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働き方改革関連法とは?企業の課題や必要な対策などを徹底解説

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UnsplashGiammarco Boscaroが撮影した写真      

製品事故による被害が報道されるたびに、「自社の製品は大丈夫だろうか」と不安を感じる方もいるかもしれません。この記事では、製造物責任法(PL法)の基本的な仕組みから、企業が押さえておきたい対応策、AI・IoT時代に論点となりやすい点までを、できるだけ平易な言葉で整理します。PL法の要点を理解しておくことで、製品の安全性を高めるための考え方や、万一の事故に備えた実務整理がしやすくなります。

PL法の概要

PL法の定義

PL法とは、製造物責任法の略称であり、製品の欠陥による被害者を保護し、製造業者等の責任を明確にすることを目的とした法律です。この法律は、製品の欠陥によって他人の生命、身体または他人の財産に係る被害が生じた場合、製造業者等に対して損害賠償責任を負わせるものです。

ここで重要なのは、対象となるのが「他人」の生命・身体・財産の損害であり、当該製品そのものの損傷(修理費用など)は、原則としてPL法の対象外とされる点です。その場合は、民法上の契約責任や不法行為責任の枠組みで検討することになります。

PL法の目的と対象

PL法の目的は、次の3点に整理できます。

  1. 製品の欠陥による被害者の救済
  2. 製造業者等の責任の明確化
  3. 製品の安全性の向上

PL法の対象となる製品は、製造または加工された動産であり、不動産や未加工の農林水産物は含まれません。また、最終製品だけでなく、部品や原材料も「製造物」に含まれます。製造業者だけでなく、輸入業者や自社ブランドを表示する表示製造業者なども、責任の対象となります。

PL法の特徴と効果

PL法の主な特徴は、次のように整理できます。

特徴説明
無過失責任製造業者等の過失の有無にかかわらず、欠陥のある製造物によって生じた損害について責任を負い得ます。被害者は「過失」を立証する必要はありませんが、欠陥・損害・因果関係については主張・立証が必要です。
立証のポイント被害者側は、製品の欠陥、損害の発生、欠陥と損害との因果関係を主張・立証する必要があります。実務では、事故の態様や使用状況などの事情を踏まえ、総合的に判断されます。
期間制限損害賠償請求権は、原則として「被害者(または法定代理人)が損害および賠償義務者を知った時」から一定期間(原則3年)行使しないとき、または「製造業者等が当該製造物を引き渡した時」から10年を経過したときに消滅します。人の生命または身体を侵害した場合には、除斥期間が20年となる点に注意が必要です。

PL法の歴史的背景

PL法は、1990年代前半に法整備の議論が進み、1995年7月1日に施行されました。背景には、消費者保護の観点から被害者救済の枠組みを明確にする必要性や、大量生産・大量流通の中で製品事故が発生した場合の影響が大きくなっていたことなどがあります。

従来は、被害者が民法の不法行為責任を根拠に損害賠償請求を行うのが一般的でしたが、その場合、製造業者の過失を被害者側が立証しなければならず、負担が大きいという課題がありました。PL法の制定により、企業側は製品安全や品質管理の位置づけをより明確にし、設計・製造・表示・販売後対応といった社内実務を見直す流れが進みました。

PL法の適用範囲

製造物の定義と範囲

PL法における製造物とは、製造または加工された動産を指します。家電製品、自動車、食品、日用品、医療機器など、一般に市場で流通している物の多くが含まれます。最終製品だけでなく、それを構成する部品や原材料も含まれます。

一方で、未加工の農林水産物や不動産(土地や建物)はPL法の対象外です。一般に、動産ではないソフトウェアやオンラインサービスそれ自体については、現行法上、PL法の「製造物」には当たらないと解釈されるのが通説とされています。ただし、ソフトウェアが物理媒体(例:ディスク等)に記録されて流通する場合には、その媒体が「製造物」として問題になる可能性があるため、提供形態を切り分けて検討する必要があります。

製造者等の責任主体

PL法では、製造物の欠陥によって生じた損害について、次のような主体が責任を負います。

  • 製造業者(製品を製造または加工した者)
  • 輸入業者(海外で製造された製品を日本に輸入して販売する者)
  • 表示製造業者(自らの氏名・商号・商標等を製品に表示した者)
  • 実質的に製造業者と同視される者(製造・加工・輸入等を他人に委託し、自らの氏名・商号・商標等を表示して製品を販売する者)

これらの責任主体は、製品の欠陥について過失がなくても、損害賠償責任を負い得ます。ただし、部品メーカーや原材料メーカーは、その部品や原材料自体に欠陥がない限り、原則としてPL法上の責任を負いません。どの主体が「製造業者等」に該当するかは、実際の取引形態や表示方法を踏まえて判断されます。

欠陥の判断基準

PL法における欠陥とは、製造物の特性、その通常予見される使用形態、製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の事情を考慮し、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いている状態を指します。欠陥の類型としては、一般に次の3つが挙げられます。

  1. 製造上の欠陥
  2. 設計上の欠陥
  3. 表示上の欠陥

免責事由と過失相殺

製造業者等は、一定の場合に免責が認められることがあります。代表的な例は次のとおりです。

  • 製造物を引き渡した時点において、当時の科学技術水準では欠陥を発見できなかったことを、製造業者等が立証した場合(いわゆる開発危険の抗弁)
  • 製造物が他の製造物の部品や原材料として使用され、完成品メーカー等の具体的な指示に従った結果、欠陥が生じた場合

また、被害者の取扱い上の過失によって損害が生じたり、損害が拡大したりした場合には、被害者の過失の程度に応じて、製造業者等の損害賠償額が減額されることがあります。これを過失相殺といいます。

まとめ

PL法は、製品の欠陥による被害者の救済と、製造物責任の枠組みを明確にすることを目的とした法律です。製造業者等は、製品の欠陥によって生じた損害について、過失の有無にかかわらず責任を問われる可能性があります。一方で、被害者側には、欠陥・損害・因果関係についての主張立証が求められます。

Q.PL法とはどのような法律ですか?

製品の欠陥によって他人の生命・身体・財産に損害が生じた場合に、製造業者等の損害賠償責任を定めた法律です。

Q.PL法の対象となる「製造物」とは何ですか?

製造または加工された動産を指し、最終製品だけでなく部品や原材料も含まれます。

Q.PL法で損害の対象になるのはどのような被害ですか?

他人の生命・身体・財産への被害が対象であり、当該製品そのものの損傷は原則として対象外です。

Q.PL法は過失がなくても責任を負うのですか?

はい。過失の立証は不要ですが、欠陥・損害・因果関係の主張立証は必要です。

Q.PL法における「欠陥」とはどのような状態ですか?

製造物の特性や通常予見される使用形態、引渡時期等を考慮して、通常有すべき安全性を欠いている状態を指します。

Q.PL法の損害賠償請求には時効がありますか?

原則として、損害および賠償義務者を知った時から3年、または製造業者等が当該製造物を引き渡した時から10年で消滅します。人の生命・身体侵害では、除斥期間が20年となる点に注意が必要です。

Q.PL法への備えとしてPL保険は有効ですか?

はい。事故発生時の賠償金や訴訟費用などの金銭的負担を軽減する手段として有効です。

Q.取扱説明書や警告ラベルはPL法と関係がありますか?

はい。不十分な注意喚起は表示上の欠陥と判断される可能性があるため、適切な表示は重要な対策になります。

Q.AI・IoT製品にもPL法は適用されますか?

「製造または加工された動産」に当たる形で提供される限り、AI・IoTを組み込んだ製品も対象になり得ます。提供形態によって整理が変わるため、個別の確認が必要です。

Q.PL法への対応で企業が最初に取り組むべきことは何ですか?

製品安全の体制を点検し、設計・製造・表示・販売後対応・リコールまでの判断と手順を、無理なく回せる形で整えることです。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム