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BOPとは? わかりやすく10分で解説

水色の背景に六角形が2つあるイラスト 水色の背景に六角形が2つあるイラスト
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目次

はじめに

BOPは、製品をどう作るかを工程ごとに示す情報です。ただし、BOPは文脈で意味が変わります。製造の話では Bill of Process を指すことが多く、プラントの話では Balance of Plant を指すこともあります。この記事では、工程を決めて立上げる場面で使う BOP にしぼり、意味、役に立つ場面、入れ方を見ます。

BOPとは

BOP(Bill of Process)は、製品を作る手順を、順番、作業の中身、条件、使う設備や治具、検査、記録する項目といった形で示したものです。工程表に近いものですが、一覧を作って終わりではありません。後から見直したり、別の工場へ広げたりしやすい形で持つ点に意味があります。

同じ製品でも、工場やラインが変われば使う設備や細かな手順は変わります。BOPがあると、外せない工程はどれか、拠点ごとに変えてよい所はどこか、品質へ強く影響する条件は何かを説明しやすくなります。そのため、立上げ前のやり直しや担当者ごとのばらつきを抑えやすくなります。

BOPで何がそろうか

BOPの役目は、工程に関する情報を一か所で見られるようにし、立上げ前の準備と量産に入った後の進め方をぶれにくくすることです。主な使い道は次の三つです。

  • 工程の前提をそろえる:設計、製造の技術の担当、品質の担当、現場が同じ工程を前提に話せる
  • 立上げ前の手戻りを減らす:工程の順番、設備の割り当て、検査の場所が見え、抜けに気づきやすい
  • 変更時に追いやすい:設計や設備を変えたときに、どこへ影響が出るかを工程ごとに見やすい

BOPは、正しい手順を固定するためだけの文書ではありません。変更が起きることを前提に、どこに影響が出るかを早くつかみ、次の手を決める材料を増やすために使います。

BOPが注目される理由

BOPが重く見られるようになったのは、製品と工程が複雑になったからだけではありません。工場が増え、外部へ出す作業も増え、納期は短くなり、設計を変える場面も増えました。こうした条件が重なると、工程の情報が担当者の経験やばらばらの資料に分かれたままでは、立上げや変更への対応に追いつきません。

そこで、だれが見ても同じ前提で話せるように、BOPで工程の情報をそろえる動きが広がりました。

BOPの重要性

BOPは「どう作るか」を書くものですが、現場ではそれ以上の意味を持ちます。ここでは、なぜBOPが大事になるのかを、現場の視点で見ていきます。

拠点が増えると工程がずれやすい

拠点が増えると、設備の世代差、作業者の慣れ、部材の入れ方の違いなどで、同じ製品でも工程の前提が少しずつずれます。このずれは、不良や手戻りが出るまで気づきにくいことがあります。

BOPに工程、条件、検査の考え方を書いておくと、守るべき条件と、拠点ごとに変えてよい所を分けて見分けやすくなります。その結果、展開の速さを落とさずに、品質をそろえやすくなります。

データを見る前に工程の意味をそろえる

IoTや分析を使う場面では、どの工程で、どんな条件で、どんな検査をした結果なのかが分からないと、数値だけ集まっても比べられません。工程ごとの意味づけがそろっていないと、結果の読み方もぶれます。

BOPは、製造データに工程の意味を結び付ける役を持ちます。たとえば同じ不良率でも、条件や検査の基準が違えば、そのまま比べることはできません。BOPで前提をそろえておけば、改善の話を現場に合った形で進められます。

監査や規格への対応では工程の説明が要る

業種によっては、品質を保つために、工程のねらいや記録を示すよう求められます。口頭や別々の資料だけで説明していると、担当が替わったときに話が食い違いやすくなります。

BOPに条件、検査の場所、記録する項目が入っていれば、どの工程で何を見ているかを説明しやすくなります。そのため、監査への受け答えが特定の人だけに片寄りにくくなります。

BOPのメリット

BOPの効果は、ツールを入れたかどうかより、工程の情報を更新し続けられるかで決まりやすいです。そのうえで、現場で出やすい利点を見ていきます。

立上げ前の手戻りを減らしやすい

立上げで起こりやすい手戻りには、工程順の見落とし、設備や治具の不足、検査の抜け、条件のあいまいさがあります。こうしたことは、工程の情報がそろっていないと起きやすくなります。

BOPがあると、レビューの段階で抜けを見つけやすくなり、現場で作業を始めてから気づく場面を減らせます。立上げの期間をただ短くするというより、失敗の芽を先に減らせる点が大きいです。

むだなコストを見つけやすい

コストを下げる方法は、工程の数を減らすことだけではありません。やり直し、待ち時間、重なった検査、段取りのむだを減らすことでも差が出ます。

BOPで工程と検査の位置づけが分かると、同じねらいの検査が重なっていないか、工程順が設備の都合と合っているか、条件のあいまいさが不良につながっていないかを見つけやすくなります。そのため、どこから手を付けるかを決められます。

品質をそろえやすい

品質のばらつきは、条件の違いと作業の判断差から生まれます。BOPに品質へ影響する条件と注意点が書かれていれば、作業者や拠点が変わっても、見るべき所をそろえやすくなります。

ただし、何でも細かく書けばよいわけではありません。必ず守る条件と、現場の判断に任せる余地を分けて書くほうが、長く使えるBOPになりやすいです。

知見を引き継ぎやすい

熟練者の知見は、なぜその工程が要るのかという理由と結び付いていることが多く、資料だけでは抜け落ちやすいものです。BOPに、工程のねらいと外したときの影響を入れられると、知見を工程の情報と一緒に残しやすくなります。

BOPを入れるときの進め方

BOPは作った時点で終わりではなく、使い始めてから差が出ます。ここでは、入れる前に決めておきたいことと、進め方の一例を見ます。

先に決めること

  • ねらい:立上げでの手戻りを減らすのか、品質のばらつきを抑えるのか、拠点へ広げやすくするのかを先に決める
  • 細かさ:工程、作業、手順のどこまで書くかを決める。細かくしすぎると更新が止まりやすい
  • 入れる項目:設備、治具、条件、検査、記録など、最初からそろえる項目を決める
  • だれが直すか:設計や工程を変えたときに、だれがどこを直し、だれが承認するかを決める

とくに、細かさと、だれが直すかがあいまいだと、BOPはすぐに現場のやり方とずれて使われなくなります。最初は、無理なく続けられる小さな形から入れるほうが安全です。

進め方の例

  1. 今ある資料を洗い出す:工程フロー、作業の標準、設備や治具、検査、帳票、実績データがどこにあるかを見ます
  2. BOPの書き方を決める:工程の切り方、入れる項目、版の管理、レビューと承認の手順を決めます。現場がそのまま読める言い方にすることが大切です
  3. 対象を絞って始める:いきなり全製品を広げず、優先するラインや製品から作り、現場レビューで直します
  4. 変更時の手順に組み込む:設計を変えたとき、設備を入れ替えたとき、不良が出たとき、工程を見直すときは、BOPも必ず直すようにします

入れた後の見直し

入れた後は、次のような崩れが起きていないかを定期的に見ます。

  • 更新が遅れる:変更が起きたのにBOPが直っていない
  • 書き方がそろわない:製品やラインごとに工程の切り方が違い、比べにくい
  • 現場とずれる:実際のやり方とBOPが合わず、帳票や段取りが別で管理されている
  • 品質へ影響する点が抜ける:条件や注意点が工程に入っていない

大事なのは、作ったBOPを残すことではなく、変更が出たときにBOPを直し続けられるやり方を保つことです。

BOPのこれから

BOPは、工程の情報をデータとして持つ考え方なので、まわりの技術が進むほど役目が大きくなります。ここでは、その方向を二つにしぼって見ます。

データ活用が進むほど大事になる

現場データを見る場面が増えるほど、工程の前提がそろっているかどうかが効いてきます。条件が書かれていないままでは、分析の結果がもっともらしく見えても、現場で使える結論にはなりません。BOPがあると、工程ごとに比べて確かめる作業を進められます。

環境への対応でも工程の説明が要る

環境への負荷を下げるには、材料だけでなく、工程の組み方も見直す必要があります。どこで電力を使い、どこでロスややり直しが出るのかを説明するには、工程を全体で見渡せる図が要ります。BOPがあると、どこを変えるべきかを話しやすくなります。

まとめ

BOPは、製品をどう作るかを工程ごとに示す情報です。意味、役に立つ場面、入れ方を見てきたように、BOPがあると、立上げ、変更時の確認、拠点への展開で同じ前提を持ちやすくなります。

ただし、BOPは作るだけでは不十分です。どこまで書くか、だれが直すかを決め、変更が出たら必ず直すやり方まで決めて、はじめて効きます。まずは対象をしぼり、小さく始めて、現場で使える形に育てるのが現実的です。

Q.BOP(Bill of Process)とは何ですか?

製品をどう作るかを、工程順、作業の中身、条件、設備、検査、記録する項目などで示した情報です。

Q.BOPは工程表と手順書と何が違いますか?

BOPは一覧を作るだけでなく、条件や検査の場所も含めて持ち、後で見直したり別の工場へ広げたりしやすくする点が違います。

Q.BOPとBOMの違いは何ですか?

BOMは何で作るかを示し、BOPはどう作るかを示します。

Q.BOPを導入すると最初に効果が出やすいのはどこですか?

立上げ前の確認で効果が出やすいです。抜けや手戻りを早めに見つけやすくなります。

Q.BOPはだれが作りますか?

会社ごとに違いますが、工程を決める担当が中心になり、設計、品質、現場と一緒に見直す形が多いです。

Q.BOPはどこまで細かく書けばよいですか?

目的に合う範囲までで十分です。細かくしすぎると直す手間が増えるため、まずは続けられる範囲から始めます。

Q.BOPが形だけになりやすい原因は何ですか?

書き方が細かすぎる、だれが直すか決まっていない、変更時に直していない、現場とのずれを放置する、といった点が主な理由です。

Q.設計を変えたとき、BOPはどう扱うべきですか?

どの工程に影響が出るかを見て、版の管理と承認の手順に沿ってBOPを直します。期限と担当も決めておくとずれにくくなります。

Q.BOPと「Balance of Plant(BOP)」はどう見分けますか?

工程の話なら Bill of Process、プラントの補機の話なら Balance of Plant と見ると分かりやすいです。資料では最初にフルスペルを確かめます。

Q.BOPを小さく始めるなら何から手を付けますか?

対象のラインや製品をしぼり、工程の切り方、入れる項目、だれが直すかを決めてから始めます。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム