この記事では、RAIDの中でも混同されやすいRAID01(0+1)を取り上げます。RAID0(ストライピング)とRAID1(ミラーリング)を組み合わせる点はRAID10(1+0)と同じですが、組み合わせる順番が違うため、故障時の挙動や「どこまで耐えられるか」が変わります。
「速いしミラーもあるから安全」というイメージだけで選ぶと、想定より脆い構成になっていることもあります。RAID01の仕組みと、RAID10との違いを、普段使いの言葉で整理していきます。
RAID01(RAID 0+1)は、まずRAID0(ストライプ)を作り、その「ストライプのかたまり」をRAID1(ミラー)で複製する方式です。言い換えると、「ストライプのミラー」です。
RAID0の速度と、RAID1の冗長性を両立したい、という発想から生まれた方式で、読み取り性能は高く、構成も分かりやすい部類に入ります。ただし、故障の起き方によっては冗長性が一気に落ちる点が、実務では重要な注意点になります。
※ RAIDの正式な言い回しには揺れがありますが、本記事では一般的な表現としてRAIDを「複数ディスクをまとめて使う技術」として説明します。
RAID技術は「ディスクは壊れるもの」という前提のもとで、性能と可用性(止まりにくさ)を両立させるために発展してきました。RAID01は、ストライピングで速度を稼ぎつつ、ミラーで故障に備えるという、分かりやすい組み合わせです。
ただし現在は、同じ“0と1の組み合わせ”でも、故障耐性の面で有利なRAID10(1+0)が一般的に選ばれやすく、RAID01は「使われることもあるが、第一候補ではない」立ち位置になりがちです(特にサーバー用途)。
RAID01は「RAID0の高速性」と「RAID1の冗長性」を狙いますが、同じ目的で比較されやすいのは次の3つです。
RAID01はRAID0単体よりは安全ですが、「どこまで壊れても大丈夫か」はRAID10と違います。ここが一番の落とし穴です。
RAID01(0+1)は、次の順番で作られます。
図にすると「A(ストライプ)をB(ストライプ)で丸ごとミラーする」形です。よくある最小構成は4台(2台でAのRAID0、2台でBのRAID0)です。
ミラーリング(RAID1)は「同じデータを2つに書く」方式で、片方が壊れてももう片方で継続できます。ただし容量効率は落ちます(2台で1台分の容量)。
ストライピング(RAID0)は「データを分けて複数ディスクへ並列に書く」方式で、性能は上がりますが、冗長性はありません。1台でも壊れると、そのRAID0セット全体が成立しなくなります。
RAID01は「RAID0の弱点(1台故障で全損)」を、ミラー(もう1セット)で補います。ただし、ここが重要です。
RAID01では、片側ストライプ(AまたはB)の中で1台でも故障すると、その“片側ストライプ全体”が故障扱いになります。結果として、残るのはもう片側ストライプ1セットのみで、そこから先はRAID0相当になります。
つまり、最初の1台故障で「ミラーで守られている状態」から「片側だけで走る状態」に落ちやすい、ということです。
RAID01はストライピングを含むため、単体ディスクより読み書きは速くなりやすいです。特に大きめの連続読み取り(シーケンシャル)では効果が出やすいです。
ただし書き込みは、ミラーにも書く必要があるため、構成やコントローラ性能次第で頭打ちになることがあります。「常に2倍速い」とは言い切れません。
RAID0単体よりは安全です。ストライプを丸ごとミラーしているため、片側のストライプが故障しても、もう片側で継続できます。
ただし、前述の通り、1台故障が起きた瞬間に“片側だけ運転”になりやすい点は、耐障害性の実感として大きな差になります。
まとめると、RAID01の利点は「速さ」と「最低限の冗長性」を比較的分かりやすい形で両立できることです。一方で、同じ容量効率(実効半分)で組めるRAID10のほうが、故障パターンに対して強いことが多いため、現在はRAID01をあえて選ぶ場面は限定されがちです。
RAID01は、読み取り/書き込み性能を重視しつつ、最低限の冗長性も欲しい場面で検討されます。ただし、サーバー/NASの設計では多くの場合、同目的ならRAID10が候補に上がりやすいです。
もし採用するなら、運用条件として「故障検知が速い」「交換とリビルドをすぐに回せる」「バックアップが確実」など、落ちた冗長性を早期に回復できる前提が欲しくなります。
ここは現実には「コントローラやOSで手順が違う」ため、一般論として“考え方”を整理します。RAID01は、作る順番が肝です。
管理画面上で「RAID0+1」「RAID01」「0+1」といった表記がある場合は、この構成を意味していることが多いです(ただし製品により表記ゆれがあります)。
RAID01の管理で重要なのは、次の3点です。
基本は「どのディスクが壊れたか」「どのセットが落ちたか」を特定し、交換→再同期(再構築)です。ここで重要なのは、RAID01は“片側だけで走っている状態”が発生しやすいので、再構築が終わるまで追加故障が起きないようにする意識が必要です。
注意点は、性能と冗長性の“見た目”に反して、故障時に冗長性が急落しやすいことです。運用としては、
このあたりが揃っていないと、RAID01の“速いけど危ない瞬間がある”性質がそのまま事故につながります。
RAID01自体が消えるわけではありませんが、同じ「0と1の組み合わせ」なら、一般にRAID10が選ばれやすい流れは続くと考えられます。理由は単純で、RAID10のほうが故障パターンに対して強いことが多く、運用上の安心感が大きいからです。
本文の比較には、いくつか誤解につながりやすい点があるため、ここで整理します。
RAID01は「性能重視+最低限の冗長性」が欲しい場面で検討されます。ただし、同じ目的ならRAID10が候補になりやすく、RAID01が適するのは、既存環境の制約(コントローラの対応、運用方針、構成制限など)があるケースが中心になりがちです。
また、「小規模企業や個人に最も適している」という断定はやや強めです。個人用途ではコストやバックアップ運用のほうがボトルネックになりやすく、RAID01を活かしきれないこともあります。
RAID01は、ストライピングとミラーリングを組み合わせた方式で、性能と冗長性を両立できます。ただし、故障が起きると冗長性が急に落ちやすいという性質があります。実務では「同じ容量効率でより故障に強い」ことが多いRAID10と比較されやすく、選定時は故障時の挙動まで含めて判断するのが安全です。
組み合わせる順番が違います。RAID01は「ストライプを作ってからミラー」、RAID10は「ミラーを作ってからストライプ」です。この違いで、故障時の耐え方が変わり、一般にRAID10のほうが故障パターンに強いことが多いです。
増えません。ミラーで複製するため、基本的に実効容量は全体の半分です(ディスク本数や構成にもよりますが、原則はRAID1と同じ考え方です)。
理屈の上では「片側ストライプが生きている限り」継続できますが、RAID01では1台故障で片側ストライプ全体が故障扱いになりやすく、以後は片側だけで動く状態になります。そこから追加故障が起きると復旧不能になるため、故障検知と交換を速く回す運用が重要です。
なりません。RAIDは主にディスク故障対策であり、誤削除、暗号化、上書き、破損などの論理的な事故から戻すにはバックアップが必要です。
故障時に冗長性が急に落ちやすい点です。監視(アラート)と交換・再構築の手順、予備ディスク、バックアップが揃っていないと、想定以上にリスクが高まります。
多くの場合はRAID10が候補になりやすいです。RAID10はミラー単位で故障を吸収しやすく、故障の組み合わせ次第では複数台故障でも継続できることがあります。最終的には要件(性能、容量、復旧時間、運用体制)で決めます。
一概には言えません。容量効率が低く、故障時対応も必要です。個人用途では、RAIDより先にバックアップ運用を固めたほうが効果が大きいことも多いです。
大きなデータの連続読み書きなど、並列化の効果が出る場面で効きやすいです。ただしミラーもあるため、書き込みは構成やコントローラ性能で差が出ます。
1台故障後に冗長性が落ちた状態で、もう1台が故障することです。だからこそ、アラートにすぐ気づける監視と、交換・再構築を迅速に行える体制が重要です。
「ストライプを丸ごとミラーする方式で、速いが故障時に冗長性が落ちやすい」。この性質を理解して、運用込みで選ぶのがポイントです。