利用に加え、複数回線を併用するマルチホーミングなどにより、混雑時や障害時の影響を抑える方法があります。

なぜトラフィック監視が重要なのですか

どこでいつトラフィックが増えているかを把握できると、問題の切り分けと対処が早くなり、安定運用につながるためです。

トラフィックの見える化で分かることは何ですか

場所や時間帯ごとの通信量の変化に加え、環境によってはアプリケーション別の通信量や通信の内訳まで把握できます。

トラフィック対策で最も重要な考え方は何ですか

機器や回線を増強する前に、監視でボトルネックを把握し、原因に合った対策を継続的に更新していくことが重要です。

この記事のまとめ

この章では、本文の要点を整理し、読者が次に取るべきアクション(何から始めるか)を明確にします。

ネットワーク上を流れる通信量を表すトラフィックは、端末の増加やクラウド利用の拡大などを背景に増加傾向にあります。トラフィックが増え、回線や機器、サーバーに負荷がかかると、遅延やパケット損失が増え、通信が不安定になり、業務のパフォーマンスに影響を及ぼしかねません。

対策の基本は増強ですが、いきなり機器や回線を替えるのではなく、監視によってボトルネックの位置と種類(帯域不足、装置性能、暗号処理、セッション上限、経路の偏りなど)を把握し、原因に合った施策を選ぶことが重要です。まずはトラフィックの見える化から始め、ピーク時間帯・影響範囲・内訳を説明できる状態を作ることで、投資判断と運用改善の精度が上がります。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム