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セキュアブラウザとは?仕組みやメリット・デメリットについて解説

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テレワークをはじめとする働き方の多様化に対応するために、多くの企業でリモートワーク環境の整備が進められています。リモートワークを実現するための方法はいくつか存在しますが、その中でも注目したいものが「セキュアブラウザ」です。セキュアブラウザを用いることには、どのようなメリットが存在するのでしょうか。

 この記事では、セキュアブラウザの概要や特徴・仕組みの解説と併せて、主なセキュリティ機能、メリット・デメリットについて解説します。

 セキュアブラウザとは

 セキュアブラウザとは、セキュリティ機能を備えたWebブラウザの一種です。一般的なWebブラウザと同等の基本機能に加え、安全なインターネット接続やリモートワークを実現する機能を実装したアプリケーションです。セキュアブラウザには不正なWebサイトへのアクセスを制限したり、端末にデータを残さずにリモートアクセスを実現したりとさまざまな機能が備わっています。特にリモートワークでは、セキュリティを確保することが重要になりますが、安全な社内ネットワークへの接続手段としても利用されています。

セキュアブラウザとVDIとの違い

端末にデータを残さないリモートアクセスの種類として、VDIも挙げられます。VDI(Virtual Desktop Infrastructure:仮想デスクトップ基盤)とは、パソコンなどのデスクトップ環境をサーバー上に集約して稼働させる仕組みです。

セキュアブラウザ、VDIはともにパソコンなどの端末上にデータを残さないため、リモートワークなどで利用され、情報漏えいなどのセキュリティリスクを軽減するために活用されています。両者の違いは、実際の作業場所の違いといえるでしょう。セキュアブラウザは端末上に隔離された安全な作業場所を展開し、そのなかで作業を行います。対して、VDIはVDIサーバー上に作業場所(デスクトップ)が用意されており、端末はその場所にアクセスして作業します。

さらに、導入工数とコストに関しては、セキュアブラウザよりもVDIの方が圧倒的に高いでしょう。

セキュアブラウザの特徴

セキュアブラウザの特徴としては、大きく次の2つが挙げられます。

  • 端末に情報を残さない
  • 利用者が利用するWebサイト、アプリケーションを制限できる

セキュアブラウザは端末上に隔離された安全な作業場所を展開し、利用者はそのなかで作業を行います。端末からログアウトしたり、シャットダウンしたりするとデータは削除され、端末に残ることがありません。そのため、万が一社外に持ち出した端末を紛失してしまったとしても、端末内のデータ保存をしていなければ、内部からの情報流出を防ぐことができます。

また、セキュアブラウザを通して利用するWebサイトに対してはURLフィルタリングをかけ、業務とは関係のないWebサイトへのアクセスを制限することが可能です。利用可能なアプリケーションも管理者側で制限できるため、利用者が不審なアプリケーションを利用しないようにすることもできます。

 このような特徴から、セキュアブラウザはリモートワークを実現するための手段として多くの企業で利用されています。

セキュアブラウザの仕組み

 セキュアブラウザはパソコンやスマートフォンなどの端末にインストールして利用します。社内に専用のゲートウェイを用意し、セキュアブラウザからの通信は専用ゲートウェイを通じて行うことで、社内システムやクラウドサービスへのアクセス経路の一本化が実現可能です。

セキュアブラウザを利用する際は、一般的なWebブラウザと同じように利用できますが、一般的なWebブラウザではWebの閲覧履歴やキャッシュ、認証情報などが端末に残ります。対して、セキュアブラウザを利用する場合はこれらの情報は利用後に消去されるため、情報漏洩や不正アクセスの防止に役立ちます。 

セキュアブラウザの主なセキュリティ機能

 セキュアブラウザを利用することで、外出先やリモートワークなどの際でも安全に社内システムやクラウドサービスへ接続できます。その他にも、サイバー攻撃対策やプライバシー保護などのセキュリティ機能が備わっており、代表的な機能としては次のようなものが挙げられます。

不正なWebサイトのブロック機能

セキュアブラウザを使ったアクセスは、専用のゲートウェイを通じて行われます。不正なWebサイトの情報をゲートウェイで管理し、利用者がアクセスする前にブロックすることが可能です。

フィッシング詐欺の検知・防止機能

フィッシングサイトの検知も同様の仕組みで実施でき、フィッシングサイトへのアクセスを検知・防止できます。

悪意のある広告やスクリプトのブロック機能

端末にマルウェアなどをインストールさせようとする広告やスクリプトを検知し、ブロックすることも可能です。また、仮にインストールしてしまったとしても、セキュアブラウザは隔離された安全な作業場所を展開するため、影響範囲を最小化できます。

利用アプリケーションの制限機能

セキュアブラウザはブラウザ経由のアクセスであるため、VDIなどと比べて自由度は高くありません。もともと利用可能なアプリケーションなどは制限されていますが、利用者が追加で未承認のアプリケーションをインストールしようとしても検出・防止できます。同様に利用可能なクラウドサービスも制限でき、未承認のクラウドサービスの利用を制限することも可能です。

プライバシーモード機能

プライバシーモード機能は、Webサイトの閲覧履歴やCookieなどの情報を端末に保存しないようにすることで、利用者のプライバシーを保護する機能です。これらの情報はWebサイト運営で収集、利用されていることがあるため、プライバシーモード機能を利用することでプライバシーを保護できます。

トラッキング防止機能

Webサイトの運営者や広告主は、CookieやWebビーコンなどを利用してユーザーの行動を追跡(トラッキング)できます。代表的なトラッキングの利用例としては、閲覧履歴に応じて変化する広告などです。トラッキング防止機能を利用することで、ユーザーの行動を追跡できなくできるため、プライバシーの保護に役立てられます。

Cookie管理機能

Cookieとは利用者がWebサイトを閲覧したときの情報を記録する仕組み(データ)のことです。Cookieは利便性を高めるために利用されるものですが、悪用される可能性もあるため注意しなければなりません。セキュアブラウザにおけるCookie管理機能では、Cookie利用の制限や不必要にCookieを保存しない、またはWeb閲覧後に削除することでセキュリティを高めます。

セキュアブラウザ利用のメリット

 セキュアブラウザを利用することには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、主な3つのメリットについて解説します。

セキュリティ強化

セキュアブラウザはリモートワークなどで用いられますが、その理由の一つがセキュリティを強化できる点にあります。前述のとおり、セキュアブラウザは隔離された安全な作業場所を端末上に展開し、作業が終われば利用していたデータは端末に残りません。そのため、情報漏えいや不正アクセスなどのセキュリティリスクの対策ができます。また、仮にマルウェアなどに感染したとしても、影響範囲は隔離された環境のみに留められ、作業後はデータが削除されるため影響範囲は最小化されます。

通信回線の影響が少ない

VDIを用いたリモートデスクトップなどの画面転送方式では、常時接続して通信を行う必要があり、通信量も多くなります。そのため、通信回線によっては繋がりにくい、接続に時間がかかる、などの問題が発生しやすくなります。その点、セキュアブラウザは常時接続する必要がなく、通信回線の影響が少ない点が特徴です。

情報漏えいリスクの低減

リモートワークでは端末を持ち運ぶことから、端末の紛失や盗難時に情報漏えいにつながるリスクが存在します。セキュアブラウザであれば端末に情報を残すことなく、リモートワークが実現できるため、情報漏えいリスクの低減が可能です。

セキュアブラウザ利用のデメリット

 セキュアブラウザの利用には多数のメリットがありますが、一方で注意すべきデメリットも数点あります。

パフォーマンスへの影響と速度低下

セキュアブラウザを利用する際はゲートウェイを経由して通信を行う仕組み上、通常のアクセス時と比べて速度が低下する可能性が考えられます。また、Cookieの利用を制限することで、Webページの表示速度が落ちるなど、パフォーマンスへ影響することもあります。

サポートされていないWebサイトへの制約

セキュアブラウザを利用することで、Cookieやスクリプトの実行などが制限される場合、特定のWebサイトが正常に閲覧できない可能性があります。Webサイト上の一部の機能が利用できない場合だけでなく、Webサイト側がセキュアブラウザに対応していないと、エラーが表示されて閲覧できない場合もあります。

追加機能の複雑さとカスタマイズの難しさ

セキュアブラウザはセキュリティを高めるために利用するものであり、さまざまな制限を設けることで高いセキュリティを実現しています。また、トラッキング防止機能やCookie管理機能などは、専門的な知識をもって適切に設定しなければ利用者の利便性に大きく影響するでしょう。

利用者の要望が多く細かいカスタマイズが必要とされる場合、利用者の利便性を保ちつつ、高いセキュリティを実現するためには、各種オプションについて深く理解する必要があり、実現するための難易度が高い点はデメリットとして挙げられます。

まとめ

 セキュアブラウザはセキュリティ機能を備えたWebブラウザの一種であり、安全なリモートワークなどを実現するために利用されます。


セキュアブラウザは端末に情報を残すことなく、隔離された安全な作業場所を展開し、そこで作業を行います。セキュアブラウザは専用のゲートウェイを通じて通信を行うことから、社内システムやクラウドサービスへのアクセス経路を一本化することで安全性を高めることが可能です。


これにより、URLフィルタリングや許可していないクラウドサービスへのアクセス、不正なWebサイトへのアクセスをブロックできます。一方で、パフォーマンスへの影響や一部Webサイトが正常に閲覧できない可能性などのデメリットも存在します。

セキュアブラウザはユーザーのセキュリティとプライバシー保護を強化できますが、利用する際にはデメリットにも注意して導入を検討するようにしましょう。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム