トレンド解説

OCSPとは? わかりやすく10分で解説

アイキャッチ
目次

1. はじめに

インターネットに接続するためには、デジタル証明書の役割が欠かせません。デジタル証明書は安全な通信を保証するために重要な要素です。

1-1. デジタル証明書とその重要性

デジタル証明書は、インターネット上のデータを安全に送受信するために使用されます。特に、SSL/TLSと呼ばれる暗号化技術を利用した通信の際には、認証局(CA)から発行されるデジタル証明書が必要です。デジタル証明書には、証明書を発行したCAの情報・証明書の所有者(ウェブサイト等)の情報・公開鍵・証明書の有効期限などが記載されています。

しかし、デジタル証明書は一度発行すると、その後の管理は容易ではありません。証明書の更新を忘れたり、不正に利用されたりする可能性があるため、それを確認するためのシステムが必要です。その一つがOCSP(Online Certificate Status Protocol)です。

1-2. 本記事の目的

本記事では、OCSPがどのように動作し、どのような役割と機能を果たすのかを解説します。OCSPの重要性を理解することで、インターネット通信の安全性や信頼性の確保への理解が深まり、より安全なネット利用につながることでしょう。

2. OCSPとは

インターネットの安全性を保護するために作られたプロトコルの一つが、OCSP(Online Certificate Status Protocol)です。OCSPはデジタル証明書の有効性を確認するためのプロトコルで、安全なネットワーク通信を確保するのに欠かせません。

2-1. OCSPの概要

OCSPはインターネットセキュリティの中心的な役割を果たす、デジタル証明書の状態(有効、失効など)をリアルタイムに確認するためのプロトコルです。デジタル証明書とは、ウェブサイトの所有者がそのサイトを運営していること、またそのサイトが安全であることを証明する電子的なドキュメントのことを指します。

2-2. OCSPが登場した背景

インターネットが広く利用されるようになったことで、不正なサイトやフィッシング詐欺などの問題が増えました。これらの問題に対処するため、証明書の有効性を確認して通信の安全性を担保する手段として、OCSPが生まれました。OCSPにより、その場で証明書の有効性を確認でき、ユーザーは安全な通信が可能となりました。

2-3. OCSPとは具体的に何をするのか

OCSPの役割は、ユーザーが安全なウェブサイトにアクセスしているかどうか確認することです。つまり、何らかの理由で無効化された証明書を持つウェブサイトにユーザーがアクセスしようとしたときに、その証明書が無効であると事前に検知し、ユーザーに安全でないと警告します。

3. OCSPの役割

それでは、OCSPの主な役割について詳しく説明していきます。OCSPの役割は主に3つに分けられます。

3-1. 信頼性の確保

OCSPの最も重要な役割の一つが、信頼性の確保です。インターネットで情報をやり取りする際、情報が保護され安全に送受信されていることを確認する方法として、デジタル証明書が用いられています。しかし、証明書は発行後もその有効性が変動する可能性があります。利用が停止されたり不正により失効したりして証明書の信頼が失われたとき、OCSPが重要な役割を果たします。

3-2. リアルタイムの証明書ステータスチェック

次にOCSPが担っている役割は、リアルタイムの証明書ステータスチェックです。過去の証明書の有効性を確認するだけでなく、リアルタイムでの確認ができるのがOCSPの特長です。証明書が失効した場合や、証明書自体が不正である可能性がある場合、即座にその情報を取得して結果に基づいて通信が制御されます。

3-3. 安全な通信環境の提供

最後に、OCSPが果たしている役割は、安全な通信環境の提供です。OCSPを用いることで認証局からの直接的なレスポンスを受け取れます。これにより、通信の安全性を確認できる点は、物理的なセキュリティだけではなく情報の信頼性を確保する上でも重要な役割だといえるでしょう。

4. OCSPの機能

ここでは、OCSP(オンライン証明書ステータスプロトコル)の主な3つの機能について詳しく説明します。OCSPの機能を理解することで、証明書の確認方法とその重要性、また、OCSPがどのようにそれを提供するのかについて理解が深まります。

4-1. 証明書のリアルタイム確認

1つ目の機能は、証明書をリアルタイムな確認です。ユーザがウェブサイトにアクセスした際、そのサイトが正当なものであるかどうかを知るためにOCSPが機能します。OCSPにより、証明書が現在有効であるかどうか即座に確認可能です。これは、リアルタイムに証明書の状態を更新し、提供することで実現されます。

4-2. 証明書の有効性確認

2つ目の機能は、証明書の有効性の確認です。証明書の有効性確認は、ユーザが安全にウェブサイトにアクセスするために不可欠です。OCSPは証明書が認証局から発行され、まだ有効期限があるかどうかを確認します。このプロセスにより、証明書が偽造されたものでないか、または期限切れでないかが確認されます。これは、ユーザがセキュリティの高いウェブ通信を実現するために欠かせない機能です。

4-3. 証明書の失効情報の取得

3つ目の機能は、証明書の失効情報の取得です。証明書が何らかの理由で無効化(失効)された場合、OCSPはその情報をリアルタイムで取得し、ユーザやサーバーに提供します。これにより、証明書の失効状況がすぐに分かり、無効な証明書を使用することによるセキュリティリスクを避けられます。

以上が、OCSPの主要な3つの機能です。これらの機能により、様々な角度から証明書の状態を確認し、ユーザのセキュリティを保護します。

5. OCSPの動作プロセス

ここでは、OCSPがどのように動作しているか、そのプロセスを具体的にご紹介します。実は、OCSPの動作プロセスは4つのステップに分けられます。それぞれのステップを詳しく解説していきましょう。

5-1. OCSPリクエストの作成

まず、クライアントがWebサーバへ証明書を要求します。次に、クライアントはその証明書が失効していないかどうかを確認するために、OCSPリクエストを作成します。

OCSPリクエストには、証明書のシリアル番号と証明書発行者の情報が含まれます。リクエストは、その後OCSPレスポンダー(通常は証明書の発行者)に送信されます。

5-2. OCSPリクエストの送信

次に、OCSPリクエストはネットワークを介してOCSPレスポンダーに送信されます。OCSPリクエストは、HTTPを使用してインターネット経由で送信されるのが一般的です。

5-3. OCSPリクエストの検証

OCSPレスポンダーは受信したOCSPリクエストを処理します。レスポンダーはリクエストに含まれる証明書のシリアル番号を使用して、該当する証明書が失効していないかどうかをチェックします。

5-4. OCSPレスポンスの解析

最終的に、OCSPレスポンダーはOCSPレスポンスをクライアントに送り返します。OCSPレスポンスは、証明書の有効性に関する情報を含んでいます。OCSPレスポンスを受信したクライアントは、レスポンスを解析して証明書が有効であること、すなわち通信が安全であることを確認します。

要約すると、OCSPの動作プロセスは、「リクエストの生成」、「リクエストの送信」、「リクエストの検証」、「レスポンスの解析」の4つのステップで成り立っています。

6. OCSPの利点と欠点

OCSPは、デジタル証明書の検証方法として広く利用されていますが、その特性を理解することは、私たちのインターネットセキュリティを理解する上で重要です。ここでは、OCSPの主な利点と欠点について解説します。

6-1. OCSPの利点

OCSPの最大の利点は、証明書のステータスをリアルタイムで確認できることです。これは、クライアントがサーバーと安全に通信するために不可欠な機能です。
リアルタイムで証明書のステータスを確認できることで、証明書が失効していた場合すぐにその情報を取得し、不適切なまたは危険な通信を回避できます。

また、OCSPは証明書を発行した認証局(CA)へのダイレクト接続を必要としないため、通信の効率も向上します。これは、クライアントが証明書の有効性を確認するために認証局に直接問い合わせる必要がなくなるためです。したがって、通信の待ち時間が減少するのが利点といえます。

6-2. OCSPの欠点

一方で、OCSPにはいくつかの欠点も存在します。一つ目は、全ての証明書をOCSPサーバーが一括してチェックするため、OCSPサーバーへの依存度が高いという問題です。OCSPサーバーがダウンした場合、新たに証明書のステータスを確認できません。OCSPサーバーのダウンは、サービスの利用者にとって通信の安全性を確認する上で大きな障害となります。

また、OCSPでは証明書のステータスを確認するたびにリクエストとレスポンスが発生し、通信の遅延を引き起こす可能性があります。特に、大規模なwebサイトでは多くの証明書の ステータスを確認する必要があり、その都度OCSPへの問い合わせが発生すると、必要以上に通信時間が延びる可能性があります。

7. OCSPとOCSP Staplingの違い

次にOCSP StaplingとOCSPがどのように違うのかを見ていきましょう。

7-1. OCSPとは

まずOCSPについて再確認します。OCSPとは、Online Certificate Status Protocolの略であり、クライアントが証明書の有効性を確かめるためのインターネットプロトコルです。OCSPにより、ユーザーがウェブサイトを訪れる際に、そのウェブサイトのSSL/TLS証明書がまだ有効であるかどうかをリアルタイムに確認できます。

7-2. OCSP Staplingとは

OCSP Staplingとは、サーバーが自らアクティブにOCSPレスポンスを取得し、TLSハンドシェイク時(ウェブサイトへのアクセス時)にクライアントに送信する方法です。OCSP Staplingにより、クライアントは証明書の検証問い合わせをOCSPサーバーに独自に行う必要がなくなります。

7-3. それぞれの違いと利点

OCSP Staplingは、主に負荷軽減、プライバシーの保護、検証速度の向上といった利点があります。

通常のOCSPでは、クライアントはOCSPレスポンスを取得するためにOCSPサーバーへリクエストを送る必要があります。しかし、大量のクライアントが同時にリクエストを送ると、OCSPサーバーへの負荷が増大します。しかしOCSP Staplingでは、サーバーがOCSPレスポンスをクライアントへ直接送付するため、OCSPサーバーへの負荷が軽減されます。

さらに、通常のOCSPでは、クライアントが証明書の検証リクエストを直接OCSPサーバーに送るため、第三者がその通信を傍受することでそのクライアントが特定のサイトを訪れていることを知ることが可能です。これに対し、OCSP Staplingではそのような情報が漏洩するリスクが軽減されます。

そして最も重要なのが、折角高速になった現代のインターネットにおいて、サイトへのアクセス速度がユーザーエクスペリエンスに直結するという課題があることから、OCSP Staplingは速度面でも大きなメリットを持っています。なぜなら、OCSP Staplingでは、サイトが最初に呼び出されるときに証明書の検証情報がすでに含まれており、それにより証明書の検証にかかる時間が大幅に短縮され、結果としてユーザーはより早く安全にウェブサイトに接続できるためです。

8. まとめと今後の展望

今回の記事では、インターネット上で安全な情報のやり取りを実現するために重要な要素である、OCSPについて説明しました。

8-1. 本記事の内容のまとめ

OCSPは、Online Certificate Status Protocolの略で、デジタル証明書の有効性をリアルタイムに確認できるプロトコルです。証明書が信頼できるかどうか、つまり、証明書が偽造されていないか、あるいは取り消されていないかどうかをリアルタイムで確認することがOCSPの主な機能であり、これによって安全な通信環境が提供されます。

また、OCSPの動作プロセスについても取り上げ、そのプロセスを形成する各ステップを詳しく見てきました。これらの過程を経てOCSPは、不正な証明書を用いたインターネット上の通信を防ぐ役目を果たしています。

OCSPの利点・欠点については、リアルタイム性と信頼性の提供が主な利点である一方、一部のセキュリティリスクや通信遅延などの課題も抱えています。そして、それらの課題を解決する手法としてOCSP Staplingというテクノロジーも紹介しました。

8-2. OCSPの今後の展望と可能性

今後のOCSPの展望としては、ますます高度化するセキュリティ要件に対応しつつ、より効率的かつ高速な証明書の有効性確認手段の提供が求められるでしょう。すでにその一環として、OCSP Staplingなどの新たなテクノロジーが開発・導入されています。

また、IoT(Internet of Things)の普及に伴い、様々なデバイスがインターネットに直接接続されるようになると、相互認証の重要性が一段と高まるでしょう。その中で、OCSPはデジタル証明書の有効性確認における鍵となる相互認証プロトコルとして、その重要性を増すことでしょう。

最後に、このようなセキュリティテクノロジーの理解と適用は、我々が安全なインターネット空間を享受する上で絶対に必要なスキルです。それぞれがOCSPのような概念を理解し、正しく活用することで、安全な情報社会の実現に少しずつ近づいていくことが期待されます。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム