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IPoEとは? 10分でわかりやすく解説

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UnsplashChristina @ wocintechchat.comが撮影した写真      

インターネット接続で「夜だけ遅い」「動画が止まる」「VPNが不安定」といったトラブルが続くと、つい回線そのものを疑いたくなります。ですが原因の1つとして、従来のPPPoE方式が混雑の影響を受けているケースもあります。

そこで注目されているのが、PPPoEの代替として提供されることが多いIPoE(アイピーオーイー)です。本記事では、IPoEの考え方や仕組み、PPPoEとの違い、導入時に押さえるポイントを分かりやすく解説します。

IPoEとは?初心者にもわかりやすく解説

IPoEは、厳密には「単体のプロトコル名」というよりも、PPP(セッション)を張らずに、IPをそのままネットワークへ流す接続方式(運用の呼び名)として説明すると誤解が少なくなります。

一般家庭の光回線では、IPoEはIPv6(IP version 6)を使って提供されることが多く、必要に応じて「IPv4通信をどう扱うか(後述)」を組み合わせてインターネットへ接続します。

IPoEの基本概念

PPPoEは「PPPセッションを確立してから通信する」方式です。一方IPoEは、PPPのセッション管理を前提にせず、回線事業者のネットワーク(例:光回線のアクセス網)へIP(主にIPv6)を直接通す考え方です。

その結果として、PPPoEで混雑しやすいポイント(いわゆる輻輳点)を回避できる設計になっている場合があり、ユーザー体感として「夜間の遅さが改善した」という話につながります。

IPoEの仕組み(ざっくり)

IPoE(特にIPv6 IPoE)では、ルーターが回線側からIPv6アドレスや経路情報を受け取り、IPv6でインターネットへ出ていきます。ここで重要なのが、現実のインターネットには今もIPv4のサービスが多いことです。

そのため、IPoE導入時は「IPv6はIPoEで出られるとして、IPv4をどうするか」をセットで考える必要があります。代表的な選択肢は次の2つです(サービス/プロバイダにより異なります)。

  • DS-Lite:IPv4通信をIPv6トンネルに載せて事業者側でIPv4へ変換(CGN等)
  • MAP-E:IPv4のアドレス・ポートを共有しつつ、事業者方式に沿ってIPv4通信を提供

「IPoEにしたのに一部サイトが遅い/つながらない」といった相談の多くは、このIPv4の扱いが原因になっていることがあります。

IPoEの特徴

特徴説明
PPPoEのセッション不要PPPoE特有のセッション確立・管理が不要(設計上の混雑ポイントを回避しやすい)
IPv6前提になりやすい実サービスとしてはIPv6 IPoEとして提供されることが多い
IPv4の方式選択が重要DS-Lite / MAP-E 等の対応有無で使い勝手が大きく変わる

IPoEを使うメリット

  • 混雑の影響を受けにくい設計になりやすい:PPPoEで輻輳が起きやすいポイントを避けられるケースがある
  • 夜間の速度低下が改善する場合がある:利用環境・事業者網の設計により体感が変わる
  • IPv6サービスへの親和性:IPv6で提供されるサービスは自然に利用しやすい

ただし「必ず速くなる」とは言い切れません。宅内のWi-Fi、端末性能、回線の収容状況、混雑する時間帯、プロバイダ設備など、ボトルネックは複数あります。

IPoEとPPPoEの違い

両者はインターネット接続で使われる点は同じですが、「接続の作り方」と「混雑の起きやすさ」「IPv4の扱い」で差が出ます。

PPPoEの概要

PPPoE(Point-to-Point Protocol over Ethernet)は、Ethernet上でPPPセッションを確立し、その上でIP通信を行う方式です。PPPには認証やセッション管理といった仕組みがあり、従来の接続方式として広く使われてきました。

接続方式の違い

  • IPoE:PPPセッションを前提にせず、主にIPv6で回線側ネットワークへ接続する方式として提供されることが多い
  • PPPoE:PPPセッション(認証・セッション管理)を張って通信する

なお「IPoEはDHCPで認証する」と断定するのはやや危険です。実際の提供方式は事業者ごとに異なり、IPv6のアドレス配布や経路情報の受け取りは、RA(Router Advertisement)やDHCPv6など、構成によって変わります。

速度(体感)の違い

IPoEはPPPのオーバーヘッドが少ないという説明を見かけますが、体感差を生む要因はそれ以上に混雑の起きやすい経路を通るかどうかが大きいです。

そのため、同じ「1Gbps回線」でも、PPPoEとIPoEで夜間の速度が大きく変わるケースがあります。一方で、宅内Wi-Fiが詰まっている場合などは、IPoEへ移行しても改善しないこともあります。

セキュリティの違い

PPPoEの認証は「回線へ接続するための仕組み」であり、通信内容そのものを暗号化するものではありません。IPoEでもPPPoEでも、必要に応じてTLS(HTTPS)VPN、企業用途ならIPsecなどの対策が重要です。

つまり、どちらの方式でも「通信を安全にする」ためには別の層での対策が必要、と理解しておくと安全です。

IPoEを導入するには

IPoE導入は「対応プロバイダに切り替えれば終わり」というより、回線/契約/ルーター機能(特にIPv4の方式)を一緒に確認するのがポイントです。

IPoE対応機器(ルーター)の選び方

家庭・小規模拠点で重要なのは、主にルーター(またはホームゲートウェイ)です。スイッチや一般的な社内LAN機器が「IPoE対応」である必要は基本的にありません。

選定時は、少なくとも次を確認しましょう。

  • IPv6 IPoEに対応していること
  • IPv4 over IPv6方式(DS-Lite / MAP-E等)の対応(契約サービスに合わせる)
  • ルーターの処理性能(スループット、同時接続数)
  • サポートとファームウェア更新の継続性

IPoE対応プロバイダ(サービス)の選び方

IPoEはプロバイダや回線事業者が提供するサービス形態に依存します。契約時は次を確認すると失敗しにくくなります。

  • IPoE(IPv6)提供の有無
  • IPv4の提供方式(DS-Lite / MAP-E 等)
  • 対応ルーターの条件(機種指定や設定要件)
  • 障害時の情報提供・サポート体制

IPoE導入時の注意点

  • IPv4の方式が合っていないとつまずきやすい(DS-Lite / MAP-Eの不一致など)
  • 一部の業務用途(VPN、特定のサーバ公開、ポート開放)が方式によって制約を受ける場合がある
  • 改善しない場合は、宅内Wi-Fiや端末側のボトルネックも併せて点検する

導入後に確認したいこと(最低限)

  1. IPv6でインターネットへ到達できているか
  2. IPv4通信が、契約方式(DS-Lite / MAP-E等)で安定しているか
  3. 夜間など混雑時間帯で体感が改善しているか
  4. 業務で使うVPN・会議・クラウドが問題なく動くか

企業がIPoEを導入するメリット

企業・拠点のインターネット回線でIPoEを検討する理由は、主に「混雑耐性」と「運用の安定化」にあります。

混雑時間帯の体感改善が見込める場合がある

PPPoEで混雑しやすい経路を回避できる設計のサービスであれば、夜間や特定時間帯の速度低下が緩和されることがあります。Web会議やクラウド利用が多い環境では、体感差が出やすいポイントです。

クラウド利用の“引っかかり”が減る可能性

クラウド利用が前提の業務では、単純な最大速度よりも安定性(遅延・揺れ・瞬断)が効いてきます。IPoE移行により、混雑要因が減れば業務の引っかかりが減る可能性があります。

注意:セキュリティは「方式」だけで決まらない

IPoEにしたから自動的に安全になるわけではありません。どの方式でも、ファイアウォール、端末保護、ログ監視、VPN・暗号化などの対策が重要です。

まとめ

IPoEは、PPPoEのようにPPPセッションを前提にせず、主にIPv6でインターネットへ接続する方式として提供されることが多い仕組みです。混雑しやすい経路を回避できる設計のサービスであれば、夜間の速度低下や体感の不安定さが改善する可能性があります。

一方で、導入時は「IPv4をどう扱うか(DS-Lite / MAP-Eなど)」が重要です。回線・プロバイダ・ルーターの対応関係を揃えたうえで、業務要件(VPNや公開サーバなど)との相性も確認しながら、計画的に導入しましょう。

FAQ

Q.IPoEは「プロトコル」なのですか?

一般的な説明としては「PPPoEに対する接続方式(運用上の呼び名)」として扱われることが多く、単体の厳密なプロトコル名というより「PPPを前提にしない接続」と理解すると誤解が少なくなります。

Q.IPoEにすると必ず速くなりますか?

必ずではありません。改善が見込めるのは、PPPoE側の混雑がボトルネックになっている場合です。宅内Wi-Fiや端末性能が原因の場合は、方式変更だけでは改善しないことがあります。

Q.IPoEにしたのに一部サイトが遅い/つながらないのはなぜ?

IPv4の扱い(DS-Lite / MAP-E等)が合っていない、ルーターが対応していない、方式特有の制約(ポート開放等)が影響している、といった可能性があります。

Q.IPoE対応のために社内スイッチも買い替えが必要ですか?

多くの場合、必要なのはインターネット側に出るルーター(またはホームゲートウェイ)の対応です。社内LANのスイッチが「IPoE対応」である必要は基本的にありません。

Q.IPoEはセキュアですか?

方式だけで安全性が決まるわけではありません。PPPoEの認証は通信内容を暗号化するものではないため、IPoEでもPPPoEでも、HTTPS/TLS、VPN、ファイアウォールなどの対策が重要です。

Q.導入前に最低限確認すべきことは?

(1)プロバイダがIPoE(IPv6)を提供しているか、(2)IPv4の提供方式(DS-Lite / MAP-E等)、(3)ルーターがその方式に対応しているか、(4)VPNや公開サーバなどの業務要件に制約が出ないか、の4点です。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム