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LTEとは? わかりやすく10分で解説

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目次

LTE(Long Term Evolution)とは

LTEは、3Gや3.5Gに続く新世代のモバイル通信規格です。厳密には4Gの基礎技術のひとつですが、その通信速度と拡張性から、最近では4Gと区別されず扱われる場合もあります。

LTEの定義と目的

LTEとはLong Term Evolutionの略で、この技術は携帯電話の通信の進化を目指して創られました。開発の目的は、高速なデータ通信を実現し、ユーザーの使い勝手を向上させることです。理論上は受信で最大300Mbps、送信で最大75Mbpsの高速通信が可能という点が、LTEの大きな魅力と言えます。

加えて、世界で増え続けるスマートフォンやタブレットなどのデバイスの普及による、データ通信の急増への対応も重要な目標です。通信キャリアは通信帯域の拡大を求めており、LTEの導入はその重要な解答のひとつとなりました。

LTEの歴史と発展

通信キャリア各社は早くからLTEの導入と運用に取り組んできました。日本ではNTTドコモが先駆けとなり、「Xi(クロッシィ)」という名前でLTEサービスを提供し始めました。ドコモのLTEサービスでは、最高通信速度は受信37.5Mbps、送信12.5Mbpsです。

その後、他の通信キャリアも追随し、au(KDDI)やソフトバンクもLTEサービスを展開しました。auは「au 4G LTE」、ソフトバンクは「SoftBank 4G LTE」という名称でサービスを提供し、競争が激化しました。各キャリアは基地局の増設や通信品質の向上を図り、通信速度の向上とカバーエリアの拡大を進めました。特に都市部ではLTEの普及が急速に進み、スマートフォンの利用が劇的に増加しました。

LTEの普及により、ユーザーは高速なインターネット接続を手軽に利用できるようになり、動画ストリーミングやオンラインゲーム、クラウドサービスの利用が一般的になりました。

LTEが分類される世代

LTEは、3Gや3.5Gに続く技術として3.9Gと位置付けられています。ただ、その高速な通信能力から4Gと呼ばれることも増えています。4GにはLTE以外にもWiMAXなどの技術が存在しますが、その中でもLTEの通信速度とカバレッジは広く評価されています。

次世代の通信技術としては5Gが登場しており、さらに高速な通信が求められる場合は5Gに頼ることとなります。それでも、LTEは依然としてモバイル通信の主役であり続け、その技術的な進化は続いています。

今後のLTE技術の展望

現在も各通信キャリアはLTEの網を拡大し続けており、通信環境の改善と品質向上に努めています。新しい地域でのサービス展開や既存のエリアに対する通信品質改善など、ユーザーにとってより快適な通信環境を実現するための努力が継続されています。

LTE網の拡大は、次世代の5G技術の展開と並行して進められます。5Gの普及が進む中でも、LTEはバックアップや補完的な役割を果たすことが期待されているためです。これにより、通信の信頼性とカバレッジが向上し、ユーザーにとってより快適な通信環境が提供されるでしょう。

LTEの通信技術

LTE (Long Term Evolution)は、主に通信キャリアが取り組む通信技術で、その最大の特長は高速通信です。ここでは、その通信技術について詳しく解説します。

通信速度とその計算方法

LTEの最大通信速度は、理論上は受信で300Mbps、送信で75Mbpsとされています。実際の通信速度は環境や利用状況により変動します。

例えば、NTTドコモのLTEサービス「Xi」は、最大で受信37.5Mbps、送信12.5Mbpsの通信が可能です。通信速度は、利用者の数や距離、電波の状態などによって変化します。

通信速度の計算方法は、通信キャリアが公開している情報を基に決定されています。

送受信の仕組み

LTEの送受信の仕組みは、電磁波を使用してデータを送受信する一般的な無線通信と同じです。送受信するデータはパケットと呼ばれる形でまとめられ、それぞれが個別に送られます。そのため、パケットの遅延や損失が発生すると通信品質に影響します。

さらに、LTEではMIMO (Multiple Input Multiple Output)という技術を用いて、複数のアンテナからデータを同時に送受信することで通信速度を向上させています。

MIMOとは?わかりやすく10分で解説

LTEの通信プロトコル

LTEの通信プロトコルは、その高速通信を実現するための重要な要素の一つです。

一般に、通信プロトコルとは、通信の手順や規則を定めたもので、このルールに従ってデータが送られます。

LTEでは、E-UTRANという通信プロトコルが用いられており、これによって大容量のデータを高速でやり取りすることが可能になっています。

通信品質の評価基準

通信品質はその速度だけでなく、通信が安定して行えるかどうか、パケットの遅延や損失が少ないかどうかなど、複数の要素で判断されます。特に、LTEにおける通信品質は信号の強さやノイズの程度などの要素も評価基準に含まれます。

これらの指標を基に、各通信キャリアや専門機関は通信品質の評価を行っています。

LTEの導入と採用

移動体通信の基盤技術として名高いLTEは、現在、世界中の多くの通信キャリアによって導入・採用が進められています。

スマートフォンの普及やデータ通信量の急増を背景に、その高速な通信能力と広帯域化による通信容量の拡大が期待されています。しかし、地域によっては、その導入にはさまざまなハードルがあります。

この章では、LTEの導入に際してのメリットとデメリット、世界での普及状況、導入のための具体的なステップ、そして未来のLTE導入シナリオについて紹介します。

LTE導入のメリットとデメリット

まず、LTE導入の最大のメリットはその高速な通信能力です。これにより、ストリーミング動画の視聴や大容量のデータ送受信がスムーズに行えるため、利用者の満足度が向上します。

デメリットとしては、LTE導入にはLTE対応の機器や基地局の設置が必要となるため、それに伴うコストや時間がかかります。また、既存の通信インフラとの互換性も課題となります。

しかし、スマートフォンの普及やデータ通信量の急増に対応するため、このコストや時間を投資する価値があると考えられています。

LTEのグローバルな普及状況

現在、LTEは全世界で採用が進み、特に先進国では高速通信を実現する主要な通信基盤となっています。

しかし、途上国ではまだLTEの導入が進んでいない地域もあります。それは、LTE導入に必要なインフラ整備が十分に進んでいないためです。

このような地域では、将来的にLTEの導入が進むことで、情報通信の利便性が大きく向上すると期待されています。

LTEの導入と運用

LTEの導入には、まず、LTE対応の機器や基地局の設置が必要です。それには、十分な資金と時間が必要となります。

次に、LTE導入には技術的なリソースも要求されます。LTEを安定して運用していくために、適切な技術的な知識や経験を持った人材が必要です。さらに、利用者に対する教育も重要となります。

未来のLTE導入シナリオ

今後については、LTEがまだ導入されていない地域での導入が引き続き進むと予想されます。これにより、これらの地域でも高速な通信を提供できるようになると考えられます。

次に、すでにLTEが導入されている地域でもさらなる高速化や機能強化が進むと考えられ、利用者の通信需要に、さらに安定して応じることが可能となります。

一方、5Gの普及も進むと予想されますが、5Gの導入には新たな技術やインフラが必要となるため、LTEと5Gが共存する期間は続くと考えられます。

LTEと他の通信規格との比較

ここでは、LTEが他の通信規格と比較してどのような特性を持つのか、その詳細を見てみましょう。そのために、まず3G、5G、そしてWi-Fiと言った主要な通信規格との比較を行います。

3GとLTEの比較

3GからLTEへの移行は、通信速度の大幅な向上が最大の変化と言えます。3Gの最高通信速度は数Mbps程度ですが、LTEは受信時最大300Mbps、送信時最大75Mbpsの高速通信を実現しています。

また、この技術革新はデータ通信の効率改善をもたらし、さらなるインターネットの普及を支えました。

5GとLTEの比較

5Gは次世代の通信規格であり、さらに高速な通信が可能です。LTEと比較すると違いは明確で、5Gでは、1秒あたり数Gbpsの通信速度が可能とされています。

また、5Gは端末間の接続性能が向上しており、IoTの普及にも貢献すると考えられています。これらの特性により、5Gは自動運転車や遠隔手術など、リアルタイム性と信頼性が求められる分野での利用が期待されます。

しかしながら、5Gはまだ発展途上の技術であり、全面的な普及にはまだ時間とコストがかかると予想されています。

Wi-FiとLTEの比較

Wi-FiLTEは、それぞれが異なる利用シーンに適しています。Wi-Fiは主に室内や特定のエリアでの利用に優れていますが、LTEは広範なエリアでの移動中も安定した接続が可能です。

LTEはモバイル環境において、大量のデータ通信が必要な場面では有利です。一方、Wi-Fiは基本的には従量による使用料金が発生しないため、コスト面では有利と言えます。

このように、Wi-FiとLTEは互いに補完的な関係にあると考えられ、使用者の利便性を高めるためには適切な使い分けが重要となります。

将来の通信規格とLTEの位置付け

現在では、5Gが新たな通信標準として期待されていますが、その中にあっても、LTEは拡張性と既存のネットワーク資産の活用という有利性から、引き続き重要な役割を果たすでしょう。

LTEの通信速度とエリアカバレッジの優れたバランスは、発展途上地域での新たなモバイルブロードバンド網の構築や、都市部でのネットワーク容量追加に最適です。

また、予想される通信規格の進化、たとえば6Gやそれ以降に対しても、LTEはベースラインとして充分なパフォーマンスを提供し続け、新規格への移行を円滑に行うための重要なステップとなります。

LTEを活用した未来のデジタル社会

未来のデジタル社会に向けて、LTEが果たす役割は小さくありません。スマートシティの実現に向けて、各種のデータをリアルタイムで集約・分析するためのインフラストラクチャとして、広域をカバーでき高い信頼性のあるLTEの存在感は増していくと考えられています。

また、自動運転車やドローンなど、新たなテクノロジーの発展に伴い、それらを制御・連携するための通信速度が求められる中で、LTEの重要性はますます高まります。

このように、LTEは既に今日の生活に欠かせない存在となっているだけでなく、未来のデジタル社会を形成していく上でも、その技術的価値を示し続けていくことでしょう。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム