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ファーミングとは? わかりやすく10分で解説

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目次

インターネットを日常的に利用する中で、私たちは「正しいURLにアクセスしていれば安全だ」と無意識に考えがちです。しかし実際には、その前提そのものを崩す攻撃手法が存在します。本記事では、正規サイトにアクセスしたつもりでも偽サイトへ誘導されてしまうファーミング攻撃について、その仕組み・影響・対策を体系的に整理し、読者が自らリスクを判断できる状態を目指します。

ファーミングとは何か

ファーミングの基本的な定義

ファーミングとは、ユーザーが正規のWebサイトにアクセスしようとした際に、攻撃者の意図によって偽装されたWebサイトへ強制的に誘導するサイバー攻撃の一種です。最大の特徴は、ユーザー自身がURLを正しく入力していても被害に遭う点にあります。

攻撃者はDNSや端末設定など、ユーザーの目に見えない部分を操作することで通信経路を改ざんします。その結果、ユーザーは「いつも通りアクセスしている」という感覚のまま、情報窃取を目的とした偽サイトに接続させられてしまいます。

フィッシングとの違い

ファーミングは、しばしばフィッシングと混同されますが、両者は成立条件が異なります。フィッシングは偽メールや偽リンクを用いてユーザーを誘導する心理的なだましが中心であり、ユーザーのクリック行動が前提となります。

一方、ファーミングは技術的な改ざんによって成立します。URLは正規のものと同一であるため、ブラウザのアドレスバーを見ても異常に気づきにくく、被害の発見が遅れやすいという特徴があります。

攻撃者が狙う情報と目的

ファーミング攻撃の主な目的は、ユーザーの認証情報や金融情報の窃取です。具体的には、ログインID・パスワード、クレジットカード番号、ネットバンキングの認証情報などが標的となります。

これらの情報は不正送金やなりすまし、不正購入といった直接的な金銭被害につながるだけでなく、闇市場で取引され二次被害を生むこともあります。攻撃者にとってファーミングは、効率的かつ気づかれにくい情報収集手段なのです。

ファーミング攻撃の代表的な手口

DNSキャッシュポイズニング

DNSキャッシュポイズニングは、ファーミング攻撃の代表的な手法です。DNSサーバーが保持する「ドメイン名とIPアドレスの対応情報」を改ざんすることで、正規ドメインへのアクセスを攻撃者の用意したサーバーへ向けます。

DNSは通信の基盤となる仕組みであり、一度誤った情報がキャッシュされると、そのDNSサーバーを利用する多数のユーザーが影響を受ける可能性があります。そのため、被害が広範囲に及ぶ点が大きなリスクです。

マルウェアによる端末改ざん

もう一つの典型的な手口が、マルウェアを用いた端末側の改ざんです。攻撃者はメール添付や不正サイト経由でマルウェアを感染させ、端末内のhostsファイルやDNS設定を書き換えます。

この状態では、ユーザーがどのブラウザを使用しても、特定のドメインが常に偽装サイトへ解決されるため、異常に気づくことが極めて困難になります。端末単位で静かに継続する点が特徴です。

リダイレクトが成立する仕組み

ファーミング攻撃におけるリダイレクトは、ユーザーの操作ではなく通信経路そのもので発生します。そのため、ブックマークや検索結果を使っても回避できない場合があります。

結果として、ユーザーは「いつも通りの操作」をしているにもかかわらず、攻撃者の管理下にあるサイトへ誘導され、情報入力を促されてしまいます。

ファーミング攻撃がもたらす影響

個人ユーザーへの影響

個人にとって最大のリスクは、認証情報や金融情報の漏えいです。これにより不正送金やクレジットカードの不正利用、アカウント乗っ取りといった被害が発生します。

また、被害発覚後の対応には時間と精神的負担が伴い、日常生活への影響も無視できません。

金融機関・企業への影響

ファーミングによる情報窃取は、金融機関やサービス提供企業にも影響を及ぼします。不正取引への補償対応、問い合わせ対応、信頼回復のための施策など、多方面でコストが発生します。

特に「正規サイトを利用していて被害に遭った」という認識は、サービス全体への不信感につながりやすい点が問題です。

社会全体への影響

ファーミング攻撃が常態化すると、オンラインサービス全体に対する信頼が低下します。これは電子商取引やデジタル行政など、社会基盤としてのインターネット活用にブレーキをかける要因となります。

そのため、個人・企業・社会のすべてのレベルで対策を講じる必要があります。

ファーミング攻撃への具体的な対策

セキュリティ対策製品の活用

エンドポイント保護やセキュアブラウザなどのセキュリティ対策製品は、マルウェア感染や不正通信を検知・遮断する有効な手段です。特に通信経路の検証や不正リダイレクトの検知機能は、ファーミング対策として重要です。

メール・Web利用時の注意点

ファーミング自体はユーザー操作を必要としませんが、マルウェア感染の起点はメールや不正サイトであることが多くあります。添付ファイルやリンクを安易に開かないことが基本的な防御策となります。

ネットワーク・DNS運用の視点

組織においては、DNSSECの導入や信頼できるDNSサービスの利用、トラフィック監視による異常検知などが重要です。技術的対策と運用監視を組み合わせることで、被害の早期発見につながります。

まとめ

ファーミング攻撃は、URLを正しく入力していても被害に遭う可能性がある点で、非常に厄介なサイバー攻撃です。その成立にはDNSや端末設定といった基盤技術が関与しており、心理的対策だけでは防ぎきれません。

仕組みを理解し、適切な技術対策と運用ルールを組み合わせることで、ファーミングによる被害リスクは大きく低減できます。正しい知識を持ち、自ら判断できる状態を維持することが重要です。

Q.ファーミング攻撃とは何ですか?

正規サイトへのアクセスを偽装サイトに誘導するサイバー攻撃です。

Q.フィッシングとの違いは何ですか?

ファーミングは技術的改ざん、フィッシングは心理的誘導が中心です。

Q.URLが同じでも危険なのですか?

はい、DNSや端末設定が改ざんされていると危険です。

Q.主な被害は何ですか?

ログイン情報や金融情報の窃取です。

Q.DNSキャッシュポイズニングとは何ですか?

DNS情報を改ざんして偽サイトへ誘導する手法です。

Q.個人でできる対策はありますか?

OS更新やセキュリティ対策製品の導入が有効です。

Q.企業に求められる対策は何ですか?

DNS運用の強化と通信監視が重要です。

Q.マルウェア感染が原因になることはありますか?

はい、端末設定改ざんの原因になります。

Q.セキュアブラウザは有効ですか?

不正通信を遮断する点で有効です。

Q.完全に防ぐことは可能ですか?

複数の対策を組み合わせることでリスクを大きく下げられます。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム