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WANとは? わかりやすく10分で解説

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WAN とは?

WAN(Wide Area Network)とは、広い範囲をカバーするネットワークのことです。通常、都市の間、地域間、あるいは国と国の間に拡張されます。インターネットそのものが、全世界をカバーする最も知られたWANの一つでしょう。

特徴と機能

WANは、その特徴として広い範囲にまたがることが挙げられます。それは、複数のロケーションにあるデバイスやネットワークの接続が可能です。それにより、離れた場所の個々のユーザーがデータを送受信したり、共有リソースにアクセスしたりすることができます。

さらに、WANは公衆ネットワーク(インターネット)またはプライベートネットワーク(複数の企業間の通信など)を利用でき、データ転送方法・接続技術・速度などは使用される具体的なサービスによります。

LANとの違い

LAN(Local Area Network)とWANは、範囲と規模で大きく異なります。LANは一般的にはビルやキャンパスなどの小さな地域をカバーし、通常はオーナーが所有・管理します。代表的な用途としては、オフィス内で複数のデバイスを接続し通信することが挙げられます。

一方でWANは、都市間や国間、あるいは世界中のどこでもデバイスを接続します。通常、複数のLANを結びつける役割を果たし、それらLAN同士の通信を可能にします。

WANの構成要素

WANの構成要素として主なものは、接続デバイス・伝送経路・プロトコルです。

接続デバイスとは、ルーターまたはモデムなどのネットワークデバイスです。これらはデータ通信を制御し、データを適切な経路で送受信します。

伝送路とは、電話回線・光ファイバーケーブル・衛星リンクなどの方法で、データが流れる"道路"のことを指します。

そして、プロトコルとは、データ通信を可能にするためのルールや規約です。WANでは、TCP/IPと呼ばれるプロトコルが一般的に使用されています。

WANの種類とその違い

ここでは、さまざまな種類のWANとそれぞれの特徴について解説します。WANには様々な形態があり、それぞれ異なる特性と利用シーンがあります。

専用線

専用線WANは、その名の通り一定のエリア間を専用の通信回線で接続するWANのことを指します。専用線WANの最大の特徴は、安定した通信品質高セキュリティを確保できることです。しかしその反面、維持費用が高額になることや地理的な制約が生じることがあります。

VPN

VPNは、公衆ネットワーク(インターネット)を利用しながら、専用線と同等の安全性を保つことができるWANの形態です。VPNは通常、暗号化テクノロジーを利用してデータの安全性を確保します。VPNの大きな特徴は、専用線WANに比べて大幅にコストを抑えられること、そして地理的な制約を受けにくいことでしょう。

フレームリレーサービス

フレームリレーサービスは、パケットスイッチングを利用したWANサービスの一つです。フレームリレーサービスを利用することで、必要に応じて帯域をフレキシブルに確保することができます。しかし、他の通信と帯域を共有するため、通信負荷が高まった際には通信速度が低下する可能性があります。

以上、いくつかの主要なWANの種類とそれぞれの違いについて解説しました。必要に応じて、これらのWANの中から最適なものを選び、使用することが重要です。

WANの歴史とその進化

コンピュータネットワークの進歩は時代と共に大きく変わり、その中心には常にWAN(Wide Area Network)が存在してきました。ここでは、WANの起源・現在・未来について説明します。

初期のWAN

WANの根源は1950年代と60年代に遡ります。電話回線を用いた通信が主流で、そこから発展していき、1970年代には専用のデータ回線が作られました。しかし、当時のWANは非常に高価で、また制御方法も技術的な限界からあまり進化できていませんでした。

WANの進化

1990年代以降、インターネットの普及によりWANの形も激変します。インターネットの出現により、コンピュータネットワークは地理的な制限から解放され、世界中どこからでもアクセス可能な状態となりました。加えて、新たなネットワーク技術の開発により、以前にはなかった専用回線にまつわる複雑さやコストの問題も一部解消されました。

WANの現状と未来

現在のWANは、以前と比較して遥かに展開が容易で、一部はクラウドベースのソリューションとして提供されています。これは、WANがビジネスにとって必要不可欠な存在となったことを強く反映しています。また、オフィスや生活のあらゆる面でのモバイルデバイスの使用増加に伴い、WANの重要性はさらに増しています。

今後のWANの発展としては、SD-WAN(Software Defined WAN)が注目されています。これは、ネットワークの管理や課題の解決をより効率的にすることが期待されています。また、5Gの導入により、デバイスの接続速度や帯域幅が大幅に向上し、ユーザーの体験がさらに豊かになると考えられています。

WANの技術

WANテクノロジーは、各業界の標準化団体や技術の進化によって、年々進化しています。その一部を見ていきましょう。

トランスポート技術

WANでは、データを適切に転送するためにトランスポート技術が必要となります。トランスポート技術とは、データパケットを正確に送り適切な速度で送信するための技術のことです。コンピューターネットワークは重要な情報を運ぶため、パケットの損失や遅延は許されません。そのため、要求される品質を維持するためにはしっかりとしたトランスポート技術が不可欠です。

ノード間接続

ノード間接続はWANの重要な要素です。ノードとは、ネットワーク内の各デバイスのことを指します。これらのノードはケーブルまたは無線接続を利用して通信します。ノード間接続では、データの送受信・ノード間の通信速度・信号タイミングなどが重要です。これらを適切に実行するために、各ノードは特定の通信プロトコルに従います。これによって、ネットワーク全体のコミュニケーションが改善され、データの送受信も効率化されます。

ルーティングとIPアドレス

ネットワーク上でデータが適切に送信されるためには、ルーティングIPアドレスの理解が必要です。ルーティングは、データパケットが正確に送信先に到達するために行われるプロセスです。それに対し、IPアドレスは各ノードがネットワーク上で一意に識別されるための番号です。ルーターは送信されたデータパケットの宛先IPアドレスを確認し、最適な経路を選択してパケットを転送します。これにより、各データパケットは巧みにネットワーク上を移動し、最終的には正確な宛先に到達します。

WANのセキュリティ技術

WANに接続されたネットワークは、様々なセキュリティ上のリスクに直面しています。そのため、WANのセキュリティ技術はネットワークを保護するために最も重要な要素の一つと言えます。データの暗号化・ファイアウォールの使用・侵入防止システム等、これら全てがネットワークを悪意のあるアクションから保護します。そのため、WANの設計や管理においては、適切なセキュリティ措置が必要です。

これらのテクノロジーはWANの基礎であり、データの送信から保護まで、ネットワークの各段階で使用されます。

WANの設計と構築

ネットワークの優れた性能と頑健性を実現するためには、詳細な設計と綿密な構築が欠かせません。このセクションでは、WANの設計から構築までのプロセスについて深く掘り下げていきます。

WANの設計

WANの設計は非常に具体的で緻密な作業であり、企業の具体的な要件やニーズに応じたカスタマイズが必要となります。設計プロセスでは、企業の規模、運用体制、ネットワークトラフィックの予測などを考慮しなければなりません。また、成長や変化に対応するためにスケーラビリティが確保できる設計を心掛けることも重要です。

WANのデバイスとハードウェア

WANを構築するためにはさまざまなハードウェアやデバイスが必要となります。これらは特定の目的と役割を果たすために存在します。ルーターはネットワーク間の通信を制御するため、WANの中核を成す重要なデバイスです。また、スイッチはローカルエリアネットワーク(LAN)内のデバイス間の通信を制御します。

ネットワーク接続装置(NIC)は、デバイスがネットワークに接続するためのインターフェースを提供します。さらに、ファイアウォールはネットワークを不正アクセスから保護し、セキュリティを確保します。

実際の構築手順

設計の段階で固まった計画に基づいて、WANの構築が始まります。ここでは、必要なハードウェアやデバイスのインストール・ネットワークの設定・ネットワークのテストなどが行われます。

構築のプロセスはしばしば複雑であり、時間とリソースを必要とします。したがって、設計がよく整理されており、明確な行動計画を持つことが成功へのカギとなります。

WANのメリット

ダイナミックなデジタル化時代において、WANはその普及と進化により、多くの利点を私たちに提供しています。具体的な利点として、情報共有とリソースアクセス、リモートワークの可能性の拡大、そしてデータのセキュリティ向上が挙げられます。

情報共有とリソースアクセス

WANを使用する一つの主要な利点は、情報共有とリソースアクセスの容易さです。異なる地理的位置にあるネットワーク間でデータやリソースを共有することが可能になります。データベースやアプリケーションなどの共有リソースに従業員全員がアクセスできることで、組織全体の生産性と効率性が向上します

リモートワークの可能性

リモートワークは現代の働き方として、ますます一般的になっています。WANは地理的な制限を超えて働くことを可能にします。隔たりのある場所からでもリアルタイムで情報を共有し、キーリソースを利用することが可能になります。このリモートワークの可能性は、優秀な人材を幅広い地域から採用し、組織の生産性を高め、より多くの柔軟性を提供します

データセキュリティ向上

WANは組織にとって重要な情報を安全に共有する手段を提供します。適切に設定され保護されたWANは、不正なアクセスやデータの損失から重要なビジネスデータを守ることができます。データセキュリティはビジネスにおいて非常に重要な要素であり、WANはそのセキュリティを強化します。

WANの管理と保守

ネットワークの適切な管理と定期的なメンテナンスは、WANがスムーズに機能し続け、最高のパフォーマンスを発揮するために不可欠です。

ネットワーク管理

ネットワーク管理は、WANの可用性、パフォーマンス、およびセキュリティを確保するための重要な活動です。まず、ネットワーク機器の監視を継続的に行います。トラフィックのボリュームや変動、デバイスのパフォーマンス、およびシステムのエラーレポートなど、重要なパラメータを監視することで、問題が早期に検出され、迅速に対処することが可能となります。

問題解決法

問題の解決方法には、トラブルシューティングが含まれます。一般的には、事象が発生した状況の詳細な調査、エラーメッセージの解析、またはネットワークデバイスの設定を確認することで、問題の根本原因を特定します。原因が特定できたら、適切な解決策を適用します。これは、設定の調整、不具合のある機器の交換、あるいはシステムのアップデートなど、問題によって異なるかもしれません。

メンテナンスとアップデート

最後に、WANのメンテナンスとアップデートがあります。これは、システムの安定性とセキュリティを保つために重要な要素です。メンテナンス作業には、定期的な設備の清掃や点検、ハードウェアの寿命に基づく予防的な交換が含まれます。また、サプライヤーからのソフトウェアアップデートを適用することで、システムは常に新しい安全性とパフォーマンスを維持します。セキュリティパッチや新機能の追加により、システムは新しい状態を保ち続けます。

まとめ

本記事では、WAN (Wide Area Network)の基本から、歴史・進化・技術・設計方法・メリット・管理方法について幅広く説明しました。WANは、広範な地域にわたるコンピュータネットワークを構築するための重要な手段となり、その機能性と拡張性が多くの組織によって利用されています。

WANの特徴とそのさまざまな種類、それぞれの特性や利点について理解し、それぞれの状況に合ったネットワーク形態を選択することが重要です。

また、WANの技術と設計について説明することで、どのようにして広範な地域にわたる効率的な通信環境が構築されるか、その全体像を把握することが可能となりました。

WANの管理とメンテナンス についても触れ、WANを長期にわたって効果的に運用するために必要な知識とスキルを理解しました。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム