ワイヤーフレームとは、Webページのレイアウトや情報構造を示す「設計図」を指します。Webサイトやアプリ制作の初期段階で作成されることが多く、完成イメージやページ構造を視覚的に「見える化」するためのドキュメントです。
一般的には、実際のデザインやコーディングに入る前に作成されます。そのため、具体的な色やタイポグラフィ、画像などのビジュアル要素は含めず、ページのレイアウトやページ内での要素の配置に焦点を当てます。
これにより、ユーザーインターフェースの基本的な構造を検討する際に、デザイン要素によるノイズを排除し、情報の構造や機能の配置に集中して議論することが可能になります。
ワイヤーフレームは、プロジェクトチーム内でのコミュニケーションツールとして重要な役割を果たします。関係者が同じ図を見ながら議論できるため、認識のズレや言葉の行き違いを減らすことができます。
また、ワイヤーフレームの段階でページに足りない要素や不要な要素、視線誘導上の問題点を洗い出せます。コンテンツのまとまりや導線が適切かどうかを、実装前に確認できる点も大きなメリットです。
さらに、ワイヤーフレームはクライアントや社内ステークホルダーとの共通認識作りにも有効です。制作会社に制作を依頼する場合や、社内でデザイナーとエンジニアが連携する際に、ワイヤーフレームを共有することで誤解を防ぎ、効率的な進行につながります。
ワイヤーフレームが必要とされる主な理由は、Webサイトやアプリ制作の初期段階で完成イメージを共有し、制作作業のブレや手戻りを防ぐためです。デザイン制作やコーディングに入る前にワイヤーフレームを固めておくことで、余計な手間やリビジョンを削減できます。
また、Webデザインはナビゲーション、コンテンツブロック、CTAボタン、フォームなど、さまざまな要素で構成されています。それぞれの要素がどのように連携し、どの順番で表示されるべきかを事前に明確化するうえでも、ワイヤーフレームは有効です。
さらに、顧客やステークホルダーとのコミュニケーションツールとしても役立ちます。ワイヤーフレームを使用することで、提案内容を視覚的に示し、抽象的な説明だけでは伝わりにくい「画面の流れ」「要素の優先度」を共有することができます。
ワイヤーフレームを作成する際は、まずコンテンツの優先度を明確にすることが重要です。ユーザーが最も関心を持つ情報は何か、その情報はページのどの位置に配置されるべきかを考え、ページ全体の情報の重み付けを行いましょう。
次に、ユーザーの操作の自然さも考慮に入れる必要があります。ユーザーがどのような順番で情報を探すのか、どの操作の次に何が起きると自然か、といった一連の流れを想定し、それをスムーズにたどれるように配置します。
また、ワイヤーフレームはあくまで構成と配置にフォーカスしたものだという点も重要です。色やフォント、細かな装飾などの具体的なデザイン要素に意識を取られすぎると、本来の目的である「情報構造・導線の設計」から外れてしまいます。デザインは後続工程で検討する前提にしておくと、議論がブレにくくなります。
Webサイトやアプリのワイヤーフレームを効率よく作成するには、どのようなステップを踏めばよいのでしょうか。ここでは、
という基本の3ステップと、それらをスムーズに進めるためのコツを紹介します。これらの手順を踏むことで、実際のデザイン作業を始める前に全体像を「見える化」し、関係者間で合意形成をしやすくなります。
ワイヤーフレームの作成は、Webサイト制作における重要な初期段階です。最初にきちんと時間をかけて整理しておくことで、後工程でのトラブルややり直しを大幅に減らすことができます。
ワイヤーフレームを作る前に、必要な情報をしっかりと整理することが第一歩となります。必要な情報とは、Webサイトで伝えたいメッセージ、達成したいゴール(問い合わせ・資料請求・購入など)、そして掲載すべき具体的なコンテンツのことです。
まず、メインとなる情報やコンテンツ候補を洗い出し、それらを「目的」「ターゲット」「コンテンツの種類」などの軸でグルーピングします。そのうえで、重要度や優先度に応じてランキングを行うことで、どこに何を置くか、どの要素を目立たせるべきかが明確になります。
この情報整理のステップは、単に並べ方を決めるだけでなく、サイト全体のメッセージ設計や導線設計にも関わるため、ワイヤーフレーム作成において非常に重要です。
次に、整理した情報をどのようにレイアウトするかを検討します。ヘッダー、フッター、グローバルナビゲーション、サイドバー、メインコンテンツ、CTA(Call To Action)など、主要な要素をどこに配置するかがポイントになります。
ユーザーが自然と情報を見つけやすい配置にすることで、ユーザビリティが向上します。例えば、重要なメッセージやCTAはスクロールしなくても見える範囲に置く、関連情報は近接させてまとめるなど、「見つけやすさ」を意識したレイアウトが重要です。
このステップでは、ページを上から下へと読み進めたときの視線の動きや、スマートフォン・PCなどデバイスごとの表示の違いも意識しながら、構成を検討するとよいでしょう。
情報の整理とレイアウトの方針が固まったら、次にツールを使ってワイヤーフレームを描き起こします。ツール選びは、自分やチームが使いやすいものを選べばよく、必ずしも専門ツールである必要はありません。
PowerPointやExcel、Illustratorなど、身近なソフトでも十分にワイヤーフレームを作成できます。一方で、FigmaやAdobe XD、Sketch、Balsamiqのような専用ツールを使うと、コンポーネント化や共同編集など、大規模な制作やチーム開発に役立つ機能を活用できます。
清書のステップでは、細かい装飾よりも、要素のサイズや位置関係、余白の使い方などを明確にし、誰が見ても構造が理解できるレベルまで仕上げることが大切です。
ワイヤーフレーム作成のコツとして、まずはシンプルに始めることをおすすめします。最初から細かいパーツまで作り込みすぎると、全体の構造が見えづらくなり、議論の焦点が「細部」ばかりに向かってしまうことがあります。
次に、ユーザビリティを最優先に考えることも重要です。見た目の美しさだけを追求しても、ユーザーが目的の情報にたどり着けなければ意味がありません。「このページに来たユーザーは何をしたいのか」「次にどこへ進みたいのか」といった観点から、導線と配置を見直しましょう。
最後に、フィードバックを積極的に取り入れることも大切です。他のメンバーやクライアントなど、第三者に見てもらうことで、自分では気づかなかった改善点が見つかります。ワイヤーフレームは修正しやすい段階だからこそ、遠慮せず何度か手を入れる前提で進めると、最終的な品質が高まりやすくなります。
ワイヤーフレームの概念を正しく理解するには、似たようなドキュメントとの違いを把握しておくことが重要です。ここでは、「ディレクトリマップ」「デザインカンプ」「サイトマップ」との違いを整理し、制作フローの中でどのように役割分担されるのかを解説します。
ディレクトリマップは、Webサイトを構成するすべてのWebページと、その階層構造・URL構造を一覧化したものです。サイト内のページがどのようなフォルダ・URLで構成されるのかを示し、主に情報設計や運用・更新の管理に役立ちます。
一方、ワイヤーフレームは、各Webページのレイアウトや情報の配置を示す「画面単位の設計図」です。ディレクトリマップの段階では、各ページの中身がどのような構成になっているかまでは示されませんが、ワイヤーフレームではページ内のコンテンツブロックやUI要素がどのように配置されるかを明確にします。
つまり、ディレクトリマップがWebサイト全体の「骨組み(ページ構成)」を示すのに対して、ワイヤーフレームは各ページの「詳細設計(画面レイアウト)」を示す、と考えるとイメージしやすいでしょう。
デザインカンプは、色やフォント、画像などを反映した完成イメージに近いデザインの見本です。ユーザーに見せる状態をほぼ再現したビジュアルであり、見た目に関する最終確認や承認に用いられます。
一方、ワイヤーフレームは色や装飾を極力排し、ページ内の要素のレイアウトや情報の優先度、視線の流れをシンプルに示したものです。細かなビジュアルよりも、「何がどこにあるか」「どう読み進めるか」を伝えることに特化しています。
一般的なフローとしては、ワイヤーフレームで構成や導線を固めたうえで、その内容をもとにデザインカンプを作成していきます。両者の違いを理解することで、それぞれの段階で何を決めるべきかが明確になり、無駄な手戻りを減らせます。
サイトマップは、Webサイト全体の構造を示した図やリストで、サイト内の全ページとそれらの相互関係を一覧で把握するためのものです。ユーザー向けのHTMLサイトマップや、検索エンジン向けのXMLサイトマップも、この概念の一種です。
ワイヤーフレームは、サイトマップで定義された各ページについて、画面単位でレイアウトや情報配置を検討するための設計図です。サイトマップが「どのページが存在し、どうつながっているか」を示すのに対し、ワイヤーフレームは「そのページで何をどう見せるか」を示します。
サイトマップとワイヤーフレームは対立するものではなく、サイト全体の構造設計とページ単位の画面設計という、異なるレイヤーを補完し合う存在です。
ワイヤーフレームだけでなく、ここまでに挙げたディレクトリマップ、デザインカンプ、サイトマップなども、Webサイト制作において重要な成果物です。
これらのドキュメントはそれぞれ役割が異なります。たとえば、
適切な工程で適切なツール・ドキュメントを活用することで、Webサイト制作はより効率的に進み、品質も安定しやすくなります。
ワイヤーフレームはWebサイトの要素の位置関係を視覚化する重要な工程ですが、単に「箱を並べる図」にとどまりません。UI/UX、レスポンシブデザイン、アクセシビリティ、SEOといった観点からも考えることで、より実践的で価値の高い設計になります。
それぞれの観点によってチェックすべきポイントは異なります。見落としなく複数の観点を確認することで、ユーザー体験の最適化にもつながります。ここでは、主な4つの観点からワイヤーフレームを見るポイントを整理します。
まずはUI(User Interface)/UX(User Experience)の観点です。これは「ユーザーが使いやすいか」「迷わず目的を達成できるか」を中心に考える視点です。
具体的には、
といった点を確認します。ページごとにデザインや動作が大きく異なると、ユーザーは混乱しやすくなり、UXを損ねる原因となります。ワイヤーフレームの段階で、「どのページも同じルールで設計できているか」をチェックしておきましょう。
レスポンシブデザインとは、デバイスの画面サイズに合わせてレイアウトや表示内容が変化するデザインの考え方です。PC、タブレット、スマートフォンなど、複数のデバイスに対応することが当たり前になっている現在、ワイヤーフレーム制作時からレスポンシブを意識することが重要です。
たとえば、
といった点をワイヤーフレーム上で検討します。可能であれば、PC版・モバイル版のワイヤーフレームをそれぞれ用意し、画面幅の違いによってどのように構成が変わるかを明示しておくと、後工程のデザイン・実装がスムーズになります。
続いてアクセシビリティの観点です。アクセシビリティとは、ウェブサイトができるだけ多くの人にとって利用しやすい状態であることを目指す考え方で、高齢者や障害のあるユーザーへの配慮も含まれます。
ワイヤーフレームの段階でできる配慮として、
などが挙げられます。視覚的なデザイン前であっても、「どこに何のテキストがあるか」「どの要素が見出しに相当するか」を整理しておくことで、アクセシビリティを意識したデザイン・実装につなげやすくなります。
最後に、SEO(Search Engine Optimization)の観点です。SEOとは、Webサイトが検索エンジンの結果ページで適切に評価され、上位に表示されるように最適化する取り組みのことです。
ワイヤーフレーム制作でSEOを意識する場合、たとえば以下の点を確認します。
ユーザーが求める情報にスムーズにたどり着ける構造は、そのままSEOにおける評価にもつながりやすくなります。ワイヤーフレームの段階で情報構造を整えておくことで、SEO効果の高いWebサイトを作りやすくなります。
ワイヤーフレームは、Webサイトだけでなく、さまざまなデジタルプロダクトの設計フェーズで活用できる汎用的なツールです。ここでは具体的な活用シーンをいくつか紹介します。
Webサイト設計において、ページのレイアウトや情報配置を手早くイメージ・調整できるのがワイヤーフレームの大きな利点です。設計初期段階でワイヤーフレームを用意しておくことで、どのページにどのコンテンツを載せるか、どのような導線を用意するかといった全体像を整理できます。
また、クライアントやプロジェクトチーム全体が、サイト全体や各ページの機能・構造について共通認識を持つことを助けます。テキストと口頭説明だけでは伝わりにくい部分も、ワイヤーフレームを見せることで直感的に理解してもらいやすくなります。
一方で、色や写真・アイコンといったビジュアルについては、後からデザインカンプで詰めていくのが一般的です。ワイヤーフレームでは、まず極力シンプルな構成で「情報の置き場所」と「優先度」を固めることが推奨されます。
モバイルアプリの設計でも、ワイヤーフレームは重要な役割を果たします。限られた画面サイズのなかで、どのボタンやメニューをどこに配置するかは、使いやすさに直結します。
ワイヤーフレームを使えば、
といった点を事前に検討できます。開発者やデザイナーだけでなく、非技術者も図を見ながら意見を出しやすくなるため、チーム全体でアプリの設計をブラッシュアップできることもメリットです。
ランディングページの設計においても、ワイヤーフレームは非常に有効です。ランディングページは、訪問者に対して一目でメッセージを伝え、特定のアクション(問い合わせ、資料請求、購入など)を促すことが目的のページです。
ワイヤーフレームを用いれば、
といった「ストーリーの流れ」を、具体的な文言を入れる前の段階で検討できます。これにより、完成したランディングページが目指すゴールに対して、効率的かつ直感的にユーザーを導ける構成かどうかを、早い段階で検証できます。
設計プロセスにおいて、ワイヤーフレームとプロトタイピングは密接に関連しています。ワイヤーフレームが主に構造とレイアウトを定義するのに対し、プロトタイプは遷移やアニメーション、フォームの入力など、より詳細な機能やインタラクションを再現します。
一般的には、まずワイヤーフレームで各画面の構成と導線を固め、その後プロトタイピングツール(FigmaやXDなど)で画面遷移や動きを再現したプロトタイプを作成します。ワイヤーフレームの段階で構造をきちんと決めておくことで、プロトタイプ制作の手戻りを減らし、効率的な開発が可能になります。
このように、ワイヤーフレームは「静的な設計図」、プロトタイプは「動きを持った試作品」という位置づけで、それぞれの役割を理解しながら段階的に詳細度を高めていくことが、デジタルプロダクト開発における一般的なワークフローとなっています。
ワイヤーフレームは、Webサイトやアプリ制作における「画面構成の設計図」として、情報構造や導線を整理し、関係者間の共通認識をつくるために欠かせない存在です。ディレクトリマップやサイトマップがサイト全体の構造を示すのに対し、ワイヤーフレームは各ページのレイアウトや情報の優先度を具体的に示します。
作成にあたっては、情報の整理、レイアウトの検討、ツールによる清書という3ステップを踏みつつ、UI/UX、レスポンシブデザイン、アクセシビリティ、SEOといった複数の観点からチェックすることが重要です。Webサイト設計、モバイルアプリ設計、ランディングページ制作など、さまざまな場面で活用でき、プロトタイピングとも連携しながら、開発全体の効率と品質を高めてくれます。
ワイヤーフレームを単なる作業の通過点ではなく、「後工程の手戻りを減らし、ユーザーにとって使いやすいプロダクトを実現するための投資」と捉えることで、制作プロセス全体の生産性向上にもつながるでしょう。
ワイヤーフレームとは、Webページやアプリ画面のレイアウトや情報構造を示す設計図であり、色や画像などの装飾を省いて「何をどこに置くか」を整理するためのドキュメントです。
ワイヤーフレームを作成することで、制作初期に構成や導線を確認でき、関係者間の認識合わせや手戻りの削減、デザイン・実装工程の効率化につなげることができます。
はい、手書きでも問題ありません。初期のラフ案は紙やホワイトボードで十分であり、方向性が固まってきた段階でデジタルツールに清書する進め方も一般的です。
ワイヤーフレームは構成やレイアウトを示す設計図で、色や画像を省いたシンプルな図です。一方、デザインカンプは色やフォント、画像を含めた完成イメージに近いデザイン見本です。
サイトマップはサイト全体のページ構成や階層を整理するために使い、ワイヤーフレームは各ページごとの画面構成や情報の配置を検討するために使います。両方を組み合わせることでサイト設計がスムーズになります。
個人や小規模なプロジェクトではPowerPointやFigma、Balsamiqなどがよく利用されます。チームでの共同編集やプロトタイピングも見据えるなら、FigmaやAdobe XDなどのクラウド対応ツールが便利です。
PC版とスマホ版でレイアウトがどう変化するかをあらかじめ想定し、場合によってはデバイス別のワイヤーフレームを用意します。どの要素を優先し、どこまで省略・折り畳むかを決めておくことが重要です。
プロジェクトの規模やフェーズによりますが、初期段階では大枠の構成と導線が伝わるレベルで十分です。その後、合意形成の進み具合に合わせて要素のサイズや位置などを徐々に詳細化していきます。
専門用語を避け、各エリアに何が表示されるかを簡潔なラベルで示すこと、ページの目的やユーザーの動線を説明できる構成にすること、メモ欄などで意図を補足することが重要です。
ワイヤーフレームは静的な画面構成の設計に用い、プロトタイプは画面遷移やインタラクションを検証するために使います。まずワイヤーフレームで構造を固め、その内容をもとにプロトタイプで動作を確認する流れが一般的です。