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RAID60とは? わかりやすく10分で解説

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目次

RAID60の基本

RAID60は、複数のRAID6グループをRAID0で束ねる構成です。RAID6の二重パリティによる耐障害性を土台にしながら、グループを分けて並列に扱うことで、一定のスループットも取りやすくします。

検討しやすいのは、ディスク本数が多く、単純なRAID構成では容量、可用性、性能の折り合いがつきにくい場面です。一方で、RAID60は「何台壊れても安全」という構成ではありません。故障がどのRAID6グループに集中したかで継続可否が変わるため、採用判断では構成だけでなく監視、交換手順、データのバックアップまで含めて見ます。

RAID60とは何か

RAID60は、RAID 6+0とも表記されます。まず複数のRAID6グループを作成し、その上位でストライピングを行う形です。RAID6は同一グループ内に二重パリティを持つため、一般的な実装では同一グループ内で2台までのディスク故障に耐えられます。RAID60は、その性質を複数グループへ分散させた構成と考えると理解しやすくなります。

誤解しやすいのは、RAID60全体の故障許容本数を単純な数字で言い切れない点です。たとえば、故障が複数グループへ分散していれば3台以上の故障でも継続できる場合があります。反対に、同一RAID6グループへ3台の故障が集中すると、そのグループを維持できず、アレイ全体の継続運用が難しくなります。

RAID60とRAID6・RAID50の違い

RAID60を選ぶ場面では、単一のRAID6やRAID50との違いを先に整理した方が判断しやすくなります。

  • RAID6との違い
    RAID6は単一グループ内で二重パリティを持つ構成です。RAID60はそのRAID6グループを複数束ねるため、ディスク本数が多い環境では並列性を取りやすくなります。
  • RAID50との違い
    RAID50は複数のRAID5グループを束ねる構成です。RAID60は各グループがRAID6になるため、同一グループ内で2台までの故障を想定できる点で、耐障害性はRAID50より厚くなります。その分、パリティ分の容量消費と書き込み負荷は増えやすくなります。

RAID60が適しているケース

  • 大容量のアレイを止めにくい環境
    バックアップ先、アーカイブ、ファイルサーバー、監視データ保存先など、容量と継続運用の両方を求める環境で採用しやすくなります。
  • RAID6単体では並列性が足りない環境
    ディスク本数が多く、単一グループより複数グループへ分けた方がワークロードをさばきやすい場面で候補になります。
  • 監視と交換の運用体制を持てる環境
    冗長性が落ちた状態を放置しない監視、交換手順、予備ディスクの確保まで組める環境なら、RAID60の強みを活かしやすくなります。

RAID60を選びにくいケース

  • 低遅延の書き込みが最優先の環境
    RAID6系統はパリティ計算を伴うため、書き込み負荷の高いワークロードでは期待した結果にならないことがあります。
  • ディスク本数を十分に確保できない環境
    RAID60は複数のRAID6グループを前提にするため、少本数では構成の旨味が出にくくなります。多くのハードウェアRAID製品では8本以上が出発点になりますが、実際の最小本数はコントローラや装置仕様に従います。
  • 運用体制が薄い環境
    故障通知を見落としやすい、交換まで時間がかかる、バックアップ手順が曖昧といった状態では、RAID60の複雑さが先に負担になります。

容量の考え方

同容量ディスクで構成する場合、RAID6グループごとにディスク2台分がパリティ領域に回るイメージです。したがって、実効容量の目安は「各グループの本数から2本を引いた容量の合計」と考えると概算しやすくなります。

ただし、異なる容量や性能のディスクを混在させると、小さい方や遅い方へ引っ張られます。構成の見積もりを崩しにくくするには、同容量、同回転数、同世代でそろえる方が扱いやすくなります。

性能の見方

RAID60は、グループ分割によって読み取りや連続アクセスの並列性を取りやすい構成です。ただし、「ディスク本数を増やせばそのまま比例して速くなる」とは限りません。ボトルネックは、コントローラ性能、キャッシュ、バックプレーン帯域、I/O特性で変わります。

特に書き込みは、RAID6由来のパリティ計算の影響を受けます。書き込みが多い環境では、コントローラの書き込みキャッシュ有無や、SSD採用の有無で結果が変わりやすくなります。評価では、シーケンシャル中心なのか、ランダムI/O中心なのかを分けて確認した方が誤りを避けられます。

障害時の考え方

RAID60で障害が起きたときに見るべき点は、故障台数そのものではなく、故障がどのRAID6グループに集中したかです。各グループの健全性が維持できていれば継続できる余地がありますが、同一グループの三重故障は危険域です。

交換時にもっとも避けるべきなのは、正常ディスクの取り違えです。障害対応では、スロット番号、シリアル番号、管理画面上の識別情報を突き合わせ、どのディスクを抜くのかを手順化しておく必要があります。リビルド中は性能低下と追加故障のリスクも上がるため、交換までの時間を短くする運用が前提になります。

RAID60で押さえるべき運用項目

  • 監視
    S.M.A.R.T.、コントローラアラート、メール通知、統合監視のいずれかで冗長性低下を検知できる状態にします。
  • 予備ディスク
    同型番または互換性を確認した予備ディスクを持ち、交換待ちを長引かせない構成にします。
  • バックアップ
    RAID60は冗長化であって、誤削除、論理破損、ランサムウェア対策の代替にはなりません。別系統のバックアップを並行して持ちます。
  • 復旧手順
    障害検知から交換、リビルド確認、必要時の復元までを文書化し、担当者間で手順差が出ない状態にします。

まとめ

RAID60は、複数のRAID6グループをRAID0で束ねることで、RAID6の耐障害性を保ちながら並列性も確保しやすくした構成です。大容量アレイを止めにくい環境では、検討する意味があります。

ただし、判断の軸は「何台壊れても大丈夫か」という単純な話ではありません。故障の集中先、リビルド中のリスク、コントローラ性能、交換体制、バックアップの有無まで含めて評価しないと、構成名だけで安心してしまいます。RAID60は、構成そのものより運用の整備まで含めて初めて効果が安定します。

Q.RAID60とは何ですか?

A.複数のRAID6グループを作成し、それらをRAID0で束ねた構成です。二重パリティによる耐障害性を持ちながら、一定の並列性も取りやすくなります。

Q.RAID60は最低何本のディスクで組めますか?

A.多くのハードウェアRAID製品では8本以上が出発点になります。ただし、最小本数やグループ構成はコントローラやストレージ製品の仕様で変わります。

Q.RAID60は同時に何台まで故障しても動きますか?

A.単純な総数では決まりません。各RAID6グループ内で2台までに収まっていれば継続できる場合がありますが、同一グループへ3台故障が集中すると維持できなくなる可能性が高くなります。

Q.RAID60とRAID50の違いは何ですか?

A.RAID50は複数のRAID5グループを束ねる構成、RAID60は複数のRAID6グループを束ねる構成です。RAID60の方が各グループ内の故障許容数は多くなります。

Q.RAID60はバックアップの代わりになりますか?

A.なりません。誤削除、論理破損、ランサムウェアはRAIDでは防げないため、別系統のバックアップを用意します。

Q.RAID60の容量はどう考えればよいですか?

A.同容量ディスクなら、各RAID6グループでディスク2台分がパリティ領域に回ります。実効容量は、その差し引き分をグループごとに合計した値が目安になります。

Q.RAID60は読み書きが必ず速くなりますか?

A.必ずとは言えません。読み取りや連続アクセスでは並列性の恩恵を受けやすい一方、書き込みはパリティ計算、コントローラ性能、キャッシュ設定の影響を受けます。

Q.障害時に避けたいミスは何ですか?

A.正常ディスクの取り違えです。スロット番号、シリアル番号、管理画面の識別情報を確認し、手順通りに交換します。

Q.RAID60はどのような用途で採用されますか?

A.容量、継続運用、一定のスループットを同時に求める環境で採用候補になります。大容量のデータ保存先や、止めにくい業務ストレージが典型例です。

Q.RAID60で事前に整えておくべき運用項目は何ですか?

A.故障通知の監視、予備ディスクの確保、交換手順、リビルド中の確認方法、別系統バックアップの5点を先に決めておくと運用しやすくなります。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム