テレワークの普及に伴い、安全で柔軟な業務環境を構築できる「クラウドVDI」に注目が集まっています。本記事では、クラウドVDIの概要やオンプレミス型との違い、導入によるメリットと注意点をわかりやすく解説します。自社に適したVDIサービスを選ぶためのチェックポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
クラウドVDIとは、インターネット上のクラウド環境に構築された仮想デスクトップ基盤(Virtual Desktop Infrastructure)を指します。
ユーザーは手元の端末からネットワークを経由してクラウド上のサーバーに接続し、画面転送の技術を用いてデスクトップ環境を遠隔操作します。業務データをクラウド側に集約し、手元の端末に残るデータを抑えやすいため、情報漏えいリスクの低減に役立ちます。
オンプレミスVDIとの違いは、物理サーバーなどのインフラ設備を自社で所有し管理するか否かという点です。オンプレミス型は自社内に機器を設置して自由にカスタマイズが可能な反面、初期費用や運用の手間がかかります。一方でクラウド型は事業者が提供するインフラを利用するため、資産を保有せず手軽に開始できます。
クラウドVDIは、提供形態や管理の範囲によって、自社でIaaS上に構築・運用するタイプとフルマネージドで提供されるDaaS(Desktop as a Service)を利用するタイプの2つに分類されます。
AWSやAzureなどのクラウド(IaaS)環境に、自社でVDIシステムを構築する手法です。インフラの調達スピードはオンプレミスより早いものの、OSのアップデートやVDIミドルウェアの運用・保守は自社で行う必要があります。物理的なハードウェアにかかるコストの削減や、場所を問わずにアクセスできることが強みです。
デスクトップ環境がクラウドサービスとしてパッケージ化され、月額定額などのサブスクリプション形式で提供される仕組みです。ミドルウェアの管理やアップデート、基盤の保守はすべてサービス事業者が行うため、運用負荷が少なく、スモールスタートしやすいのが特徴です。
クラウドVDIが注目される背景には、働き方の多様化とセキュリティ対策の必要性が挙げられます。日本でもテレワークの普及に伴い、社外からでもオフィスと同様に業務を行える環境の構築が求められるようになりました。
また、サイバー攻撃の高度化や端末の紛失による情報漏えいリスクに備えるため、手元の端末にデータを残さない仕組みが多くの企業に求められていることも背景のひとつです。
クラウドVDIの導入には、運用面やコスト面で多くの利点があります。
クラウドVDIは自社で物理サーバーや専用の周辺機器を購入する必要がないため、初期費用を大幅に抑えられます。インフラの構築は全てクラウド事業者の基盤を利用する仕組みであり、設備投資の予算を抑えてスモールスタートが可能です。
また、従業員が増えたり、拠点を新設・拡張したりする際も、不足分を追加契約できるため、細かく調整できる点もメリットです。
クラウドVDIでは、物理的なサーバー機器の保守点検やハードウェアの故障対応など、基盤側のメンテナンス業務をクラウド事業者が担う範囲が多くなります。
これにより、自社のシステム管理者は、データセンターの管理や物理機器の保守対応の負担を軽減できます。その結果、限られた社内のIT人材をより付加価値の高い戦略的な業務へ振り向けやすくなります。
クラウドVDIでは、業務データやアプリケーションをクラウド上のサーバー側で集約管理しやすくなります。手元の端末に業務データを残しにくい構成を取れるため、端末の紛失や盗難時の情報漏えいリスクを低減できます。加えて、事業者が提供するセキュリティ対策や監視機能を活用できます。
クラウドVDIを円滑に運用するためには、メリットだけでなく、デメリットや注意点を正しく把握しておくことが大切です。
クラウドVDIはネットワークを経由して画面を転送する仕組みであるため、通信環境の品質に操作性が大きく左右されます。インターネット回線が不安定な場所や、通信速度が極端に遅い環境では、画面の描写に遅延が発生して業務に支障をきたしかねません。
また、オフライン環境ではシステムそのものに接続できないため、作業もストップしてしまいます。
クラウドVDIは初期投資を抑制しやすい一方で、利用人数、仮想マシンの稼働時間・スペック、ストレージ、ネットワーク使用量などに応じた利用料金が継続的に発生します。
特にフルマネージド型のDaaSでは、利用ユーザー数に応じた月額サブスクリプション費用が基本となるため、従業員数が多い企業や長期的な運用ではランニングコストが想定以上に膨らむリスクがあります。
従量課金制のVDIサービスを導入する場合、想定外の仮想マシン稼働時間、リソース増強、ストレージ利用、ネットワーク使用量などによって、月々の支払額が膨らむリスクがあります。長期間にわたって大規模で運用する際は、トータルでかかるコストのシミュレーションが不可欠です。
クラウドVDIは事業者が用意した共通のインフラ基盤や規格を利用するため、自社固有の高度なカスタマイズには対応できない場合があります。これにより、個別の業務で使用する特殊なアプリケーションや、社内の周辺機器との連携において、動作制限が生じるケースがあります。
クラウドVDIを導入する際は、必要なシステムが正常に動作するかどうか、事前の検証が必要です。
ここからは、クラウドVDIが向いている企業・向いていない企業の特徴を解説します。自社の現状や運用目的を整理し、どちらのケースに該当するか見極めましょう。
クラウドVDIの導入が向いているのは、テレワークを推進している企業や、拠点の増減が頻繁に発生する企業です。短期間で新しいデスクトップ環境を用意できるため、組織の拡大や業務の変化に柔軟かつ迅速に対応できます。
また、クラウドVDIは、社内にサーバーの保守管理を行える専門のIT人材が不足している企業にも適しています。物理基盤の運用負荷を外部化しやすいため、システム管理者の負担を抑えながら、必要なセキュリティ対策を組み込んだ業務環境を維持しやすくなります。
クラウドVDIの導入が向いていないのは、自社独自の基幹システムや特殊な周辺機器を多用し、高度な個別カスタマイズを求める企業です。複雑な業務フローを前提とする環境では、クラウド型で要件を満たせない可能性があり、従来の業務環境を再現できない恐れがあります。
加えて、外出先や移動中など、常に安定した高速通信を確保するのが難しい環境で働く従業員が多い企業にも不向きです。
また、すでに社内に強固なオンプレミスのインフラ基盤が整っており、大規模なユーザー数を抱えている企業にもマッチしにくいでしょう。長期的な視点で見ると、利用人数分の月額費用が累積し、既存のシステムを運用し続けるよりも維持コストが高額になることも懸念点です。
クラウドVDIサービスを選ぶ際は、以下の3つのポイントをチェックしましょう。
従業員がストレスなく業務を行うために、画面の動作速度や応答性が十分なことを確認しましょう。サーバーのCPUやメモリのスペックに加え、ネットワークの帯域や同時接続時の安定性を検証することが大切です。
実際の業務で使用するアプリケーションが遅延なく動作するかどうか、導入前に試験運用を実施して確認することをおすすめします。
コストを確認する際は、初期費用だけでなく、月々発生するランニングコストも含めて精査する必要があります。
定額制か従量課金制かによって、毎月の支払額の変動幅は大きく異なります。また、データ通信量やストレージの追加によって発生する追加料金の有無も重要です。
将来的なユーザー数の増減も視野に入れ、中長期的な費用をシミュレーションしましょう。
VDIサービスの事業者によるセキュリティ対策が、自社の安全基準を満たしているかを検証します。通信の暗号化や多要素認証への対応状況、データセンターの物理的な管理体制などの確認が必要です。
万が一の障害発生時におけるバックアップ体制や、データ復旧の手順が明確に定められているサービスを選択しましょう。
クラウドVDIは、インターネット上のインフラを利用して仮想デスクトップ環境を構築する仕組みです。初期コストの抑制や運用管理の負担軽減、セキュリティの向上など、企業に多くのメリットをもたらします。
一方で、クラウドVDIは安定した通信環境の確保が必要で、利用状況に応じてランニングコストが変動しやすいといった注意点も存在します。
クラウドVDIの導入を検討する際は、パフォーマンスや費用の仕組みを比較することが大切です。自社の課題や運用目的を整理し、最適なサービスを選択しましょう。
クラウドVDIの操作性やコスト面がネックになっている場合は、ぜひ「Soliton SecureWorkspace」もご検討ください。
Soliton SecureWorkspaceは、アプリケーションの隔離環境を構築することで端末にデータを残さないデータレスクライアントソリューションです。VDIと比べてコストを抑えやすく、普段通りの画面と操作感でアプリを利用できます。また、PC上で稼働するため常時通信を必須とせず、アプリ利用中のネットワーク帯域の影響を抑えやすい点も特徴です。
詳細は以下をご覧ください。