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二重恐喝型ランサムウェアとは? わかりやすく10分で解説

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目次

二重恐喝型ランサムウェアの概要

サイバーセキュリティは、個人や組織がITを利用する際に生じるリスクから身を守るために欠かせません。なかでも、近年とくに深刻化しているのがランサムウェアです。

今回は、その中でも被害が拡大している「二重恐喝型ランサムウェア」について、仕組みや流れ、想定される被害、対策の考え方をわかりやすく整理します。

はじめに:ランサムウェアとは

ランサムウェアは、マルウェア(悪意のあるソフトウェア)の一種で、被害者のデータを暗号化して読めない状態にし、復旧の見返りとして金銭(身代金)を要求します。個人から企業、自治体、医療機関などまで幅広く狙われ、被害は金銭だけでなく、業務停止や復旧対応、信用の低下などにも広がります。

より詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。
ランサムウェアとは? 必要な対策や感染経路・被害について詳しく解説

二重恐喝型ランサムウェアとは

二重恐喝型ランサムウェアは、データを暗号化して「復旧のために支払え」と迫るだけでなく、暗号化の前後でデータを盗み出し、「支払わないなら公開する/売る」と追加で脅すタイプです。

このため被害者は、単に「暗号化を解除できるか」だけでなく、情報漏えいの可能性や、取引先・顧客への説明、法的対応まで含めて追い込まれやすくなります。

二重恐喝型ランサムウェアが登場した背景

背景のひとつは、バックアップ運用や復旧体制が整ってきたことで、暗号化だけでは「支払いにつながりにくい」ケースが増えた点です。攻撃者は手口を変え、データの持ち出し(漏えい)を絡めて、支払い圧力を高める方向へシフトしました。

二重恐喝型ランサムウェアの影響範囲

二重恐喝型の被害は、規模や業種を問いません。とくに個人情報や機微情報を扱う業界(医療、金融、公共など)では、漏えいリスクがそのまま重大な経営リスクになります。攻撃手法は変化し続けるため、「うちは大丈夫」という前提を置かず、平時からの備えが必要です。

二重恐喝型ランサムウェアの攻撃プロセス

二重恐喝型ランサムウェアは、いきなり暗号化するだけではありません。侵入してから時間をかけ、内部を調べ、盗み、最後に暗号化する――という流れになりやすい点が厄介です。

初期アクセス

攻撃はまず初期アクセスから始まります。たとえば以下のような入口が狙われます。

  • フィッシングメール(添付ファイル、URL、偽ログイン画面など)
  • VPNやリモートアクセス機器の脆弱性、設定不備
  • パスワードの使い回しや漏えい情報の悪用
  • 不正なソフトウェア(正規を装ったインストーラ等)

入口は古典的でも、攻撃側は「通るところ」を執拗に狙うため、基本対策が崩れていると侵入されやすくなります。

ネットワーク内偵察とラテラルムーブメント

侵入後、攻撃者は権限や構成を調べ、より価値の高い場所へ移動します。これがネットワーク内偵察ラテラルムーブメント(横展開)です。

具体的には、管理者権限の奪取、共有フォルダやサーバーへのアクセス、バックアップ基盤の探索などが行われ、最終的に「暗号化すると効く」場所や「漏えいすると痛い」情報が狙われます。

データの抜き取り(持ち出し)

二重恐喝の要となるのがデータの持ち出しです。被害者が気づきにくい形で、外部への送信が行われることがあります。ここで盗まれるのは、顧客情報、契約書、設計資料、メール、認証情報など、公開されると困るものが中心です。

暗号化と身代金要求

最後に、端末やサーバーのデータが暗号化され、業務が止まります。さらに、盗んだデータの公開や売却をほのめかし、支払いを迫ります。

ここで重要なのは、「支払っても公開されない保証はない」点です。支払った後に追加要求を受ける例や、結果的に情報が出回る例もあり得ます。したがって、対応は「支払う/支払わない」の二択ではなく、事前の備えと、発生時の即応が現実的な鍵になります。

実際の攻撃パターン(よくある入口)

二重恐喝型ランサムウェアは手口が多様ですが、「よくある入口」を知っておくと、対策の優先順位が立てやすくなります。以下は典型例です。

不正なソフトウェア(海賊版・改変版)による感染

正規ソフトに見せかけた改変版や、海賊版ソフトの導入をきっかけに感染するケースがあります。「無料」「割引」などに見えても、裏でマルウェアが動くリスクがあります。費用節約のつもりが、復旧費・調査費・信用低下など、比較にならない損失につながりかねません。

フィッシングメールによる侵入

送信元や件名を装い、添付ファイルやリンクを踏ませる手口です。認証情報を入力させられた結果、アカウントを奪われて侵入されるケースもあります。「急ぎ」「至急確認」「アカウント停止」など、焦らせる文面は要注意です。

スパムメール・ばらまき型からの侵入

一見すると無害なメールでも、添付やリンクに悪性が仕込まれていることがあります。フィッシングとの違いが曖昧な場合も多く、現場では「不審なら開かない」を徹底するのが基本です。

二重恐喝型ランサムウェア攻撃の対策

二重恐喝型は「暗号化」と「漏えい」の両方が絡むため、対策も一段広く考える必要があります。ポイントは、侵入を防ぐ横展開を止める持ち出しを検知する復旧できるの4つです。

ゼロトラストの考え方を取り入れる

ゼロトラストは「何も信頼しない」を前提に、ユーザー・端末・場所を問わず、アクセスの都度確認し、権限を最小化する考え方です。侵入を100%防ぐのは難しいため、侵入後の被害拡大を抑える設計として重要になります。

詳しくは、こちらも併せてご覧ください。
ゼロトラストとは? 境界型セキュリティに変わる概念で情報資産を守ろう

攻撃対象領域(アタックサーフェス)を小さくする

攻撃者が狙える入口を減らすほど、侵入成功率は下がります。たとえば次のような取り組みが効きます。

  • 不要な公開サービスの停止、リモートアクセスの棚卸し
  • OS・ソフト・機器のパッチ適用を「遅れない運用」にする
  • 多要素認証(MFA)の徹底、特権IDの厳格管理
  • パスワード使い回し前提を捨てる(漏えい耐性を上げる)

地味に見えますが、ここが弱いと「最初の一歩」で負けやすくなります。

ラテラルムーブメント(横展開)を止める

侵入されても、横に広がらなければ被害は小さくできます。代表的な手段がネットワーク分割(セグメンテーション)マイクロセグメンテーションです。

重要サーバーやバックアップ基盤、認証基盤などは、アクセス経路を限定し、「どこからでも行ける」状態を避けます。加えて、端末の管理者権限を絞り、管理系通信を監視しやすい構成にしておくことも有効です。

データ持ち出し(漏えい)を前提に検知・抑止する

二重恐喝では、暗号化の前にデータが外へ出ます。したがって、外向き通信の監視異常検知が重要です。具体的には、EDR/XDRの導入、プロキシやDNSのログ監視、DLP(情報漏えい対策)などが選択肢になります。

「暗号化されたか」ではなく、「その前に何が外へ出たか」を追える状態が、被害評価と説明の質を左右します。

バックアップと復旧設計(ここが弱いと詰む)

暗号化への現実的な対抗手段は、復旧できるバックアップです。ただし「バックアップがある」だけでは不十分で、攻撃者に消されない・暗号化されない設計が必要です。

  • 3-2-1(媒体を分け、オフライン/別系統を持つ)を意識する
  • バックアップ領域へのアクセス権を最小化する
  • 世代管理・イミュータブル(改ざん困難)な保管を検討する
  • 定期的に復元テストを行い「戻せる」ことを確認する

復元できなければ、交渉以前に業務が止まり続けます。ここは最優先で強化すべき領域です。

二重恐喝型ランサムウェア攻撃のこれから

二重恐喝型は、今後もしばらく続くと考えられます。理由は単純で、攻撃者側にとって「成功しやすい構造」になっているからです。

クラウド利用・リモートワークの広がり

クラウドやリモートアクセスは便利ですが、入口が増える面もあります。社外からのアクセス経路、ID管理、端末管理が弱いと、侵入と横展開の両方が起こりやすくなります。

RaaS(Ransomware as a Service)の拡大

ランサムウェアは「作る人」「侵入する人」「交渉する人」が分業されることがあります。これにより攻撃が量産され、標的も広がりやすくなります。

AIや自動化による“効率化”は起こり得る

近年は攻撃側も防御側も自動化を進めています。攻撃者がAIや自動化を利用し、偵察や侵入後の作業を効率化する可能性はあります。ただし、ここは事例や手法が多様で、すべてが一気に置き換わるというより、一部の工程が自動化されていくと見ておくのが現実的です。

日々増す脅威に対抗するために

必要なのは、ツールを増やすことだけではありません。運用の継続優先順位が重要です。たとえば「パッチが遅れない」「特権IDが守られている」「バックアップが戻せる」「ログが追える」――この土台があるかどうかで、被害の深さが変わります。

二重恐喝型ランサムウェア攻撃に立ち向かうためには

二重恐喝型ランサムウェアは、暗号化と漏えいの両面で被害を広げるため、平時の準備がものを言います。最後に、実務として押さえたいポイントをまとめます。

セキュリティ意識を“仕組み”にする

注意喚起だけで乗り切るのは難しいため、「ミスが起きても致命傷にならない設計」が必要です。MFAの徹底、権限の最小化、端末管理、教育と訓練をセットで回します。

最新情報を追い、反映できる体制をつくる

脅威は日々変わります。脆弱性情報、パッチ情報、侵害指標(IoC)などを継続的に取り込み、ポリシーや設定に反映できる運用が重要です。

専門家・外部支援を前提に備える

インシデント対応は、時間との勝負になりやすい領域です。いざという時に慌てないよう、外部の支援先(ベンダー、CSIRT支援、法務、広報など)も含めて、連絡系統と手順を整えておくと現実的です。

インシデント対応(IR)と復旧計画を“動く形”で持つ

手順書があるだけでは足りません。初動(隔離・停止判断)、ログ保全、影響範囲の把握、復旧、対外説明まで、役割分担と判断基準を具体化し、可能なら机上演習も行います。

二重恐喝型ランサムウェアに対しては、「侵入させない」「広げない」「持ち出させない」「戻せる」を現実的に積み上げることが、最も強い対抗策になります。

Q.二重恐喝型ランサムウェアとは何ですか?

データを暗号化して身代金を要求するだけでなく、暗号化の前後でデータを盗み出し、「支払わないなら公開する/売る」と追加で脅すタイプです。

Q.通常のランサムウェアと何が違いますか?

通常型は暗号化による業務停止が中心ですが、二重恐喝型は情報漏えいのリスクが加わります。復旧できても「漏えい対応」が残る点が大きな違いです。

Q.主な侵入経路は何ですか?

フィッシングメール、VPNやリモートアクセス機器の脆弱性・設定不備、漏えいした認証情報の悪用、不正なソフトウェア(改変版など)が代表例です。

Q.なぜ暗号化の前に“持ち出し”が行われるのですか?

バックアップで復旧できる組織が増え、暗号化だけでは支払い圧力が弱くなるためです。持ち出し(漏えい)を絡めることで、支払いを迫りやすくします。

Q.身代金を支払えば解決しますか?

支払っても公開されない保証はなく、追加要求や再攻撃のリスクもあります。判断は慎重に行い、平時の備え(復旧・検知・初動)を整えることが重要です。

Q.対策の優先順位はどう考えればよいですか?

「侵入を防ぐ(MFA・パッチ・入口削減)」「横展開を止める(分割・権限最小化)」「持ち出しを検知する(ログ・EDR等)」「復旧できる(バックアップ)」の順で“弱いところ”から潰すのが現実的です。

Q.ゼロトラストは有効ですか?

有効です。侵入を前提に、アクセスの都度確認し、権限を最小化することで、横展開や重要資産への到達を難しくできます。

Q.バックアップがあれば安心ですか?

「戻せるバックアップ」であることが重要です。攻撃者に消されない・暗号化されない保管、世代管理、復元テストまで含めて設計しないと機能しません。

Q.被害が起きたら最初に何をすべきですか?

まず拡大防止(感染端末の隔離、不要な接続の遮断)と、ログ・証跡の保全を優先します。そのうえで影響範囲を把握し、復旧と対外対応を進めます。

Q.今後の脅威はどう変わりますか?

クラウド利用や分業型攻撃(RaaS)の広がりで、攻撃は継続すると考えられます。特定工程の自動化が進む可能性もあるため、基本対策と検知・復旧の土台を固めることが重要です。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム