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REST APIとは? 役割・仕組み・機能をわかりやすく解説

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目次

本記事のテーマは、Web開発の現場で広く使われている「REST API」です。便利な仕組みである一方、「普段は呼び出しているけれど、設計の前提や“RESTらしさ”までは説明できない」というケースも少なくありません。

そこで本記事では、REST APIの基本概念(RESTの考え方とAPIの役割)から、注目されてきた背景、通信の流れ、メリットとデメリット、セキュリティ上の配慮、SOAP・GraphQLといった類似技術との比較までを整理します。読了後に「REST APIをどう設計し、どう運用すると失敗しにくいか」を判断できる状態を目指します。

REST APIとは

RESTは英語の「Representational State Transfer」の略で、読み方は「レスト」です。Webの基本原則(URLでリソースを識別し、HTTPでやり取りする)を前提にしたアーキテクチャスタイルであり、この考え方に沿って設計されたAPIを一般に「RESTful API(REST API)」と呼びます。

API(Application Programming Interface)は、アプリケーション同士が情報をやり取りするための接点(窓口)です。たとえば、社内システムが顧客データを取得する、モバイルアプリが商品一覧を受け取る、といった連携はAPIを通して行われます。REST APIは、そのAPI設計をWebの仕組みに寄せることで、理解しやすく、拡張しやすい連携を実現しやすい点が特徴です。

RESTの基本要素(リソース・URI・表現)

REST APIを理解するうえで重要なのは、「何を操作しているのか」を“リソース”として捉えることです。リソースは、ユーザー、注文、在庫、記事など、APIが扱う対象を意味します。

  • リソース:操作対象(例:ユーザー、注文)
  • URI(URL):リソースを識別する住所(例:/users/123
  • 表現(Representation):リソースの情報の受け渡し形式(例:JSON)

たとえば「ユーザーID 123」の情報を取得するなら、/users/123というURIを指定し、返ってくる表現がJSON(application/json)という形になります。

RESTの設計原則(制約)

RESTにはいくつかの設計原則(制約)があります。代表的には、ステートレス、クライアント・サーバー分離、キャッシュ可能性、統一インターフェース、階層化システム、(任意で)コードオンデマンドなどが挙げられます。

なかでも実務で特に影響が大きいのが、ステートレス統一インターフェースです。

ステートレス(Stateless)

ステートレスとは、各リクエストがそれ単体で完結し、サーバーが“会話の途中状態”を保持しない設計です。サーバーは「前回どこまで進んだか」を前提にせず、必要な情報(認証情報、対象リソース、操作内容など)が毎回のリクエストに含まれている状態を目指します。

この性質により、サーバー側はセッション状態の管理負担が減り、負荷分散(スケールアウト)や障害時の切り替えがしやすくなります。ただし、画面遷移の途中状態や複雑な業務トランザクションの進行状況など、「状態が必要な処理」を扱う場合は、状態をどこに置くか(クライアント側、トークン、サーバー側のデータとして明示的に保持する等)を別途設計する必要があります。

統一インターフェース(Uniform Interface)

統一インターフェースとは、操作方法を個別最適に増やさず、HTTPの基本要素(メソッド、URI、ヘッダー、ステータスコード、表現形式)で一貫して扱うという考え方です。代表的なHTTPメソッドは次の通りです。

  • GET:取得(参照)
  • POST:作成(または操作の起点)
  • PUT:更新(全体置換のイメージ)
  • PATCH:更新(部分更新)
  • DELETE:削除

たとえば、GET /users/123 はユーザー情報の取得、POST /users はユーザーの作成、というように、URIはリソースを表し、メソッドが操作意図を表す形に寄せます。これにより、API利用者は振る舞いを推測しやすくなり、API提供側も設計の一貫性を保ちやすくなります。

REST APIが注目されている背景

REST APIが広く普及した背景には、Webサービスの増加だけでなく、システム構造や開発スタイルの変化があります。

Webサービスの増加と連携ニーズの拡大

インターネットの普及により、情報取得、購買、予約、問い合わせ、社内手続きなど、多くの活動がWebを前提に動くようになりました。その結果、サービス同士がデータをやり取りし、連携して価値を出す場面が増え、汎用的で理解しやすいインターフェースが求められるようになりました。

クラウドとマイクロサービスの普及

クラウドの普及により、システムは単一の巨大アプリケーション(モノリス)から、役割ごとに分割されたサービス群(マイクロサービス)へ移行しやすくなりました。サービスが増えるほど、相互連携のルールがバラバラだと運用コストが膨らみます。REST APIはHTTPを基盤とし、扱いが標準化しやすいことから、サービス連携の共通言語として採用されやすくなりました。

従来方式との比較での“扱いやすさ”

従来はSOAP(XMLベースのメッセージング)なども広く使われてきました。SOAPは厳格な契約や複雑な要件に強い一方、設計・実装・運用が重くなる場面もあります。対してREST APIは、HTTPの仕組みを活用してシンプルに設計しやすく、Webとの相性が良い点が支持されてきました。

標準化と規格の考え方

RESTは「HTTPのバージョン(HTTP/1.1 か HTTP/2 か)」で決まるものではなく、RESTの制約(設計原則)に沿っているかで決まります。HTTPはREST APIでよく使われる土台であり、メソッド、ステータスコード、ヘッダー、キャッシュ制御などの仕組みを使って、統一インターフェースを実現します。

実務上は、HTTP/1.1 でも HTTP/2 でも、HTTPのセマンティクス(意味づけ)を守って設計すればREST APIとして成立します。重要なのは、HTTPメソッドの意図を崩さないこと、適切なステータスコードを返すこと、キャッシュ制御や認証の前提を明確にすることです。

また、REST自体はアーキテクチャスタイルであり、厳密な“バージョン規格”があるわけではありません。そのため、現場では「RESTっぽいAPI(HTTP API)」と「RESTの制約を意識して設計されたAPI(RESTful)」が混在しやすい点には注意が必要です。

主な利用シーン(想定事例)

REST APIは、Webサービス提供、アプリ連携、社内外システムのデータ交換など、幅広い場面で活用されています。ここでは、導入効果がイメージしやすい例を示します。

事例1:CRMとマーケティングツール連携(手作業の削減)

A社の営業部では、社内CRMと外部マーケティングツール間のデータ同期を手作業で行っており、時間がかかるうえに入力ミスも発生していました。そこでREST APIで連携し、顧客情報や施策結果を自動で同期することで、作業時間を削減し、データの整合性も改善しました。

事例2:製造ライン間のデータ連携(仕様統一で拡張しやすく)

B社の製造部門では、機械ごとに接続方式やデータ形式が異なり、新しい設備を追加するたびに個別対応が必要でした。REST APIで入出力形式とエンドポイントのルールを統一することで、新規設備の追加や監視ダッシュボードへの接続がスムーズになり、運用負担が下がりました。

ただし、効果を出すためには「HTTPで呼べる」だけでなく、リソース設計、エラーの扱い、認証・認可、運用監視まで含めた設計が重要です。

通信シーケンス(基本の流れ)

REST APIの通信は、クライアント(利用側)とサーバー(提供側)の間で行われます。基本の流れは次の通りです。

  1. リクエストの開始

    クライアントはHTTPメソッド(GET, POST, PUT, PATCH, DELETEなど)を選び、URIで対象リソースを指定します。必要に応じて、ヘッダー(認証情報など)やボディ(作成・更新データなど)を付与します。

  2. リクエストの送信

    HTTP(通常はHTTPS)でサーバーに送信されます。

  3. サーバーでの処理

    サーバーはリクエストを検証し、認証・認可、入力値チェック、業務処理、データ更新などを行います。

  4. レスポンス生成

    結果に応じて、ステータスコード(200, 201, 204, 400, 401, 403, 404, 409, 500など)と、必要ならレスポンスボディ(JSON等)を返します。

  5. レスポンス受信

    クライアントはレスポンスを解釈し、画面表示、後続処理、再試行、エラー表示など次の動作を決定します。

この一連の流れを理解しておくと、「どこで失敗しやすいか(認証、入力値、タイムアウト、衝突など)」を切り分けやすくなります。

技術的な優位点(メリット)

REST APIは、開発・運用の現場で“使いやすい共通インターフェース”になりやすく、結果としてビジネス面でも効果が出やすい手段です。

異なるシステムとの連携を作りやすい

HTTPとJSONを前提にした設計に寄せることで、クライアント(Web、モバイル、社内バッチ、外部パートナーなど)を選ばずに連携しやすくなります。技術要素が比較的共通化されているため、新規メンバーが参加しても理解が早いケースが多い点も利点です。

スケールしやすい設計に寄せやすい

ステートレスな設計は、負荷分散や冗長化と相性が良く、アクセス増に対して拡張しやすくなります。キャッシュを適切に使える場面では、レスポンス改善にもつながります。

クライアント体験(UX)を改善しやすい

Webやモバイルなど複数チャネルに同じAPIを提供できると、画面ごとの実装差が減り、機能追加も速くなります。結果として、ユーザーに新しい価値を届ける速度が上がりやすくなります。

開発コストを抑えやすい

設計の型(リソース設計、HTTPメソッド、ステータスコードなど)を揃えられるため、APIごとに独自仕様が増えるのを抑えやすくなります。API仕様の一貫性は、長期運用のコストにも直結します。

APIを起点に新しい価値を作りやすい

社内外にAPIを公開できると、外部の開発者やパートナーが連携しやすくなり、新サービスやデータ活用の広がりにつながります。ただし、公開範囲や認可設計を誤るとリスクも増えるため、セキュリティ設計が前提になります。

利用時の注意点(デメリット)

REST APIは万能ではありません。メリットを活かすためには、デメリットを前提に設計・運用する必要があります。

ステートレスの“しわ寄せ”が出る場面がある

ステートレスは運用面で強い一方、複雑な業務フロー(複数ステップの申請、確定前の一時保存など)では、状態をどこに置くかの設計が必要です。状態を曖昧にすると、APIが使いにくくなったり、不整合が起きやすくなったりします。

セキュリティ設計を軽視すると事故につながる

APIはデータと機能の入口です。認証・認可、入力値検証、ログ、監視、レート制御が不十分だと、不正利用や情報漏えいのリスクが高まります。公開範囲が広いほど、設計の甘さが致命傷になりやすい点に注意が必要です。

バージョン管理と互換性維持が難しい

APIは利用者が増えるほど、変更が難しくなります。破壊的変更をすると、利用側の改修が追いつかず、全体の運用が止まることもあります。変更方針(後方互換、バージョニング、廃止手順)を早期に決めておくことが重要です。

“RESTらしさ”が崩れると一貫性が失われる

エンドポイントが動詞だらけになる、HTTPメソッドの意味が崩れる、ステータスコードが統一されない、といった状態になると、API全体が学習しにくくなります。結果として開発速度が落ち、問い合わせや障害対応コストが増えます。

大量データや低遅延が必要な領域では工夫が必要

JSONは扱いやすい一方、データ量が増えると通信・パースの負荷が増えます。ページング、圧縮、キャッシュ、差分取得、非同期処理などを組み合わせ、要件に合う設計に調整する必要があります。

セキュリティ上の配慮

REST APIを安全に運用するためには、設計段階からセキュリティを織り込むことが不可欠です。ここでは代表的な観点を整理します。

HTTPSの採用

通信経路での盗聴や改ざんを防ぐために、APIはHTTPSで提供するのが基本です。外部公開だけでなく、社内システム間連携でもHTTPSを前提にすることで、前提が揃いやすくなります。

認証と認可の設計(トークン管理を含む)

「誰が呼べるか(認証)」と「何ができるか(認可)」を分けて設計します。トークン方式を採用する場合は、有効期限、失効手段、権限スコープ、漏えい時の影響範囲を具体的に決めて運用します。

入力値の検証と安全な実装

APIが受け取る入力値は必ず検証し、想定外の値を処理に通さないことが重要です。検証不足は、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)などの脆弱性につながる可能性があります。単に“エスケープする”だけではなく、入力仕様(型、長さ、許可文字、必須項目)を明確にし、拒否する設計に寄せます。

レートリミットと悪用対策

過剰なリクエストはサービスを不安定にするだけでなく、ブルートフォースやスクレイピングの温床にもなります。レートリミット、IP制限、WAF、BOT対策、監視とアラートなどを組み合わせ、運用で守れる形にします。

類似の技術(SOAP・GraphQLとの比較)

Web上のデータ交換にはREST API以外の選択肢もあります。要件に応じて使い分けることが重要です。

SOAP

SOAP(Simple Object Access Protocol)は、XMLを基盤にしたメッセージングの枠組みで、厳格な仕様や企業向けの統制が必要な場面で使われることがあります。複雑な要件や契約重視の統合に向く一方、メッセージが大きくなりやすく、設計・運用が重くなることがあります。

GraphQL

GraphQLは、クライアントが必要なデータ構造を指定して取得できる仕組みで、過不足のないデータ取得(オーバーフェッチ/アンダーフェッチの回避)に強みがあります。一方で、設計・実装・運用の考慮点(認可、クエリ制限、キャッシュ戦略など)が増えやすく、導入時は体制や成熟度に応じた検討が必要です。

REST API、SOAP、GraphQLは排他的ではありません。システム全体で要件が異なるなら、領域ごとに適した方式を使い分ける選択も現実的です。

まとめ

REST APIは、Webの原則に基づいたアーキテクチャスタイル(REST)を前提に、HTTPの仕組みを活用してリソースを一貫した形で扱うAPI設計です。ステートレスと統一インターフェースを軸に設計できると、連携のしやすさ、拡張性、運用性の面で効果が出やすくなります。

一方で、状態が必要な処理の扱い、セキュリティ、バージョン管理、設計の一貫性維持など、失敗しやすいポイントも明確です。メリットだけでなく注意点を前提に、要件に合った設計と運用(監視・制御・変更方針)まで含めて整備することが、REST APIを“使える資産”にする鍵になります。

Q.REST APIとは何ですか?

RESTの考え方に沿い、HTTPでリソースを一貫した形で扱うAPI設計のことです。

Q.RESTとRESTfulの違いは何ですか?

RESTは設計原則の集合で、RESTfulはその原則に沿って設計されている状態を指します。

Q.リソースとは何を指しますか?

ユーザーや注文など、APIが扱う対象を指し、URIで識別されます。

Q.ステートレスとは何が嬉しいのですか?

サーバーが会話状態を保持しないため、負荷分散や拡張、障害時の切り替えがしやすくなります。

Q.HTTPメソッドはどう使い分けますか?

GETは取得、POSTは作成、PUT/PATCHは更新、DELETEは削除として一貫性を持たせます。

Q.REST APIに“公式のバージョン規格”はありますか?

ありません。RESTの制約に沿っているかが重要で、HTTPのバージョンそのものは本質ではありません。

Q.APIのバージョン管理はなぜ難しいのですか?

利用者が増えるほど破壊的変更が困難になり、互換性維持と移行計画が必要になるためです。

Q.REST APIで特に重要なセキュリティ対策は何ですか?

HTTPS、認証・認可、入力値検証、レート制限、監視とログの整備が重要です。

Q.SOAPとREST APIはどう違いますか?

SOAPはXML中心で契約重視の統合に向き、REST APIはHTTPを活用して軽量に設計しやすい傾向があります。

Q.GraphQLはREST APIの代わりになりますか?

要件によっては有効ですが、運用の考慮点も増えるため、目的と体制に合わせて選択します。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・プロダクトチーム