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ユニキャストとは? わかりやすく10分で解説

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目次

ユニキャストとは

ユニキャスト(unicast)とは、ネットワーク上で特定の1台(1つの宛先)に向けてデータを送る通信方式です。私たちが普段使うWeb閲覧(HTTP/HTTPS)、メール送受信(SMTP/IMAP/POP)、API通信、社内システムへのアクセスなど、インターネット通信の大半はユニキャストで動いています。

ブロードキャストが「同一ネットワーク内の全員あて」、マルチキャストが「特定グループあて」なのに対し、ユニキャストは“この相手にだけ届ける”のが基本です。

ユニキャストの基本的な定義

ユニキャストは1対1の通信です。送信側は宛先(IPアドレス、またはその先に解決される名前)を指定し、ネットワークはその宛先へ向けてパケットを転送します。

ただし、本文中の「専用の通信路を使って直接送る」という表現は誤解を生みやすいです。一般的なIPネットワークでは、ユニキャストは専用線を“占有”する仕組みではなく、他の通信と同じ回線・機器を共有しながら、宛先が1つに絞られている(=配送先が1つ)という意味での1対1です。

ユニキャストの仕組みと通信の流れ

ユニキャスト通信は次の流れで成立します。

  • 送信側が宛先IP(またはDNS名を解決した宛先IP)を決める
  • 同一LAN内なら宛先MACを解決(ARP等)してL2で配送する
  • 別ネットワーク宛てならデフォルトゲートウェイ(ルーター)へ送る
  • ルーターが経路表に基づき次ホップへ転送し、最終的に宛先へ届く

本文中の「ルートがダイナミックに変化し最適なルートが選ばれる」は、ネットワーク設計次第です。BGPやOSPFのような動的ルーティングを使う環境では経路が変化し得ますが、家庭や小規模ネットワークでは静的・固定的に見えることも多いです。

また「エラーが起きた箇所だけを再送」という説明は、IPの下層だけでは成り立ちません。再送は主にTCPの機能であり、UDPでは基本的に再送は行われません(アプリ側で補う設計になります)。つまり、ユニキャストの信頼性は「ユニキャストだから」ではなく、TCP/UDPなど上位プロトコルの性質に依存します。

ユニキャストの特徴と利点

ユニキャストの強みは次の通りです。

  • 宛先が明確:必要な相手にだけ届くため無駄が少ない
  • ネットワーク負荷を局所化:全端末が受信するブロードキャストに比べ影響範囲が狭い
  • 制御しやすい:FWやACL、ゼロトラストのポリシーも「誰→誰」を前提に組みやすい

一方で「ユニキャスト=セキュリティが高い」は言い切れません。宛先が1つでも盗聴・改ざんのリスクはあり、実際の安全性はTLS(HTTPS)、VPN、認証、アクセス制御などの対策で決まります。

ユニキャスト通信の具体的な場面

ユニキャストが使われる典型例です。

  • Web:ブラウザ ↔ Webサーバ(HTTP/HTTPS)
  • メール:端末 ↔ メールサーバ、メールサーバ ↔ 相手サーバ(SMTP/IMAP等)
  • 業務アプリ:端末 ↔ 社内サーバ/クラウド
  • オンラインゲーム:端末 ↔ ゲームサーバ(多くはユニキャスト。配信や観戦は別方式もあり得ます)

ユニキャストと他のキャスト方式の比較

「誰に送るか」で整理するとスッキリします。

  • ユニキャスト:特定の1台あて(1対1)
  • ブロードキャスト:同一ネットワーク内の全員あて(1対全員)
  • マルチキャスト:参加している特定グループあて(1対グループ)

ブロードキャストとは

ブロードキャストは、同一ブロードキャストドメイン内の全端末へ一斉送信する方式です。ARPやDHCPの初期通信など「探索・初期問い合わせ」で活躍します。一方、端末数が増えると受信側負荷も増えるため、設計上はVLAN分割などで閉じ込めるのが基本です。

マルチキャストとは

マルチキャストは、特定グループの受信者だけに同時送信できる方式です。配信や会議などで「同じデータを複数へ届けたい」場面で理屈上は効率的ですが、ネットワーク機器側の設定や運用(IGMP/MLD、PIMなど)が必要になり、環境によっては難易度が上がります。

ユニキャストとブロードキャストの違い

ユニキャストは「必要な相手だけ」に届くので効率的です。ブロードキャストは「全員に届く」ため、探索には便利ですが増えると負荷になります。大量端末へ同じ内容を配る用途では、ユニキャストの単純な繰り返し配信は送信側負荷が増えます(配布方式の工夫が必要です)。

ユニキャストとマルチキャストの違い

マルチキャストは「グループあて」なので、同じデータを複数へ届けるのに向きます。ユニキャストは個別配送なので制御しやすく、ほとんどの業務通信で採用されています。


ユニキャスト通信の問題と解決策

遅延

遅延は回線混雑、バッファ肥大、無線品質などで起きます。対策は、帯域設計、トラフィックの優先制御(QoS)、経路設計、無線の最適化などです。

パケットロス

ロスは物理層品質、輻輳、無線干渉などで起きます。TCPなら再送で吸収しますが、リアルタイム用途(音声・映像・ゲーム等)では体感劣化につながるため、回線品質改善や輻輳回避が重要です。

セキュリティ

ユニキャストでも盗聴・改ざんは起こり得ます。実務上の対策は、TLS、VPN、端末認証、ID管理、アクセス制御、監視(ログ・NDR等)といった多層防御です。


まとめ:ユニキャストの要点

  • ユニキャストは特定の1台あてに送る通信方式(インターネット通信の大半)
  • 「専用回線」ではなく、基本は共有ネットワーク上で宛先が1つという意味の1対1
  • 信頼性や再送は「ユニキャスト」そのものではなくTCP/UDPなど上位プロトコルに依存
  • 安全性はユニキャストだけで決まらず、TLS/VPN/認証/制御/監視で担保する

FAQ

Q.ユニキャストとは何ですか

特定の1台(1つの宛先)に向けてデータを送る通信方式です。Web閲覧やメールなど、多くの通信はユニキャストです。

Q.ユニキャストは「専用の通信路」ですか

一般的には専用線を占有する意味ではありません。共有ネットワーク上で宛先が1つに限定されている(1対1配送)という意味です。

Q.ユニキャストはブロードキャストより安全ですか

宛先が限定される点は有利ですが、盗聴・改ざんは起こり得ます。実際の安全性はTLS(HTTPS)やVPN、認証、アクセス制御で決まります。

Q.ユニキャストで再送ができるのはなぜですか

再送は主にTCPの仕組みです。ユニキャスト自体の性質ではなく、TCP/UDPなど上位プロトコルの違いで挙動が変わります。

Q.ユニキャストとマルチキャストの違いは何ですか

ユニキャストは特定の1台あて、マルチキャストは参加している特定グループあてです。同じデータを複数へ配る用途ではマルチキャストが候補になります。

Q.ユニキャストはネットワーク負荷が低いですか

不要な端末に届かないため影響範囲は限定されます。ただし同じデータを多数へ配る場合は送信回数が増え、送信側・回線側の負荷が上がることがあります。

Q.ユニキャストの遅延は何で起きますか

回線混雑、バッファ肥大、無線品質、経路設計などが原因です。帯域設計やQoS、無線最適化などで改善します。

Q.ユニキャストはルーターを越えますか

はい。ユニキャストはルーティングにより別ネットワークへ転送されます(インターネット通信の基本形です)。

Q.ユニキャスト通信の代表例は何ですか

Web閲覧(HTTPS)、メール送受信、社内アプリへのアクセス、API通信などが代表例です。

Q.ユニキャストが向かない場面はありますか

同じデータを多数の端末へ同時配信したい場面では、ユニキャストの単純な繰り返し配信は負荷が増えます。マルチキャストや配信方式の工夫が検討対象になります。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム