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テレワークの勤怠管理とは? | 把握すべき項目と運用のポイント

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テレワークの勤怠の管理とは、離れた場所で働く人の始業、終業、休み、残業、中抜けなどを会社が記録し、申請と承認の手順とあわせて回すことです。

テレワークのルール整備とは?就業規則・運用ルールで決めることと同じで、勤怠の管理でも先に基準を決める必要があります。始業、終業、休み、残業、中抜け、申請のしかた、承認のしかた、記録の残し方まで曖昧なままでは、制度そのものが不安定になります。先に決めるべきなのは、何をどう記録するかです。

このテーマでは、始業と終業、休み、残業、中抜けだけでなく、申請の手順、例外時の連絡、よく起きる問題、ツールを入れる前に見る点まで考える必要があります。ツール選びまで見るなら、テレワークツール比較|必要な機能と選び方を整理もあわせて読むと手順をつかみやすくなります。

  • 始業、終業、休み、残業、中抜けを何でどう記録するかを決める
  • 申請、承認、修正、例外時の手順を決める
  • 困りやすい運用と、ツールに求める機能を分けて考える

テレワークで勤怠の管理が難しくなる理由

テレワークの勤怠の管理が難しくなるのは、働いた時間そのものが特別だからではありません。会社側から見えていたものが見えにくくなるからです。オフィスでは、出社、着席,離席、会議、退勤を目で見て補えます。ところがテレワークでは、その補いが効きません。だから、何を始業とするのか、休みをどう記録するのか、残業の承認をいつ取るのかを、先に決めておく必要があります。

よくある誤解は、「在宅で働くから正確な管理は難しい」という考え方です。難しいのはテレワーク自体ではなく、基準が曖昧なまま回そうとすることです。始業の報告のしかたが部署ごとに違う、残業の基準が上司ごとに違う、中抜けの扱いが人によって違う。これでは、打刻の仕組みを入れても整いません。ツールは記録を入れる箱であり、何を記録するかを決めるのは制度です。

さらに、勤怠の管理と仕事の管理を混ぜると問題が深くなります。勤怠の管理は、働いた時間、休み、申請、承認の記録を扱うもので、成果や進み具合の評価とは別です。ここを混ぜると、「成果が出ていれば時間は適当でよい」「長くつないでいれば働いているはずだ」という回し方になりがちです。前者は時間の管理を崩し、後者は監視に寄りすぎます。

テレワークでは、自分で時間を整える場面が増えるのは事実です。ただ、それは会社が管理を手放してよいという意味ではありません。会社側が決めるべきことを先に決め、その範囲で従業員に動いてもらう形に変える必要があります。ここを甘く見ると、残業代、休みの未取得、深夜の仕事、申請漏れ、長時間の仕事、実態と記録のずれが後でまとめて問題になります。

もう一つ大事なのは、監視を強めることだけで考えないことです。画面を常に見る、細かく席にいるかを確かめる、といった回し方は反発を招きやすく、重い運用になりがちです。先に整えるべきなのは、勤務の開始、終了、中断、再開、残業を記録できる仕組みです。

制度そのものは別記事のテレワークのルール整備とは?就業規則・運用ルールで決めることで見られます。ここでは、勤怠に特有の日々の確認点に絞って見ていきます。

テレワークの勤怠の管理で確認したい項目

勤怠の管理では、何を記録し、何を確かめるかを先に決める必要があります。ここが曖昧だと、いらない報告が増え、本当に要る記録が漏れます。

項目先に決めたいこと
始業・終業何を基準に仕事の開始と終了とみなすか
休み自動で引くか、実績を入れるか
残業事前の承認を原則にするか、例外をどう扱うか
中抜け記録するか、しないか、どう扱うか
申請・記録誰が申請し、誰が承認し、何を残すか

始業・終業

最も基本になるのが始業と終業の記録です。テレワークでは、「PCを開いた時点」「最初のメールを送った時点」「打刻した時点」のどれを始業とみなすかがずれやすくなります。会社として基準を一本にする必要があります。始業と終業の時刻は、タイムカード、ICカード、PCの使った時間など、客観的な記録を土台に確認するのが基本です。やむを得ず自分での申告を使う場合も、やり方を明確にして周知しておくべきです。

休み

休みは見落とされがちですが、テレワークではむしろ大事です。自宅では休まず働き続けたり、家事で席を外した時間を休みとみなすか迷ったりしやすくなります。休み時間を自動で引くのか、実績を入れるのか、短い離席をどう扱うのかを先に決めておく必要があります。休みを取らない状態が続くと、長い仕事時間の原因になります。

残業

残業では、申請を原則にするのか、後からの報告を認めるのか、急ぎの場面をどう扱うのかが問題です。テレワークでは時間の区切りが曖昧になりやすく、本人が気づかないまま所定の時間を超えることがあります。だからこそ、残業は「後で申告」で済ませるより、「原則は事前の承認、やむを得ない場合だけ後からの報告」の方が崩れにくくなります。

中抜け

テレワークでは中抜けの扱いが特に問題になります。通院、子どもの送迎、宅配の受け取り、家族の対応などが起きやすいからです。中抜けを一律に禁じると実態とずれますし、自由にしすぎると時間の記録が崩れます。

中抜けを認める場合は、前もって就業規則や日々のルールで扱いを決めておく必要があります。厚生労働省のテレワークの労務の管理ガイドラインでは、中抜けの開始と終了を報告させて休み時間として扱い、始業を早めたり終業を遅らせたりする方法や、時間ごとの年次有給休暇として扱う方法が示されています。また、中抜けを細かく記録しないで、始業から終業までの間を、休みを除いて働いた時間として扱う考え方も示されています。

終業を遅らせる運用を行うなら、始業や終業の時刻が変わることがある旨を就業規則に書いておく必要があります。時間ごとの年次有給休暇として扱うなら、労使協定が必要です。

申請の手順

時間外の仕事、休日の仕事、働く場所の変更、打刻の修正、中抜け、急な離席など、勤怠に関わる申請は多くあります。申請を増やしすぎると回らなくなりますが、なくしてしまうと後からの確認ばかりになります。問題になりやすい項目だけは、申請の手順を明確にしておくべきです。

記録の残し方

記録は、後で説明できる形で残す必要があります。打刻だけでなく、承認の履歴、修正の履歴、残業の理由、中抜けの記録まで追える方がよいです。勤怠は、その場で分かればよいのではなく、後で確かめられることが大切です。

仕事の管理との違い

勤怠の管理は時間の管理、仕事の管理は仕事の進み具合や成果の管理です。この二つを混ぜると、時間の問題を成果で隠したり、成果の問題を在席の時間でごまかしたりします。分けて設計しなければなりません。

監視を強めすぎない考え方

テレワークでよくある失敗は、見えない不安を監視だけで埋めようとすることです。仕事の記録や進み具合の共有より、席にいるかの確認ばかりを細かくすると、運用が重くなり、反発も招きます。画面監視のような方法を入れる場合も、目的と範囲を明確にして慎重に扱う必要があります。

テレワークの勤怠の管理でルールをどう決めるか

勤怠の管理のルールは、厳しいだけでは回りません。実際に回せることが前提です。まず、入力する人、確認する人、承認する人の役目を分けます。従業員、直属の上司、人事や労務の役目を混ぜないことが大切です。

ルールを作るときは、ふだんの場面と例外の場面を分けて考えるべきです。ふだんは始業、終業、休み、残業の申請だけで回っていても、通信の不具合、仕組みの不具合、急な外出、停電、端末の故障が起きると止まる設計では弱すぎます。例外時の連絡のしかた、後からの打刻の修正、承認者が不在のときの代わりの手順まで決めておく必要があります。

また、働いた時間の実態と、やり取りの回数を無理に一致させないことも大事です。常時オンラインを求めたくなりがちですが、それは勤怠の確認とは別の問題です。上司が安心したいだけのルールは長続きしません。

勤務時間のルールは、制度面をまとめたテレワークのルール整備とは?就業規則・運用ルールで決めることと一緒に見る方が手順をつかみやすくなります。とくに、就業規則に書くことと、日々の手順として回すことは分けた方が無理が出にくくなります。

テレワークの勤怠の管理でよくある課題と対処

まず起こりやすいのは、始業と終業の打刻漏れです。これは本人の注意だけでは防ぎきれません。通知、未打刻の一覧、日ごとの確認を組み合わせた方が漏れを減らしやすくなります。

次に、休みが曖昧になることです。自宅では働き続ける人もいれば、短い家事の時間を休みとして申告しない人もいます。ここでは、「休みとは何か」を具体的に示し、記録のルールをそろえる必要があります。

残業の後追いが当たり前になるのも問題です。毎回「忙しかったので後で申請」で済むと、残業の管理は崩れます。後からの申請を認める場面は限るべきです。

勤怠と仕事の報告が二つの入力になるのもよくある問題です。日報、チャット、タスク更新、打刻がばらばらだと負担が増え、どれかが形だけになります。要る記録をしぼり、役目を分けるべきです。

そして、監視を強めすぎることへの反発も起きやすくなります。画面監視や細かすぎる在席の確認は、重い運用になりやすく、信頼も損ねます。入れるなら、目的と範囲を明確にし、何を見たいのかを絞る必要があります。

テレワークの勤怠の管理ツールを入れるときの確認点

勤怠ツールを選ぶときに見るべきなのは、多機能かどうかではありません。自社のルールと合うかどうかです。始業、終業、休み、中抜け、残業の申請、打刻の修正、承認、未打刻の通知、ログ保存など、自社に要る運用に合うかを確認すべきです。

ほかのツールとのつながりも無視できません。チャット、カレンダー、仕事の管理ツール、ID管理、モバイル利用との相性が悪いと、二つの入力が増えます。逆に、機能が絞られていても、要る記録が素直に残るツールの方が定着しやすくなります。

ただし、ツールに頼りすぎるのも危険です。ツールはルールを補うもので、ルールそのものの代わりにはなりません。ルールが曖昧なまま入れると、記録だけが増えて管理は整いません。ツール選びを広く見たい場合は、テレワークツール比較|必要な機能と選び方を整理もあわせて読むと見通しを持ちやすくなります。

テレワークの勤怠の管理を安定させる日々の工夫

勤怠の管理を制度として定着させるには、ルールだけでなく、管理者の手間を下げる工夫も要ります。たとえば、未打刻の人を日ごとに確認できる、残業の申請が決めた時刻を超えると通知が出る、打刻の修正では理由の記入を必須にする、といった仕組みです。こうした仕組みは一見厳しく見えても、実際には手戻りを減らします。

逆に、全部を手作業で確認する設計はすぐに崩れます。テレワークの勤怠の管理では、善意に頼るのではなく、例外を早く見つけられる設計に変えることが大切です。

また、管理者への周知も欠かせません。現場の上司が「在宅だから見えない。だから細かく報告させよう」という発想に寄ると、部下の負担が増えるだけで制度への不信が強まります。管理者が学ぶべきなのは、監視の方法ではなく、どの記録が労務で必要で、どこからが成果の管理なのかを分けることです。ここが弱いと、上司ごとの運用差が広がります。

さらに、月末だけで勤怠を確認するのも危険です。月末にまとめて修正が出ると、記録の正確さが落ちます。日ごと、または週ごとに未処理を消していく方が、回しやすくなります。テレワークの勤怠の管理では、理屈だけで正しい制度より、日々の運用に耐える制度の方が機能します。

テレワークの勤怠の管理でまず決めること

  • 始業と終業を何で確認するか
  • 休み、中抜け、残業をどう扱うか
  • 申請、承認、修正の手順をどうするか
  • 例外時の連絡のしかたと記録のしかたをどう決めるか

先に固めたいのは、打刻の方法そのものより、どの場面で何を記録し、誰が確認するかです。ここが曖昧なままでは、ツールを入れても運用はすぐに揺らぎます。

よくある質問

Q. テレワークでは何を勤怠として見ればよいですか。

A.

始業、終業、休み、残業、中抜け、申請と承認、修正の履歴、必要に応じた例外時の記録です。全部を細かく見るのではなく、労務で大事な項目にしぼるべきです。

Q. 始業はPCを開いた時点ですか。

A.

会社が決めた基準によりますが、始業と終業の時刻は、タイムカード、ICカード、PCの使った時間など、客観的な記録を土台に確認するのが基本です。自分での申告を使う場合も、やり方を明確にしてそろえる必要があります。

Q. テレワークで中抜けは認めるべきですか。

A.

実態に合わせて認める方が現実的です。ただし、前もってルールを決めておく必要があります。休み時間として扱って終業を遅らせる方法や、時間ごとの年次有給休暇として扱う方法があります。中抜けを細かく記録しないで、始業から終業までの間を、休みを除いて働いた時間として扱う考え方もあります。

Q. 勤怠管理と業務管理は同じですか。

A.

別です。勤怠管理は時間や休みの記録、業務管理は成果や進み具合の管理です。混ぜるとどちらも曖昧になります。

Q. テレワークでは画面監視が必要ですか。

A.

一律に必要とも不要とも言えません。入れるなら、目的と範囲を明確にし、従業員の負担や反発も踏まえて慎重に扱う必要があります。先に優先したいのは、勤務の開始、終了、中断、残業などを説明できる形で記録することです。

Q. 残業は後からの申請でもよいですか。

A.

例外はあり得ますが、当たり前にするべきではありません。原則は事前の承認、やむを得ない場合だけ後からの報告にする方が崩れにくくなります。

Q. 勤怠ツールを入れれば問題は解決しますか。

A.

解決しません。何を記録するか、誰が承認するか、打刻漏れや例外時をどう扱うかが決まっていなければ、ツールはただの入力する画面になります。

Q. テレワークの勤怠の管理で一番避けたい失敗は何ですか。

A.

基準が曖昧なまま回し始めることです。監視が足りないことより前に、ルールが足りずに崩れる方が多くあります。

Q. 中抜け時間は必ず記録しなければなりませんか。

A.

必ずしもそうではありません。中抜け時間を記録して休み時間や時間ごとの年次有給休暇として扱う方法もあれば、細かく記録しないで、始業から終業までの間を、休みを除いて働いた時間として扱う方法もあります。どちらにしても、前もってルールを決めておくことが大切です。

Q. 始業と終業は自分での申告だけで管理してよいですか。

A.

やむを得ない場合は自分での申告もあり得ますが、基本はタイムカード、ICカード、PCの使った時間など、客観的な記録を土台に確認する考え方です。自分での申告にする場合も、ルールを明確にしておく必要があります。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム