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IPv4とは? わかりやすく10分で解説

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目次

はじめに

インターネットの成り立ちを考えるうえで欠かせない要素の一つが、IPv4です。IPv4は、ネットワーク上の機器(PC、スマートフォン、サーバー、ルーターなど)を識別し、データを「どこへ届けるか」を決めるための基盤となる仕組みです。

ただし、IPv4は「古い規格だから、もう不要」という単純な話ではありません。IPv6が徐々に普及してきた現在でも、IPv4は多くの環境で現役として使われ続けています。本記事では、IPv4の基本的な役割、アドレス構造と運用上の特徴、枯渇が起きた背景、IPv6との違い、そして現場でよく直面する併用・移行の考え方までを整理します。読み終えたときに、自社ネットワークがIPv4とIPv6のどちらに依存しているのか、またどのような移行方針が現実的かを判断する材料を得られることを目指します。

IPv4とは?

IPv4は、Internet Protocol version 4の略で、インターネット上でデバイス同士を識別し、通信を行うためのアドレス方式(IPプロトコル)です。一般に「IPv4アドレス」と言えば、「192.168.1.1」のような形式で表される、各デバイスに割り当てられる番号を指します。

IPアドレスは、郵便でいう住所のような役割を持ち、通信の宛先を決めます。ただし、IP自体は「通信を確実に届ける」ための再送制御や順序制御までは担いません。そうした役割はTCPなどの上位プロトコルが受け持ちます。IPv4は、あくまでパケット(データの塊)を宛先へ運ぶための経路を示す点に強みがあります。

実務の現場では、IPアドレスは「サーバーの所在を示す」「ルーターが通信経路を選択する」「アクセス制御(許可・拒否)を行う」といった、あらゆる場面で登場します。Webサーバーの公開、拠点間VPN、クラウド接続、ログ調査、障害切り分け(疎通確認)などの作業は、IPアドレスを理解していなければ始まりません。

IPv4アドレスは32ビットの数値で構成され、各ビットは0または1のいずれかを取ります。この32ビットの組み合わせにより、理論上は約43億(2の32乗)のアドレスを生成できます。しかし、インターネットの急速な普及により、これらのアドレスは次第に枯渇しました。その結果、より大きなアドレス空間を持つIPv6が導入され、IPv4とIPv6が併存する時代へと移行していきます。

IPv4の歴史

IPv4は1980年代初頭に整備され、インターネットの黎明期から使われてきました。当初は研究機関や大学など、限られた組織での利用が中心で、アドレス数は十分に足りると考えられていました。しかし、1990年代に商業利用が本格化し、企業や家庭がインターネットへ接続するようになると、需要は急速に拡大します。

この時期、Webサイトや電子メールの普及に加え、その後はモバイル端末やクラウドサービス、常時接続の機器が増え、アドレス消費のスピードはさらに加速しました。IPv4のアドレス空間は有限であるため、2000年代に入ると枯渇が現実的な懸念として意識されるようになります。

この問題への対策としてIPv6が開発されましたが、移行は簡単ではありません。IPv4を前提に構築されたネットワーク機器やアプリケーション、運用手順が膨大に存在するためです。その結果、現在でも多くのシステムやデバイスはIPv4を使用しており、普及率は依然として高い水準にあります。

また、IPv4からIPv6への移行には、回線や機器の更新だけでなく、運用設計、監視、セキュリティルールの見直しなど、「全体を作り直す」作業が伴うこともあります。単にアドレス表記を切り替えるだけでは終わらない点が、移行を段階的に進めたり、判断を先送りしたりする背景になっています。

IPv4アドレスの特徴

インターネット通信は、特定のアドレスを持つデバイス同士で行われます。その形式や特徴を理解することは、インターネットの仕組みを知るうえで重要です。ここでは、IPv4アドレスがどのように表現され、どのように使われ、なぜ枯渇が問題になるのかを、運用の視点も交えて整理します。

32ビットのアドレス方式

IPv4アドレスは、32ビットの数値で構成されています。ビットとは、0または1の二つの値を取る最小の情報単位です。32ビットの組み合わせにより、約43億の異なるアドレスを生成できます。ただし、予約用途や運用上の制約があるため、実際に自由に利用できる数は理論値より少なくなります。

IPv4アドレスは、通常「ドット区切りの十進数形式」で表現されます。32ビットを8ビット(1オクテット)ずつ4つに分け、各オクテットを0〜255の数値で表すことで、「192.168.1.1」のような表記になります。人にとって読みやすい一方で、運用ではサブネットマスクやプレフィックス長とセットで、「どこまでが同一ネットワークか」を理解する必要があります。

各数値は0〜255の範囲を取るため、IPv4アドレスの最小値は「0.0.0.0」、最大値は「255.255.255.255」です。ただし、これらは通常の端末に割り当てる用途では扱いが特殊で、ネットワークの文脈で特定の意味を持って使われます。

ネットワーク部とホスト部の考え方

IPv4アドレスは、単なる32ビットの数値ではなく、運用上は「ネットワーク部」と「ホスト部」に分けて扱います。その境界は、サブネットマスク(例:255.255.255.0)やプレフィックス長(例:/24)によって決まります。

たとえば「192.168.1.0/24」という表記は、先頭24ビットがネットワークを示し、残り8ビットで同一ネットワーク内の端末(ホスト)を表す、という意味です。同一ネットワーク内の端末同士は、ルーターを経由せずに直接通信できることが多く、設計やトラブルシューティングの場面で重要な区切りになります。

設計上の注意点として、「使えるホスト数」だけでなく、将来の端末増設や拠点統合、VPN接続、クラウド連携といった変化も見越してサブネットを設計する必要があります。短期的な都合で細かく切りすぎると、後からアドレス計画が破綻しやすくなります。

予約アドレスとプライベートアドレス

IPv4アドレスの中には、特定の目的のために予約されている範囲があります。代表例が「127.0.0.1」で、これはループバック(ローカルホスト)として、自分自身を指すアドレスに使われます。疎通確認やアプリケーションの動作確認でよく利用されます。

また、社内LANなどでよく使われる「192.168.x.x」のようなアドレス帯は、プライベートアドレスとして予約されています。プライベートアドレスは、インターネット上ではルーティングされない前提のため、組織内で自由に設計できますが、そのままではインターネットへ直接接続できません。そこで一般的に利用されるのがNATです。

こうした予約用途の存在により、実際にグローバルに割り当て可能なIPv4アドレス数は、理論上の約43億よりさらに少なくなります。これが、IPv4アドレス枯渇が深刻な問題として扱われる理由の一つです。

IPv4とIPv6の比較

インターネットの進化に伴い、IPアドレスの形式も変化してきました。現在主に使われているのは、IPv4とIPv6の2つです。両者の違いは、単にアドレスの桁数が増えたという点にとどまらず、ネットワーク設計や運用の前提にも影響します。

アドレスの違い

IPv4は32ビットのアドレス方式で、理論上は約43億のアドレスを生成できます。一方、IPv6は128ビットのアドレス方式で、桁違いに広いアドレス空間を持ちます。IPv6は、インターネットの急速な普及に伴うIPv4アドレス枯渇問題を根本的に解決するために設計されました。

現場の視点では、IPv6は十分なアドレス数を前提に、端末ごとにグローバルアドレスを割り当てる設計がしやすくなります。ただし、それが即座に運用の簡素化につながるわけではありません。セキュリティポリシー、監視、アクセス制御、ログ設計など、アドレス数が増えることで管理の考え方も変わります。

通信速度と安定性

IPv4とIPv6の通信速度や安定性に、必ずしも決定的な差があるわけではありません。実際の体感は、回線事業者の提供方式や経路、機器実装、DNS応答、CDN配置など、周辺要因に大きく左右されます。

ただし、IPv6は比較的新しい前提で設計されているため、環境によっては運用上のメリットが得られる場合もあります。たとえば、モバイル通信やIoTのように端末数が増えやすい分野では、アドレス設計の自由度が効いてきます。一方、社内システムや古い機器が混在する環境では、IPv4のほうが運用ノウハウが蓄積されており、切り分けが速いケースも少なくありません。

IPアドレスの桁数の違い

IPv4のアドレスは32ビットで、通常はドット区切りの十進数形式で表されます。一方、IPv6のアドレスは128ビットで、コロン区切りの16進数形式で表現されます。たとえば「2001:db8::1」のような表記です。

IPv6アドレスは一見すると複雑ですが、実務では省略表記(::)やプレフィックス(/64など)の単位で扱うことが多く、慣れると設計や運用の考え方は整理しやすくなります。ただし、ログや設定ファイルの見え方が変わるため、監視や解析、ルール記述をIPv6前提でも回せるように整えておくことが重要です。

IPv4のメリットとデメリット

インターネット通信の中核を担ってきたIPv4には、長所と短所の両面があります。ここでは、「なぜIPv4が今も使われ続けているのか」と「なぜ移行が課題になるのか」を整理します。

IPv4のメリット

IPv4は長年にわたりインターネットの基盤として利用されてきた技術で、成熟度が高く、運用ノウハウが豊富です。多くのデバイスやシステムがIPv4に対応しており、互換性の面で困りにくい点は大きな利点です。

また、IPv4アドレスは人が読み取りやすいドット区切りの十進数形式で、設定やトラブルシューティングを行いやすいという特徴もあります。障害対応では「どの機器が、どのIPで、どこまで通信できているか」を素早く把握する必要があり、IPv4に慣れた人材が多いことも強みです。

IPv4のデメリット

最大の課題は、アドレスの枯渇です。IPv4は32ビットのアドレス方式であるため、利用可能な数に上限があります。そのため、NATを用いてアドレスを共有する運用が一般化していますが、これにより通信の見通しが悪くなったり、設計が複雑化したり、一部アプリケーションで相性問題が生じたりすることがあります。

また、IPv4は設計当初から、常時接続や大規模攻撃、ゼロトラストといった現代的な脅威環境を前提としていません。もちろん、IPv4だから即危険というわけではありませんが、現代のネットワークでは暗号化や認証、最小権限、監視といった多層防御が欠かせません。この点はIPv6でも同様であり、移行時にはIPv4前提のルールや監視が残っていないかを点検する必要があります。

さらに、IPv4は歴史が長い分、環境ごとに設計が継ぎ足されているケースも多く、クラウド活用や拠点統合、リモートアクセス増加といった現代の要件に合わせて再設計しようとすると、アドレス計画がボトルネックになることがあります。

IPv4の現在と未来

IPv6の普及が進む中でも、IPv4は多くの場面で使われ続けています。ここでは、現場で一般的な併用方式と、IPv4がどの程度残り続けるのかを考える際の実務的な視点を整理します。

IPv4とIPv6の併用

IPv6の普及に伴い、多くの組織やサービスプロバイダは、IPv4とIPv6を併用する形でネットワークを運用しています。代表的な方式がデュアルスタックで、端末やサーバーがIPv4とIPv6の両方のアドレスを持ち、相手や状況に応じて使い分けます。

併用により、IPv4のみ対応の既存システムと、IPv6対応の新しい環境を同一ネットワークで共存させることができます。一方で、運用面ではアドレス体系が二重になるため、DNS、ファイアウォール、監視、ログ解析、障害切り分けの手順も複雑になりがちです。導入時には、両方の前提で運用が回るかを事前に確認しておくことが重要です。

IPv4の必要性と今後の展望

IPv4アドレスの枯渇やIPv6の普及により、IPv4の新規利用は制約を受けやすくなっています。しかし、既存資産の多くがIPv4に依存しているため、短期的にIPv4を完全に廃止するのは難しいのが現実です。

今後は、IPv6対応を前提としたサービスが増える一方で、企業内ネットワークや特定用途のシステムではIPv4が残り続ける可能性があります。そのため現場では、「IPv4を捨てるか残すか」の二択ではなく、どの領域をIPv6へ移行し、どこを当面IPv4のまま維持するかを設計することになります。

判断のヒントとしては、(1) 外部公開やインターネット接続領域(Web、メール、クラウド接続)からIPv6対応を進める、(2) 監視・セキュリティ・ログ運用をIPv6でも成立する形に整える、(3) 古い機器やアプリケーションの依存関係を棚卸しするといった順番が現実的です。移行を単なる設定作業としてではなく、運用設計まで含めて考えることで、後戻りを減らせます。

まとめ

IPv4は、インターネットの基盤を長年支えてきた重要な技術です。32ビットという制約からアドレス枯渇が課題となった一方で、成熟度や互換性、運用知見の豊富さにより、現在も幅広く利用されています。

IPv6の普及が進む中で、IPv4の役割や位置づけは変化しつつあります。それでも、IPv4の基本的な仕組みやアドレスの考え方を理解しておくことは、ネットワーク設計や運用、障害対応において欠かせません。IPv4とIPv6の併存を前提に、「運用として無理なく回る形」で移行や共存を設計することが、現場では最も重要なポイントになります。

Q.IPv4とは何ですか?

インターネット通信で機器を識別し、パケットを宛先へ届けるためのIPプロトコルで、32ビットのアドレス方式を採用しています。

Q.IPv4アドレスはなぜ枯渇したのですか?

接続端末やサービスが急増し、32ビットで表現できるアドレス数に上限があるためです。

Q.IPv4の「192.168.x.x」は何に使われますか?

社内LANなどで利用される、プライベートアドレス帯です。

Q.127.0.0.1は何を意味しますか?

自分自身の端末を指すループバック(ローカルホスト)アドレスです。

Q.サブネットマスクや/24とは何ですか?

IPv4アドレスのうち、どこまでがネットワーク部かを示し、同一ネットワークの範囲を定義する情報です。

Q.IPv4とIPv6の最大の違いは何ですか?

アドレス空間の大きさで、IPv6は128ビットのため、枯渇をほぼ意識せずに運用できます。

Q.IPv6の方が必ず速いのですか?

必ずしも速いとは限らず、回線方式や経路、機器実装などの環境要因によって変わります。

Q.デュアルスタックとは何ですか?

IPv4とIPv6を同時に利用できるようにし、相手や環境に応じて使い分ける運用方式です。

Q.IPv4は近いうちに廃止されますか?

短期的に完全廃止される可能性は低く、IPv6と併存しながら当面は使われ続けます。

Q.IPv4を学ぶ意義はありますか?

現在も多くのネットワークがIPv4に依存しており、設計・運用・障害対応の基礎として重要です。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム