IT用語集

URLハイジャッキングとは? 10分でわかりやすく解説

水色の背景に六角形が2つあるイラスト 水色の背景に六角形が2つあるイラスト
アイキャッチ
目次

UnsplashWonderlaneが撮影した写真      

URLハイジャッキングは、正規のサイトやブランドを“それっぽく見せる”ことで、利用者を偽サイトへ誘導し、認証情報や個人情報を盗んだり、マルウェア感染へつなげたりする攻撃の総称として扱われることがあります。似た言葉にフィッシング、タイポスクワッティング(打ち間違い誘導)、DNSハイジャックなどがあり、実際の被害は「どこで誘導が起きたか」によって対策が変わります。この記事では、URLハイジャッキングの代表的な手口を整理し、企業が取るべき具体策(予防・検知・発生時対応)までを分かりやすく解説します。

URLハイジャッキングとは何か

URLハイジャッキングの定義

URLハイジャッキングは、正規サイトに見せかけたURL(ドメイン名やリンク)を悪用し、利用者を偽サイトや不正なページへ誘導する行為として説明されることが多い攻撃です。実務上は、フィッシング(偽ログイン画面など)とセットで語られ、認証情報・個人情報・決済情報の窃取や、マルウェア配布の入口として利用されます。

「URLハイジャッキング」という言葉が指す範囲

注意したいのは、URLハイジャッキングが単一の手口名ではなく、文脈によって指す範囲がぶれる点です。代表例として、次のようなパターンが混在して語られます。

  • 見た目が似たURLに誘導(タイポスクワッティング/ホモグラフ攻撃など)
  • 正規サイト内のリンクを悪用(オープンリダイレクト悪用、サイト改ざんによるリンク差し替え)
  • 名前解決や経路を乗っ取る(DNSハイジャック、ルータ乗っ取り等によるリダイレクト)
  • 正規ドメイン自体を奪う(ドメイン/アカウント乗っ取り、DNSレコード改ざん)

この記事では、読者が現場で対策を選べるように、上記をまとめて「誘導を起点とする不正アクセスの入口」として扱い、どこを守るべきかを整理します。

URLハイジャッキングの仕組み

典型的な流れは、次の3段階です。

  1. 攻撃者が、利用者が信じやすい導線(似たURL、正規サイトに見えるリンク、検索結果、メール等)を用意する
  2. 利用者が誘導され、偽サイトでログインや決済などの操作をしてしまう
  3. 盗まれた情報が不正ログイン、送金、二次攻撃(社内侵入・ランサムウェア等)に利用される

URLハイジャッキングの目的

目的は「情報を盗む」「侵入の足がかりを作る」「金銭化する」に集約されます。

目的説明
フィッシング詐欺偽サイトで認証情報・個人情報・決済情報を盗み、不正利用する
マルウェア感染偽サイトや不正ファイルから感染させ、情報窃取や遠隔操作、ランサムウェアに発展させる
広告・アフィリエイト不正誘導でアクセスを水増しし、広告収益や紹介報酬を不正に得る
ブランド毀損正規企業になりすまして信用を落とし、二次被害(問い合わせ増・解約・炎上)を誘発する

URLハイジャッキングの脅威

URLハイジャッキングの厄介な点は、利用者側が「正規サイトに来たつもり」で操作してしまうことです。企業側は、顧客被害だけでなく、ブランド失墜、サポート負荷増、なりすましに伴う法務対応、メール到達率低下(悪用されると自社ドメイン評価が落ちる)など、波及的な損失が発生します。

URLハイジャッキングの手口と被害

URLハイジャッキングの典型的な手口

代表的な手口は、「URLの見た目」と「誘導の導線」を悪用します。

  • タイポスクワッティング:正規URLの打ち間違い(例:examp1e、exmapleなど)を狙う
  • ホモグラフ攻撃:見た目が似た文字(別文字種や記号)を使い、判別を難しくする
  • サブドメイン悪用:本体と関係ないドメインの下に、信じやすい文字列を置く(例:example-login.attacker.tld)
  • 短縮URL・リダイレクト連鎖:最終到達先が分かりにくい導線にする
  • 検索結果・広告の悪用:検索連動広告やSEOを利用し、偽サイトへ誘導する

正規サイトの改ざん・オープンリダイレクト悪用

利用者が「信頼しているサイト」から誘導されるケースは、被害が拡大しやすい典型です。

  • サイト改ざん:正規サイト内のリンクやフォーム送信先が、偽URLに差し替えられる
  • オープンリダイレクト:正規ドメインのURLに「外部へ飛ばすパラメータ」があり、それを悪用して偽サイトへ誘導する

この場合、URLの先頭が正規ドメインに見えるため、メール本文やチャット上のリンクでも疑われにくくなります。

DNSハイジャック(名前解決の乗っ取り)

URL自体は正しくても、DNS(名前解決)やルータ設定が改ざんされると、正規ドメインへのアクセスが偽サイトに誘導されることがあります。企業ネットワークや家庭用ルータの設定が狙われると、複数ユーザーがまとめて被害に遭うため注意が必要です。

主な被害

  • 認証情報の窃取:メール、SaaS、VPN、社内ポータルなどの不正ログイン
  • 金銭被害:不正送金、クレジットカード悪用、ECアカウントの乗っ取り
  • マルウェア感染:端末侵害から社内侵入、横展開、ランサムウェアへ発展
  • 信用毀損:顧客の不信、問い合わせ増、風評、取引停止

被害が起きやすい場面

URLハイジャッキングは「急がせる」「不安にさせる」「その場で入力させる」状況で成功しやすくなります。例えば、請求・配送・アカウント停止・セキュリティ警告など、行動を急がせる通知は典型です。社内でも、パスワード変更依頼、SaaSログイン、請求書確認などの業務導線が狙われます。

URLハイジャッキングへの対策

対策は、(1)入口を減らす(予防)(2)早く気づく(検知)(3)被害を広げない(対応)の3点で設計します。特に「SSLを入れれば安心」のような単独対策では不足しがちです。複数の対策を組み合わせ、攻撃コストを上げていきます。

ドメイン名の適切な管理(ブランド防衛)

まずは、正規ドメインを「奪われない・紛らわしいものを取られない」状態に近づけます。

  • 重要ドメインの棚卸し:本番・サブブランド・キャンペーン用などを整理し、用途と責任者を明確化する
  • 類似ドメインの先回り取得:打ち間違い・主要TLD(.com/.jpなど)・よく使う表記揺れを検討する
  • レジストラの保護:レジストラのアカウントに多要素認証を必須化し、移管ロック等を有効化する
  • DNS変更権限の統制:変更手順、承認フロー、監査ログを整備する

SSL/TLS(HTTPS)導入と「限界」の理解

HTTPSは、通信の盗聴・改ざんを防ぎ、アクセス先ドメインに対する証明書による確認を提供します。一方で、偽サイト側も証明書を取得できるため、HTTPSだけで「偽サイトではない」とは言い切れません。重要なのは次の運用です。

  • 常時HTTPS:サイト全体をHTTPS化し、HTTPアクセスはHTTPSへ統一する
  • HSTSの適用:ダウングレードや中間者攻撃の余地を減らす
  • 証明書の監視:自社ドメインに対する不審な証明書発行を早期に気づける体制を作る

つまり、HTTPSは「必要条件」になりやすい一方、「十分条件」ではありません。URLの確認や、他の対策とセットで効きます。

ウェブサイトのセキュリティ対策強化(改ざん・誘導の防止)

正規サイトが改ざんされると、被害の信頼性が上がり、誘導が成功しやすくなります。Web運用面は、基本の徹底が効果的です。

  • 脆弱性対応の定常化:CMS本体・プラグイン・テーマ・ミドルウェアの更新をルール化する
  • WAFの導入:既知の攻撃パターンや不審リクエストを遮断し、改ざんリスクを下げる
  • 管理画面の防御:IP制限、MFA、強固なパスワード、不要アカウント削除、権限最小化
  • ログと改ざん検知:ファイル改変、リダイレクト増加、未知の外部送信などの兆候を監視する
  • オープンリダイレクトの排除:外部遷移が必要な場合は遷移先を許可リスト方式にする

メール・チャット経由の誘導を減らす(フィッシング対策)

URLハイジャッキングはメール起点が多いため、送信ドメインのなりすまし対策が重要です。

  • SPF/DKIM/DMARCの整備:自社ドメインになりすましたメールを減らす
  • 社内のリンク運用ルール:重要操作はメールリンクではなく「ブックマークした正規入口から」と徹底する
  • 認証の強化:可能であれば、フィッシングに強い多要素認証(耐フィッシング)を優先する

従業員への教育と注意喚起(運用で効かせる)

利用者が「気づく」確率を上げることは、最後の防波堤になります。ポイントは知識よりも、行動ルールです。

  • URL確認の型:ドメイン(左側)を見る、サブドメインに騙されない、短縮URLは展開して確認する
  • 急がせる通知は疑う:期限・停止・未払い・警告は一次疑いの対象にする
  • 報告しやすい導線:不審メールや偽サイトを見つけたとき、すぐ相談できる窓口を明確化する

インシデント対応計画の準備(起きた後が本番)

URLハイジャッキングは「ゼロにする」よりも、「起きても被害を最小化する」設計が現実的です。事前に決めておきたい項目は次の通りです。

  • 初動:どの窓口に報告し、誰が判断するか(情報システム、CSIRT、広報、法務など)
  • 封じ込め:不正ログインの遮断、該当アカウントの無効化、セッション破棄、パスワードリセット
  • 対外対応:顧客告知、FAQ整備、問い合わせ導線、関係機関への相談
  • 再発防止:入口(メール、Web、DNS、レジストラ)のどこで成立したかを特定し、対策を追加する

セキュリティパートナーとの連携(監視・テイクダウン)

偽サイトや類似ドメインは、社内だけで追い続けると負荷が高くなります。状況に応じて、外部の監視サービス、脅威インテリジェンス、テイクダウン支援、SOC/CSIRT支援の活用も検討するとよいでしょう。特に、顧客被害が出る可能性がある場合は、スピードが重要になります。

まとめ

URLハイジャッキングは、正規サイトやブランドに見せかけたURLや導線を悪用し、利用者を偽サイトへ誘導して情報窃取やマルウェア感染につなげる攻撃です。実際には、タイポスクワッティング、正規サイト改ざん、オープンリダイレクト悪用、DNSハイジャックなど複数のパターンが関係し、対策は「どこで誘導が成立したか」によって変わります。企業は、ドメイン管理と権限統制、Web運用の基本(更新・WAF・改ざん検知)、メールなりすまし対策、利用者教育、そしてインシデント対応計画を組み合わせ、予防・検知・対応の3段で被害を最小化することが重要です。

Q.URLハイジャッキングとフィッシングの違いは何ですか?

URLハイジャッキングは偽サイトへ誘導する「導線の悪用」で、フィッシングは偽画面で情報を盗む「搾取行為」です。

Q.HTTPS(SSL/TLS)が付いていれば安全ですか?

安全とは限りません。偽サイトでも証明書を取得できるため、ドメイン名の確認が必要です。

Q.利用者がURLを見分けるコツはありますか?

最初にドメイン名(例:example.com)を確認し、サブドメインや似た文字の置き換えに注意します。

Q.企業が最初に整備すべき対策は何ですか?

ドメイン管理の強化、Web運用の脆弱性対応、メールなりすまし対策の3点を優先します。

Q.類似ドメインは全部取得すべきですか?

現実的には重要な表記揺れや主要TLDなど、リスクの高い範囲に絞って取得します。

Q.正規サイトが改ざんされると何が危険ですか?

信頼しているサイトから偽サイトへ誘導されるため、利用者が気づきにくく被害が拡大します。

Q.DNSハイジャックはURLハイジャッキングと関係がありますか?

関係があります。URLが正しくても名前解決が改ざんされると偽サイトに誘導される場合があります。

Q.従業員教育は何を重視すべきですか?

知識より行動ルールです。重要操作はブックマークから入り、怪しい通知はまず報告します。

Q.被害が起きたら最初に何をすべきですか?

不正ログインの封じ込めと影響範囲の特定を優先し、必要に応じて顧客告知と再発防止を進めます。

Q.偽サイトや類似ドメインを見つけたらどう対応しますか?

証拠を保全し、社内窓口に報告したうえで、関係先への通報やテイクダウンを検討します。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム