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LGWANとは? 地方自治体が得られる導入メリットなど

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目次

ネットワークと聞けばインターネットを思い浮かべる方が多いと思いますが、ネットワークにも用途にあわせてさまざまな種類が存在します。今回はそのなかから行政機関で利用されているLGWAN(エルジーワン。統合行政ネットワーク)について見ていきましょう。

LGWANの概要と併せて、仕組みや導入するメリットについて解説します。

LGWAN(総合行政ネットワーク)とは

LGWAN(Local Government Wide Area Network)は統合行政ネットワークのことであり、地方公共団体などの自治体間を接続する行政専用のネットワークです。

LGWANとインターネットの違い

LGWANはインターネットとは異なり、誰しもに公開されているネットワークではありません。インターネットから切り離されており、クローズドな環境のネットワークです。

各自治体の庁内LANをつなぐためのネットワークであるLGWANは、府省間ネットワークの「政府共通ネットワーク」とも相互に接続しており、国の機関との情報交換にも使われています。

LGWANを利用することで電子メールや電子掲示板などの基本サービスや、LGWANポータルサイトなどの利用が可能です。高度なセキュリティ対策が施されており、行政機関をつなぐ安全なネットワークとして利用されています。

LGWAN と 無線LANの関係

従来のLGWANでは、利用端末(パソコンなど)は有線接続が推奨されていましたが、2021年3月にガイドラインが改定され、無線LAN環境でもLGWANが利用できるようになりました。
もちろん、無線LAN環境を導入するに際しては、通信が盗聴されたり、不正アクセスされたりしないよう適切なセキュリティ対策が求められています。

LGWAN-ASPとは

ASP(Application Service Provider)とは、インターネット経由でソフトウェアや稼働環境を提供する事業者を表します。LGWAN-ASPはLGWANで利用できるさまざまな行政用アプリケーションサービスを提供する事業者です。

LGWAN-ASPで提供されるサービスの例としては、電子申請・届出システム、電子入札システム、国税連携サービスなどが挙げられるでしょう。また、アプリケーションだけでなく、アプリケーションが稼働するサーバー機器の提供も行っており、運用管理もLGWAN-ASP側で実施してもらえます。

LGWAN-ASPが提供するアプリケーション・コンテンツサービスは1,000件以上が登録されており、令和2年10月時点では約760件が公開されています。

LGWANの仕組み

LGWANは高度なセキュリティ対策によるセキュアなネットワークですが、具体的には次のような技術や仕組みが利用されています。

  • ファイアウォール
  • 侵入検知システム(IDS)
  • 通信経路の暗号化
  • 公開鍵暗号方式の採用
  • SOCの設置

ファイアウォールにより、LGWAN内のサーバーを不正アクセスから守っています。加えて、IDSによって侵入の形跡をいち早く検知し、事前に対策が取れる仕組みです。

さらに、LGWAN内の通信は暗号化されており、外部から通信内容を盗聴することはできません。やり取りされる情報の改ざんやなりすましに対しては、公開鍵暗号方式を利用した認証機能によって対策しており、認証に使用する電子証明書はLGPKI(地方公共団体組織認証基盤)が発行しています。

また、LGWANにはSOC(Security Operation Center)と呼ばれるセキュリティの専門家が常駐する組織が運営されており、24時間365日体制でセキュリティ監視が行われています。

各自治体がLGWANに接続するためには、「自治体情報システム強靭向上モデル」に基づく環境が必要です。これらの取り組みとあわせて、LGWAN環境は非常にセキュアな環境となっているのです。

LGWANの導入メリット

LGWAN全国センター(J-LIS)が挙げるメリットは次の3点です。

  • 行政事務の効率化
  • 重複投資の抑止
  • 住民サービスの向上

LGWANは地方公共団体だけでなく、政府共通ネットワークとも相互に接続しています。各自治体間での情報共有だけでなく、国の機関も含めた情報共有が実現でき、行政事務の効率化が実現できます。

LGWANは汎用的な情報通信ネットワークです。そのため、地方公共団体におけるネットワークへの重複投資の抑制や、維持・運営費用の削減が可能です。

加えて、住民生活に必要な行政情報の提供や、申請・届出などの手続きの電子化なども実現でき、国と地方公共団体を一体化した行政サービスの提供が可能です。そのため、住民サービスの向上が期待できるでしょう。

LGWANのまとめ

LGWANは統合行政ネットワークのことであり、地方公共団体等の自治体間を接続する行政専用のネットワークです。政府共通ネットワークとも相互に接続しているため、国の機関との情報交換も行なえます。

LGWANはインターネットとは異なるクローズドなネットワークであり、高度なセキュリティ対策が施されている点が特徴です。

LGWANを導入することで、行政事務の効率化・重複投資の抑止・住民サービスの向上などが期待でき、セキュアなネットワークであるため安心して利用できます。

IT化が進み、行政機関も相互に連携を強める必要性が高まっています。LGWANを上手に活用し、行政機関のDXを推進しましょう。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム