IT用語集

ウォードライビングとは? 10分でわかりやすく解説

水色の背景に六角形が2つあるイラスト 水色の背景に六角形が2つあるイラスト
アイキャッチ
目次

ウォードライビングとは、車で移動しながら無線LANアクセスポイントを探索し、その情報を収集する行為のことを指します。セキュリティの脆弱なアクセスポイントが悪意ある第三者に悪用されると、情報漏洩や不正アクセス、ネットワークへの攻撃、信用低下など、企業にとって大きなセキュリティリスクとなり得ます。本記事では、ウォードライビングの概要や手法、想定されるリスク、企業が取るべき対策について、わかりやすく解説します。

ウォードライビングの概要

ウォードライビングは、無線LANアクセスポイントを探索する行為を指します。この行為は、車で移動しながら無線LANの電波を受信し、その情報を記録することから「ウォードライビング」と呼ばれています。

ウォードライビングとは何か

ウォードライビングとは、無線LANアクセスポイントを探索し、その情報を収集する行為のことを指します。具体的には、車で移動しながら無線LANの電波を受信し、アクセスポイントの位置や設定情報などを記録する行為が該当します。

ウォードライビングに用いられる機材の例は、以下の通りです。

  • 無線LAN受信機能を持つPCあるいはスマートフォン
  • 無線LANアクセスポイントを探索するためのソフトウェア
  • GPSレシーバー(アクセスポイントの位置情報を記録する場合)

これらを組み合わせることで、走行ルート上に存在するアクセスポイントの情報を一括して収集できてしまうため、適切なセキュリティ対策の有無が非常に重要になります。

ウォードライビングの目的

ウォードライビングの目的としては、主に次の2つが挙げられます。

  1. 無線LANアクセスポイントのセキュリティ状況の調査
  2. フリーWi-Fiスポットの探索

1つ目の目的である無線LANアクセスポイントのセキュリティ状況の調査は、セキュリティ専門家や研究者が、無線LANの脆弱性を発見し、対策を講じるために行うことがあります。組織から正式な依頼を受けた診断や調査の一環として実施される場合は、リスク把握や対策検証に役立ちます。一方で、悪意を持った第三者がセキュリティの甘いアクセスポイントを見つけ出し、不正アクセスを試みる可能性もあるため、注意が必要です。

2つ目の目的であるフリーWi-Fiスポットの探索は、旅行者や外出先でインターネットを利用したいユーザーが、無料で利用できる無線LANアクセスポイントを見つけるために行われます。スマートフォンのアプリなどを使えば、手軽にフリーWi-Fiスポットを探すことができますが、提供元が明確でないアクセスポイントの利用は、逆にリスクを高める場合もあります。

ウォードライビングの手法

ウォードライビングの典型的な流れは、概ね次のように整理できます。

  1. 無線LAN受信機能を持つPCやスマートフォンを用意する
  2. 無線LANアクセスポイントを探索するためのソフトウェアをインストールする
  3. 車で移動しながら、無線LANの電波を受信する
  4. 受信したSSIDや暗号化方式などの情報を記録する
  5. 収集したデータを整理・分析する

このように、特別な知識がなくてもアクセス情報を収集できてしまう点が、企業にとってのリスクとなります。したがって、「狙われる側」としては、この前提を踏まえたうえで無線LAN環境を設計することが重要です。

ウォードライビングの歴史

ウォードライビングという言葉は、2000年代初頭に登場しました。当時は無線LANの普及が進み始めた頃で、セキュリティに対する意識が低く、暗号化されていないアクセスポイントが多く存在していました。そのような状況下で、無線LANのセキュリティ状況を調査する目的でウォードライビングが行われるようになりました。

その後、無線LANのセキュリティ対策が進み、暗号化されていないアクセスポイントは減少傾向にありますが、今でもウォードライビングそのものは行われています。ただし、不正アクセスを目的としたウォードライビングは、不正アクセス禁止法などに抵触する可能性があり、違法行為となるおそれがあります。正当な権限のないネットワークに接続したり設定を変更したりすることは絶対に避けるべきです。

以上が、ウォードライビングの概要です。無線LANを利用する際は、適切なセキュリティ対策を行い、不正アクセスのリスクを低減することが重要です。

ウォードライビングによるリスク

ウォードライビングは、無線LANアクセスポイントを探索し、その情報を収集する行為ですが、悪意を持った第三者に悪用された場合、さまざまなリスクが生じます。ここでは、ウォードライビングによって想定される代表的なリスクについて解説します。

情報漏洩のリスク

ウォードライビングによって、セキュリティ対策が不十分な無線LANアクセスポイントが発見された場合、その無線LANを経由して社内のデータが外部に漏洩するリスクがあります。特に、暗号化されていないアクセスポイントや、初期設定のままのパスワードを使用しているアクセスポイントは、不正アクセスの格好のターゲットになります。

情報漏洩が発生した場合、企業の機密情報や顧客の個人情報などが流出し、法的な責任や多額の損害賠償、ブランドイメージの失墜といった深刻な被害につながる可能性があります。そのため、無線LANのセキュリティ対策は「あるとよい」ではなく、「必須の投資」と考える必要があります。

不正アクセスのリスク

ウォードライビングで発見された無線LANアクセスポイントを悪用し、第三者が社内ネットワークに不正アクセスするリスクがあります。不正アクセスによって、社内のシステムが改ざんされたり、マルウェアに感染したりする可能性があります。

また、不正アクセスを行った攻撃者が、社内のデータを盗み出したり、システムを破壊したりする可能性もあります。不正アクセスによる被害は、業務の停止や復旧対応に伴うコスト増大など、企業活動に大きな影響を与えかねません。

ネットワークへの攻撃リスク

ウォードライビングによって発見された無線LANアクセスポイントを起点として、社内ネットワークに対する攻撃が行われるリスクがあります。例えば、DoS攻撃によってネットワークが過負荷状態になり、業務が停止してしまう可能性があります。

また、中間者攻撃によって、無線LANを介した通信内容が盗聴されたり、改ざんされたりするリスクもあります。これらの攻撃によって、企業の機密情報が漏洩したり、重要なデータが改ざんされたりすることで、業務への影響だけでなく、取引先や顧客との信頼関係にもダメージを与えかねません。

企業の信用低下リスク

ウォードライビングによってセキュリティ対策が不十分な無線LANアクセスポイントが発見された場合、企業のセキュリティ意識の低さが露呈し、信用が低下するリスクがあります。特に、情報漏洩や不正アクセスなどの被害が実際に発生した場合、企業の責任が問われ、社会的な信用を大きく失う可能性があります。

さらに、セキュリティ対策の不備が明らかになることで、取引先からの信頼を失ったり、顧客離れが起きたりするリスクもあります。企業の信用低下は、売上や株価、採用活動など、ビジネスに直接的な影響を与える可能性があるため、無線LANのセキュリティ対策は経営上の重要な課題と言えます。

以上のように、ウォードライビングによって、情報漏洩、不正アクセス、ネットワークへの攻撃、企業の信用低下など、さまざまなリスクが生じる可能性があります。これらのリスクを低減するためには、無線LANの適切なセキュリティ設定や、定期的なセキュリティ監査が不可欠です。

ウォードライビング対策

ウォードライビングによるリスクを低減するためには、適切な無線LANのセキュリティ対策が不可欠です。ここでは、ウォードライビング対策として推奨される主な方法について解説します。

無線LANの暗号化

無線LANを利用する際は、暗号化を行うことが強く推奨されます。暗号化することで、無線LANを介した通信内容を第三者に傍受されるリスクを大幅に低減できます。暗号化方式としては、WPA2やWPA3など、現在推奨されている方式を利用することが重要です。WEPは古い暗号化方式であり、セキュリティ上の脆弱性が指摘されているため、使用は避けるべきです。

暗号化の設定は、無線LANアクセスポイントの管理画面から行います。暗号化方式とパスワード(暗号化キー)を適切に設定し、第三者に推測されにくい強度の高いパスワードを用いることがポイントです。必要に応じて、定期的なパスワード変更も検討しましょう。

アクセスポイントの適切な設定

無線LANアクセスポイントの設定を適切に行うことも、ウォードライビング対策として有効です。具体的には、以下のような設定が推奨されます。

  • SSIDをブロードキャストしない(ステルス化する)
  • MACアドレスフィルタリングを設定する
  • アクセスポイントの管理画面のログイン情報を初期設定から変更する
  • アクセスポイントの設置場所を適切に選定する(外部から電波が届きにくい場所に設置する)

これらの設定を行うことで、不特定多数の人が無線LANに接続するリスクを低減し、不正アクセスを防ぐことができます。特に、初期設定のまま利用されているアクセスポイントは狙われやすいため、導入後すぐに設定を見直すことが重要です。

不要なSSIDの削除

無線LANアクセスポイントを設定する際は、不要なSSID(ネットワーク名)を削除することが推奨されます。複数のSSIDを設定している場合、使用していないSSIDが放置されていると、セキュリティ上の脆弱性になる可能性があります。定期的にSSIDの設定を見直し、不要なものは削除するようにしましょう。

また、ゲスト用のSSIDを設定している場合は、社内ネットワークとは別のネットワークに分離することが重要です。ゲスト用のSSIDからは、社内ネットワークにアクセスできないようにセグメンテーションを行い、万が一の際にも被害範囲を限定できるようにしておきましょう。

ファームウェアの更新

無線LANアクセスポイントのファームウェアを最新の状態に保つことも、ウォードライビング対策として重要です。ファームウェアには、セキュリティ上の脆弱性を修正するためのアップデートが随時提供されています。最新のファームウェアに更新することで、既知の脆弱性を解消し、セキュリティレベルを向上させることができます。

ファームウェアの更新は、アクセスポイントのメーカーのWebサイトなどから行います。定期的にメーカー情報をチェックし、最新のファームウェアがリリースされていないか確認することが望まれます。

以上が、ウォードライビング対策として推奨される主な方法になります。無線LANのセキュリティを確保するためには、これらの対策を組み合わせて実施することが重要です。ただし、セキュリティ対策は一度行えば完了というわけではなく、継続的に取り組んでいく必要があります。定期的にセキュリティ設定を見直し、必要に応じて更新を行うことが求められます。

企業がウォードライビングに備える重要性

現代社会において、無線LANは利便性が高く、多くの企業で導入が進んでいます。しかし、その一方で、ウォードライビングによる情報漏洩や不正アクセスのリスクも存在します。企業が自社の情報資産を守り、セキュリティ対策を徹底するためには、ウォードライビングの脅威を正しく理解し、適切な対策を講じることが不可欠です。ここでは、企業がウォードライビングに備える重要性について解説します。

情報資産の保護

企業にとって、情報資産は非常に重要な財産です。顧客情報や機密情報などの漏洩は、企業の信用を大きく損なう可能性があります。ウォードライビングによって、セキュリティ対策が不十分な無線LANアクセスポイントが発見された場合、その無線LANを介して社内のデータが外部に漏洩するリスクがあります。情報資産を保護するためには、無線LANの適切なセキュリティ設定が不可欠です。

具体的には、無線LANの暗号化、アクセスポイントの適切な設定、不要なSSIDの削除、ファームウェアの更新などの対策が推奨されます。これらの対策を組み合わせて実施することで、ウォードライビングによる情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。

セキュリティポリシーの策定

ウォードライビング対策を徹底するためには、企業内でセキュリティポリシーを策定し、全従業員に周知徹底することが重要です。セキュリティポリシーでは、無線LANの利用ルールや、セキュリティ対策の実施方法などを明確に定めます。

例えば、個人所有のデバイスを社内ネットワークに接続する際のルールを定義したり、定期的なパスワード変更を義務付けたりするなどの規定を設けることが考えられます。セキュリティポリシーを策定し、全従業員がそれを遵守することで、ウォードライビングによるリスクを最小限に抑えることができます。

従業員への教育・啓発

セキュリティポリシーを策定しても、従業員がその内容を理解していなければ十分な効果は得られません。そのため、全従業員に対して、定期的なセキュリティ教育・啓発を行うことが重要です。

セキュリティ教育では、ウォードライビングの仕組みやリスク、セキュリティポリシーの内容、無線LANの適切な利用方法などについて、わかりやすく説明します。従業員一人ひとりがセキュリティ意識を高め、ウォードライビング対策の重要性を認識することで、企業全体のセキュリティレベルを向上させることができます。

定期的なセキュリティ監査

ウォードライビング対策を継続的に行うためには、定期的なセキュリティ監査が欠かせません。セキュリティ監査では、無線LANのセキュリティ設定が適切に行われているか、セキュリティポリシーが遵守されているかなどを確認します。

監査の結果、セキュリティ上の問題点が発見された場合は、速やかに改善策を講じる必要があります。定期的にセキュリティ監査を実施することで、ウォードライビングによるリスクを早期に発見し、対処することができます。また、監査を通じて、従業員のセキュリティ意識を維持・向上させる効果も期待できます。

以上のように、企業がウォードライビングによる脅威から情報資産を守るためには、セキュリティポリシーの策定、従業員への教育・啓発、定期的なセキュリティ監査などの対策が不可欠です。ウォードライビング対策は一時的なものではなく、継続的に取り組んでいく必要があります。企業は、無線LANのセキュリティ対策の重要性を認識し、組織全体で積極的に対策を講じていくことが求められます。

まとめ

ウォードライビングとは、車で移動しながら無線LANアクセスポイントを探索し、そのセキュリティ状況などの情報を収集する行為です。悪意ある第三者によって悪用された場合、情報漏洩や不正アクセス、ネットワークへの攻撃など、企業に大きなリスクをもたらします。

対策としては、無線LANの暗号化、アクセスポイントの適切な設定、不要なSSIDの削除、ファームウェアの更新など、技術的な防御策が重要です。さらに、セキュリティポリシーの策定や従業員教育、定期的なセキュリティ監査といった組織面の取り組みを組み合わせることで、ウォードライビングに対する防御力を高めることができます。

無線LANのセキュリティ確保は、一度設定して終わりではなく、環境や脅威の変化に応じて継続的に見直していくことが重要です。自社の無線LAN環境を改めて点検し、必要な対策を計画的に実施していきましょう。

Q.ウォードライビングは違法行為ですか?

無線LANアクセスポイントの電波を受信するだけであれば直ちに違法とならない場合もありますが、許可なくネットワークに接続したり設定を変更したりすると、不正アクセス禁止法などに抵触するおそれがあります。正当な権限のないネットワークに対して行わないことが重要です。

Q.ウォードライビングと正当なセキュリティ診断の違いは何ですか?

正当なセキュリティ診断は、ネットワークの管理者や企業から明確な許可を得たうえで、契約やルールに沿って実施されます。一方、一切の許可なく第三者のネットワークを調査・利用する行為は、不正アクセスに該当する可能性があり問題があります。

Q.暗号化されていないWi-Fiなら自由に使ってもよいのですか?

暗号化されていないWi-Fiであっても、提供者の意図や利用規約に反して利用すればトラブルや法的な問題につながる可能性があります。また、通信内容が盗み見られるリスクも高いため、業務利用には適しません。

Q.企業の無線LANは最低限どの暗号化方式を使うべきですか?

一般的にはWPA2以上の暗号化方式が推奨されます。新しい機器を導入する場合は、可能であればWPA3への対応も検討するとよいでしょう。WEPの使用は脆弱性が多いため避けるべきです。

Q.SSIDを隠せばウォードライビング対策として十分ですか?

SSID非公開(ステルス化)は一定の抑止効果はありますが、それだけで不正アクセスを防げるわけではありません。強固な暗号化やアクセス制御など、他のセキュリティ対策と組み合わせることが重要です。

Q.ゲストWi-Fiは社内ネットワークと分離すべきですか?

はい。ゲスト用SSIDは社内ネットワークとは別セグメントに分離し、内部システムにアクセスできないように設計することが推奨されます。これにより、ゲスト利用からのリスクを限定できます。

Q.無線LANアクセスポイントのファームウェアを更新しないと何が起こりますか?

既知の脆弱性が放置されるため、攻撃者に悪用されるリスクが高まります。定期的なファームウェア更新は、ウォードライビングで狙われやすい弱点を減らすうえでも重要です。

Q.企業としてウォードライビング対策を始める際の第一歩は何ですか?

まず、自社で利用している無線LANアクセスポイントの棚卸しと設定状況の確認から始めることが有効です。そのうえで、暗号化方式やパスワード、SSIDの運用方法などを見直します。

Q.セキュリティポリシーには無線LANについてどのようなルールを盛り込むべきですか?

社外からの機器接続ルール、私物端末の取り扱い、ゲスト用Wi-Fiの利用条件、パスワード管理方針などを明確に定め、従業員に分かりやすく示すことが重要です。

Q.ウォードライビング対策として従業員教育で重視すべきポイントは何ですか?

安易に公開Wi-Fiを業務で利用しないこと、社内無線LANの利用ルールを守ること、怪しいアクセスポイントに接続しないことなど、日常の行動につながる具体的な注意点を伝えることが重要です。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム