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フリーWi-Fiの危険性とは? 社用PCの接続は厳禁?

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スマートフォンをはじめとするモバイルデバイスの普及により、外出先でもインターネットを利用する機会が増えています。そのような中、無料で利用できるフリーWi-Fiは、通信量を気にせず使えて便利です。しかし、自身が契約していないWi-Fiを無料で使うことに、不安を感じる方もいるでしょう。

実際、フリーWi-Fiを利用する際には気を付けておくべき点があります。本記事では、フリーWi-Fiの危険性と、利用する場合に押さえておきたい注意点を解説します。

フリーWi-Fiとは?

フリーWi-Fiとは、無料で利用可能なWi-Fiアクセスポイントのことです。不特定多数が利用できるため、公衆無線LANやフリースポットと呼ばれることもあります。

フリーWi-Fiはホテル、飲食店(特にカフェ)、コンビニ、図書館、新幹線など、さまざまな場所で提供されています。スマートフォンなどのモバイルデバイスであれば、フリーWi-Fiを利用することでデータ通信量の節約につながります。また、通信障害時の代替手段としても注目されています。

一方で、コロナ禍を経てテレワークが普及したこともあり、外出先でノートPCを使って仕事をする場面も増えました。だからこそ「便利さ」と「危険性」の両面を理解したうえで、使い方を判断することが重要です。

社用(仕事用)PCのフリーWi-Fi接続は厳禁?

フリーWi-Fiは便利ですが、機密情報を取り扱うことが多い業務用途では、不用意に利用しないほうが安全です。不特定多数が利用するネットワークである以上、状況によっては通信を傍受されたり、不適切なサイトに誘導されたり、端末が攻撃対象になったりする可能性があります。

社用PCには業務データが保存されているケースが多く、安易なフリーWi-Fi接続が情報漏えいなどのセキュリティ事故につながるリスクがあります。会社のルールで「原則禁止」になっていることが多いのは、このリスクが業務影響に直結しやすいためです。

危険なフリーWi-Fiの特徴

フリーWi-Fiのすべてが危険とは限りません。しっかりと管理されているものもあります。しかし、利用者側から見て判断が難しいケースがあるのも事実です。特に注意したい代表例は次のとおりです。

アクセスポイントのなりすまし(Evil Twin)

フリーWi-FiはSSID(ネットワーク名)を選んで接続しますが、SSIDは自由に設定できます。つまり、正規のアクセスポイントに似せた名前で、なりすましのアクセスポイントを用意できてしまいます。

例えば、カフェの名前がついたWi-Fiを装い、利用者を接続させて情報を盗もうとするケースが考えられます。正規のSSIDが分からない場合は、店員・施設の掲示・公式案内などで確認し、あいまいなSSIDには接続しないことが重要です。

通信の保護が弱い(暗号化されていない/古い方式)

Wi-Fiは無線通信であるため、状況によっては同じネットワーク内の第三者に通信を見られる(傍受される)リスクがあります。その対策として多くのWi-Fiでは通信の暗号化が行われますが、暗号化されていない(オープン)ネットワークや、保護が弱い方式のネットワークも存在します。

また、暗号化の方式として「WEP」「WPA」「WPA2」「WPA3」などを目にすることがあります。このうちWEPは古い方式で、推奨されません。さらに、WPA/WPA2でも設定によっては古い暗号(例:TKIP)を使っている場合があり、同様に注意が必要です。

利用するWi-Fiの保護状況は、端末のWi-Fi設定画面で確認できることがあります。少なくとも「暗号化なし(オープン)」や「WEP」と表示されるネットワークは避けるのが無難です。

フリーWi-Fi利用によって生じる可能性がある被害

なりすましのアクセスポイントや、保護が弱いアクセスポイントを利用すると、次のような被害につながる可能性があります。

  • 個人情報の漏えい
  • WebサービスのID/パスワードの漏えい
  • メールアカウントの漏えい
  • マルウェア感染
  • 危険なサイトへの誘導(フィッシングなど)
  • 遠隔操作などの被害

危険なフリーWi-Fiを利用すると、通信が第三者に見られる・改ざんされるなどのリスクが高まります。ID/パスワードの入力や重要な手続き(決済・口座関連など)は、特に慎重に判断しましょう。

また、悪意のあるアクセスポイントでは、特定のWebサイトへアクセスした際に偽サイトへ誘導し、情報を入力させるフィッシングも想定されます。クレジットカード情報などを盗まれるほか、端末がマルウェアに感染して被害が拡大するケースも考えられます。

フリーWi-Fiを利用する場合の注意点

フリーWi-Fiを利用する場合は、少なくとも次の点を意識しましょう。

  • ID/パスワード、個人情報、決済情報などを安易に入力しない
  • URL(ドメイン)を確認し、偽サイトに注意する
  • 「暗号化なし(オープン)」や「WEP」と表示されるWi-Fiは利用しない
  • 提供元が不明なWi-Fi(それっぽいSSIDを含む)に接続しない
  • 端末のOSやブラウザを最新に保ち、セキュリティ更新を適用しておく

HTTPS(TLS)を前提にしつつ、過信しない

Webサイトの通信は、一般的に「https://」で始まるURLであれば暗号化されます(ブラウザの鍵マーク表示など)。ただし、HTTPSは「Webサイトとの通信」を保護する仕組みであり、フリーWi-Fiのリスクをすべて消せるわけではありません。なりすましSSIDへの接続や、偽サイトへの誘導は別問題として起こり得ます。

そのため、鍵マークやURL確認は基本として押さえつつ、重要情報の入力を避ける、提供元が確実なネットワークだけを選ぶ、といった判断も欠かせません。

業務利用は「原則使わない」+「使うなら追加対策」

個人利用であっても注意が必要ですが、業務利用はリスクが大きくなります。原則として社用PCではフリーWi-Fiを利用しないことをおすすめします。

やむを得ず利用する場合は、会社のルールに従ったうえで、VPNの利用、端末のセキュリティ対策(EDR/ウイルス対策、MFA、端末暗号化など)、アクセス先の制限といった追加対策が必要です。可能であれば、モバイル回線(テザリング)など、より管理しやすい手段を優先しましょう。

この記事のまとめ

フリーWi-Fiは便利ですが、危険性も理解したうえで利用する必要があります。安易に接続すると、情報漏えいなどのセキュリティ事故につながる可能性があるため、社用PCなどでの利用は控えたほうがよいでしょう。

利用する場合は、なりすましSSIDや保護が弱いネットワークを避け、URL確認(HTTPS)や重要情報の入力回避など、基本的な安全策を徹底しましょう。


FAQ(よくある質問)

フリーWi-Fiとは何ですか?

フリーWi-Fiとは、不特定多数が無料で利用できるWi-Fiアクセスポイント(公衆無線LAN)を指します。飲食店やホテル、駅などで提供されることがあります。

フリーWi-Fiはすべて危険ですか?

すべてが危険とは限りませんが、利用者側から安全性を判断しにくいケースがあります。提供元が不明なSSIDや、暗号化なし(オープン)のネットワークは避けるのが無難です。

社用PCでフリーWi-Fiを使うのはなぜ避けたほうがよいのですか?

社用PCは業務データやアカウント情報を扱うため、通信の傍受や誘導、端末攻撃などが起きた場合の影響が大きくなります。会社ルールで原則禁止になっていることも多いです。

なりすましWi-Fi(Evil Twin)とは何ですか?

正規のWi-Fiと似たSSIDを用意し、利用者を誤って接続させる攻撃です。店舗名に似せたSSIDでも正規とは限らないため、公式案内でSSIDを確認することが重要です。

パスワード不要のWi-Fiは危険ですか?

一概には言えませんが、暗号化なし(オープン)のネットワークは第三者に通信を見られるリスクが上がります。少なくとも「暗号化なし」や「WEP」表示のWi-Fiは避けるのが無難です。

Wi-Fiの暗号化方式は何を確認すればよいですか?

端末のWi-Fi設定画面で、暗号化の有無や方式(例:WPA2/WPA3、WEPなど)を確認できることがあります。「暗号化なし」や「WEP」と表示される場合は避けましょう。

HTTPS(鍵マーク)があれば安全ですか?

HTTPSはWebサイトとの通信を暗号化しますが、フリーWi-Fiのリスクをすべて消せるわけではありません。偽サイトへの誘導や、なりすましSSIDへの接続は別のリスクとして残ります。

フリーWi-Fiで入力しないほうがよい情報はありますか?

ID/パスワード、個人情報、決済情報、社内システムのログイン情報などは、安易に入力しないのが安全です。特に業務用途のログインは慎重に判断しましょう。

やむを得ず業務で使う場合、何を追加対策すべきですか?

会社ルールに従ったうえで、VPNの利用、端末のセキュリティ更新、MFAの適用、アクセス先の制限などが検討対象になります。可能ならテザリングなど別手段を優先しましょう。

フリーWi-Fiを安全に使うための最重要ポイントは何ですか?

提供元が確実なネットワークだけを選び、暗号化なし(オープン)やWEPを避けること、そして重要情報を入力しないことが基本です。URL確認(HTTPS)もあわせて徹底しましょう。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム