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BPRとは? わかりやすく10分で解説

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目次

はじめに

BPRとは?

BPRとは、ビジネスプロセス・リエンジニアリングの略式で、既存の組織や制度を根本から見直し、プロセスの視点で職務、業務フロー、管理機構、情報システムを再設計する考え方です。この概念は1993年にマイケル・ハマーとジェイムス・チャンピーの共著『リエンジニアリング革命』によって世界へ紹介され、現代のビジネス環境において重要な考慮要素となっています。その主な目的は、業務効率の最適化とクライアントへの価値の提供です。

BPRの目標

BPRの目標は全体最適、つまり組織全体の効率と生産性を最大化することです。 これは分業型組織や組織内の異なる部門間の連携不足による効率性の低下を解消するためのものです。全体最適は、単なる個々の最適化を超えた組織全体の最適化を意味します。これは、組織全体で共有される目標に向けて最適なビジネスプロセスを再設計し、実行することによって実現されます。

プロセス再設計

BPRでは、まず組織のビジネスプロセスを評価し、その不効率や課題を特定します。次に、その問題点を解決するための新たなプロセスを設計します。これにはITの積極的な活用が強調されます。 IT技術やツールを使用して業務フローを自動化したり、情報共有を効率化したりすることで、時間とコストの削減、およびサービス品質の向上が期待できます。

BPRの適用例

BPRは様々な業界やビジネス領域で採用されています。例えば、製造業では製品開発プロセスの改善、金融業界では顧客サービスの改善などに用いられます。また、エネルギーや公共部門でも、業務の効率化やサービス向上のためにBPRが導入されています。具体的な事例としては、一部の企業が自社の製造プロセスを再設計し、その結果トータルの製造時間を大幅に削減した例、金融機関が顧客サービスのプロセスを再設計し、顧客満足度を大幅に向上させた例などがあります。

BPRと分業型組織

BPRと分業型組織は、その原理において対立画を持つことが多いです。その理由を理解するためには、分業型組織の性質、その利点と欠点、さらにBPRの視角から見た分業型組織の課題と改革の具体的な手法をご紹介します。

分業型組織とは?

分業型組織は、各部門が特定の業務に特化し、各々が独立して目標達成に向かうタイプの組織です。この方式の利点は、各部門が専門性を深め、効率性を追及できることです。

しかし、一方で各部門間の連携・協力が重要な場合、その調整役が必要となり、それが負担となることもあります。また、各部門が業績への貢献にフォーカスしすぎて、全体の業績改善が見失われることもあります。

これらの特性が理解できれば、BPRと分業型組織がどのように相反するか理解する一助となります。

分業型組織の利点と問題点

分業型組織の最大の利点は、各部門が特化することで高い能力を持つことが可能なことです。しかし、その一方で部分最適が全体最適を阻害することが問題点として挙げられます。

また、分業型組織では各部門が独立して動くため、全体としての調整や連携が難しいという課題もあります。これが結果として組織全体のパフォーマンスを下げる可能性があります。

BPRは、このような問題点を解消する手法として登場しました。

BPR目線での分業型組織の課題

分業型組織が有効に機能する一方で、BPRの目線から見ると、分業型組織は全体最適を考慮した最善のプロセス設計ができないという課題があります。

これは、分業型組織が独立した目標追求に傾斜するため、全体的な視野や相互依存性を見失うことが原因です。この結果、全体的な効率性や顧客満足度の向上が達成できないことがあります。

この問題を解消するために、BPRはプロセス全体を見直し、全体最適を目指す一連の改革を提唱しています。

BPRによる分業型組織改革

BPRでは全体を最適化するためのプロセス改革の視点が重要です。そのために、目標達成のプロセスを全体で共有し、その達成に向けて組織全体で動くことが求められます。

また、情報システムの再設計も重要です。これにより、各部門独立の働きを超えて、組織全体での業務フローの改良や効率化を図ることができます。

ただし、BPR導入は容易なことではなく、組織全体の理解と協力、長期的な視点が必要です。しかし、それが成功すれば、組織全体の業績改善や顧客満足度向上につながる可能性があります。

BPRとITの関係

BPRとITは深く関係しており、互いが密接な関係にあることからその重要性が高まっています。BPRは、ビジネスプロセス全体を捉え直し、改善や効率化を図るための手法であり、ITはこのプロセスをサポートし役立てるツールとなります。それはまさに、業務プロセスと情報技術の密接な連携というBPRの理念そのものを体現しています。

BPRがなぜITを重視するのか、BPRにおけるITの具体的な活用方法、また、IT技術を用いた業務プロセス最適化の方法について解説します。最後に、ITを活用したBPR実施の成功事例も紹介します。

なぜBPRはITを重視するのか

重視する理由として、現代ビジネスはますますデジタル化が進み、ITの力なくしては業務効率化や進化は困難であり、それはBPRの目指す最適化にとって必要不可欠な要素であるからです。

また、ITは情報を迅速に伝達し、業務を効率化する強力なツールであり、プロセスを改善し、全体最適を追求するための重要なパートナーです。したがって、BPRがITを強調するのは避けて通れない道と言えます。

BPRにおけるITの活用方法

BPRでは、企業の業務プロセスを再設計する上で、ITの最適な活用が求められます。具体的には、ITを活用して作業の自動化、情報共有の容易化、業務プロセスの標準化などを行います。

例えば、RPA(ロボットプロセス自動化)を用いて単純作業を自動化したり、クラウド技術を活用することでリモートワークやテレワークでも業務が行えるようにする等の効果が期待できます。

IT技術を用いた業務プロセス最適化

IT技術を用いた業務プロセス最適化のためには、新たな技術の導入だけではなく、その適用方法や業務への組み込み方が重要です。業務の効率化だけでなく、顧客体験の向上や新たなビジネスモデルの探求も目指します。

特にAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)等の最新IT技術を活用し、データを有効利用して業務プロセスを見直し、改善し続けることが大切です。

成果事例

例えば、世界的な自動車製造企業が製品設計プロセスに3D CADソフトウェアとVR技術を導入して、設計プロセスの効率化とエラーの削減を達成した事例があります。この事例は、ITの力によってBPRを実現し、全体最適を達成した組織の一例と言えます。

このように、BPRとITは切っても切り離せない関係にあり、その結果として生まれる変革は業務プロセスの最適化だけでなく、組織の競争力強化にも繋がります。

BPR導入のポイントと注意点

BPRの導入は、大規模な業務方法の変更やシステム再構築を伴うことが多く、その実施は決して容易ではありません。しかし、注意点を把握し、適切な準備を行うことで成功に繋げることができます。以下に、BPR導入の重要なポイントと注意点を詳しく解説します。

BPR導入のメリットとデメリット

BPR導入のメリットとしては、全社的な業務プロセスの改善が挙げられます。これにより、業務の効率化が実現し、企業全体の生産性向上に貢献します。

一方、デメリットとしては、その導入に伴う費用及び時間が必要なこと、また社員の抵抗が予想される点が挙げられます。これらは早期の段階で認識し、適切に対策を講じることが重要となります。

したがって、BPRを導入する際は、これらのメリットとデメリットを十分に理解した上で、どのような形で導入を進めていくのかを慎重に計画する必要があります。

業務変更を成功させるために

大規模な業務変更を成功させるためには、まず全社的な組織風土の創出が必要となります。これには経営陣からのサポートが不可欠です。

次に、具体的な変更計画の策定が必要です。この際には、社員全員が理解しやすい形で、変更の目的や道筋を説明することが求められます。

また、業務の流れを見直すだけでなく、必要なITツールの導入や外部の専門家のアドバイスを活用することも有効です。実際に導入を進める際には、社員全員が参加できる形を取ることで、全体最適を追求し、成功に繋げることができます。

BPR導入で考慮すべき組織文化

BPR導入においては、組織文化の変革も重要な要素となります。組織文化とは、その企業が共有する価値観や常識、行動規範などを指します。

組織文化の変革は、新しい業務プロセスが組織内で受け入れられ、長期的な成功に繋がるために必要です。組織文化は革新を阻む要因となり得るため、これを上手くマネージメントすることが求められます。

具体的には、組織のビジョンやミッションの再確認、社員への適切な教育やトレーニング、継続的なコミュニケーションの提供などが重要となります。

過去の失敗事例から学ぶ

BPRを導入する際には、過去の失敗事例から学ぶことも重要です。失敗事例を分析することで、何が課題となりBPRが成功しなかったのかを理解することができ、同じ過ちを繰り返さないための知見を得ることができます。

失敗事例から得られる学びの一つに、上下のコミュニケーション不足が挙げられます。経営層と現場の間のコミュニケーションが不足すると、BPR導入時の理解が深まらず、変革の動きが遅くなる可能性があります。

その他、リーダーシップの不在、専門知識の不足、リソースの適切な配分の失敗などもよく見られる失敗点です。これらの失敗点を早期に把握し、適切な対策を実施することにより、BPRが成功に向けた一歩を進むことができます。

BPRとその他のビジネス改革手法との違い

ビジネス改革手法は多種多様に存在し、各々にニーズに応じて最適な手法が選択されます。BPRも一つの手法であり、他の手法と比較することで、その特性や適用状況をより深く理解することが可能になります。

ここでは、BPRとBPM(ビジネスプロセスマネジメント)、リーンマネジメント、シックス・シグマという他のビジネス改革手法との違いについて説明します。

また、これらの手法がどのように組み合わされる可能性があるのかについても探ります。

BPM(ビジネスプロセスマネジメント)との違い

BPRとBPMはいずれもビジネスプロセスの改善に重点を置く点では共通しておりますが、そのアプローチには明確な違いが存在します。

BPRは業務プロセスを根本から見直す一方で、BPMは既存のビジネスプロセスを持続的に監視し、継続的かつ反復的な改善を行うものです。したがって、BPRは一時的かつ革新的な改革を求め、BPMは途切れることなく改善を追求する手法と言えます。

これらの手法は補完的であり、例えばBPRを利用して大規模な業務改革を行った後、その新たなプロセスをBPMを使って継続的に最適化するといった利用が可能です。

リーンマネジメントとの違い

リーンマネジメントは、無駄を排除し、価値を最大化することを目指す手法です。この観点から見ると、BPRとリーンマネジメントは同じ目標を追求しているように見えます。

しかし、リーンマネジメントは既存のプロセスに対する戦略的な改善に主眼を置いている一方、BPRは全く新しいプロセスを設計することに主眼を置いています。この点が最も重要な違いといえます。

BPRとリーンマネジメントは両立可能であり、BPRで新たなプロセスを設計した後、そのプロセスをリーンマネジメントの考え方で継続的に改善していくといった組み合わせも可能です。

シックス・シグマとの違い

シックス・シグマは、統計的な手法と厳密なプロジェクト管理を用いて、製品やサービスの品質改善を目指す手法です。

これに対してBPRは、業務プロセスそのものを再設計することで生産性向上と全体最適を目指します。また、シックス・シグマは製品の品質改善に主眼を置いているのに対して、BPRは組織全体のパフォーマンス改善に焦点を当てています。

異なるアプローチを取るこれらの手法も組み合わせることで、さらなる効果を得ることが可能です。BPRによる全体的なビジネスプロセスの再設計と、シックス・シグマによる品質管理の徹底は、組織のパフォーマンスを大幅に引き上げることが可能です。

各戦略の組み合わせの可能性

BPR、BPM、リーンマネジメント、シックス・シグマといった異なるビジネス改革手法は、単独で利用することも有効ですが、適切に組み合わせることでその効果は大幅に増大します。

例えば、BPRによる大規模な業務改革を行い、その新たなプロセスをBPMやリーンマネジメントの手法で継続的に改善し、品質管理にはシックス・シグマを適応させるといった利用が可能です。

しかし、これら一つ一つの手法はそれぞれ深い理解と経験を必要としますので、実際にこれらを組み合わせて運用するには十分な専門知識を身につける必要がある点を覚えておいてください。

BPRの今後

BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)は、業務プロセスを根本から再設計し、組織の効率性を向上させる手法です。しかし、その可能性はこれだけにとどまりません。社会や組織環境が変化する中で、BPRの未来と可能性も日々拡大しています。

さらに、BPRは一次的な改善策ではなく、持続的な成長を目指す組織にとって、その役割はますます大きくなることでしょう。

以下では、ニューノーマル時代のBPR、AIとBPRの融合可能性、BPRの発展形と見込まれる新手法、そしてBPRを取り巻く環境の変化と対応策について語ります。

ニューノーマル時代のBPR

ニューノーマル時代という絶え間ない変化の中で、BPRは組織の適応力を高めるための重要なツールであることが認識されています。デジタル化が進む中で、組織の業務プロセスも、より適応的で柔軟性のあるものとなり、BPRはその闘いで重要な役割を果たします。

特に、リモートワークの普及やオンライン化の波が押し寄せる中で、BPRは時間と場所にとらわれない効率的な業務プロセスを実現するための有効な手段となっています。

例えば、明確な業務フローの設計がリモートワークでのコミュニケーションをスムーズにすること、ITツールの活用が情報共有を迅速化することなどが挙げられます。

AIとBPRの融合

AI(人工知能)の進化は、BPRの可能性を新たな次元へと広げています。AIは膨大なデータを分析し、パターンを認識し、最適な答えを導き出す能力を持っています。

このAIの能力をもとに、BPRは業務プロセスの再設計だけでなく、業務プロセスの自動化、効率化へとさらなる一歩を踏み出すことができます。

具体的には、AIのパターン認識能力を生かすことで、プロセス中のボトルネックを特定し、それを解消する方向性を早期に見つけ出すことが可能となります。

環境の変化と対応策

過去数年で、ビジネス環境は飛躍的に変化しました。この変化に対して、組織は早急に対応する必要があります。

BPRはこれらの変化に対応するツールとして、組織の内部プロセスを見直すための有効な方法を提供します。しかし、変化のスピードはBPRの実装速度を上回る場合があります。

そのため、BPRを成功させるためには、早期の状況認識、適応策の立案と実行、そしてその結果の評価と見直しを逐次行うことが重要となります。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム