
商用DHCPでインターネット回線の安定化を実現。「ProDHCP」 開発の背景や従来のDHCPとの違いに迫る|NetAttest20周年特別企画
- DHCP/DNS
DHCPという用語をご存知でしょうか。家庭内で使われるルーターにも備わっておりネットワーク機器の“おまけ”機能として連想するというケースが多いのではないでしょうか。しかし、ネットワーク利用に欠かせないDHCPは企業ネットワークを安定して運用していくために極めて重要な機能なのです。
2022年の6月に実施した「企業ネットワーク及び関連システムに関する調査」では、多くの企業がDHCPサービスを利用していることが確認できました。
DHCPとはそもそもどのようなものなのか、その概要や役割などについて解説していきます。
DHCPとは、ネットワークに接続したパソコンやスマートフォンなどの端末に、IPアドレスなどの通信に必要な情報を自動的に割り当てる機能(あるいはプロトコル)です。DHCPは「Dynamic Host Configuration Protocol」を略した名称です。
インターネットプロトコル(IP)というルールに従ってデータの送受信行うIPネットワークでは、IPアドレス、MACアドレス、ポート番号の3つを使って接続されている端末を識別します。このうち、MACアドレスはベンダーが出荷時に割り当てる機器ごとの固有の番号です。また、ポート番号はコンピューターが通信に使用するプログラムを識別するための番号で、サービスを提供するサーバー側のポート番号はサーバーソフトが、クライアント側のポート番号はTCPやUDP処理ソフトが割り当てます。
そして、そのIPアドレスの割り当てを担うのがDHCPです。
パソコンやスマートフォンを初めてインターネットに接続しようとするときは、Wi-Fiルーターなどに接続するための設定をします。このとき、Wi-Fiルーターにつなげれば自動的にインターネットを利用できるようになるのは、DHCPがIPアドレスなどネットワークを利用するのに必要な情報をパソコンやスマホに登録してくれるからです。
まず、インターネットやLANを利用する際は、パソコンなどの端末にIPアドレスを割り当てなければなりません。IPアドレスはネットワーク上でデータの送信元や送信先を識別するための住所のようなものです。そのアドレスが同一ネットワーク内で重複してしまうと正常な通信ができません。
パソコンやスマートフォンだけではなく、ネットワーク対応プリンターやゲーム機など、無線LANをさまざまな端末で使用するときにも、DHCPが端末ごとのIPアドレスの割り当てを行います。
またIPアドレス以外にも、DHCPはサブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバーといったネットワークの利用に必要な様々な設定情報を自動的に割り当てています。サブネットマスクはIPアドレスを分割してネットワークアドレスとホストアドレスを識別するための数値です。デフォルトゲートウェイは内部ネットワークと外部ネットワークを接続するためのネットワーク機器(通常はルーター)、DNSサーバーはドメイン名とIPアドレスを変換して提供する仕組みのことです。
家庭内などで使うWi-Fi/有線ルーターには通常、「DHCPサーバー機能」が搭載されています。IPアドレスなどの情報は、このDHCPサーバー機能によって割り当てられます。一方、企業などのネットワークの場合では、独立したサーバーをDHCPサーバーとして使用することも多いでしょう。
DHCPサーバーとは、IPアドレスなどの必要な情報を自動的に割り当てる側のコンピューターです。DHCPサーバーはDHCPのルールに従って、利用者のコンピューターやスマホにIPアドレスなどを割り振ります。IPアドレスなどを割り当てられた側のコンピューターやスマホは、DHCPクライアントと呼ばれます。
IPアドレスの割り当て方法には静的と動的の2種類があります。このうち、DHCPが割り当てるのは、インターネットなどのネットワークに接続するたびに変わる動的IPアドレスです。
これに対し、静的IPアドレスは固定IPアドレスとも呼ばれ、その端末専用のIPアドレスです。再接続した際も常に同一のIPアドレスを使用することになります。静的IPアドレスを使用するのであればDHCPは必要ありません。
一般家庭のネット回線はほとんどの場合、動的IPアドレスが使われます。一方、社内LANでは従来、固定IPアドレスを使用するのが主流でした。WEBサーバーを設置したり、クラウドサービスへのアクセス制限をしたりすることができる、あるいはリモートアクセスやVPN通信をする際にも固定IPアドレスのほうが都合がよかったからです。
しかし、近年ではオフィス環境でもノートPCを使う機会が増え、スマホやタブレットなど業務用モバイル機器も多く使われるようになって、より柔軟なネットワーク環境を整備する必要性が出てきました。そのため企業も動的IPアドレスに移行する、あるいは固定IPアドレスと動的IPアドレスを併用するケースが増えています。
ネットワークの運用コストを低減してくれる便利なDHCPですが、もしもサーバーに不調があるとIPが適切に割り当てられなくなり、ネットワークが利用できなくなるなどの問題が発生してしまいます。また、セキュリティ面でも十分な対策が必要です。信頼性の高いネットワーク環境を必要とする企業環境では、DHCPサーバーにはより高い機能が求められます。大量のさまざまなIP機器にIPを割り振ることができる性能や、ワイヤレスアクセスにもワイヤードアクセスにも対応できる柔軟さなどです。
「企業ネットワーク及び関連システムに関する調査」でも、企業ネットワークで利用する場合には様々なポイントを評価していることが分かります。
既存のルーターやWindowsサーバーに付属しているDHCP機能だけでは、こうした環境に対応するのが難しく、負荷にも耐えられない可能性があります。
そこで例えば、「NetAttest D3」のようなDHCPとDNSサービスを提供するアプライアンス製品も登場しています。NetAttest D3は、万一の障害時にもDHCPサービスを止めずに迅速な復旧が可能な機能などを持つ、法人向けの高速DHCPサーバーです。
DHCPは普段あまり意識されることがない技術ですが、とくに企業内で利用する場合には非常に大きな役割を担うことになります。DHCPについて理解し、適切な環境を構築しましょう。
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