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VDIとシンクライアントの違いとは?仕組み・メリット・選び方をわかりやすく解説

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目次

VDIとシンクライアントは、どちらもテレワーク・ハイブリッドワーク環境の整備などにおいてよく耳にする単語ですが、それぞれ異なるものでありながら、同じ意味を持つものとして混同されているケースがよくあります。

本記事では、意外と説明できない両者の定義を整理し、それぞれの役割とメリットを解説していきます。セキュリティや働きやすさの観点も踏まえながら、自社に合う環境の検討に役立ててください。

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VDIとシンクライアントとは

多くの人がこの2つを混同してしまう理由は、どちらも「手元の端末にデータを残さない」という共通の目的(ソリューション)として語られることが多いためです。しかし、その正体は似て非なるものです。

「VDIはシステムの話、シンクライアントは道具の話」という基本を押さえるだけで、解像度は一気に上がるでしょう。

シンクライアントとは

シンクライアントは、最低限の処理機能しか持たない「端末(ハードウェア)」、あるいはそれを実現する考え方を指します。端末には最低限の入力・出力機能のみを搭載し、ハードディスクを持たないことが一般的です。

VDI(仮想デスクトップ)とは

VDIは「Virtual Desktop Infrastructure」の略称で、サーバー上に仮想のPC環境を構築して遠隔操作する「仕組み(インフラ)」を指します。

通常、PCは手元の端末内でOSやアプリケーションを動かしますが、VDI環境ではすべての処理がサーバー側で行われます。手元の端末には処理後の画面のみが映されます。

「シンクライアント」がユーザーの操作する「端末」を指すのに対し、VDIはその端末が接続する先にある「システム側の土台」という関係性です。

VDIの主要な4つの方式

VDIを構築・運用の方式には、主に以下の4つの種類があります。自社の業務形態やユーザー数に合わせて最適な方式を選択しましょう。

方式概要特徴
VDI方式(仮想デスクトップ方式)サーバー上にユーザー数分の仮想マシン(VM)を個別に用意する方式。自由度が高く、ユーザーごとにアプリの個別インストールなどが可能。ただし、コストが高い。
SBC方式(サーバー共有型)1つのサーバーに(Windows Serverなど)を、複数のOSを構築し、クライアント端末から操作する方式。コストを抑えられ、リソースを効率的に分配できるが、個別のカスタマイズ(アプリの自由な追加など)は制限される。
HDI方式ユーザーごとに、サーバー側の物理的なハードウェア(ホスト)を丸ごと1台占有させる方式。CADや動画編集など、極めて高いグラフィック処理・計算能力が必要な業務に向いているが、コストは非常に高い。
DaaS(クラウド型VDI)物理的なサーバーを自社で持つのではなく、クラウド事業者(AWS、Azureなど)が提供するVDI基盤を利用する方式。初期投資を抑えられ、スピーディに導入・拡張できる。運用保守を事業者に委ねられるため、管理者の負担が少ない。

VDIとシンクライアントの違い

シンクライアントはデータを保持しない「端末の構成(ハードウェア・クライアント側)であり、VDIはその端末が接続する「インフラシステム(サーバー・仕組み側)」です。

つまり、「シンクライアント(端末)を使って、サーバー上のVDIである仮想デスクトップ環境にアクセスする」ことを意味するため、どちらもセットで提供されます。企業のセキュリティ向上と柔軟な働き方を同時に実現するためにも、VDIとシンクライアントは連携するケースが一般的です。

シンクライアントとVDIの仕組み

シンクライアントとVDIは、サーバー側でデータを一括管理する点で共通していますが、リソースの割り当て方法が異なります。運用形態に合わせ、最適な仕組みを選択することが重要です。

シンクライアントの主な仕組み(SBC)

シンクライアントを実現する代表的な仕組みに、SBC(Server Based Computing)方式があります。これは1台のサーバーOSを複数のユーザーで共有し、アプリケーションを実行する形式です。操作画面のみを端末に転送するため、端末側にはデータが残りません。リソースを効率的に共有できるため、コストを抑えた運用に適しています。

VDIの主な仕組み(オンプレミス型・DaaS)

VDIには、自社内にサーバーを設置するオンプレミス型と、クラウド環境を利用するDaaSがあります。どちらもハイパーバイザー上にユーザーごとの仮想デスクトップを構築する仕組みです。

DaaSはクラウド事業者が基盤を管理するため、スモールスタートや迅速な導入に向いており、オンプレミス型は高度なカスタマイズや閉域網での運用に対応します。

SBC・VDI・ブレードPC・DaaSとの違い

各方式はデスクトップ環境の提供方法が異なります。SBCはサーバーOSを共有し、VDIとDaaSは個別の仮想マシンを割り当てます。対してブレードPC方式は、筐体内の物理的なPCマザーボードを1人1台占有する仕組みです。

自由度や占有率で見ると、一般的に「ブレードPC > VDI・DaaS > SBC」の順に個別のカスタマイズ性が高まります。

ゼロクライアント・ファットクライアントとの違い

ゼロクライアントは、OSすら搭載せず画面転送に特化した極限のシンクライアント端末です。一方でファットクライアントは、一般的なパソコンのようにOSやストレージを備え、端末側で処理を完結させます。セキュリティを最優先し管理を徹底する場合はゼロクライアント、オフライン環境での作業や高負荷な処理を優先する場合はファットクライアントが選ばれます。

VDIが主流になった背景

近年、多くの企業がVDIを導入している背景には、働き方の多様化とセキュリティ意識の高まりがあります。従来の端末管理では対応しきれない課題を解決する手段として注目されています。

テレワーク普及とセキュリティ需要

感染症対策や働き方改革によりテレワークが急速に普及し、社外から業務システムへ安全にアクセスする手段が求められました。VDIは端末にデータを残さないため、IT機器の盗難や紛失に伴う情報漏えいを防げます。場所を選ばずにオフィスと同等の作業環境を確保できる安全性と利便性が、多くの企業に選ばれる大きな要因です。

クラウド化と仮想デスクトップの進化

クラウドサービスの選択肢が広がった事で、自社で基盤を保有せずに仮想デスクトップ環境を利用できるDaaSも選びやすくなっています。 これにより、以前は高額な初期投資が必要だったVDIが、DaaSとして手軽に導入可能になっています。仮想化技術の向上によって画面転送の遅延も改善され、ストレスのない操作感が実現したことも、普及を後押ししました。

VDIのメリット

VDIの導入は、セキュリティ向上や業務効率化など、企業に多くの利点をもたらします。IT資産をサーバー側へ集約することで管理作業の集約につながります。一方で、すべての課題がなくなるわけではなく、基盤設計や運用体制の整備も必要です。

セキュリティが強化される

VDIはデータを端末に保存させない仕組みのため、端末の盗難や紛失に伴う情報漏えいリスクを抑えやすくなります。OSやアプリケーションの更新、ウイルス対策ソフトの適用などもサーバー側で一括管理できるため、個々の端末状態に依存することなく、組織全体のセキュリティレベルを高い水準で維持できます。

効率的に運用管理できる

システム管理者は、数百台規模のデスクトップ環境を一括でアップデートや設定変更できます。不具合が発生した際も、サーバー上の仮想マシンを操作するだけで復旧が可能なため、各拠点のデスクまで足を運ぶ必要がありません。キッティング作業もテンプレートを活用して迅速に行えるため、管理工数を大幅に削減できます。

テレワーク・多拠点に強い

インターネット環境さえあれば、自宅やサテライトオフィスから社内システムへ安全にアクセスできます。操作しているデバイスを問わず、使い慣れた自分専用のデスクトップ環境をそのまま利用できるため、場所による生産性の低下を招きません。出張先や移動中の隙間時間も有効活用でき、柔軟な働き方の実現に寄与します。

BCP対策として有効

災害や交通機関の混乱でオフィスへの出社が困難になった場合でも、自宅から業務を継続できます。重要なデータをデータセンター側で管理する構成であれば、オフィス端末の破損による業務データ消失リスクを抑えられます。 迅速な業務復旧を可能にする事業継続計画の要として、非常に有効な手段です。

VDIのデメリット

VDIには多くの利点がある反面、導入前に把握すべき注意点も存在します。コスト面やインフラ環境の依存度など、運用の実態に即した課題を理解しておくことが不可欠です。

導入・運用コストが高くなりやすい

VDIを構築するには、高性能なサーバーやストレージ、ネットワーク機器の用意が必要です。加えて、利用人数分のOSライセンス料や仮想化ソフトの費用も発生するため、初期費用が高額になる傾向があります。

運用開始後も、サーバーの保守費用やライセンス更新費用は継続して発生します。そのため、初期費用だけで判断せず、長期的な費用負担も含めて検討しましょう。

ネットワーク依存によるパフォーマンス課題

デスクトップ画面を常に転送する仕組みであるため、快適な利用には安定した高速通信環境が欠かせません。ネットワーク帯域が不足すると、画面の遅延やフリーズが発生し、業務の生産性が低下する恐れがあります。特にWeb会議や動画視聴など、通信負荷の高い作業を行う場合は、ネットワークインフラの増強が必要になるケース もあります。

設計・構築の難易度が高い

VDI環境の構築には、仮想化技術やサーバー、ネットワークに関する高度な専門知識が必要です。ユーザー数や利用するアプリケーションに応じた適切なリソース配分を行わなければ、システム全体の動作が不安定になるリスクがあります。

将来の拡張性まで見据えた緻密な設計が求められるため、自社のみでの対応が難しいケースも少なくありません。

運用負荷が増えることがある

パソコン管理の効率化に繋がる一方で、サーバー側の管理業務は複雑化します。物理サーバーのメンテナンスや、仮想マシンのパッチ適用状況の監視など、管理者の責任範囲が広がります。

万が一サーバーに障害が発生した際には、全ユーザーの業務が停止するリスクもあるため、二重化構成の検討や迅速な復旧体制の整備など、高度な運用体制が不可欠です。

VDIはFAT端末(一般的なPC)からでも接続・利用できる

VDIはシンクライアントと組み合わせるのが一般的ですが、必ずしもシンクライアントが必須というわけではありません。一般的なハードディスクを搭載し、ローカル環境でも処理が行えるFAT端末(ファットクライアント)からVDI環境へ接続して利用することも可能です。

FAT端末からVDIに接続するメリット

FAT端末からVDIに接続するメリットとして「既存資産の有効活用」と「ハイブリッド運用」が可能なことです。

従業員が利用している端末をそのまま使用できるため、シンクライアントを準備する手間やコストを抑えられます。また、ネットワーク環境下ではVDI環境を使用し、オフライン環境やローカル業務ではFAT端末として使用するなど、状況に応じた使い分けも可能です。

FAT端末からVDIに接続する際の注意点

FAT端末のVDI接続ですが、メリットばかりではありません。

FAT端末にはローカルストレージが存在するため、VDIに保持されているデータを持ち出すことが可能です。これではVDI接続の意味がなく、情報漏えいのリスクを抱えることになります。

このような持ち出しを防ぐには、セキュリティポリシーを適用する必要があるため、運用開始前に必ず設定を確認しておきましょう。

失敗しないための導入ポイントを解説

VDIやシンクライアントの導入を成功させるには、目先の課題解決だけでなく、中長期的な視点での検討が欠かせません。導入後に「期待した効果が得られない」といった事態を防ぐための要点を解説します。

コストだけで選ばない

初期費用やライセンス料の安さだけで導入を決定すると、実業務に耐えられないパフォーマンス不足を招く恐れがあります。安価な方式を選んだ結果、画面の遅延が頻発して従業員の生産性が低下しては本末転倒です。

必要なスペックや将来的な拡張性を十分に考慮し、投資対効果を見極めた上で、自社の業務に最適な方式を選定してください。

運用体制まで含めて設計する

システムを導入して終わりではなく、稼働後のメンテナンスや障害対応のフローを事前に確立しておくことが重要です。サーバーの負荷監視やパッチ適用、ユーザーからの問い合わせ対応など、管理者の業務範囲を明確化しましょう。自社での運用が困難な場合は、マネージドサービスの利用や外部ベンダーへの委託を含めた検討が必要です。

まとめ

VDIはシンクライアントを実現する手法の1つであり、セキュリティ強化やテレワーク推進に大きく貢献します。一方で、導入コストやネットワーク環境への依存といった課題もあるため、自社の業務特性に合わせた慎重な方式選定が欠かせません。

導入にあたっては、コスト面だけでなく、操作性や運用管理の体制まで含めた総合的な設計が求められます。

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記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム