ファイルを送信しようとしたとき、添付ファイルのサイズが大きすぎてメールで送れない……そんな場面は珍しくありません。業務でも私用でも、画像・動画・資料など「データを渡す」機会が増えた今、ファイルサイズやファイルのまとまり方は、作業効率を左右します。本記事では、代表的な圧縮形式であるZIPについて、仕組み・活用方法・注意点を整理し、どの場面でZIPを使うべきか判断できるように解説します。
ZIPとは、データを圧縮してファイルサイズを小さくし、複数のファイルやフォルダーを1つの「まとまり」(アーカイブ)として扱えるようにする圧縮ファイル形式の一つです。ZIPファイルは、解凍(展開)すれば元の構成に戻せるため、データの保存や転送の場面で広く利用されています。
ZIPは、データ圧縮技術を用いてファイルサイズを小さくし、複数のファイルを1つにまとめられるファイル形式です。ここで押さえたいのは、ZIPには「圧縮」と「ひとまとめ(アーカイブ化)」の2つの役割がある点です。
ZIPの特徴として、以下のようなものがあります。
特に業務では「フォルダー構成のまま渡したい」「ファイルが散らばらないように一つにしたい」といった場面が多く、ZIPはその用途に向いています。
ZIPは、データ圧縮アルゴリズムを使ってファイルサイズを小さくします。代表的な圧縮方式として、DEFLATE(デフレート)があります。DEFLATEは、データ内の繰り返しパターンを見つけて短い表現に置き換えることで、情報量を減らす方式です。
ZIPファイルを作成する際の基本的な流れは次の通りです。
解凍(展開)する際は、ZIPファイル内のデータを読み取り、圧縮前の状態へと復元します。なお、ZIPは「ファイルごとに圧縮して格納する」方式が一般的で、ファイル単位での取り出しがしやすい一方、圧縮効率はファイルの性質に左右されます。
ZIPを使うメリットとして、以下のようなものがあります。
一方、ZIPを使うデメリットとして、以下のようなものがあります。
「ZIPにしたのにサイズが減らない」「展開に時間がかかる」といった現象は、ZIPの出来不出来というより、扱っているデータの性質や環境条件で起きることが多い点も押さえておくと判断がしやすくなります。
ZIPは、1989年にPhil Katz氏が開発したPKZIPで普及した形式です。当初はMS-DOS向けに提供されましたが、その後さまざまなOSやソフトウェアで扱えるようになり、汎用的な圧縮形式として広く使われるようになりました。
近年では、より高い圧縮率を狙いやすい形式として7z形式や、独自方式で高圧縮を目指すRAR形式なども利用されています。ZIPより圧縮率が高くなる場合はありますが、受け取り側の環境によっては追加ソフトが必要になることもあり、互換性の面ではZIPが選ばれやすい傾向があります。
ZIPは、互換性の高さと取り回しの良さから、現在も標準的な選択肢として使われています。
ZIPはデータの圧縮や管理に役立つファイル形式ですが、使いどころを具体的にイメージできると、より実務的に活用しやすくなります。ここでは、ZIPの代表的な活用方法を整理します。
ZIPの最も一般的な活用方法は、データの圧縮と解凍です。大容量のファイルを送信する際や、ストレージの容量を節約したい場合にZIP化が役立つことがあります。
Windowsの標準機能でZIPファイルを作成・解凍する手順は以下の通りです(環境により表示名が異なる場合があります)。
なお、受け渡しの場面では「サイズ削減」よりも「ファイルをまとめる目的」でZIPを使うケースが多い点は、押さえておくと迷いが減ります。
ZIPは、パスワードを設定して暗号化できる場合があります。暗号化されたZIPファイルはパスワードがないと展開できないため、内容を見られにくくしたい用途で使われます。
ただし、ここは誤解が起きやすいポイントです。OS標準機能だけではパスワード付きZIPを作れない環境もあり、暗号方式や強度もツールによって差があります。機密情報を扱う場合は、ZIPのパスワードだけに頼らず、組織の情報管理ルール(安全な共有手段や権限管理、別経路でのパスワード共有など)に沿って運用することが重要です。
メールやクラウドストレージでは、添付やアップロードに容量制限がある場合があります。そうした場合、対応ソフトを使えばZIPを分割して作成できることがあります。
ただし「受信者が結合できるか」「同じ形式・同じツールを使えるか」が実務上の詰まりどころになりやすいため、分割を選ぶ前に、共有方法(クラウドのリンク共有など)を検討した方がスムーズなケースもあります。
クラウドストレージにアップロードする前にZIP化しておくと、フォルダー構成を維持したまま共有できたり、ファイル数が多い場合にアップロード対象を一本化できたりします。
一方で、画像・動画など既に圧縮済みのデータはZIP化してもサイズがあまり変わらず、時間だけがかかることもあります。「まとめたいのか」「容量を減らしたいのか」を分けて考えると、使い方の判断がしやすくなります。
ZIPは便利な形式ですが、互換性やセキュリティなど、使い方次第でトラブルになりやすい点もあります。ここでは「使う前に押さえておきたい実務上の注意点」を整理します。
ZIPは多くのOSで扱えますが、暗号化方式や拡張機能(ZIP64など)によっては互換性の差が出ることがあります。特に、相手が古い環境の場合は注意が必要です。
代表的なZIP対応ソフトウェアとしては、以下のようなものがあります。
業務でやり取りする場合は「相手の環境で確実に開けるか」を優先し、極端に特殊な設定は避けるのが無難です。
ZIPは便利な一方、マルウェアの配布手段として悪用されることもあります。暗号化されていないZIPファイルは中身を確認できるため一見安全に見えますが、展開後に実行されるファイルが混入しているケースはあり得ます。
ZIPに関するセキュリティ対策として、以下は基本です。
「ZIPだから危険」ではなく、「受け取ったファイルをどう扱うか」が重要です。
ZIPファイルは、転送中のエラーやストレージ障害などで破損することがあります。破損すると「展開できない」「一部のファイルだけ読み出せない」といった症状が出ます。
復旧策としては、以下が代表的です。
ただし、破損の程度によっては復旧できない場合もあります。重要データは、ZIP化とは別にバックアップを定期的に取る運用を前提にしておくと安心です。
ZIP形式そのものは、公開された仕様として広く利用されています。一方で、ZIPを扱うソフトウェアには、製品ごとのライセンスや利用規約が設定されている場合があります。
業務利用では、社内規定(利用許可されたソフトの範囲、暗号化ファイルの取り扱い、外部共有ルールなど)を確認し、ルールに沿って使うことが重要です。また、外部配布時には著作権や個人情報保護などの観点にも留意が必要です。
ZIPは、複数のファイルを1つにまとめ、必要に応じてサイズを小さくできる、互換性の高い圧縮形式です。メール添付やクラウド共有など、多くの場面で役立ちます。一方で、圧縮率には限界があり、暗号化や互換性、セキュリティ面の注意点も存在します。目的(まとめたいのか、容量を減らしたいのか)を分けて考え、状況に応じてZIPを使い分けることが、効率と安全性の両面で現実的です。
複数のファイルやフォルダーをまとめ、必要に応じて圧縮してサイズを小さくできるファイル形式です。
いいえ。画像や動画など、元々圧縮されているファイルはほとんど小さくならない場合があります。
WindowsやmacOSなど多くのOSで標準的に扱えますが、暗号化方式などで互換性差が出ることがあります。
作成・展開は可能です。ファイルを右クリックして「送る」→「圧縮(zip形式)フォルダー」などを選びます。
一定の秘匿性は高まりますが、暗号方式や運用次第で強度が変わるため、機密情報は組織ルールに沿って扱うべきです。
あります。受信したZIPは送信元確認とウイルススキャンを行い、展開後のファイルも確認することが重要です。
データ量やPC性能に左右されます。大容量や多数ファイルでは処理時間が長くなることがあります。
再送・再ダウンロードやバックアップ復元が基本です。修復機能のあるツールで復旧できる場合もあります。
受け取り側も分割ZIPに対応した手順やツールが必要です。事前に相手環境を確認すると安心です。
互換性重視ならZIP、高圧縮率を狙うなら7zやRARが候補ですが、受け取り側の対応可否を優先して選びます。